リーラ:「3! 2! 1! ドカーン! わ〜い♪(←スクール水着着用)
お〜い、みんな〜、集まれ〜♪
リーラことエルトゥリラの、前回のあらすじ紙芝居の始まりだよ〜♪
今日の物語は、もちろん! コミパでの販売計画も、着々と進んでいる、
大好評の『愛戦士ヴァル&リーラ』の続編です!
それでは、第二話「愛の奇跡はレモンの味?」の始まり始まり〜♪
リーラとの運命の出会いを果たしたヴァルフェルと、その仲間達は、
タイプムーンに向かう途中、巨大蟻の大群と闘っている村をみつけました。
村長に依頼され、ヴァルフェルト達は、巨大蟻の巣へと奇襲をかけます。
群がる雑魚どもを蹴散らし、ついに、女王蟻との対決!
ヴァル「いくぞ、リーラ! 愛情合体だっ!」
リーラ「はい! マスター!」
ですが、さすがは、女王蟻! ヴァルフェルト達は苦戦を強いられます。
それでも、彼等は諦めません! 愛と勇気と希望を胸に、敵に立ち向かいます。
そして、ついに、ヴァルフェルトの捨て身の一撃が、女王蟻を倒しました。
しかし、力を使い果たしたヴァルフェルトは、意識を失ってしまいます。
ああ、なんということでしょう!
このままでは、愛するリーラを残し、ヴァルフェルトは死んでしまいます!
リーラ「お願い、マスター……目を覚まして」
涙を流しながら、リーラはヴァルフェルトに口付けます!
すると、まさに、愛の奇跡!
ヴァルフェルトは、リーラの愛の力で、目を覚ましたのです!
ヴァル「ありがとう、リーラ……愛してるよ」
リーラ「ああ……マスター♪」
ヴァル「リーラ、可愛いリーラ……今夜は、一緒に寝ようか?」
リーラ「は、はい……可愛がってくださいね♪」(ポッ☆)
その夜、愛し合う二人は、身も心も結ばれました。
こうして、村は、巨大蟻の恐怖から解放され、
村を救った英雄と、愛の奇跡の伝説は、永遠に、語り継がれたそうです。
――めでたし、めでたし♪
次回予告! 『愛戦士ヴァル&リーラ』第三話「ちっちゃな胸じゃダメ?」をお楽しみに〜♪
シナリオ:リーラ イラスト:アラン
ご清聴ありがとうございました〜♪」
カイン:え? あらすじ、もう連ドラ化?
エル:『注意:この話には一部捏造が混じっています』
キュリオ:すでに、何処からツッコんで良いモノやら……、
ヴァル:なあ、GM……、
この紙芝居、定番化するつもりか?
GM:そのつもりだが……何か?
ヴァル:…………。(泣)
『Leaf Quest
TRPG』テストセッション・リプレイ
ばかっぷら〜ズ冒険譚 4
『日輪と赤月の騎士』 前編
―― PHASE-01 宝石魔術師 ――
GM:さて、リーラの愉快な紙芝居を見つつ、
皆さんは、魔術都市タイプムーンへとやって来ました。
魔術師ギルドの総本山の時計塔を中心に、
街そのものが大きな魔方陣という、まさに魔術の街です。
エル:「タイプムーン……、
確か、ここにアランの記憶の手掛かりがある筈ですよね?」
カイン:「てか、エルの兄ちゃん、
教会の人間やのに、ここおって、ええんかいな?」
エル:「問題は無い筈です。ここには、教会の総本山もありますし……、
そもそも、魔術協会と聖堂教会は、
別に、積極的に敵対しているわけではありません。
基本的には、お互い不干渉……、
場合によっては、共闘することもあります。
まあ、思想の違いから、対立することも、しばしば、ですが……」
カイン:「まあ、それやったら大丈夫か」
アラン:「で、ヴァル……宝石魔術師というのは、何処にいるんだ?
この街にいる、と言っていたよな?」
ヴァル:「この街に居るのは確かな筈だが……、
ちょうど良いので、魔術師ギルドに顔を出して、紹介状でも書いてもらおう」
魔術師は、基本は排他的なので、一見さんお断りが多いのだ。
GM:では、街の中心に位置する時計塔に移動します。
ちなみに、魔術師以外は、基本的に立ち入り禁止です。
皆で行くなら、何か問題が起こったら、全てヴァルの責任となりますよ。
カイン:そやったら、ウチは、魔術具とか、掘り出し物でも探しに行っとるわ。
エル:私は、教会に顔を出しておきましょう。
ヴァル:では、時計塔に行くのは、
私とリーラの他には、アランとキュリオだけだな。
GM:では、ヴァル達が時計塔に行くと、受付嬢が対応してくれます。
受付嬢:「ようこそ、魔術師ギルドへ……どのようなご用件でしょうか?」
ヴァル:「私はリーフ島に居を構える風術師のグローヴァール家より参った、
ヴァルフェルト=グローヴァールと言うものです。
グローヴァール家の継ぐ者の世界めぐりはこちらにも伝わっている筈ですが……」
と言って、マントの裏の紋章を見せよう。
受付嬢:「ああ、あの『天気屋魔術師』の家系の方ですね……それで、ご用件は?」
ヴァル:「継ぐ者としての顔繋ぎと……、
後は、宝石魔術師に顔の効く人はいらっしゃいませんか?
少し宝石魔術師の方に、お話を伺いたいのですが、紹介状など頂きたく」
平静を保ちつつも、天気屋魔術師と呼ばれ、内心ではガックリだ。
GM:ヴァルの家系は、リーフ島の天候管理、という役職ですよね?
孤島の田舎貴族に対する認識なんて、そんなモンです。
とまあ、そんなやり取りの後……、
ヴァル達は、受付嬢から、
二人の宝石魔術師を紹介してもらえます。
一人は『遠坂 凛』――
もう一人は『ルヴィアゼリッタ=エーデルフェルト』――
どちらを訊ねるべきか、ヴァル達は迷いますが……、
だが、ヴァル達の用件の内容に、
『剣』という要素が含まれている事を知り、受付嬢は『遠坂 凛』を奨めます。
受付嬢:「今は、二人とも、研究発表を間近に控え、
忙しいな時期なので、取り次ぐのは大変困難かと……、
まあ、そちらのお話の内容にもよりますが……」
キュリオ:「えっと、アランの剣に付いてた、宝石に関して訊きたいんだよね?」
ヴァル:「その背景を、何処まで話すべきか……」
アラン:「出来れば、例の名前に関する件は伏せて欲しい。
俺の正体が、例の男と決まったわけでもないしな」
ヴァル:「宝具級の剣を手に入れたが、力の源である宝石が無く、その本領を発揮できない。
宝石について知識が深そうなのは宝石魔術師なので、話を聞きたいのだ」
といったところかな?
受付嬢:「剣、ですか……そういう事でしたら、ミス遠坂をお勧めします」
ヴァルの話を聞き、受付嬢は『遠坂 凛』を奨めてくれます。
ヴァル:「ミス遠坂は、剣にも詳しい、と?」
受付嬢:「いえ、彼女の弟子が、と言うべきですね。
もちろん、ミス遠坂も、一応、優秀な宝石魔術師です」
キュリオ:「造詣が深いなら見て貰う価値はあると思うよ?
最後の『一応』って単語が気になるけど……」
ヴァル:「なるほど、では、そちらに伺うと致しましょう」
それで、紹介状とかは貰えるのか?
