ヴァル:さて、水は確保できたのだから、後は花だね。
キュリオ:よく考えたら、アランを助けるのに、
必要なのは、水じゃなくて、花だったにゃ。
水の精霊さんには、悪いことしちゃったな。
エル:恥ずかしかったでしょうね〜……、
精霊水とは、精霊自身の『綺麗な水』だったわけですから。
ヴァル:まあ、我々、人間にとっては、
その綺麗な水は、文字通りの意味でしか無いがね。
もちろん、魔具としての価値は充分にあるモノだが……、
カイン:何はともあれ、これで、報酬上乗せは確定やん♪
これで、セントランも見つかれば、万々歳や。
キュリオ:その為にも、水の精霊さんから、
花の精霊王に頼んで貰わないと……、
GM:ちなみに、花の精霊王ってのは、
フロルエルモスにいる、フローレ=ミルフィアです。
人間であった頃は、水の精霊石を所持していました。
尤も、まだ誠から返却されていないので、今は持っていませんが……、
ヴァル:なるほど……、
花の精霊王でありながら、水の精霊と親しいのも頷けるな。
まあ、花に水は必要不可欠だから、当然なんだが……、
エル:人の身でありながら、精霊王にまで昇華するとは……、
彼女の想いの強さには敬服しますね。
キュリオ:とにかく、その子に、
お願いして、セントランを手に入れるにゃ!
ヴァル:精霊王に頼る以上、
それは、一筋縄ではいかないと思うがね……、
『Leaf Quest
TRPG』テストセッション・リプレイ
ばかっぷら〜ズ冒険譚 4
『日輪と赤月の騎士』 中編
―― PHASE-10 戦輪の女戦士 ――
GM:さて、オアシスCにいた、水の精霊から、
情報を得た皆さんは、オアシスBに向かっています。
CからBへは、3日かかるので、
その分、冷房薬と結界薬を減らしておいてくださいね。
キュリオ:精霊水の入った水筒を、
大事に首に下げて、オアシスに向かうよ。
GM:で、砂漠を進みますと、
行く先に、オアシスBの景色が見えてきます。
キャラバン隊でしょうか……、
そこには、ラクダを連れ、多くの荷物を抱えた一団が見えます。
ただ、その一団は、何故か、水場の傍にある、大きな岩の上に陣取っています。
エル:「おや、先客がいるようですね……嫌な予感がしますが……」
カイン:「変やな。普通、あの手のは、水場にキャンプはるんやけど?」
GM:と、皆さんが首を傾げながらも、オアシスに近付いていくと、
突然、キャラバン隊の方から、鋭い女性の叫び声が、皆さんに向けて発せられます。
???:「そこの冒険者! こっちに向かって走れっ! 早くっ!!」
その声と同時に、突然、皆さんの近くの足元が、
ボコッと盛り上がり、イモ虫にも似た魔物が、
大きな口を開けて、襲い掛かってきます。
キュリオ:「にゃ〜〜〜っ!?」
水筒を抱えて、岩場に向かって猛ダッシュ!
エル:「この魔物はっ!? グラボイズ!?
くっ、相手にしている余裕は無さそうですねっ!」
GM:魔物が、物凄い勢いで、皆さんに向かってきます。
ですが、キャラバン隊の方から、
強烈な赤い魔力波が放たれ、魔物を消し炭に変えてしまいます。
???:「今のうちだっ! 急げっ!!」
ヴァル:「凄い威力の魔術……だな?」
っと、そんな事を気にしている場合ではないな。急いで岩場に登るぞ。
エル:相手は足元から出てきました。
なら、あの岩場の上なら、一先ず安心でしょう。
キュリオ:岩場に登る、登るっ!
GM:では、皆さんが、必死に岩場に登ると、キャラバン隊と合流できます。
肩で息をする皆さんの前に、一人の女戦士が姿を見せます。
???:「私の名はパール……この隊商の護衛として雇われている者だ。
危ないところだったな。怪我は無いか?」
パールと名乗る女戦士は、金色に近い茶色の髪、白い革鎧……、
20代半ばの、凛々しさと可愛らしさを併せ持つ、ボーイッシュな女戦士です。
彼女が両手には、丸い円形の真紅の刃を持つ、戦輪(チャクラム)という武器があります。
カイン:「おおきに、助かったで」
キュリオ:「あ、危なかった〜……」
エル:「危ない所をありがとうございました、パールさん。礼を言います」
ヴァル:「ふむ、岩の上に集まる、と言う事は、ここは安全と言うことかね?」
パール:「ああ、貴公の言うとおり、岩の上ならば、
あの魔物……グラボイズは襲ってこない。
もっとも、こちらも身動きが取れないがな」
カイン:「ってことは、あんた等も、ここに足止めされてるんかいな?」
パール:「うむ、その通りだ……」
と、カインの言葉に頷いて、パールは、状況を説明してくれます。
GM:この隊商は、この砂漠を東に越えたところにある、
『トレマ』という小さな村に向かっている途中だそうです。
ただ、突如、先程の魔物に襲われ、このオアシスで、足止めされている、とのことです。
パール:「あの魔物、砂漠を行き交う者達の間では、グラボイズと呼ばれているらしい。
奴らは、突然、足元から現れる。しかも、それなりの知性もあるようだ。
すでに、このオアシスは、奴らの仲間で包囲されていて、身動きが取れない。
幸い、この硬い岩場の上なら安全なようだが、いつまでも、こうしてはいられん。
水は充分にあるが、もう、食料は、底をつき掛けているんだ」
エル:「つまり、兵糧攻めですか……、
となると、討って出なければならない、と言う事ですね」
パール:「私一人なら、突破も可能だがな……、
さすがに、このキャラバン隊を守りながらでは……」
エル:「なるほど、これまで、討って出なかった理由は……戦力不足ですか」
キュリオ:「パールさんは、さっきの凄い攻撃って、連打できる?
出来るなら、ボクが囮になって、おびき寄せる事も出来るかも……」
カイン:「そこを、ウチの爆弾で、各個撃破かいな?」
ヴァル(のPL):グラボイズが出てきた映画でも、そういう作戦を使っていたな。
エル:「そういえば、戦輪とは、また珍しい武器を使うのですね?
先程の魔力波は、もしや、それから……?」
パール:「さてね、戦士として、初対面の者に、手の内を明かすと思うかね?」
エル:「いえ、只の推測ですし、知ろうとは思いませんので、ご安心を」
ヴァル:「とはいえ、この状況では、そんな事を言っている場合ではないだろう?
