GM:では、ふぁんぶら〜ズの諸君……、
今回も、血湧き肉踊る、愉快な冒険を始めましょう。
ライル:その表現、微妙に矛盾して無いか?
GM:キミ達に限っては、これで正しい。
さて、前回、色々とあったわけですが、内容は覚えていますよね?
ケイオス:主に、弟者が嫁をゲットしたな。(笑)
GM:そして、ケイオスは、間接的に妹者をゲット。(笑)
イリス:実は、過去に、ファンブルしていたことが発覚したわ。
GM:過去に、ファンブル……?
ああ、プレイヤーが集まらなかった時に行った、突発セッションの時の事か。
ふぁんぶら〜ズが、アラン、キュリオ、カインと出会う以前の話であり、
アランと知り合う、きっかけにもなった話でしたね。
ライル:あの馬車でのデッドヒートは大変だった。
手綱を握っていたイルスが、
お約束のように、ファンブルして落馬するし……、
イルス:過去の事は忘れようよ……、
GM:まあ、それはともかく……、
そろそろ、セッションを始めるとしましょう。
今回の舞台はダ・カーポでお馴染みの『初音島』です。
よろしくお願いします。
一同:お願いしま〜す♪
『Leaf Quest
TRPG』リプレイ
ふぁんぶら〜ズ冒険譚 4
『そんなバナナ!?』 前編
―― PHASE-01 道化師のロマンス ――
GM:さて、フォルラータの街を出た皆さんは、
大陸西部を北上し、桜観光の為に、初音島へと向かっています。
ライル:うむ、初音島のガイドブックを片手にな。
GM:じゃあ、そのガイドブックを使って、
仲間に、初音島について、軽く説明して上げてください。
ケイオス:「弟者よ、初音島とは、どんな場所なんだ?」
ライル:「初音島には、カザミって街があって……、
まあ、街そのものは、HtHやTHの街と大して変わらないんだが、
他には無い、ちと面白いモノがあるんだ」
イルス:「――何があるの?」
ライル:「一年中枯れない桜、ってやつなんだけど……、
そりゃもう、半端じゃないデカさで、
咲き誇る桜の花も、余所で見るそれの比じゃない。
しかも、それの影響なのか、島中にも桜が咲き乱れていて、
もちろん、全部の桜が、一年中、枯れないんだ」
ケイオス:「ほう……ソレは、様々な意味で興味深いな」
イリス:「桜、か……」
イルス:「それは、一見の価値はありそうだね」
GM:とまあ、そんな会話をしつつ、
アクアプラス大陸と初音島を繋ぐ『ダカーポ大橋』に、皆さんは到着したわけですが……、
ケイオス:「う〜む、話には聞いていたが……大きい橋だな」
ライル:「…………」
大陸側を眺め、ボ〜ッとしている。
ケイオス:「……アロエッテ譲が気になるのか?」
ライル:「……なあ、兄者?」
ケイオス:「どうした?」
ライル:「女の子の体って、柔らかいんだな……」
ケイオス:「うむ、古来から存在する、男への最終兵器だからな………って、何?」
腕を組み、頷いて……、
一瞬の沈黙の後、発言の問題っぷりに気付くぞ。(笑)
イリス:「…………」
無言で、ライルから距離をおく。
イルス:「そうなの? って言うか、どうしたの急に?」
発言の意味が分からず、首を傾げる。
ライル:「――えっ!?」(←ここに至って、自分の発言が意味する事に気付いた様子)
ケイオス:「まぁ、アレだ……、
弟者も大人の階段を上った、と言う事だ」
ライル:「あ、あ、あ、い、いや、それは別に、そういう意味じゃなくて……、
今のは、その、抱きしめた時の感触の事を言っただけで……、
その、オレと彼女は、今、現在は清いままであって……!!」
ケイオス:「『今、現在は』か……、
いつかは、ステップアップするつもりなのだな」(邪悪笑い)
イルス:「……え、えぁぁっ?」
少し間を置いて、理解したのか、ちょっと赤くなる。
イリス:「…………」
スタスタと、一同を無視して、先に進む。
ライル:「と、取り敢えず、橋を渡るべし!