受付嬢:「先程も申しましたが、ミス遠坂は、今、とても多忙な時期です。
話を聞いて頂けるかどうかは、あなた方次第かと……」
そう言って、書類を一枚渡してくれます。
そこには、彼女の住所と、ついでに、弟子の住所も書かれています。
もちろん、番地だけじゃなくて、地図も描かれてますよ。
ようするに、場所は教えてやるから、あとは自分で何とかしろ、ってことです。
ヴァル:「……何故、弟子の住所まで?」
受付嬢:「ミス遠坂ですが、おそらく、自宅ではなく、
弟子である『衛宮 士郎』の住居にいると思われますので」
キュリオ:「お弟子さんを、家で修行させてるんじゃなくて?」
受付嬢:「はい、弟子のミスター衛宮の家に入り浸っているそうです」
リーラ:「通い妻、ですかねぇ?」
ヴァル:「弟子の工房作り、とも考えられるがね」
キュリオ:「何にしても、行って見なきゃわからない……か」
ヴァル:「まあ、取り敢えず、行ってみるかね」
では、書類に描かれた地図を頼りに、衛宮宅に向うとしよう。
アラン:「ああ、急ごう……っと……」
時計塔から出たあたりで、アランが、一瞬、よろけます。
キュリオ:「アラン? どうしたの?」
それなら、ボクが、横で支えてあげよう。
アラン:「あ、ああ、ちょっと眩暈がしただけだ。
旅の疲れが出たかな? 砂漠を迂回したのは正解だったようだ」
キュリオ:「大丈夫? ちょっと休む?」
アラン:「いや、休んでなんていられない。
もう平気だから、皆と合流して、宝石魔術師を訪ねよう」
キュリオ:「……うん」
―― PHASE-02 イヤな噂とイヤな予感 ――
GM:では、場面をエルとカインに移しましょう。
買い物を終えたカインは、教会での挨拶を済ませたエルと合流し、
ヴァル達との待ち合わせ場所に向かっています。
カイン:「か〜、もうちょいで、店のおっちゃんも、
諦めて値段マケてくれたのに、エルの兄ちゃん、タイミング悪すぎや」
エル:「悪かったですね。ですが、座り込みは関心しませんよ」
カイン:「ちっちっち、座り込みも、延々と値引き交渉も、取引の内や」
エル:「まったく……貴女の強欲には呆れますね」
GM:とまあ、そんな話をしながら歩いていると、妙な噂話を耳にします。
通行人A:「なあ、おい……また、出たってよ」
通行人B:「らしいな……今月、これで何度目だ?」
通行人A:「でもよ、あれって、ただの伝説じゃなかったのかよ?」
通行人B:「でもよ、実際に、もう幾つも、
キャラバン隊がやられてる、って言うぜ?」
通行人A:「くわばらくわばら……、
こりゃ、当分は、砂漠には近付かない方が良さそうだな〜」
カイン:「なあなあ、兄ちゃんら何の話してるん? エライ物騒な話っぽいけど」
気になるから、兄ちゃんらを捕まえて、詳しく訊いてみるで。
商売の基本は、情報収集や。
エル:「しかも、伝説がどうこう言っていましたが……?」
もちろん、私も訊いてみます。
市民の安全を脅かす存在の情報を聞き逃すわけにはいきません。
通行人A:「あ? 何って……出たんだよ。また『アレ』がな」
カイン:「いや、うちら、さっき、この街に着いたばっかやねん。
だから、アレ言われても、知らんねんけど?」
エル:「それも砂漠に、ですか……、
私達は、砂漠を迂回して、森を抜けてきたので……」
通行人A:「ああ、あんたらは知らないのか……、
この街の東に砂漠があるだろう?
そこには『グラボイズ』っていう魔物が出る、って昔から伝承があるんだよ」
グラボイズについて知っているかどうかは、
アルケミストで判定です。おまけで、エクソシストでもOKとしましょう。
エル:ふむ……(ころころ)よしっ、クリティカルです!
さあ、GM、全て話してもらいましょうか?
GM:グラボイズっていうのは、タイプムーンの東の砂漠を行き来する、
キャラバン隊の間に伝わる伝承に登場する魔物です。
地面から突然、現われ、何もかもを食い尽くし、
地中に戻っていく魔物が砂漠にはいる、と云われています。
カイン:まるで、サンドワームやな。
GM:とはいえ、所詮は、伝承なわけで……、
誰も信じていなかったし、今まで、出没した事など無かったのですが……、
通行人A:「……最近、マジで出たって噂が絶えないんだよ。その、グラボイズがな」
エル:「なるほど、そういう事ですか……、
しかし、何故、グラボイズの仕業だと思うのですか?」
カイン:「砂漠やったら、他のも色々おるやろ、ミミズ系のとか……、
今まで、出てへんのやったら、それがグラボイズやなんて、わからんやろ?」
通行人A:「伝承では、イモ虫のような魔物ってあるんだよ。
誰かは知らないが、実際に、目撃した奴もいるっていうしな。
それ以上は、俺は知らねぇよ……所詮は噂だしな〜。
ま〜、あんたらも、東の砂漠に行くような事があったら、足元には注意するこった。
足からガブッとやられて、気が付いたら、魔物の胃の中ってな……じゃ〜な」
エル:「グラボイズですか……覚えておきましょう。忠告に感謝します
カイン:「注意するわ。まあ、行く予定はないんやけどな。おおきにな
エル:「……さて、カイン。私は、何か嫌な予感がするのですが?」
カイン:「……嫌やな、ウチも、ものごっつ嫌な予感がするわ」
GM:じゃあ、嫌な予感を抱きつつ、
ヴァル達との合流地点に到着しました。
ヴァル:「……何かあったのか?」
暗い顔の二人を見て、首を傾げるぞ。
エル:「いえ、少々、良くない噂を聞いたもので……、
それより、そちらの首尾はどうでしたか?」
カイン:「いや、ええねん、それより、みつかったんかいや?
その宝石魔術師とかいうんは?」
ヴァル:「宝石魔術師と、その弟子の家は教えてもらえたがね。
多忙だそうで、後は、こちらで如何にかしろ、とさ」(←肩竦め)
エル:「多忙、ですか……嫌な予感が強まりましたね」
カイン:「お役所仕事やな〜。で、今から行くんやろ?」
ヴァル:「ああ、なんでも、弟子の家に入り浸っているそうだがね」
GM:では、全員揃ったところで、衛宮宅に向いましょう。
―― PHASE-03 セイバーとアラン ――
GM:では、衛宮宅に到着です。
皆さんの前には、洋風な街の佇まいに対して、
喧嘩を売っているような、大きな武家屋敷です。
キュリオ:「えっと……ここ?」
エル:「ここが、その弟子の家ですか……随分、大きいですね」
カイン:「やっぱ、アレか? 宝石魔術なんかやってるようなんは、
弟子でも金持ちなんか〜? アレか、此処に富の偏在が〜っ!?」
キュリオ:「ウタワレのサムライとかが出てきそうだよね、床下とか天井から」(←違う)
エル:「キュリオ、それはゲイシャの事ですよ」(←こいつも違う)
ヴァル:「面白い建築様式の家だな」
アラン:「無駄話してないで、サッサと行くぞ」
気が急いているのか、アランは、先立って、玄関へと向います。
キュリオ:「あっ、待ってよ、アラン〜」
アランの後を追って、さり気なく腕を組む。(笑)
アラン:「――たのも〜!」
と、皆さんを引き連れ、アランは玄関を開けます。
カイン:「たのも〜って、ウチら道場破りかいな?」
???:「シロウ、客人のようです……私が出ましょう」
と、家の奥から声がしたかと思うと、金髪の美少女が姿を見せます。
まあ、PLはご存知でしょう。Fateのセイバーです。
そして、彼女は、アランと目が合い……、
セイバー:「なっ!? サー・ガヴェイン!?」
アラン:「ア、アナタは……、
そんな……バカな……!?」
エル:「アラン? 貴方の知り合いですか!?」
キュリオ:「てゆ〜か、今、ガヴェインって言った〜っ!?」
カイン:「……アランの昔の女?」(待て)
ヴァル:「アランを見て、ガヴェインと呼ぶとは、興味深いな」
GM:と、皆さんが、それぞれの感想を抱く中、
アランとセイバーは、二人して、驚愕のあまり、目を見開いています。
と、その次の瞬間――
アラン:「――うぐっ、あああああっ!!」
突然、頭を抑え、苦悶の声を上げたかと思うと、
そのまま、崩れ落ちるように倒れ、気を失ってしまいます。
キュリオ:「にっ!? アラン、アラン!?」
すぐにアランを支えて、状況をチェックする!