もしかして、連射は出来ないのかい?」
まあ、あんなモノを連射されたら、たまらんが……、
パール:「それもある……各個撃破も、今まで続けてきた。
だが、敵は一向に減る気配が無い……まったく、数が分からないんだ」
キュリオ:「そっか……実は雲霞の如く居ました、
とかいうオチだと、どうしようもないもんねぇ」
GM:おっと、そういえば、今、キュリオは、パールに話し掛けたよね?
じゃあ、エージェントで判定してください。
キュリオ:にゃ?(ころころ)12だよ。
GM:じゃあ、キュリオを見た瞬間、
パールが、驚愕の表情を浮かべた事に気付いて良いです。
キュリオ:「……パールさん、ボクの顔に何か付いてる?」
パール:「い、いや、なんでもない……、
ところで、貴公らは、ここに何をしにきたのだ?
まあ、冒険者にそれを聞くのは愚問だろうが……」
と、キュリオから目をそらします。
ここで、キュリオは、もう一回、エージェント判定をしてください。
キュリオ:(ころころ)今度は15だよ。
GM:じゃあ、パールの視線は、キュリオだけでなく、
一瞬、キュリオが持つ剣にも向けられました。
キュリオ:「……ガラディーンがどうかした?」
ヴァル:(貴公ら、か……まるで、上流階級の者のような言葉遣いだな)
って、今のキュリオの台詞、口を押さえて、途中で止めるぞ!
エル:ガラディーンが狙われてる?!
ヴァル:「その剣の銘は、みだりに言うものではないぞ」
口を押さえつつ、キュリオに小声で言う。
キュリオ:「もごもご……」(コクコク)
カイン:「いややな、このケモノ子は、なに言ってるのかな。
それは、レプリカじゃないですか」
パール:「……それで、貴公らは、こんなところに何しに来た?」
エル:「いえ、理由あって、このオアシスに用がありましてね……」
リーラ:「お花を摘みに来たんです〜」
パール:「花摘みに? また、ノンキな話だな」
キュリオ:「呑気じゃないよ! アランの命がかかってるんだからっ!」
エル:「人の命が掛かっている……と言っても、そんなふざけた台詞が吐けますか?」
カイン:「あ〜、人それぞれ事情があんねん。
でなきゃ、わざわざ物騒なモンでる噂あるのに、こんな所けえへんて」
パール:「そうか、知らなかったこととは言え、すまない……謝罪しよう」
パールは、素直に深く頭を下げます。
でも、キュリオではなく、エルとカインにですけどね。
エル:「分かって頂ければ良いのです。
それと頭を下げるのは私にではなく、キュリオにして頂きたい。
命が掛かっているのは、彼女の想い人ですから」
キュリオ:ねえ、ボクって、パールさんには見覚え無いんだよね?
GM:はい、思い切り初対面ですよ。
キュリオ:その割には、凄く態度に差があるんたけど……、
パール:「……それで、どんな花を探しているんだ?」
エルの言葉は無視して、話を進めます。
キュリオ:……まあ、いいか。
これこれしかじかと、セントランの特徴を説明するよ。
GM:では、その話を聞いていた、隊商を率いる商人が……、
商人:「セントラン? 今の季節じゃ、ちょっと無理だろうなぁ。
フロルエルモスにでも行った方が早いと思うがね?
もっとも、今は、ここから動けないんだがな」
エル:「その台詞……以前にも、同じ事を言われましたよ。
ですが、ここで手に入る可能性があると言う話を聞きましてね」
ヴァル:「うむ、その事も聞いたが、このオアシスに、
もう一つ手掛かりがあってね、それで来た訳だが――」
カイン:「――この状況では、それもどうにもでけんけどな」
エル:「何にせよ、この状況を打破するのが、互いにとって重要な事ですね」
GM:あっ、言い忘れてましたが……、
この岩場は、オアシスに面しているので、精霊との接触は可能ですよ。
ヴァル:他人がいるのに、精霊と接触して良いものか……、
エル:「パールさん、少々伺いたいのですが……、
これまでに、グラボイズを何匹倒しました?」
パール:「そうだな……ここに逃げて来るまでと、
ここで、各個撃破したのを合わせても……、
20匹を超えたあたりで、数えるのを止めたが……」
ヴァル:「多い、な……それだけ倒しても、まだ包囲されているのか」
エル:「そうですか。かなりのものですね……敵の数も、貴女の技量も」
GM:とまあ、そんな話をしているとですね……、
水の精霊:「あ〜、やっと来たみたいね〜」
と、水に面した岩場のあたりに、水の精霊が現れ、皆さんに手を振っています。
カイン:「うわっ、なんか、ノリ軽っ!」
ヴァル:「よろしいのですかな? 大勢の前に出てこられて」
水の精霊:「大丈夫よ、あなた達以外に、姿ハ見せてないから。
まあ、そっちの女戦士さんは、見えてるみたいだけどね」
ヴァル:さり気なく、パール殿の様子を見てみるが?
GM:パールに驚いた様子は無いようです。
何故なら、彼女は『精霊認識LV3』を持っているから。(笑)
カイン:「なんか、精霊の事、見たことある感じやな、あの姉ちゃん」
エル:「驚いた様子が無い事から考えても……そのようですね」
ヴァル:「まぁ、騒いだり、こちらに関わって来ないなら問題は無いさ」
キュリオ:「えっと、精霊さん、アランの……、
仲間を助ける為に、セントランが必要なの。
あなたなら花の精霊王とも親しいから、何とかしてくれるだろうって聞いて……」
水の精霊:「仲間から話は聞いてるわ……、
でも、タダであげちゃ面白くないし〜……」
そうだ! これから、私が、あたな達に、
一人一問ずつ問題を出すから、それに三問正解できたら、
花の精霊王に頼んであげる♪」
一同:――はあ?!
―― PHASE-11 クイズ勝負っ! ――
キュリオ:え〜っと、クイズするの?
ヴァル:この状況で、何故に、クイズなんぞ……?
GM:実は、LQ世界の水の精霊は、クイズマニアなのです。
まあ、邪精霊『スフィンクース』みたいに、派手な真似はしませんが……、
ようするに、趣味というか、流行というか……、
エル:り、理由は分かりました……、
つまりは、こちらの願いを聞いて貰う為の試練、というわけですね。
カイン:砂漠横断ウルトラクイズやなっ!
温泉都市タカヤマ(入浴)に行きたいか〜っ!(笑)
キュリオ:罰ゲームは怖いけど、頑張るよ!
水の精霊:「じゃあ、クイズのルールの説明をするわね♪」
【クイズのルール】
・一人一問ずつ出題。パールを含めて、合計五問。
・五問中、三問正解でクリア。
・回答権があるのは、指定された回答者のみ。
・制限時間は、一問につき、一分間。
・回答者以外の者が、ヒントを出したら、即不正解。
これは、PCとしての発言だけではなく、PLとしての発言も含む。
・クイズ中に限り、PLの知識は、PCの知識と同じ扱いになる。
つまり、PLが知っている事なら、PCも知っている事になる。
GM:とまあ、ルールは以上です。
始める前に、何か質問はありますか?