おーけー、れっつごー!!」
ケイオス:「いやはや……若いってのは素晴らしいねぇ」
笑いながら、ライルの後に続くとしよう。
GM:と、そうやって、ライルをからかいながら歩いていた為、
ケイオスは、前方不注意で、ちょうど、すれ違おうとしていた女性に、ぶつかってしまいます。
???:「――きゃっ!?」
ぶつかった女性は、ぽすんっと尻餅をつきます。
ケイオス:「むっ……失礼、大丈夫かね?」
女性に手を差し伸べるぞ。
ライル:ここは、兄者に任せるのが礼儀だな。
???:「いえ、こちらこそ……ボ〜ッとしていて……」
差し出された、ケイオスの手を握ります。
GM:さて、ケイオス……キミは、この女性に見覚えがあります。
ケイオス:ま、まさか……、
58年前に生き別れた妹!?
GM:違うっ! 歳いくつだ、お前はっ!
『17才頃の、ポニーテールと大き目のリボンが似合う女性』と言えば……分かりますかね?
ケイオス:――ぶっ!?
他一同:おや〜?
ここで、ケイオスが驚くのには訳があります。
実は、事前に、ケイオスのPLから、
彼に関する、裏設定を頂いており、この女性は、
その設定にある女性に、酷似しているのです。
設定にあった女性とは、誰なのか……、
それについては、
今後のセッションで明らかになるでしょう。
ケイオス:「…………」
驚愕に目を見開き、思わず手から力が抜けるな、それは。
???:「あの、どうかされましたか?」
ケイオスの様子に、女性は首を傾げています。
そんな女性の後ろには、彼女に隠れるように、
薄黄色の髪を持つエルフの少女がいます。
ケイオス:「いや、失礼……かつての知り合いに、余りにも酷似していたものでね」
ぎこちない笑みを浮かべておこう。
ところで、GM、そのエルフの子に見覚えは?
GM:こっちには見覚えはありません。
???:「そうですか……」
女性は、改めて、ケイオスの手を借り、立ち上がります。
ライル:「どうやら、俺達は居るだけ野暮かもしれないな?」
そう言って、じりじりとさり気なく、そ〜っと後ろに下がる。
イルス:「えっ? あぁ、うん?」
ナーフに、ちょっと引っ張られつつ、一緒に下がる。
ケイオス:「……さり気ない逆襲だな、弟者」
ライル:『逆襲だなんてとんでもない。
あの時、俺にとって、兄者は、キューピットのようだったと思ってるさ。
だから、今度は兄者が……ねえ?』
ケイオス:『気のせいか、目が泳いでるように思えるが?』
ライル:『気のせい、気のせい』
イルス:「……さっきから、何をアイコンタクトしてるの?」
ライル:「ん〜、魂の兄弟の会話、ってやつかな?
兄が弟を何かと気にかけるように、弟もまた、兄が気にかかるものなのさ」
???:「――あら?」
立ち上がった女性は、ふと、ケイオスの胸元を見ます。
とうやら、ケイオスのスーツのボタンが取れ掛かっているのに気付いたようです。
ケイオス:「どうしたのかね?」
???:「ボタン……取れ掛かってますよ」
そう言うと、女性は、荷物から裁縫道具を取り出し、手際良く縫い直し始めます。
ケイオス: 「……あ〜、その……すまない」(珍しく狼狽)
何をやってるんだ、私は……と、思わず自嘲したり。
ライル:「うんうん、出会いの季節なのかなぁ」
???:「(ちくちくちく)はい、終わりました♪
男の人だからって、だらしないのはいけませんよ。
次は、ちゃんと恋人さんにでも直して貰ってくださいね」
ケイオス:「みっともないところを見せたな……(頬をポリポリ)」
???:「それでは、失礼しますね……行くわよ、エルト」
エルト:「うん……アヌーラ……」
GM:と、エルトというエルフ少女と手を繋ぎ、
アヌーラと呼ばれた女性は、大陸の方へと歩いていきます。
ケイオス:(彼女は、『彼女』ではないというのに……、
私は、何故、未練を感じているのだろうな……)
GM、アヌーラ達の進行方向は、我々とは逆なのか?