GM:アランは、白目を剥いていて、
皆の声に反応しませんが、一応、呼吸はしているようです。
エル:「アラン、しっかりしてください!」
状況チェックより先に、楽な姿勢にしてあげないと!
カイン:「姉ちゃん、悪いねんけど、
どっか寝かしてええ場所、貸してくれへん?」
キュリオ:「アラン! しっかりしてよ、アラン〜!」
セイバー「しっかりしなさい、ガヴェイン!
シロウ! リン! サクラ! すぐに来てくださいっ!」
セイバーは、すぐさま、アランを抱き上げ、家の奥へと運んでいきます。
小柄な割りには凄い力です。
ヴァル:「連れて行かれてしまったが、上がらせてもらっても良いのかね?」
カイン:「どう考えても、アランの関係者っぽいわな。
じゃあ、お邪魔するで」
???:「さあ、ラグネル! 貴女も、こちらへ!」
もちろん、セイバーは、キュリオ達も家に上がるように促しますよ。
キュリオ:「えっ? あの、ラグネルって……、
それは、ばーちゃんの……」
と戸惑いながらも、アランを追って、家に上がるにゃ。
エル:私も、すぐに追い駆けるとしましょう。
GM:では、ここで、一旦、場面を切って、状況を整理するとしましょう。
―― PHASE-04 騎士王アーサー ――
GM:衛宮宅に到着して早々に、ひと騒動あったわけですが、
取り敢えず、今は、皆、衛宮宅の居間に集まり、落ち着いています。
皆さんの前には、士郎、セイバー、凛、イリヤの五人がいます。
アランは、離れの客間で寝かされており、桜とライダーが看病してくれています。
あれから、お互いの簡単な自己紹介は終わったと思ってください。
キュリオ:「アラン……大丈夫かな?」
凛:「……で、何があったわけ?」
凛は、一同を見渡し、アランと一番関係の深そうなキュリオに訊ねます。
キュリオ:「アランが、セイバーさんに会ったら急に……、
ボクも、何がなんだか……」
リーラ:「アランさんが、その人を見た途端、倒れちゃったんです」
と、セイバーさんを指差します。
ヴァル:「リーラ、人を指差すのは良くないな」
カイン:「まあな〜、セイバーの姉ちゃんの顔見たら、いきなりバタッ、やったりな〜」
エル:「貴女達、アランのことを、私達はセイバーの事を……、
互いに、訊きたい事が多すぎますね」(←溜息)
凛:「なるほどね……、
セイバー? あなた、あのアランって人とは知り合いなの?」
セイバー:「はい……ですが、彼の名はアランでは無い。
彼は、円卓の騎士が一人、ガヴェインです」
エル:「セイバー、何故、貴女がそれを知っているのですか?」
キュリオ:「円卓の騎士って……、
ばーちゃんが駆け出しだった頃って話だから……ガディム大戦の頃でしょ?」
カイン:「いや、姉ちゃん断定してるけど、
ガウェインてゆ〜と、ウン年前の人間やで? 何で断言できるン?」
凛:「落ち着きなさい。言いたい事は分かるけど、
セイバーが、そう断言するなら、間違いなく、彼はガヴェインよ」
何故なら、セイバーは――」
セイバー:「リン、私から話します……、
私は、かつて、騎士王と呼ばれていた者です」
エル:「まさか……騎士王アーサー!?」
セイバー:「信じられないかもしれませんが、事実です。
これが、私の身を証明してくれるでしょう」
そう言うと、セイバーは、皆さんに聖剣を見せてくれます。
素人目にも、それが本物だと分かる程の存在感です。
エル:「こ……れは……これが『約束された勝利の剣(エクスカリバー)』」
ヴァル:「ほう、途方も無い魔力だな……」
カイン:「ホンマもんや……ホンマものお宝や〜!」
エル:無言で、カインの頭に拳骨を落とします。
カイン:「あいたっ! 冗談やがな、エルやん〜」
キュリオ:「じゃあ、本当に……正義感溢れる大食漢のアーサー王?」
セイバー:「……それは、どういう意味ですか、ラグネル?」(にっこり)
キュリオ:「ばーちゃんに聞いた話だってば……、
それに、ボクの名前は……キュリオだよ」
カイン:「ちゅうか、アランだけやなく、キュリオまで関係あんねんな?」
セイバー:「キュリオ? おかしな事を言う。
貴女は、確かに、ラグネルだ……、
そういえば、何故、ガヴェインは、アランなどと名乗っているのです?」
エル:「……彼には、昔の記憶が無いそうです」
セイバー:「そう……ですか……、
残念です。かつての仲間と、語り合えると思ったのですが……」
ヴァル:「騎士王殿、こちらからも一つ訊ねたい。
貴女は、何故ここに? 数百年もの過去の人だと記憶しておりますが?
そして、ソレが、キュリオが、ラグネルでは無いと言う事にも繋がります。
ラグネルもまた、貴女と同じ時代の者ですからね」
士郎:「まあ、色々とあってさ……、
セイバーは、時間を越えて、この時代に召喚されたんだ。
で、今は、一応、俺のサーヴァントってことになってる。
断っとくが、セイバーの正体に関しては他言無用だぞ」
凛:「はいはい、その辺の話は、現状では関係ないでしょ?」
凛は、パンパンと手を叩いて、話が脇道に逸れるのを修正します。
キュリオ:「まずは、アランだよね……実際、どうしちゃったんだろ?」
凛:「まあ、だいたい事情は理解出来たわ。
セイバー? 彼が、ガヴェインだ、というのは間違いないのね?」
セイバー:「はい、間違いありません。
それに、彼が持っていた剣は『ガラディーン』です。
アレを扱えるのは、彼しかありえない」
凛:「じゃあ、やっぱり、彼が気を失ったのは、セイバーに会ったのが原因ね」
アランが気絶したのは、セイバー(アーサー)と会った事で、
失われた記憶が、一気にフラッシュバックして、
脳が、その負荷に耐えられず、自衛本能が働いたのだろう、と凛は推理します。
キュリオ:「じゃあ、落ち着けば、意識は戻る……って事?」
凛:「そうね……しばらく、安静にしていれば、大丈夫だと思うわよ」
キュリオ:「よかったぁ〜……」
エル:「それにしても、やはり、あの剣は本物なのですね。
ですが、今のままでは、不完全な状態にあります。
見て頂ければ、お分かりになると思いますが……、
剣の力の源たる宝石が紛失しております。
私達は、それを探しているのです。
剣を完全な状態とし、それで、尚も、アランが担い手であるのなら、
アランが、ガヴェインである証拠となる。
そして、完全な剣を手に取れば、きっと、彼の記憶も戻るだろう、と考えまして……」
凛:「で、宝石といえば、宝石魔術師……、
その剣にあったであろう宝石の情報を得る為に、ここを訪ねたわけね?」
カイン:「まあ、その本題に入る前に、剣以上の証拠が見つかったんやけどな。
セイバーの姉ちゃんが言うなら、間違い無いやん」
凛:「まあ、一応、確認したいから、例の剣、持って来てくれない?」
キュリオ:「あ、はい……」
アランが寝てる客間に走って、剣を取ってくるよ。
凛:「あっ、私じゃなくて、士郎に渡して」
カイン:「へ? 姉さんが見るんやないの?」
エル:「弟子の成長を促しているのでいるのでしょう。良い事です」
ヴァル:「そう言えば、お弟子さんの方は剣に詳しい、と魔術師ギルドで聞いてたな」
凛:「剣に関しては、士郎に見せるのが一番なのよ。
こいつ、魔術師のくせに、属性が『剣』に特化してるんんだから……」
エル:「魔術の剣士ならぬ、剣の魔術師……ですか」
キュリオ:「士郎さんに渡せば良いの? 気を付けてよ〜?」
士郎:「ああ、じゃあ、ちょっと見せてもらうぞ。
同調、開始――創造理念、解明――基本骨子、解明――構成材質、解明――」
士郎は、剣を手に取り、解析を始めます。
そして、解析を終えると……、
「確かに、この剣、足りないものがある。
剣の力の源、とでもいうべきものが無い。
これじゃあ、ただの質の良い剣でしかない。
とても、円卓の騎士が持っていた剣とは思えないな」
ヴァル:「ああ、だからこそ、その宝石について訊ねようと、
こうして、宝石魔術師である、ミス遠坂を訪ねたんだがね……」
カイン:「……成り行きで、片方は解決したわな」
エル:「アランが真のガヴェインだと言う事が、
判明しましたからね。しかも、騎士王のお墨付きです」
キュリオ:「……個人的な事だけど、ラグネルってどんな人なのかな?