カイン:ライフラインは無いんか?
リーラ:パールさん(NPC)の回答は誰がするんですか?
GM:ライフラインはありません。
パールに関しては、取り敢えず、ノーコメントです。
ヴァル:「了解した……つまり、自力で答えろ、ということだな」
エル:「分かりました。その挑戦、受けましょう。
パールさん、申し訳ありませんが、付き合って頂けませんか?
パール:「事情は分かった……微力ながら、協力しよう」
水の精霊:「う〜ん、どのジャンルにしようかな〜。
あらっ、そこのリュンクスさん、良い剣を持ってるのね?
それに、そっちの女戦士さんも……」
カイン:「はっ? ちょい待ちっ!
今、『こっちの姉ちゃんも』って言うた?」
まるで、二人の持っとる武器が、同系列のモンみたいな言い方やん?
水の精霊:「(無視して)「ふ〜ん、じゃあ……、
問題のジャンルは『アーサー王と円卓の騎士』にけって〜い♪」
カイン:「……まあ、ええわ。
この手の問題は得意やんな、ヴァルやんにエルやん?」
ヴァル:「私の専攻は魔術で歴史学ではないよ?」
エル:「私も神学及び天使学ですので……歴史はあまり……」
キュリオ:「一般技能で歴史学があるけど……、
凝った問題が出たら、苦しいかな……」
カイン:「頑張りや、みんなっ!」
一同:他力本願するなっ! お前もだっ!
水の精霊:「さて、クイズを始めるよ?
まずは、そこのリュンクスさんからね♪」
<第1問:キュリオへの問題>
アーサー王が岩から抜いた『王を選定する剣』。
さて、この剣を用意した魔術師の名前は?
キュリオ:「ガ、ガンダルフ……だったかな?」
水の精霊:「ブブ〜! 答えは『マーリン』で〜す」
エル:それは指輪物語です。灰色のガンダルフ。
キュリオ:しまったにゃ〜……、
水の精霊:「次は、聖戦士さん、頑張ってね」
<第2問:エルヴィンへの問題>
湖の騎士ランスロットが持つ剣の名前は?
エル:「ええっと……確か、アロンダイト、ですよね?」
水の精霊:「ぴんぽんぴんぽ〜ん♪ 正解で〜す!」
ヴァル:「やるね、エル君……」
エル:「ふぅ……剣に関しては、自分も使うので、よく勉強しましたので……」
水の精霊:「次は、おっぱいのおっきい人〜♪」
カイン:「オッパイのおっきい人〜?」(キョロキョロ)
ヴァル:「カイン……自覚もあるだろうに」(溜息)
カイン:「いや、空気を和らげようとやな……」
<第3問:カインへの問題>
アーサー王の象徴ともいえる聖剣エクスカリバー。
さて、アーサー王は、この剣を、誰から授かったでしょう?
カイン:「……うん、そんなこと知らなんでも生きていける」(遠い目)
水の精霊:「ぶぶ〜! 時間切れ〜!
答えは『湖の婦人ヴィヴィアン』で〜す」
エル:「カイン……」
水の精霊:「ん〜、ちょっと難しすぎたかな〜? 後が無いぞ〜?
次は、魔術師さん、頑張ってね♪
次の問題は、ちょっと難しいから、時間制限は、5分にしてあげる」
ヴァル:「難しい、のか……、
まあ、やるだけやってみるさ」
<第4問:ヴァルフェルトへの問題>
円卓に名を連ねる騎士の名前を、5人あげなさい。
ヴァル:「ランスロット、ガウェイン、
ガラハッド、フローレンス、ガヘリス……か?」
水の精霊:「ぴんぽんぴんぽん! 正解で〜す!」
エル:「流石ですね、ヴァルさん!
後は、トリスタンやパーシヴァルもそうですよ!」
GM:他かにも有名どころでは、
ポース、ダコネット、モードレッド、ですかね。
水の精霊:「じゃあ、最後は、女戦士さん……いくわよ?」
キュリオ:正解は2問、不正解も2問……、
パールさんに掛かってるにゃ〜。
――さて、GMは、ここで少し考える。
最後の一人であるパールは、NPCなので、正解するのは簡単である。
本来、NPCは、シナリオの成否に、
大きく関わるような場面で、役に立ってはいけないものだ。
この段階で、ノルマを達成出来ていない以上、
シナリオ失敗へと繋がるのは、プレイヤーの責任である。
とはいえ、問題が、少し難し過ぎたかもしれない。
それに、最後の問題の内容は……、
このシナリオにおいて、大きな意味を持つモノだし……、
ここは、プレイヤー達に、
ヒントを与える為にも、正解させる事にする。
<第5問:パールへの問題>
ガディム大戦後、聖杯探索の旅に出たのは、
ガヴェインと、もう一人は誰?
パール:「……精霊よ、分かっていて、言っているのか?」
水の精霊:「さあね〜……♪」
パール:「……パーシヴァルだ」
パールは、一瞬、迷った後に答えます。
水の精霊:「ぴんぽんぴんぽん〜ん、正解で〜す!