GM:皆さんは初音島へ向かっていますから、逆ですね。
アヌーラ達は、初音島から、大陸へと出てきたところのようです。
ケイオス:「あ〜、ちょっと良いかね?」
思わず、アヌーラとエルトを呼び止めてしまうぞ。
アヌーラ:「はい? 何でしょう?」
ケイオス:「これでも、一応、手品を齧った身なのだが……、
急ぎでなければ、今の礼に、ささやかながら、
手品を披露させてもらっても、良いかね?」
恥ずかしそうに笑いつつ、こっそりと手品のネタを準備しよう。
ライル:む、むむ!? やけに積極的だな? だが、それがいい!
アヌーラ:「まあ、素敵ですね……是非、お願いします」
と、微笑むアヌーラ。
それに、連れのエルトも、興味を持ったようです。
ケイオス:「今より始まりますは、小さいながらも幸せをもたらす喜劇なり。
僅かなりとも、喜んで頂けるのならば幸いでございます」
大袈裟に身振りをし、礼をしながら……手品のタネを素早く仕込む。
イルス:「気分は野次馬〜」
橋の手すりに寄り掛かって眺めていよう。
ライル:「俺達は、遠くで何時も見守っているぜ、ふぁいとだ、兄者」
ケイオス:しかし、手品技能はLV1……、
上げておけば良かったと、ちょっと後悔しつつ(ころころ)5だな。
GM:う〜ん、その出目では、さすがに……、
イリス:何なら、フォローするわよ?
ケイオス:おお、助かる。
イリス:どうにかして、全員の視線を逸らしてくれない?
ケイオス:では、礼をした状態で、
無理にタネを仕込もうとして……派手にコケて見せよう。
ライル:「あちゃ〜……らしくないな〜」
ケイオス:「ははは、上手くいかないモノだね。情けない手品で申し訳ない」
苦笑しつつ、懐から、何故か無事だった造花を2本取り出す。
コレを、早業で2本とも花束へ変えて見せよう。
GM、ギブミー判定チャンス!
GM:良いでしょう。今度は、そちらの手品技能と、アヌーラの技能無し値で判定勝負です。
ケイオス:すまん、ここでヒーローダイスを使わせて貰う!
(ころころ)11だっ!
GM:アヌーラは(ころころ)6ですね。
見事に、ケイオスの手品は成功しました。
イリス:死角から出現して、私が花になるつもりだったんだけど……まあ、いいか。
ケイオス:むっ、それは悪い事をした。
ライル:まあ、こういうのは、先にやったモン勝ちだからな。
GM:ポンッと音を立て、小さな煙が出ると同時に、造花が花束に早変わり。
アヌーラ達は、驚きのあまり、目を見開いています。
ケイオス:「驚き、楽しんで頂けたのならば幸いでございます」
笑みを浮かべながら、花束を、アヌーラとエルトへ手渡そう。
ライル:「おおっ、名誉挽回だな、兄者」(パチパチ)
ケイオス:「……実は、寿命ちょっと縮んだ」(笑)
ライル:(しかし、二度目の真剣な眼差し……、
芸に対する誇り故か? それとも……?)
アヌーラ:「ありがとう、素敵な手品師さん♪」(パチパチ)
アヌーラは、花束を受け取り、一つをエルトに渡します。
と、そこで、皆さん、今更ながら、
エルトの手に、桜の木の枝が握られているのに気付いて良いです。
ライル:「んっ? 桜?」
ケイオス:「お土産かね?」
アヌーラ:「あ、いえ、これは……すみません。
桜は弱い木だから、折っちゃダメって言ったのですが……」(ペコペコ)
ケイオス:「まぁ、良いんでないの?