ばーちゃんと同名は<ちょっと気になるっていうか……」
セイバー:「ラグネルは、ガヴェインの妻です。
そして、キュリオ、貴女と同じ、リュンクスでもありました」
キュリオ:「ってことは……アラン、やっぱり妻子持ち〜?」
ヴァル:「そのようだな……」
キュリオ:「でも、当時のリュンクス族って……その……」
セイバー:「ええ、リグニア石を持つということで、乱獲されていました。
その事については、あの時代に生きた者として、深く謝罪します」(ペコリ)
エル:「セイバー、貴女が謝る必要はない。
悪いのは、不老長寿などを求めようとする不浄者です」
キュリオ:「そんな、ボクが生まれる前の事でそうされても……、
それに、今もまだ狙ってる人は居るんだから、セイバーさんが謝る事ないよ。
でも、気遣ってくれて、ありがとう……」
セイバー:「キュリオ、貴女に感謝を……貴女は、とても強い人だ」
GM:と、そんな話をしていると、居間の障子が開き、桜が入ってきます。
桜:「姉さん……ちょっと……」
桜は、凛に歩み寄ると、何事かを耳打ちします。
凛:「それ……本当なの?」
苦虫を噛み潰したような表情で、凛は桜に訪ねます。
桜:「はい……」
そんな凛に、桜は、無言で頷きます。
凛:「分かったわ……それは、こっちに何とかするから。
桜は、彼のことをお願い……」
凛の言葉に、桜は、もう一度、頷くと、居間を出て行きます。
キュリオ:「……何かあったの?」
凛:「いや、何でもないわ……、
で、剣の宝石について、だったよわね?」
そう言って、凛は意地悪そうな笑みを浮かべます。
カイン:来たっ! 来たでっ!(キュピーン!)
エル:あかいあくまの笑み、ですね。(笑)
キュリオ:そして、カインも商人モード発動!!
―― PHASE-05 あかいあくま vs 守銭奴 ――
凛:「情報は教えてあげても良いわ……けど、タダじゃ駄目よ」
士郎:「遠坂! お前な……!」
凛:「黙りなさい、士郎! わたしは魔術師。そして、魔術師の基本は等価交換。
だから、あんたみたいに、タダ働きなんてまっぴらなの。
だいたい、私だって忙しいのよ。
もうすぐ、時計塔で研究発表があるから、あいつに負けない為にも、
それの準備しなきゃいけないのに……、
それでも、付き合ってあげてるんだから、感謝して欲しいくらいだわ」
ヴァル:「等価交換、か……、
魔術師に頼み事をするのだから、覚悟の上さ」
キュリオ:「凛さんも、忙しいのに時間を割いてくれてるんだしね」
リーラ:「カインさんと、同レベルの人ですね」
ヴァル:「違うぞ、リーラ……、
遠坂殿は等価、カインは、自分が儲かるように、だ」
リーラ:「カインさんの方が、人として駄目ってことですね」
カイン:「いやいや、姉さん……ウチらも大変やしな」
キュリオ:「カイン、ここは、沈黙は金なり、だよ」
エル:「取り敢えず、用件だけでも聞いておくべきでは?
それで、私達に、何をしろと?」
凛:「話が早くて助かるわ。依頼内容は――」
GM:依頼内容は、街の東の砂漠にあるオアシスの水を汲んでくること。
ただし、ただの水ではなく、高位精霊がいるオアシスの水でなければならない。
砂漠には、いくつかオアシスがあるので、それを巡って探して欲しい、とのこと。
凛:「次の研究発表に必要なのよ……、
ホントは、士郎とセイバーに行ってもらうつもりだったけど……、
もちろん、引き受けてくれるわよね?」
キュリオ:「オアシス巡って砂漠横断ツアー?」
エル:「グラボイズがいる可能性のある砂漠を巡って来い……と?」
カイン:「ほ〜、おエライ魔術師様は、
情報ぐらいで、めっちゃ危険な砂漠に行けと?」
凛:「嫌なら良いのよ? 別に、あなた達じゃなくても、
士郎やセイバーに頼めば済むことだし?
他にも冒険者はいるしね……」
エル:「引き受ける、引き受けないの問題ではなく、
断れないようになっているようですね」
キュリオ:「ボクは行くつもりだけど……皆は?」
ヴァル:「相手が情報を持っているのなら、
その情報を貰う為の行動は行うべき……だろう」
リーラ:「マスターが行くなら、もちろん一緒です〜♪」
カイン:「……確か、もう一人宝石魔術師っておったんやな?」
凛:「それって、ルヴィアのこと?
今更、あいつのところに言ってもムダよ?
だって、あいつよりも先に、私のところに来ちゃったんだから」(クスクス)
ヴァル:「宝石魔術師同士、反目し合っているという事のようだな」
エル:「……醜い争いですね」
カイン:「くっ……微妙な胸張りおってからに」(ボソッ)
凛:「胸が、何ですって……?」
カインの危険発言に、凛の腕にある魔術刻印が光ります。
カイン:「べ〜つ〜に〜、胸がどうかしはったん?」〈←自分の胸を強調しつつ〉
キュリオ:「凛さん、落ち着いて〜!?
その件に関して、ボクは凛さんの味方だから! 負けてるけどっ!(泣)
カインも、流石に退くところだよ、ここは……」
エル:「……カイン! いい加減にしたらどうです!」
キュリオ:「カイン、ここは折れて、お願い……!」
カイン:「ちゃうねん、キュリオ。
求めるもんと、その対価がつりおうてへんからいうてんねん」
士郎:「あのなぁ、遠坂……もう少し、穏便に話が出来ないのか?
すまん、実は、遠坂は、本当に切羽詰ってる状況なんだ。
今、こうして話してる時間も惜しいくらいに……、
ここは、頼まれてやってくれないか? この通りだ」(頭下げ)
凛:「士郎!! そういう事は言わなくていいのよっ!!」
と、凛は、赤くなった顔を見られないよう、そっぽを向きます。
エル:「師匠に比べて、弟子は誠実な方ですね。
分かりました、利用されているようで釈然としませんが、
その依頼、私も引き受けましょう」
カイン:「あ〜、もう、ええがな。
受けるわ。此処で断ったらウチ、思いっきり悪もんやん」
凛:「仕方ないわね……、
じゃあ、砂漠で使用した分の冷房薬代くらいは出してあげるわ。
ちゃんと領収書切ってきなさいよ。その商人じゃなくて、そっちの教会の人がね」
エル:「何故、私が? それは、私が与し易いと思ってですか?」
キュリオ:「単純に信用がある、って事だと思うにゃ」
凛:「ええ、あなたなら、水増しとかしなさそうだし」
エル:「当然です。二柱の女神に誓って、そのような不正は働きません!」
凛:「あと、あなた……カインだっけ?