ノルマ達成、おめでと〜っ!!」
エル:「ふぅ……何とか、上手くいきましたね。感謝します、パールさん」
ヴァル:「助かったよ、パール君」
パール:「もう良いだろう? 失礼する。
隊商の責任者と、今後のことを話さねばならないからな」
と、パールは、スタスタと去っていきます。
カイン:「パーシヴァル……パール……ん〜?」
エル:「どうかしましたか、カイン?」
カイン:「いや、なんか、こう、引っ掛かるもんが……」
エル:「もしかして……いや、まさか……?」
キュリオ:「はう〜……」
知恵熱で、フラフラと、岩の下へ歩いていきそうになったり。
ヴァル:「カイン、それは考えても仕方の無い事だよ。
エル君もね……って、こらっ! 下は危ないだろう」(むんずっ)
水の精霊:「おめでとう! 約束通り、フローレ様にお願いしてあげるわ。
明日の朝、もう一度、ここに来てね。
きっと、セントランを持って来てあげるわ」
キュリオ:「あ、ありがと〜」(ふらふら)
カイン:「ん〜、出てけへんから、まあ、いいわ。
おおきにな、精霊の姉ちゃん」
エル:「ありがとうございます。それでは、お願いします」
ヴァル:「……よろしく頼む」
キュリオの首根っこを、猫掴みしつつ。
水の精霊:「じゃ〜ね〜♪」
精霊は、ひらひらと手を振って、水の中に消えていきます。
ヴァル:「さて……これで、花が手に入る当てはついたな。
もっとも、まだ問題は残っているのだが……」
エル:「ここから、脱出する方法……ですか?」
カイン:「花が手に入っても、
岩から一歩降りれば、イモ虫の大歓迎やしな」
キュリオ:「結界薬も、意味無かったしね〜」
ヴァル:「さて、どうしたものか……」
―― PHASE-12 パールの昔話 ――
GM:と、皆さんが悩んでいると、
パールと隊商責任者が、話し掛けてきます。
エル:「おや、パールさん。話はついたのですか?」
パール:「先程も話したが、今、我々は、
あのグラボイズに包囲され、ここから身動きが取れない。
私一人なら突破も可能だが、これだけの大所帯となると、私一人では守りきれない。
そこで、貴公らに、キャラバンの目的地である村までの護衛に協力して貰いたいのだ。
心配するな。貴公らに手間は取らせん。グラボイズの相手は、私がする。
貴公らは、キャラバンの者達に近付けないように、敵を牽制してくれるだけでいい」
カイン:「うわ、微妙に楽できそうな、しんどそうな」
エル:「……それは、今すぐ出発するのですか?」
ヴァル:「魅力的な案ではあるが……、
こちらにも期日があってね。
それは、往復で、どのくらい掛かるのかな?」
商人:「トレマの村までは、ここから3日だ。出発は、明朝にする」
地位関係を整理しますと、このオアシスが、砂漠の、ほぼ真ん中にあるとして、
西に2日進めばタイプムーン、東に3日進めばトレマです。
つまり、ここからトレマまでで3日、トレマからタイプムーンまでで5日、
街に戻るまで、合計8日間かかるわけです。
カイン:「明日の朝なら、花は貰えそうやな。
ただ、冷房薬と結界薬が、ちょい微妙や」
エル:「トレマの村で買えれば良いのですが……」
商人:「薬の方は、こっちで負担しよう。
タイプムーンに戻るっていうなら、その分も、こちらで用意する」
エル:「交渉成立、ですね。
私は、この話、受けようと思うのですが……皆さんは、どうします?」
キュリオ:「異存はないよ、急がば回れ」
カイン:「どっちにしろ、あれを何とかするには、ウチらだけじゃ足りひんしな」
ヴァル:「我々だけでの突破も無理そうだしね、異存は無いよ」
エル:「では、決まりですね。その話、お受けいたしましょう」
パール:「いや、結論を出す前に、もう一つ、こちらの話を聞いて欲しい。
心得ていて欲しいのだが……敵は、グラボイズだけではないかもしれんのだ」
ヴァル: 「ふむ……その根拠は?」
商人:「ここからは、俺が話そう……、
グラボイズだが、あれは、いわゆる成虫でな……、
もしかしたら、その幼虫『シュリーカー』も出てくる可能性がある。
そして、その幼虫の進化体の『アスブラスター』もな」
もっとも、それも、伝承が確かなら、だが……、
ここまでくると、もう、伝承は事実だったとしか考えられん」
カイン:「……うわ〜、嫌な感じがプンプンと」
エル:「いずれにせよ、厄介である事に変わりは無い……と言う事ですね?」
キュリオ:「めんどうな虫だなぁ……」
ヴァル:「成虫よりも幼虫の方が厄介なのか?」
商人:「成虫は、地面から襲ってくる。
そして、シュリーカーは、ノミように素早く飛び回り、
アスブラスターは、空を飛ぶそうだ」
ヴァル:「地中に地上に空、か……確かに、厄介だ」
エル:「空を飛ぶ奴が面倒ですね。
上からの攻撃は、対処が難しいですし……」
パール:「だが、何より怖いのは、その数だ……、
成虫一匹で数匹の幼虫が生まれるらしい。
おそらく、奴らは群れをなしてくるだろう」
エル:「人海戦術に、立体的攻撃ですか……最悪の相手ですね」
パール:「それでも、引き受けてくれるか?
貴公らだけなら、逃げ切るくらいなら出来る可能性も上がるぞ?」
商人:「それに、報酬もあまり出せない。
せいぜい、全員で1000Gがやっとだ」
カイン:「――で、断る人は手〜上げて」
キュリオ:「追っ払うだけなら、何とかなる……とは思いたいな」
エル:「二柱の女神に仕える戦士として、女性である貴女一人に任せて、
自分だけ逃げる事などできません。私の答えは一つです。引き受けましょう!」
ヴァル:「そこで上げる手は持たない、な」
リーラ:「もちろん、ますた〜に従いますぅ♪」
カイン:「まあ、薬も用意してくれる言うし、
このまま、放ったらかして行くのは、後味悪いわな」
商人:「じゃあ、交渉成立だ……頼りにしてるぜ」
パール:「では、出発は明朝だ……、
万が一に備え、夜間は交代で見張りをしようと思う。
一同、それで良いか?」
キュリオ:「異存は無いよ」
エル:「相手が地中にいる魔物だけじゃない可能性がある以上、
この岩の上なら安全、という保障はありませんからね」
GM:では、今後の方針も決まったところで、夜になります。
皆、一人ずつ、見張りを交代して、時間は過ぎていくわけですが……、
カイン:お? ケモノっ子に関わりそうな場面か?
GM:ご明察です。見張りは、キュリオの番になり、
しばらくすると、パールが姿を見せます。
彼女は、無言で歩み寄り、焚き火を間に挟んだ、
キュリオの正面に座ります。
キュリオ:「あの……何か御用?」
パール:「…………」
キュリオの問いに答えず、パールをあなたを……、
いえ、正確には、あなたの傍らにある剣を、ジッと見つめています。
キュリオ:「えっと、パールさんは、ガラ――この剣のこと、知ってたの?」
ヴァル:うむうむ、みだりに言うな、という忠告は覚えていたようだ。(笑)
パール:「……何のことだ?」
そう言って、はぐらかしつつ、
パールは、持っていた水筒に口をつけ、飲みます。
で、それをキュリオに差し出すと……、
「――飲むか?」
キュリオ:「うん……」
水筒を受け取って、一口飲むよ。
GM:中身はミルクです。
あっ、別に毒とかは入ってないので、ご安心を。
キュリオ:「アランもね……ミルク、好きなんだ」(水筒を返しつつ)
パール:「――アラン? 彼らの他にも、仲間がいるのか?