話に聞く限りだと、常識を余裕で超越してそうな桜だし」(←それで良いのか年長者)
ライル:年長者が良いのなら、それで良いのだ。(笑)
ケイオス:「しかし、まぁ、他の桜は折っちゃダメだぞ?」
笑いながら、エルトの頭を撫でよう。
エルト:「うん……ごめんなさい」(ペコリ)
ケイオス:「うむ、素直なのは良い事だ」
いつもの怪しい笑みとは違う、穏やかな笑みを浮かべる。
アヌーラ:「ありがとうございます、良い思い出ができました……、
それでは、道中、お気をつけて」
エルト:「……バイバイ」
ケイオス:「いや、こちらこそ……ボタン、助かった。
女性のみの旅は危ないから、気をつけるようにね」
GM:二人は、手を繋ぎ、大陸の方へと歩いていきます。
そして、もう、姿は見えなくなりました。
ケイオス:「……すまないね、待たせてしまって」(苦笑)
ライル:「いや、いや、なかなか貴重なもの見せてもらったし、そこはトントンさ」
イルス:「うん、そうだね」
ケイオス:「そう言ってもらえると助かる。
イリスもありがとな、フォローの準備してくれて」
イリス:私は、もう既に、遥か前方を歩いてたり……、
ケイオス:「――あらら?」
ライル:「まあ、イリスは、ああいう奴だからな」
―― PHASE-02 バナナの島? ――
GM:さて、そんな心温まる場面もあったわけですが……、
気を取り直し、橋を進むと、島一面が『黄色』に染まった、
初音島の景色が、皆を出迎えてくれます。
イルス:……黄色?
GM:はい、黄色です……、
しかも、何か甘い匂いが漂ってきます。
ライル:今の季節って、何だっけ?
GM:初音島の桜は一年中咲いてるので、色が変わることは無いですよ。
ライル:「桜色の景色なら分かるが……ありゃ、何だ?」
ケイオス:「ん〜む、そこはかとなく騒動の予感だな」
GM:で、初音島に到着すると分かるのですが、
初音島中の桜の花が、全部、バナナに変わってるんです。
イルス:「…………」
ケイオス:「何と言うか……甘味には、不足しなさそうだな」
ライル:「バナナん、バナナん、バ・ナ・ナ♪(じゃじゃじゃん)
なんてやってもしょうがないか」
GM:微妙に錯乱してますかね?
ライル:「おやつには、不自由しなさそうだが……いやはや」
GM:バナナは、おやつに入りません。
ライル:いや、それは、永遠に決着のつかない命題だ。
GM:まあ、そんな感じで、あまりの光景に、
少し現実逃避しつつ、皆さんは、初音島にある自然都市カザミに到着します。
街の人々も、このバナナ事件に、かなり困惑している様子ですが、
何か害があるわけでもないので、一応、普通に生活を送っているようです。
ライル:街にある桜も、バナナになってるのか?
GM:バナナですよ、島一面バナナ。
これぞ、まさしく、バナナパラダイスです。
イルス:「……どうなってるんだろう?」(もぐもぐ)
GM:うおっ、もう食ってやがる!?
ライル:――順応性早っ!!
ケイオス:「う〜む……美味いのが、何故か癪に障る」
と、通りすがりの酒屋で売ってたバナナ酒を飲みつつ。(笑)
ライル:「取り敢えず、依頼事が無ければ、
バナナ食い倒れツアーでも――って、アンタも順応性早いよっ!」
GM:ってか、バナナ酒って何だ?
ケイオス:「食い倒れツアーか……それも良いかもな。(ぐひぐび)
それとな、弟者……何でも楽しむのが、人生のコツだぞ?」
イルス:「さんせ〜」
イリス:「良いのかな? 勝手に食べて……」
GM:と、皆さんが、今後の予定を決めかねていると、
何処からか、騒がしい声が聞こえてきます。
ってゆ〜か、皆さんへと向かってきます。
???:「うわ〜ん! 美春は何もやってませんよ〜っ!!」
と、誰かに追われているのか、一人の少女が、皆に向かって逃げてきます。
そして、その少女は、まるでわんこの如く、皆さんの後ろに隠れてしまいました。
ケイオス:「……ふむ?」(ぐびぐび)
ライル:「わっ、わっ……って、こらっ、お譲ちゃん!?」
慌てつつも、少女が逃げてきた方を見てみる。
GM:では、逃げてきた少女を追って来たのか、
黒髪の少年と、黄色いリボンを髪に結んだ少女が駆け寄ってきました。
???:「待ちなさい、美春っ!」
???:「に、逃げるな、このわんこが……、
あ〜、もう、かったるい真似させやがって……」(ハアハア)
ケイオス:な、何がなんだか……、
美春:「朝倉先輩も、音夢先輩も信じてください〜!