魔銃使いでしょ? ちゃんと弾丸の分も計算にいれておきなさいよ?」
カイン:「了解、しっかりと請求しとくわ」
リーラ:「カインさんが、ガンガン攻撃するに一票」(笑)
ヴァル:「いや、ピュアストーンで射撃した分も弾丸代に含めるに一票」(笑)
イリヤ:「ねえ、リン……そういう事は、自分から言うものじゃないと思うけど?」
凛:「……あっ」
凛は、しまった、と口を塞ぎます。
カイン:「あ〜、もう大体、姉ちゃんがどういうか、よう判ったわ」
凛:「うるさいわね……その代わり、しっかり働いてよね」
GM:とまあ、交渉成立といったところで、
今度は、居間にライダーがやってきます。
ライダー:「――彼が目を覚ましました」
キュリオ:「アラン〜〜〜〜!!」
ライダーさんが言い終えるのも待たずに、客間にダッシュ!!
エル:「では、私達も行きましょう。彼の容態が気になります」
ヴァル:「騎士王殿は、来ない方が良いだろう。
まだ、アランに悪影響があるかもしれんからね」
―― PHASE-06 病床のアラン ――
桜:「起きちゃダメです! まだ、寝ていてください!」
アラン:「構わん、もう大丈夫だ」
桜:「そんな真っ青な顔して、何処が大丈夫なんですか!」
GM:キュリオ達が客間に行くと、
無理矢理、体を起こそうとするアランを、桜が押し止めています。
キュリオ:「――アラン!」
桜さんと一緒にに押し止めるよ。
エル:「アラン、無理は禁物です!」
私も、キュリオと桜に加勢しましょう。
カイン:「あ〜、そこの病人、何してるん?」
ヴァル:「落ち着きたまえ、アラン……」
キュリオ:「アラン〜、よかった……よかったよぉ〜」
アランに縋り付くよ。ちょっと泣き気味で。
アラン:「あ〜、その、あまり泣くな……泣かれると困る。
そうだ、ミルクでも飲め。元気になるぞ?」
キュリオに泣かれ、アランも冷静になったようです。大人しくなります。
エル:「まったく、心配かけすぎです」
アラン:「すまない……だが、もう大丈夫だ」
カイン:「んな顔色して、大丈夫なんて言うても、全然信用できん。
ちゅうか、元気になるぞ、なんて、あんたが言うな」
ヴァル:「……記憶の混乱などは無いかね?」
キュリオ:「ボクの名前は、わかるよね?」
アラン:「ああ、もちろんだ、ラ――いや、キュリオだな」
アランは、まだ少し頭痛がするようです。
キュリオ:「アラン……? 今、ラグネルって……?」
アラン:「いや、そんなことは無い……、
おかしいな……まだ、少し混乱しているようだ」
ヴァル:「自覚があるのなら、もうしばらく休んでいた方が良いな」
と、アランを布団に押し込もう。
エル:「はい、とにかく、もう少し安静にしている事を勧めます」
アラン:「……そうだ、あの女性は?」
キュリオ:「セイバーさんのこと?」
アラン:「セイバー? 彼女はセイバーというのか?
俺を運んでくれたのは、彼女だろう? 世話になったと、伝えておいてくれ」
と言いつつ、アランはヴァルに寝かされます。
キュリオ:「うん、伝えとく……ゆっくり休んでね、アラン」
ほっぺにちゅ〜して、一足先に戻るよ。
エル:「分かりました、伝えておきます。
ですから、もう少し休んでいてください、いいですね?」
アラン:「しかし、そういうわけにもいかない?
今から、出掛けるのだろう? 皆の気配でわかる。
それも、かなり困難な冒険だ……違うか?」
エル:「……はっきり言わないと分かりませんか?」
カイン:「ちゅたかて、今のあんたが、ついて来れるとも思われへんねんけど」
ヴァル:「なればこそ、病人は足手まといになる、と言えば大人しく寝ているか?」
アラン:「そうたな、すまん……そうだ、俺の剣は?」
エル:「士郎に……赤毛の少年に預けてあります。ご心配なく」
アラン:「そうか、なら、俺がついていけない代わりに、それをキュリオに渡してやってくれ。
それと……守ってやれなくて、すまない、と……」
エル:「今の状態ならキュリオでも使えるはず。分かりました、渡しておきましょう
それと、言伝も、ちゃんと伝えておきますよ」
アラン:「……頼む」
そう言い残し、アランは再び眠りに落ちます。
桜:「アランさんのことは、私とライダーに任せてください。
皆さんは、皆さんに出来ることを……」
ヴァル:「うむ、そうだな……」
アランのことは桜殿に任せ、こちらは、凛殿の依頼を果たすことにしよう。
GM:ところで、キュリオは何してるの?
サッサと客間から出て行ったけど……、
キュリオ:居間に戻りながら、色々と考えてる。
「あの時……アラン、ボクとラグネルを間違えてた……、
ボクにとって、アランは特別……アランにとって、ボクは……?
ラグネルの……代わり? そんな事……ない!
そんな事……ないよね、アラン……?」
―― PHASE-07 砂漠探索へ ――
GM:さて、皆さんが居間に戻ると、
凛が砂漠の地図を用意してくれています。
ヴァル:そういえば、まだ、詳しい依頼内容を聞いていなかったな。
事前に、オアシスの場所が分かっているなら、話は早い。
キュリオ:水の精霊王の匂いなら、たまに嗅いだ事くらいあるけど、
地図が無いと、砂漠なんて歩けないもんね。
エル:地図以上に、砂漠で必要なのは、正確な方向感覚ですけどね。
まっすぐ歩いてるつもりが、グルグル回ってるだけ、なんて事もあります。
GM:じゃあ、砂漠探索のルールを説明しますね。
【砂漠探索のルール】
・砂漠には、ABCと三ヶ所にオアシスがある。
・オアシスA:街から片道1日
オアシスB:街から片道2日
オアシスC:街から片道3日
・A〜B:片道3日
B〜C:片道3日
A〜C:片道6日
・冷房薬:一日に、一人1個要する。
使用しなかった場合、一日の間、全ての判定に−2の修正。
・結界薬:一日に、PT全体で1個使用。夜間に使用する。
使用しなかった場合、GMが1d6を振り、3以上で、サソリに襲われる。
戦闘は行わないが、全員、HP、MPを1d6消費する。
GM:とまあ、こんな感じです。
エル:全部、回ると考えると、だいたい二週間の道のりですね。
GM:途中で、水の高位精霊を見つけられれば、早く終わりますがね。
エル:しまった……、
精霊認識の技能を取得しておくべきでした。
ヴァル:精霊認識は、自身と同じ属性の精霊しか認識できないぞ。
エル君は風属性だから、水の精霊は見えないだろう?
かく言う私も、浄眼で、精霊の力の流れくらいは見えるが、
精霊自体は下位精霊しか見えない。
やはり、風属性ゆえに、水の精霊は見えないがね。
もっとも、精霊の方から、こっちに接触してくるなら、話は別だが……、
凛:「ああ、そっか……あなた達じゃ、精霊は見えないわよね?