彼らとは……もう長いのか?」
キュリオ:「う〜ん、まだ、そんなに長い付き合いじゃないけど……」
パール:「私にも、多くの仲間がいた……、
その中には、私に剣を教えてくれた、兄のように慕っていた者がいた。
変わり者でな、30歳にもなって、まるで酒が飲めなくて、
宴の時は、いつもミルクばかり飲んで、他の仲間にからかわれていたよ。
尤も、本人は気にしていなかったが……」
キュリオ:なんか、アランみたい……、
パール:「昔の私は泣き虫でな……そんな私を慰めてくれたのは、いつも彼だった。
と言っても、不器用な人だったから、
抱きしめてもくれず、頭を撫でてもくれず……、
ただ、傍に居て、私が泣き止むのを待っているだけ……、
そして、私が泣き止むと、彼は、決まって、こう言うんだ。
『ミルクでも飲むか?』と……おかしな話しだろう?
そんな彼のせいで、私まで、こうして(ゴクゴク)ミルクを、
好んで飲むようになってしまった。
そうそう、彼は、方向音痴でな、城の中ですら、迷子になっていた。
そんな彼を探して、連れて行くのは、いつも、私の役目だった」
と、パールは、懐かしむように、話し続けます。
キュリオ:「ホントに、アランにそっくり……」
パール:「そうか、同じか……偶然というのは怖いな」
キュリオ:「……その人、何て名前だったの?」
――おっと?
いきなり、キーワードを口にしたな。
パールには、もう少し語らせて……、
場合によっては、急展開も在り得たのだが……、
ちょっと、唐突になるけど――
まあ、仕方ないので、予定通り――
パール:「……失礼する」
キュリオが『彼』の名を訊いた途端、
パールは、我に返るように、無表情になると、立ち去ってしまいます。
では、キュリオ、ここで、エージェント判定してください。
キュリオ:(ころころ)12だよ。
GM:じゃあ、一瞬、もの凄い怖い目で、
睨まれたことだけ、気が付いて良いです。
キュリオ:「……寒いから、風邪、引かないようにね?」
ボク、何か気に触ることしたかな?
パール:「……お前もな」
キュリオ:「…………」
アランは19歳で、パールさんが言ってた人は30歳……、
歳が全然違うもん……それに、年代も……、
きっと……偶然だよ、ね?
GM:とまあ、そんな事もありましたが、
あとは、何事も無く、夜が明けます。
で、皆さんが、出発の準備をしていますと……、
水の精霊:「やっほ〜♪ ごめんね〜、待った?」
まるで、デートの待ち合わせ場所に来たみたいに、精霊が現れます。
エル:「……いえ、今、来たところですよ」
慣れないながらも、精霊に合わせてみます。
カイン:「いや、ほんまに軽いな、この姉ちゃん」
水の精霊:「約束通り、フローレ様(花の精霊王)から、貰ってきたよ」
と、水の精霊はキュリオに、セントランを渡します。
キュリオ:「わ、ホントに……ありがとう……!」
エル:「良かったですね、キュリオ。
後は、これを無事に持って帰るだけですね」
キュリオ:「――うん!」
水の精霊:「あと、これは、花の精霊王フローレ様からの伝言……、
『このお花を、何に使うつもりなのかは、分かります。
ただ、決して忘れないで……、
このお花は、貴女の大切な人の為に……、
貴女の為に、その命を与えてくれた、ということを……』だって。
本当は、直接、伝えたかったんだろうけど、
フローレ様、今は、あそこから離れられないから……」
キュリオ:「うん……必ず、与えてくれた命に恥じることなく繋げていきます。
って、次に会った時にでも、伝えてくれると嬉しいかな」
水の精霊:「ふふ、伝えておくわね……じゃあ、頑張ってね、リュンクスさん」
そう言って、水の精霊は、オアシスへと消えていきます。
パール:「……準備は整ったか?」
キュリオ:「うん、OK!」
ヴァル:「いや、待て……まだ、リーラが起きてない」
リーラ:「ますた〜、ねじねじしてぇ〜……ZZZ」(←まだ寝てる)
ヴァル:「ねじねじ……って、なんだ?」
カイン:「肉をつまんで、ぎゅっと回転させんねやら」
ヴァル:「――こうかね?」
カインのほっぺたを摘まんで、ぎゅいっと。(笑)
カイン:「そうそう、ねじりねじり……って、痛いわ〜っ!」(笑)
ヴァル:「……とまあ、一人、寝ぼすけがいるが、大丈夫だ」
カイン:「誰かのせいで、頬っぺたが痛いけど、それ以外は問題なしやで」
GM:じゃあ、パールを加え、
キャラバン隊を率いて、砂漠の東へと出発します。
―― PHASE-13 包囲網を突破せよ ――
GM:さて、皆さんが出発して、
しばらくすると、地中から、振動が響き、
複数の嫌な気配が、皆さんと、キャラバン隊に近付いてくるのを感じます。
カイン:早速、歓迎してくれるみたいやな」
エル:「どうやら、お出迎えが来たようですね」
GM:と、皆さんか警戒する中、
突然、ガバッと地面を突き破り、5匹のグラボイズが現れます。
パール:「貴公らは、隊商を守れっ! 私が討つ!」
GM:当初の作戦通り、すぐさま、パールが迎え撃ちます。
彼女が両手で持った戦輪を、円を描くように動かし、構えると、
まるで、手品のように、戦輪が左右5個ずつ、合計10個に分裂します。
そして……、
パール:「――散っ!!」
10個の戦輪が同時に投擲され、
それぞれが別の軌道を描き、
瞬時に、1匹のグラボイズを切り刻みます。
さらに、パールは、投げた10個の戦輪を、
空中で、受け止めては投げ、受け止めては投げ……、
と、まるで舞うように闘っています。
カイン:「は〜、さすがやね〜」
エル:「技もさる事ながら、あの戦輪も凄いな……、
おそらく、宝具クラスの武器でしょうか?」
ヴァル:「しかし、昨日の魔力波では無いのだな?」
GM:はいはい、ノンキに観戦してる場合じゃないですよ。
パールの攻撃を、何とか掻い潜った、
1匹のグラボイズが、皆さんに襲い掛かってきます。
エル:「――来ましたよ!」
両手でクレイモアを構えます。
キュリオ:「負けてらんない、かな?」
二刀流で構える。
カイン:「さて、お仕事、お仕事」
ヴァル:「リーラ、取り敢えず、今は隠れていなさい。
あの力は、人前で使うものじゃないからね」
GM:では、ここから戦闘ターンです。
隊列は、いつも通り、前衛がエルとキュリオ、後衛がカインとヴァルですね。
まずは、イニシアティブ判定を(ころころ)13です。
ヴァル:高速思考展開(ころころ)12だから、そちらの先攻だ。
――しまった。
グラボイズ(以後:芋虫)は、
その性質上、先攻になると不利なのです。
何故なら、芋虫は、普段は地中に、
身を隠しており、攻撃する時だけ、地上に姿を現すのです。
つまり、先に攻撃してしまうと、
地中にいる、という、アドバンテージを、自ら捨てる事になるわけで……、
GM:しまった、作戦をミスった……、
まあ、いいや。第1ターン、先攻はグラボイズ……、
芋虫は地中に潜り、皆さんの足元から、突然、現れて攻撃します。
真下から、という変則的な攻撃なので、そちらの回避を−2とします。
ターゲットは、後衛のヴァルです。
エル:なっ!? それって隊列無視なんですか?