ホントに、美春は知らないんですよ〜っ!」
少年:「うそつけっ! バナナと言えば美春! 美春と言えばバナナだろうがっ!
こんな真似するのは、お前くらいしかおらんっ!」
美春:「その言い分は、ご尤もなんですけど、美春には、身に覚えが無いんですよ〜!」
ライル:「双方、かなり興奮しているようだから、仲裁に入るべきなんだろうか?」
ケイオス:「……ふむ、落ち着け、少年よ」
ライル:「え〜っと、美春ちゃん……?
君も、取り敢えず、落ち着いてくれんか?
その、俺達を間に挟んで怒鳴りあってたら、
さすがに、お兄さんお姉さん達も困ってしまうわけで、な?」
GM:少年は美春を捕まえようと必死で、ケイオス達の声は聞こえていないようです。
美春と一緒になって、皆の周りを、グルグルと回っています。
イルス:「え〜っと、困ったな……」
イリス:じゃあ、少年の腕を掴もうかな。
ケイオス:「……さて、どうしたものか?」(くびくび)←まだ飲んでる。
ライル:「その1:兄者のデッドエンド炸裂、
その2:ナーフに突付いてもらう、
その3:……あ、いいや、無し」(汗)
ケイオス:「……弟者が唄う、か?」(クックックッと邪悪笑い)
ライル:「ああっ、だから、無しと言ったのに!」
ケイオス:「ふはははははは、すまんすまん」
弟者の肩をペシペシと叩く。
GM:で、追い駆けっこを続ける二人に、皆さんが困っていると、
純一に遅れてやって来た、黄色いリボンの少女……、
音夢が、皆さんに、申し訳無さそうに、頭を下げます。
音夢:「す、すみません、お騒がせしちゃって……、
もう、兄さんも美春も、いい加減、落ち着いてくださいっ!」
少年:「うっ、すまん、音夢……」
美春:「はいです……」
GM:音夢に一喝され、ようやく、二人は落ち着いたようです。
ライル:どうやら、こっちの音夢って子が、
その、何と言うか……リーダーっぽい?
何となく、この三人の関係が分かってきたぞ、うんうん。
大人の階段を数歩上ったせいか、男女関係については、多少『鋭く』なったのだ。
ケイオス:成長したな、弟者。(ほろり)
ライル:うむ、兄者のおかげだ。
GM:で、少年達は落ち着いたようですが……?
ケイオス:「まぁ、アレだ。通り掛かったのも何かの縁……、
差し支えなければ、どういう状況なのか教えてもらっても良いかね?」
イルス:「……バナナがどう、とか言ってたけど、一体、どうしたの?」
少年:「え、え〜と……取り敢えず、腕放してくれるか? 音夢の目が怖い」
怯えた様子で、少年はイリスに言います。
イリス:「……〜♪」
口笛を吹きながら、無視する。
少年:「(諦めた)……もしかして、あんたら冒険者か?」
ケイオス:「まあ、一応、そうなるかな?」
イリス:「そんなトコね」
と、今度は背後に回って、肩を寄せてみたり。(笑)
音夢:「さくらちゃんの次は美春が巻き込んじゃったの?