じゃあ、これを持っていきなさい」
と、凛は、片眼鏡(モノクル)を貸してくれます。
キュリオ:「……モノクル?」
凛:「それがあれば、水の精霊種なら見えるようになるわ。
尤も、精霊王となると話は別だけどね」
ようするに、ヴァルが、これを使えば、
水の精霊認識として、魔眼判定が出来るようになります。
エル:「では、これは、ヴァルさんが持っていた方が良いでしょう」
ヴァル:「なら、預かろう」
凛:「壊さないでよ……高いんだから」
ヴァル:「私は、後ろに控える術師だからな。
前衛が抜かれない限り、大丈夫だろう」
GM:では、ルールも理解してもらったところで、
カインのお待ちかねの買い物タイムです。
カイン:よっしゃ! ウチの出番やなっ!
で、買い物タイム――
ここで、冒険者達は、
砂漠探索に必要な物を買い漁ります。
まず、カインが、冷房薬と結界薬を纏め買いし……、
他の冒険者達も、回復薬や、護符など……、
それぞれ、必要なアイテムを買い揃えます。
そして、毎度恒例……、
カインとGMによる値切り対決……、
必要経費が出る分については、GMが勝利を収めたものの……、
カイン個人の買い物では、
なんと、カインがクリティカルし、半額にまで値切られてしまいました。
GM:ううっ、またしても、またしても〜……、(泣)
カイン:GMも難儀やな〜……、
まあ、これも勝負やし、同情はせんけどな。
GM:まあ、所詮、魔術都市の商人だからね。
これが、商業都市マジアンの商人だったら、そうはいかんからね。
交渉の際、GMは、
1d6を振り、商人のレベルを決めました。
この時の出目は6だったので、その3分の1……、
つまり、商人のレベルを2としました。
今回、舞台が魔術都市だったので、
出目を3で割りましたが、もし、商業都市だったなら……、
……出目+2が、相手の商人のレベルとなっていたでしょう。
カイン:「あっ、そうそう、おっちゃん……、
最初に買った方、領収書くれるか? うん、金額無記名で」(爆)
エル:「カイン、不正は駄目と言ったはずですよ?」
ヴァル:「金額無記名のものは、領収書とは言わないんじゃないか?」
カイン:「ええやん、黙っとれば分からんて」
エル:「……領収書は、私が切ります。
カインは、他の買い物に集中してください」
商人:「領収書ね……名前は、上様でええんか?」
リーラ:「上様じゃなくて、凛様ですよね」
カイン:「え〜っと、遠坂やっけ? 衛宮やっけ?」
商人:「凛様? 衛宮? あ〜……『衛宮 凛』っと」(爆)
ヴァル:ちょっと待てっ!
その名前は微妙に危険だっ!
カイン:さり気なく爆弾仕込む、
そんなGMが大好きや〜っ!
エル:「すみません、名前は遠坂 凛でお願いします」
商人:「なんや、違うんか……、
『衛宮 凛』……『遠坂 凛』……ほいっとな」
エル:「ありがとうございます」
キュリオ:ねえ、その取り消し線も、
領収書に、そのまま表現されてるの?
GM:当然です。新しく書き直すなんて、
そんな勿体無いことを、商人はしません。
エル:これは、しっかりと事情を、凛に説明しないと駄目ですね。
ヴァル:何処で買い物したか、って訊かれたら、素直に言おう。
カイン:その後、何があっても、ウチらは知らんで。
―― PHASE-08 追加依頼『セントランを探せ』 ――
エル:「そういえば、キュリオ……、
貴女に、アランから言伝を預かっていますよ」
キュリオ:「――にゃ?
エル:「まずは、これです」
士郎から預かっていた、ガラディーンを渡します。
キュリオ:「ガラディーン……アランの剣……」
エル:「これを貴女に、と……、
それと『守ってやれなくて済まない』だそうです」
キュリオ:「……アラン」
ガラディーンを、ぎゅっと抱きしめるよ。
GM:では、皆さんは、オアシスを目指して、砂漠に向かうわけですが、
見送りのつもりか、街の出入り口付近で、士郎が待っています。
エル:「おや? あそこにいるのは、士郎のようですね……見送りでしょうか?」
士郎:「すまないな……俺には、こんなことしか出来ないけど……」
と、士郎は、皆の分の弁当を渡してくれます。
キュリオ:「ありがとう、士郎さん……アランの事、お願い」
エル:「ありがとうございます、士郎。充分すぎますよ。
私からも、アランを頼みます」
カイン:「ん、おおきにな」
ヴァル:「いや、ありがたい。味気の無い保存食ばかりになると思ってたからね。
アランの事だ、少しでも回復したら飛び出すかもしれん。
その時は、力ずくでも止めてくれ」
士郎:「その、アランのことなんだが……、
すまないついでに、もう一つ、依頼を追加させて欲しい」
エル:「何でしょう? 出来る範囲でなら、やりましょう」
士郎:「オアシスに『咲いているかもしれない』、
『セントラン』という花を、摘んできてもらいたいんだ」
キュリオ:「セントラン……?」
その花のこと、ボクは知ってるのかな?
GM:それなら、皆さん、各特殊技能で判定してください。
一同:(ころころ)そ〜れっ!
GM:誰か一人でも、達成値10以上は出ました?
じゃあ、セントランについて、聞き覚えがあります。
綺麗な水辺に咲き、淡い光を放つ、光の属性を持つ珍しい花です。
ヴァル:「淡い光、か……夜の方が見つけやすいんだろうな」
カイン:「水だけじゃなくて、花までいるんかいな?
追加依頼ってことは、その分、報酬も上乗せしてもらわんとな〜」
士郎:「いや、この花は、遠坂じゃなくて……アランに必要なものなんだ」
ヴァル:「アランに、その花が関係するのかね?
それならば、依頼で無くても引き受けるさ」
エル:「ふむ……アランにですか?
分かりました、見つけたら、摘んできましょう」
キュリオ:「……わかった、きっと見付けてくるよ!」
カイン:「まあ、泥舟に乗った気で待っとき」
エル:「それでは沈んでしまいますよ、カイン。
縁起でも無い事を言わないでもらいたい」
カイン:「ちょっとした冗談やん」
士郎:「とにかく、よろしく頼む……手遅れになる前に」(ボソッ)
キュリオ:「手遅れ……って、何?」
士郎:「……っ!」
キュリオにツッコまれ、士郎は、慌てて口を塞ぎます。
キュリオ:「アランに何かあるの!?
ねえ、士郎さん! アラン、危ないの?」
エル:「士郎……アランの容態は、それほどに悪いのですか?
正直に話してください。さもなくば、ロープでエビフライにされても知りませんよ?」
士郎:「すまない。理由は、言えない……遠坂に口止めされてるんだ」
カイン:「兄ちゃん、ウチらには……、
ちゅうか、そのケモノっ子には、知る権利があると思うねんけど?」
ヴァル:「記憶障害の後遺症、とかかね?
しかし、遠坂殿は、大丈夫、と言っていたはずだが?」
エル:「凛に、ですか……、
つまり、己がプライドの為に、自分の口から言えないから、
士郎に代わりに頼ませた、と言った所ですか……?」
士郎:「違う、そうじゃない! 遠坂は、そんな奴じゃない!
記憶とか、そういうのとは別の問題なんだ」
リーラ:「……そういえば、アランさん、体調が優れない様子でしたね?」
ヴァル:「騎士王殿と出会い、気を失い……、
弱ったところで、何か病にでも掛かったか?