キュリオ:地面を潜って来るんだから、隊列なんて関係ないにゃ!
GM:足元から飛び出てきて、大きな口で襲い掛かります。
ようするに、パックンフラワーだと思えば分かり易いかと。
(ころころ)14といって命中です。
カイン:それは分かり易い例えやな。
ヴァル:分かり易くても、隊列無視は脅威だ!
なにせ、私は、物理攻撃に対する回避は平目(2d6のみ)なんだぞ!
達成値12を越えられた時点で、クリティカル以外、よけられんっ!
ここは、シルフィードを展開っ!
(ころころ)クリティカルして(ころころ)ダメージを26点軽減だ!
GM:真下から迫る芋虫の牙を、ヴァルが展開した球型の風のシールドが防ぎます。
シールドごと芋虫に咥えられたヴァルは、
芋虫が地面から飛び出た勢いで、空中に持ち上げられます。
芋虫は、その防御を破ろうと、強引に、シールドに牙を立てます。
グラボイズの攻撃は2d6+18(ころころ)26点。
ちっ、シールドで、ダメージは相殺されたか。
ヴァル:「やばい……結界に掛かる力が尋常ではないぞ」
というか、攻撃修正18って何だっ!!
GM:ヴァルとリーラが合体する事も考慮に入れて、データ作成してますからね。
そのくらいじゃないと、相手にならないんですよ。
エル:「何というパワー……直撃でも食らえば、私でも危ないですね
GM:というわけで、そちらのターンです。
ちなみに、芋虫は、攻撃した後は、地表に姿を見せたままになります。
カイン:まずはウチやなっ!
魔銃の二丁持ちで攻撃(ころころ)クリティカルで命中!
GM:芋虫の回避は2d6+2(ころころ)6だから、回避失敗。
エル:回避修正値は2……、
やはり、デカイだけに、避ける動きは鈍重ですか。
カイン:「これでも喰らい!」
ピュアストーンと魔銃で(ころころ)25点っ!
GM:防御は(ころころ)12点防いで、13点のダメージです。
魔銃の弾丸が、イイ感じに、芋虫にメリ込んだ、ってところですね。
芋虫は「グエエエエーーーッ!!」と体を振って、のたうっています。
キュリオ:次はボクの番だねっ!
二刀流で攻撃(ころころ)13で命中!
GM:(ころころ)ダメ、避けられない。
キュリオ:ダメージは(ころころ)やった、クリティカル!
さらに(ころころ)合計ダメージ33点っ!
二刀流で、敵の胴体を駆け上がりながら乱打して、最後に頭を回し蹴りっ!
GM:なんか、さっきから、クリティカルばっかり!
(ころころ)ぎゃぁぁぁ〜っ! 18点も抜けた〜っ!
キュリオ:クルクルッと宙返りして、スタッと着地!
ああっ、この勇姿っ! アランにも見せたかったにゃっ!
エル:「ううむ、やはりキュリオの剣の本質は、素早さを活かした手数にあったのですね」
ヴァル:「速の剣、と言うことかね?」
エル:「そう言う事ですね」
さて、次はヴァルさんの番ですよ。
ヴァル:倒しきれなかったら怖いし……、
防御用に必殺技のルドラ1Lvを詠唱しておこう。
これは、シルフィードにも併用できるからね。
エル:では、最後は私ですね。
両手持ちを宣言し、クレイモアで攻撃!
(ころころ)15といって命中です!
GM:皆、出目が良過ぎません?
(ころころ)うわ〜ん、回避失敗……弱すぎたかな?
エル:「キュリオが速なら、私は剛! 一太刀に斬り裂いてみせましょう!」
(ころころ)攻撃は19点ですっ!
GM:防御で(ころころ)15点防いで、4点のダメージです。
ふう〜、ギリギリ生き残ってる。
エル:くっ、倒しきれませんでしたか。
GM:では、第2ターンです。
芋虫は、カインに通常攻撃します。
(ころころ)15といって命中。
カイン:(ころころ)ん、避けれるわけない。
GM:ダメージは(ころころ)28点ですが?
ヴァル:ルドラ効果追加でシルフィード発動!
Lv1だから、1d6をプラスして、
4d6+9(ころころ)クリティカル!(ころころ)35点防御っ!
カインに襲い来る芋虫の攻撃を、風の障壁が止めたぞ。
GM:だあっ! 防がれたっ!
ルドラからのシルフィードは強力すぎだっ!
ある意味、リーラよりも厄介だぞっ!!
ルドラ効果によるダイスの追加……、
まさか、その効果を、
シルフィードに持ってくるとは思わなかった。
最低でも、25点位のダメージじゃないと、
このPTには、ダメージを与えられないことに……、
今回は、このターンで終わったけれど……、
他人を庇ったから『対抗行動』になる訳だし……、
いや、むしろ、対抗行動をさせるべきなのか?
そうすれば、ヴァルは、
次のターンは、行動が出来なくなるわけで……、
ぶつぶつぶつぶつ……、(思案中)
カイン:となると、ウチは防御の必要無し?
GM:そうなりますね……、
ちくしょう、いつか、それ、封印してやる。
カイン:いつの日か、パリーンと割れる時がくるで。(笑)
キュリオ:バリアーは割れてこそにゃ。(笑)
ヴァル:私の風の障壁は光○力研究所のバリアーかね?
カイン:それはともかく、次は、ウチらのターンや!
これでキメるで! 二丁持ちで攻撃!
(ころころ)命中は13!
GM:(ころころ)芋虫の回避は失敗です。
カイン:「これでトドメや!」
(ころころ)ダメージは21点っ!
GM:(ころころ)12点防いだけど……、
ダメです。その一撃で、グラボイズは、ズズ〜ンと倒れました。
エル:女性陣のサイの目が爆発してますね。
リーラ:というか、GMの出目が腐ってるんですぅ。
GM:GMやってても、PCやってても、出目の悪さは健在です。(泣)
モンスターLV10の敵が、こんなにアッサリと……、
ヴァル:「うむ、終わった……のかな?」
一応、他にもいないか、周囲を見回してみよう。
エル:「ヴァルさんのお陰で、大分、楽に倒せましたね」
ヴァル:「通常時、私は防御に回った方が良いのかもしれないね」
ヴァルの言う通りかも……、
単純な火力なら、カインが補ってるし――
キュリオは、命中も火力も、バランス良いし―ー
防御修正が高い相手には、エルの突貫攻撃があるし――
リーラが存在している事で、
ヴァルが、突出してるようにも見えるけど……、
第2PTって、何気にバランス取れたPTなんだな〜。
しかも、シルフィードの防御は、かなり厄介だし……、
まあ、無効化する方法は、すでに考えてあるんですけどね。
GM:皆さんが、1匹のグラボイズを倒すと同時に、
パールの方の戦闘も終ったようです。
彼女の後ろには、三体のグラボイズの亡骸があります。
ですが、すぐさま、4体のグラボイズが現れ、襲い掛かってきます。
エル:連戦ですかっ!?
GM:しかも、相手はグラボイズだけではないですよ?
ヴァルは周囲を見回してたんですよね?
じゃあ、遥か前方に、大きな砂煙が立ち昇っているのが見えます。
そして、それは、どんどん、皆さんの方へと近付いて来ています。
商人A:「シュリーカーだっ! アスブラスターまでいるぞ!?」
商人B:「ちくしょう、やっぱり出やがった……!?」
GM:商人達が叫んでいる通り、砂煙の正体は、新手の群れです。
バッタに似た空を飛ぶ黒い魔物(アスブラスター)が3匹と、
ノミに似た人の腰までの大きさの魔物(シュリーカー)が20匹です。
ちなみに、バッタはスタンドアロンで、ノミはモブ扱いになります。
キュリオ:「い〜加減しつこいっ!!」
エル:「くっ、これだけの数、捌き切れるか!?」
パール:「大きいのは私が引き受ける! 貴公らは雑魚を片付けろっ!」
そう言って、パールは、4体の芋虫に斬り掛かります。
ヴァル:「了解した、そちらは頼む!」
つまり、我々は、バッタとノミだけ相手にすれば良いわけだね。
エル:「――心得ました!」
キュリオ:「こ〜なっちゃったら、やるしかないよっ!」
GM:敵の援軍ですが、まだ、少し離れているので、
各人、1回だけ攻撃がでます。ただし、遠距離攻撃だけです。
ヴァル:接敵される前に、少しでも数を減らしたいところだね。
あれだけの数の接近を許したら、キャラバン隊にも被害が出るかもしれん。
カイン:「ふっふっふっ、こ〜ゆ〜時は……」
爆裂弾を大遠投っ! ノミの群れを、派手にフッ飛ばしたる!
(ころころ)うっ、命中は8……ウチ、物理命中は苦手やねん。
GM:(ころころ)うん、回避しましたね。
カイン:避けられた、と言うか……不発弾?
エル:「カイン、また、不良品ですか?」
ヴァル:次は私だ。範囲アレンジして、ノミにザンを放つぞ。
(ころころ)11で命中だ。
GM:(ころころ)回避は9なので、命中です。
ヴァル:ダメージは(ころころ)低いな、16点だ。
GM:抗魔判定(ころころ)6点防いで、10点抜けました。
ヴァルの風の魔術が、ノミの群れの一角を削りますが、まだまだ健在です。
ヴァル:ちっ、もう少し出目が振るえば……、
二人に続いて、エルとキュリオは、
護符で攻撃しますが、回避されてしまいます。
そして、ここから、改めて、戦闘ターンに入り……、
冒険者達は、今日は出目が良い、
カインに、イニシアティブを任せることにします。
ですが、ここで……、
元ふぁんぶら〜ズは、やってくれました。
カイン:(ころころ)あっ、1ゾロ。(爆)
GM:よしっ、来たぞっ!(笑)
さあ、ファンブル表を振りたまえっ!
カイン:(ころころ)『9:仲間に被害が及ぼされる/大迷惑をかける』。
GM:じゃあ、カインが、さっき投げた爆弾ですけど……、
あれが、不発弾だったと言うなら、砂漠を描けるノミの足に、
それが偶然に当たって、コ〜ンと蹴り返されてきました。
キュリオ:「ぎにゃぁぁぁ〜〜〜っ!?」
エル:「カ〜イ〜ン〜ッ!!」
カイン:「ふ、ふぁんぶら〜ズ、万歳〜っ!!」
GM:まあ、さすがに、4d6は厳しいと思うので、
爆弾は皆さんの手前に落ちて、爆発しました。
ダメージは2d6です。ただし、予想外の展開なので、防御は防具点のみ。
エル:(ころころ)良かった、防具で防げました。
カイン:(ころころ)同じくや〜。
キュリオ:(ころころ)6点抜けた〜。
ヴァル:(ころころ)おや、1ゾロ?(爆)
エル:またですかっ!?
カイン:伝染したっ!?
キュリオ:初のファンブルコンボにゃっ!
ヴァル:(ころころ)効果は『8:自分に被害が及ぼされる』。
GM:じゃあ、誤爆のタメージに+1d6ですね。
ヴァル:3d6は痛いな〜(ころころ)7点くらった。
カイン:ところで、この場合、皆でアフロ頭?
もちろん、ウチは「ぷはっ」って、白い粉吐くで。(笑)
GM:いいねっ、それっ!!(笑)
カイン以外:それは嫌だ〜っ!!
キュリオ:まあ、次のコマ(?)になったら戻ってるにゃ。
GM:では、カインのイニシアティブ判定がファンブルだったので、
こちらからの攻撃です。まずは、バッタAの攻撃!
体内ガスを噴出して、エルに突進っ!
命中判定2d6+10(ころころ)19!
エル:何ですか、その命中修正値!
(ころころ)避けられるわけない!
GM:攻撃は2d6+15(ころころ)19点のダメージ!
ただし、HPは−5点。
カイン:身を削って攻撃しとるんか?
それなら、この威力も頷けるわな。
エル:防御(ころころ)16点を防御!
さらに、身体強化の効果で−2だから、1点だけ抜けましたね。
GM:ちっ、さすがに硬いな。
こっちの方が被害が大きいじゃないか。
では、次は、バッタBの攻撃っ! もう一回、エルに突貫っ!
(ころころ)出目が低いよっ! さっきから、期待値すら出ない!
達成値14と言って命中! こっちはHP−5!
ヴァ:出目は悪くても、その分、修正値が高いがな。
GM:うん、さっきから修正値だけで闘ってる気がするの。
(ころころ)あっ、ダメージは21点ね。
エル:回避が無理っぽいからって、先にダメージ振らないでくださいよ〜。
(ころころ)回避は失敗です。
防御(ころころ)13点軽減の、身体強化で−2だから、6点抜けです。
GM:続いて、バッタCの攻撃!