まあ、何にせよ、急いだ方が良い、という事だね」
士郎:「俺とセイバーも、努力してみる。
多分、この街なら、花の一つや二つ、売ってるはずだ。
でも、もし無かったら……」
キュリオ:「……うん、急いで採って来るよ。みんな、行こう!」
冷房薬を使うのも忘れて、急いで目的地に向うよ。
エル:「キュリオ、急ぐ気持ちは分かりますが、冷房薬を忘れていますよ」
ヴァル:「急ぐのは判る。だが、そのせいで、
キュリオが、余計に傷付くのを、アランは望まないだろう?」
キュリオの首根っこを捕まえ、冷房薬を使うぞ。
キュリオ:じたばた、じたばたっ!
エル:「落ち着きなさい……、
エージェントが冷静さを見失って、どうするのですか?」
カイン:「あほか、んな焦って行動したら、見つかるもんもみつからんわ。
いつも通りに行動して、さっさと見つけて帰ってくればいいだけやん」
と、キュリオにチョップいれる。
キュリオ:「……うん、わかった」
ヴァル:「では、行くとするかね?
ほら、リーラ、外に居ると陽で焼かれるぞ?」
リーラを自分のマントの中に連れ込もう。
リーラ:「は〜い、ますた〜♪」
―― PHASE-09 水の精霊と砂漠の魔物 ――
GM:では、士郎に見送られ……、
皆さんは、砂漠へと出発するわけですが、何処から行きます?
ヴァル:うむ、三箇所のオアシスを回る順番だが、
別に、全部を巡る必要はなく、
高位精霊のいるオアシスを発見すれば、それで良いのだろう?
GM:まあ、そうですね。
ヴァル:探索日数を見ると、オアシスCと街を往復すると六日……、
それ以外の、AとBの場合は、六日未満だ。
つまり、精霊がオアシスCにいると仮定するなら、Cから、
AかBにいると仮定するなら、Aから巡るのが正しい。
とは言え、確定情報が手に入る訳ではないので、可能性として高い方からとなる。
そこで、属性が違うとは言え、精霊をトモとする、
精霊術師(風術師)として、GMに訊ねたいのだが……、
精霊は、一般的に、自身の属する界に近い環境、
または、居心地の良い場所に居る可能性が高いのだろう?
ならば、凛から受け取った地図で、各オアシスの大きさとかは分からないか?
やはり一番大きなオアシス、もしくは、一番水が澄んでいるオアシスの方が、
精霊のいる可能性は高いと思うのだが?
GM:水が綺麗かどうかはともかく、大きさなら、C・B・Aの順番です。
ヴァル:では、最初にオアシスCへ向うべきだな。
GM:ただ、高位精霊がいるオアシスに行ったとしても、
精霊が見えるかどうかは、ヴァル次第ですよ。
しかも、ヴァルは、能動的に高位精霊と接触が出来ませんから、
精霊の方から、意思疎通してきてくれないと、ダメです。
ヴァル:プレッシャーだな……、
PT内では、一番、ファンブル率が高いのに……、
GM:じゃあ、まず、オアシスCに向かう、という事で、
移動は三日間。冷房薬を全員分×3個、結界薬を3個、減らしてください。
カイン:おっけ、ウチが管理しとるから、
今後、足りなくなったら、宣言するで。
GM:よろしくお願いします。
では、何事も無く、オアシスCに到着しました。
強い日差しを受け、水面がキラキラと輝く、砂漠で一番大きなオアシスです。
エル:水の透明度はどうでしょう?
GM:水底が見えるくらいには綺麗です。
割と遠浅のようですが、奥で急に深くなっているようです。
キュリオ:じゃあ、オアシス周辺で、セントランを探すよ。
ヴァル:「さて、ここに高位精霊がいるかどうか?」
モノクルを装備して、魔眼で見てみよう。
GM:セントランを探すなら、ビーストテイマー、アルケミスト、ガンスリンガー判定です。
精霊を探すなら、ヴァルは、魔眼判定してください。
キュリオ:じゃあ、ボクは平目になるね。(ころころ)9だよ。
エル:私は(ころころ)10です。
カイン:精霊の方は、ヴァルやんに任せて……、
アルケミストで花探し(ころころ)7やな。
ヴァル:魔眼判定は(ころころ)12だな。
GM:じゃあ、まず、ヴァルの方から処理します。
モノクルを使ったヴァルは、水の高位精霊『ウンディーネ』の姿を見ることができました。
ただ、あちらは、ヴァルに興味は無いようです。
ヴァルを一瞥して、そのまま水の中へ消えてしまいます。
リーラ:どうにかして、興味を引かなきゃダメみたいですねぇ。
ヴァル:姿は見えても、こちらからは、接触できないからな。
向こうに、その気になってもらわないと……、
カイン:そこは、ヴァルやんの男の見せ所やん?
ヴァルやんの魅力で、精霊を口説いてまえ〜。
ヴァル:う〜ん、GM、一つ訊ねるが……、
依頼内容は、オアシスの水が欲しい、だったよな?
それは、高位精霊のいるオアシスの水を汲めば良いのか?
それとも、その精霊から、水を貰わなきゃならんのか?
前者なら、話は早いのだが……、
GM:ああ、そっか。それを言うの忘れてた。
前者でも、別に構いませんよ。
でも、精霊から水が貰えたなら、その分、報酬は上乗せされるでしょうね。
より、品質の良い水、ってことですから。
カイン:よしっ、ヴァルやん、頑張れっ!
必死で頑張れっ!
ヴァル:頑張れと言われても、どうすれば良いのやら……、
キュリオ:それで、花は見つかったの?
GM:では、花探し組の方ですが、
残念ながら、セントランを見つけられませんでした。
その代わり、オアシス付近の岩場の影で、
イモ虫型の巨大な魔物の死骸を発見します。
キュリオ:「……なに、これ?」
カイン:「水場にありがちな争い、って感じちゃうわな」
エル:「もしかして、これが話にあった、あの……?」
キュリオ:「すっごく嫌な予感の二乗……」
ヴァル:「さて、このオアシスに、
高位精霊がいるのは確認できたが、そちらは、どうだったかね?」
と言いつつ、皆と合流しよう。
エル:「花は見つかりませんでしたが……ご覧の通りです」
魔物の死骸を指差します。
カイン:「こっちは収穫無しやな。
別な収穫は有ったけどな、嫌な方向で……」
取り敢えず、死骸を調べてみるかな?
GM:調べるなら、ビーストテイマーかガンスリンガーで判定です。
あっ、カインとエルは、さらに+1の修正です。
エル:なるほど、例の噂を聞いてますからね。
カイン:この手の調べモンはガンスリなんか?
(ころころ)14やな。
GM:では、その死骸は、街の噂にあったグラボイズの特徴と、良く似ています。
さらに、死骸の腹部には、胎内から
『複数のナニか』に食い破られたような穴が開いてます。
あと、その達成値なら、その死骸が、雌雄同体だと分かって良いです。
ヴァル:「胎内で孵化した……か?」
エル:「あるいは。寄生されていた……という可能性もあります」
キュリオ:「……胎卵生の虫なんてキライ」
ちなみに、この死骸の大きさは?
GM:象二匹を並べたくらい、ですかね?
一同:――でかっ!?
ヴァル:幼生体で、人くらいか……、
カイン:そんなデカいモン中から、
複数の何かが、うじゃうじゃ……いやや〜。
キュリオ:じゃあ、このデカいの、何を食べてそうなのかは、分かる?
GM:まあ、生き物なら何でも良いでしょうね。
動物でも、人間でも……植物はどうだろう?
少なくとも、原作では、そういう描写は無かったと思う。
ヴァル(のPL):原作って……ああ、グラボイズって、あれか?
――はい、ご存知の人もいるでしょうか?