エルは硬いから、今度はキュリオに突貫っ!
エル:まずいっ!? キュリオの装甲は紙同然です!
GM:(ころころ)命中は20ね♪
キュリオ:修正だけで6も差があったら絶望的にゃ。
(ころころ)ほら、回避失敗。
ヴァル:基本が2d6のゲームじゃ、
修正で3の差があれば、ほとんど勝ち目は無いからな。
GM:命削ってるんだから、命中くらいは確実にしても良いでしょ?
(ころころ)ダメージは22点です。
キュリオ:(ころころ)いたた、10点も抜けたにゃ。
カイン:皆、ファンブらんな〜……、
こりゃ、今回のお笑い大将は頂きやね。(笑)
リーラ:強制ギャグLVUPするだけですぅ♪
カイン:ええもん、初めてやし。
GM:初めてでも、優しくしないよ、ボクは。
キュリオ:優しくないけど、
出目で実力を出し切れないGMだよね。
GM:……次は、ノミが攻撃しますよ。
モブだから、全体攻撃扱いです。
(ころころ)出目4で、命中は7……、
カイン:口ではそう言っても、ほら、優しい。(笑)
ヴァル:これは、シルフィードで防ごう。
アレンジして範囲拡大(ころころ)16点の結界だ。
GM:(ころころ)ダメージは15点……防がれた。
エル:「助かりました、ヴァルさん!」
カイン:「おおきにな」
ヴァル:「先に、シュリーカーから片付けてくれると嬉しいんだがね」
カイン:おっけ〜、任しとき! 次は、ウチらの番やっ!
ヴァルやんが大変そうなんで、ここで一発、凄いのいくでっ!
ノミの群れに爆裂弾や!(ころころ)命中は9!
GM:(ころころ)回避成功。また、不発ですね。
カイン:うそや〜っ! 出目で11出すなんて、GMやあらへん!
エル:というか、カイン!
マハマグナを撃つ、という発想は無いのですか!?
カイン:あっ……ははは……、
そういうば、そういうモンもあったな〜。
ヴァ:まあ、別名『爆裂天女』だしね〜……、
エル:……爆殺魔女の間違いでは?
キュリオ:フルアーマー・カインにゃ。
ヴァル:共通認識は、爆弾魔か……、
GM:ふっ、当たらなければ、どうという事はない。
キュリオ:じゃあ、ボクは、全体攻撃の手段が無いから、
二刀流でバッタAに攻撃っ!(ころころ)16で命中!
GM:(ころころ)回避失敗。ダメージよろしく。
キュリオ:(ころころ)ダメージは20点〜!
GM:(ころころ)7点抜けたか……
バッタAは、そろそろやばいかな〜。
ヴァル:次は私だが……ノミを倒せるなら倒したい。
しかし、防御を考えると、MPが……、
ええいっ! こうなったら賭けに出る!
威力&範囲アレンジで風魔術ザン発動っ!
さらに、命中判定にブースト!
3d6+4で(ころころ)出目が1、1、4……低いっ!?
命中達成値は10だっ!
GM:避けたい、それは避けたい(ころころ)失敗。(ガクッ)
ヴァル:「賭けは……好きでは無いのだがね」
攻撃判定4d6+9(ころころ)出目が20! でかいぞっ!
さらに、クリティカルを追加して(ころころ)合計36点ダメージ!
GM:ぐはっ! まさか、そんなに……、
(ころころ)抗魔判定は7だから、29点抜け……、
ヴァルの風の魔術によって、シュリーカーの大軍は、一気に殲滅されました。
エル:「やりましたね、ヴァルさん! お見事です!」
ヴァル:「しかし、敵は、まだ3匹も残っている、気は抜けないぞ」
ヴァルの大技で、シュリーカーを撃破――
それに続こうと、エルは、
アスブラスターAを攻撃しますが、回避されてしまいます。
そして、次のターンになり、
アスブラスター3体の攻撃となるわけですが……、
実は、モブがやられた時点で、GMの負けは、ほぼ決定しました。
何故なら、バッタは、
HPを消費する突貫攻撃しか出来ないから。
それを補う為のモブであり……、
また、このターンで、モブが生き残っていれば、
残りHPから1d6を引いた数だけ、ノミをバッタへと進化させ……、
さらに、進化し切れなかったノミには、キャラバン隊を襲わせるつもりでした。
そうなると、キャラバン隊を守る為に、
PTは、割り込み行動をする必要が出てくるわけで……、
つまり、最終的には、キャラバン隊を防衛するPTに、
バッタの群れによる、連続突貫攻撃をする予定だったのです。
しかし、ノミが全滅した時点で、GMが用意した戦略は破綻……、
……時計を見れば、すでに夜中の2時を過ぎている。
そろそろ時間も限界だろうし……、
ぶっちゃけ、これ以上の戦闘は時間の無駄か……、
そう悟ったGMは、
潔く、戦闘を切り上げることにします。
GM:では、エルの攻撃も失敗し、
こちらのターンになるわけですが……、
3匹のバッタが、皆に襲い掛かろうとした瞬間、
皆の後方から飛んだ三つの戦輪が、バッタを両断します。
エル:「この戦輪は……まさか!?」
慌てて後ろを振り返ります。
ヴァル:「パール君、か……」
パール:「ご苦労だった。無事、敵は殲滅できたようだ」
と言う彼女の後ろには、倒された4匹の芋虫がいます。
ちなみに、それだけの戦闘をしながらも、息一つ乱していません。
エル:「済みません。貴女の手を煩わせてしまって……」
カイン:「ウチらは、見事な囮やったな〜」
キュリオ:「ふにゃ〜……」
ヴァル:「我々も精進せねば、と言うことだな」
パール:「そんなことはない。
貴公らのおかげで、キャラバンは無傷だ。私一人では無理だった」
エル:「……そう言って頂けると、気持ちも楽になります」
パール:「さあ、増援がいつ来るかもしれん……先を急ごう」
キュリオ:「――うんっ」
女戦士パールと協力し――
グラボイズを撃破した冒険者達――
あとは、キャラバン隊を村へと送り、
精霊水とセントランを持って、タイプムーンに戻るだけ……、
しかし、パールの行動……、
そして、彼女の言葉が、妙に気になる。
――彼女は、一体、何者なのだろうか?
<後編に続く>
<戻る>
注釈1:リプレイの様子と内容を、分かり易くする為に、かなり加筆・修正・脚色をしています。
注釈2:今回の内容は、あくまでもテストプレイです。
その為、今後、ルールが改訂される場合があります。