今回、登場したグラボイズとは、
『トレマーズ』という映画に出てきた化け物です。
シリーズは4作あるので、
レンタルなどで、ご覧になっては如何でしょう?(笑)
ヴァル:「まぁ、アレだ、自身の住処に、
魔物の死骸があれば、精霊も気が悪いだろうし……、
少し遠めに捨てて来ないか?」
カイン:「ちゅうか、燃やしてしもた方がええ気がするけど」
エル:「そうですね……、
では、カイン、地属性の魔術で、死骸の下に穴を掘れますか?」
カイン:「竈作りか? オッケ〜、任しとき」
キュリオ:「火は、松明で充分だよね」
ヴァル:「となると、火力と風向きの調整は、私の役目かね?
煙がオアシスの方に行かないようにしよう」
というわけで……、
一同は、魔物の死骸を火葬します。
GMとしては、予定通りの展開です。
これで、彼等に対して、
水の高位精霊は、良い印象を持ってくれた事でしょう。
エル:「二柱の女神よ。この哀れなる命に、永遠の安らぎを……」
松明に火を付け、それを穴の中の死骸に向けて投げます。
GM:では、そうやって死骸を燃やすと、周囲が物凄く臭くなります。
死骸があっただけでも、相当臭かったのですが、さらに酷くなりますね。
エル:「ぐっ……この臭いは……」
慌ててマントで、口元を押さえます。
カイン:「片付けたはええけど、この匂いは、たまらんて〜」
キュリオ:「匂いには敏感なのにゃ〜……」(きゅ〜)
GM:まあ、その臭いも、ヴァルの起こした風が、
すぐに吹き飛ばしてくれるでしょうがね。
カイン:この臭いで、何かが寄って来たりはせえへんよな?
GM:臭いというか、この行為によって、寄って来たモノはいますよ。
水の精霊:「あら……片付けてくれたの?」
ウンディーネが、オアシスの中から現れ、皆さんに姿を見せてくれます。
ちなみに、半透明で、全身が水色の、全裸の女性です。
キュリオ:「にゃ? 精霊さん?」(ピクピク)
ヴァル:「え、ええ、人も精霊も、住処の近くに、
魔物の死骸があっては、気を悪くすると思いましてね」
全裸って……まあ、精霊ってのは、そんなものか。
カイン:敢えて、全裸って強調するんやな。
さすがはGM……、
元ネタが全て18禁ゲームであるLQの総責任者や。(笑)
GM:多少、えっちじゃなきゃ、
このTRPGのGMは勤まりません。(笑)
水の精霊:「たすかったわ、臭くてたまらなかったから、
別の場所に引っ越そうと思ってたのよ」
エル:「ええ、流石に、こんな所にあっては良くないと思……いまして」
全裸の姿に驚くも、精霊とはそんなものだと、自分を落ち着かせます。
キュリオ:「こういう時は、お互い様にゃ」
ヴァル:「お役に立てて幸い……、
こちらも、貴女に用があったのですが、
どうやって、コンタクトを取ったものか、思案していた所で……」
水の精霊:「そういえば、貴方達、さっきから、
何か探してるみたいだったわね? 何してたの?」
ヴァル:「一つは精霊より水を賜るため、もう一つはある花を探して……」
キュリオ:「セントランって花を探してたの……、
あと、精霊さんの水を少し分けて貰いたくて……、
早くしないと、アランが……っ!!」
取り敢えず、事情は包み隠さず説明するよ。
水の精霊:「それって、せ、精霊水のこと?
どうしても、それが欲しいの?」(ポッ☆)
カイン:「何で、頬を赤くするねん?」
水の精霊:「だって、精霊水って、私の体の一部って意味もあるわけで……、
つまり、その……」(もじもじ)
GM:ようするに、Leafでは、
すっかりお馴染みな『綺麗な水』なわけです。
ヴァル:ああ、なるほどね……、
キュリオ:乙女心の複雑さよりも、アランが元気になるのを優先っ!
エル:「あ〜、何となく分かりました。
その、事情も知らず、不躾な発言を謝罪します。
ですが、こちらも急ぎの理由がありますので……」
カイン:なんか、こう、目を血走らせながら、
水筒を持って、照れてる精霊に、詰め寄るキュリオの姿が目に浮かぶ。
ヴァル:ちなみに、アランに必要なのは、
花であって、水ではないのだが……言うだけ無粋か?
キュリオ:カイン、そ〜ゆ〜こと言うと、ネタ好きな人が絵にしそうだから……、
カイン:随時募集中! 描かれた方には、キュリオから愛のお返しが!
ちなみに、ウチの乳出し絵は、描かなくてもええからな〜。
水の精霊:「あと、セントランだけど……、
確かに、このあたりで咲いてるのは見かけるわ。
でも、今の季節じゃ無理ね。
ただでさえ、ここは、環境が厳しいし……、
今の季節で、咲いてそうなのは、
イアル島の……フロルエルモスくらいよ」
エル:「フロルエルモス、というと……あの廃都――」
GM:すでに、あそこは廃都じゃない……、
というか、そういう認識さえ、改められています。
ヴァル(のPL):誠が歴史を変えたからな。
それ以外の人には、花の都としか認識されていない、というわけか。
GM:事実を知るのは、誠とミレイユ……、
あとは、悪戯好きな宝石の爺さんくらい、でしょうね。
エル:では、改めまして……、
「フロルエルモス、というと……、
あの花の都ですか……確かに、あそこならありそうです。
しかし、ここから、あまりに遠い……」
水の精霊:「あっ、でも、あの子なら、何とかしてくれるかも……」
カイン:「なんか、心当たりあるん?」
水の精霊:「この近くに、別のオアシスがあるでしょ?
そこにいる、私の仲間が、花の精霊王と親しいの。
その子に頼めば、もしかしたら……」
と言って、彼女が示したのは、オアシスBがある方角です。
エル:「花の精霊王!? なるほど、それならば可能性はありますね」
カイン:「よっしゃ! 何とかなりそうな感じがしてきたで」
キュリオ:「うん、行ってみる、ありがとう……、
まあ、それはそれとして、お水頂戴?」(笑)
水の精霊:「……水筒、貸して」
水筒を受取った彼女は、水中に沈んでいきます。
で、しばらくして、水面から顔を半分だけ出すと、
キュリオに、水筒を投げ渡し、すぐに隠れてしまいました。
キュリオ:「恥ずかしい思いさせてごめんね……でも、ありがとう!」
エル:「精霊よ、助言と無茶を聞いてくれた事に感謝いたします」
隠れてしまった精霊に、深々と頭を下げます。
カイン:「これ、色んな意味で欲しがる人、多いんやろな」(遠い目)
GM:ぶっちゃけ、かなりの高値で売れますよ。
魔具としても……まあ、色んな意味でも……、(笑)
エル:「……カイン、何か邪な事を考えていませんか?」
ヴァル:GM、ご都合主義を使って、水筒のフタにロックを掛けれるか?
「間違って飲んでしまっては、大変だろう?」
GM:はい、OKですよ。
エル:「それよりも、カインが盗らないかが問題です」
カイン:「酷い! 酷い、エルやん! 酷すぎる!」(ハンカチ噛みながら)
エル:「キュリオ……『くれぐれも』気をつけてくださいね。
それと、カイン……以前、私の懐を探ったのは、誰でしたっけ?」
カイン:「うう、皆の視線を、く・ぎ・づ・け」
リーラ:「痛い視線、ですけどね〜」
キュリオ:「さて、次のオアシスに行くよ!
待っててね、アラン! 絶対に、助けてあげるからっ!」
こうして――
精霊水を手に入れた冒険者達――
だが、セントランは発見できず……、
彼等は、次のオアシスを目指し、砂漠を進む。
果たして――
冒険者達は、キュリオは……、
アランを救う事が出来るのだろうか?
<中編に続く>
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注釈1:リプレイの様子と内容を、分かり易くする為に、かなり加筆・修正・脚色をしています。
注釈2:今回の内容は、あくまでもテストプレイです。
その為、今後、ルールが改訂される場合があります。