ウチって、こんなのばっかり……って、兄さん、さっきから、
そちらの女性と、随分と仲が良さそうですね〜」(怒)
イリス:「あら、わかる〜♪」
と、面白がって、しなだれかかってみたり。(笑)
ライル:「あ〜、彼女は気にしなくていいよ
取り敢えず、彼を捕って食うつもりないから」
美春:「それでもダメなんですよね、音夢先輩の場合……
イリス:「……食っちゃった方が良いの?」
ライル:「あ、キミも煽らない……」(汗)
ケイオス:「う〜む、愛されてるな、少年! はっはっはっ!」(他人事な笑い)
ライル:「その気があるならやってみるといいが……、
まあ、あの音夢って子の様子だと、タダ事では済まなさそうだぞ?」
イリス:「まあ、冗談は、この辺で収めましょう……」
少年:「と、とにかくだ、ちょっと落ち着いて話そう。
お前らも、これ食って、落ち着け」
と、少年は、手から和菓子を出すと、それを音夢、美春、イリスに渡します。
ライル:「ふむ? 兄者の手品とは、また違うかな?」
少年:「ああ、俺のは……魔術だからな」
と、もう一つ出して、ライルにも渡します。
少年が使う、この和菓子の魔術は、自分の体のカロリーを、
和菓子に変換して、手から生み出すのです。
ライル:「おお、ありがとう」
ケイオス:「あ〜、なるほどな……」
少年:「え〜っと、騒がせて悪かった……、
俺は朝倉純一、こっちが妹の音夢で、後輩の天枷美春だ。
ちょっと相談したいことがあるんだが……俺の家まで来てくれないか?」
ライル:「断る理由も無いし、それじゃあ、寄らせてもらうよ」
ケイオス:「ああ、了解した」
ライル:しかし、あの音夢って……、
年は、アロエッテと同じくらいか、少し上か……、
なんか、彼女も、この子みたいになりそうな感じだな〜。
―― PHASE-03 朝倉宅にて ――
???:「お帰りなさい、純一、音夢!
ねえ、美春は……見つかったみたいね」
純一:「ああ、ただいま、アイシア……」
GM:場所を移して、ここは朝倉宅……、
家に入ると、緑色のリボンを着けた少女……、
アイシアが、純一達と皆さんを出迎えてくれます。
ライル:三人目の女の子……、
妙に、その、華やいでるよな……色んな意味で。
アイシア:「……誰? お客様?」
ライル:「あ、どうも……お邪魔します」
ケイオス:「――失礼する」
純一:「彼らは冒険者なんだ……、
今回の件で、相談にのって貰おうと思って、連れて来た」
GM:というわけで、純一は、皆さんを居間に通します。
そして、アイシアが、皆にお茶を振舞うと、
それを飲みつつ、純一は話を始めました。
純一:「さてと、相談ってのは……当然、もう、この島の状態は分かってるよな?」
ケイオス:「まあ、ね……」
イリス:「在るべきモノが無く、在り得ないモノがある」
ライル:「桜の島がバナナの島になってる、問答無用で異常事態だな」
イルス:「バナナ、美味しかった」(←そうじゃない)
ライル:「尤も、現状では、バナナ酒は飲んだくれるは、
食い倒れツアーを企画しようとするわで、実害は無さそうだが……」
純一:「年中、桜が咲いてるってのも充分に異常だ。でも、この島では、それが当たり前なんだ。
なのに、今朝、起きてみたら、島中の桜がバナナになっちまってる。
確かに、実害は無いんだが、一応、この島にとって、
桜ってのは、割と重要な観光資源ってやつなんだ。
まあ、一般市民の俺が、気にする事でもないのかもしれんが……、
この島の桜には、個人的に関わりもあるんでな……」
ライル:「そりゃ、枯れない桜を見に来て、
バナナツアーでは、ガックリくる人もいるだろうな」
ケイオス:「食いしん坊は、大喜びだろうがな……」
純一:「で、この惨状を見た瞬間、俺は『美春が原因に違いない!』と思って、
美春を問い詰めようとしたら、あいつ、いきなり逃げ出して……、
それで追い駆けてたら、あんた達と出会った、ってわけだ」
イリス:「わかんないな〜、それで、どうして、あの子(美春)が疑われるわけ?」
純一:「……あれを見れば、納得できると思うが?」
と言って、純一が庭を指差すと、
そこには、庭のバナナを嬉々として食べる美春の姿があります。
しかも、すでに、食べ終えたバナナの皮は山のようです。
ケイオス:「……説得力がありすぎて困るな」
イルス:「何処に入ってるんだろう?」
ライル:「バナナと言ったらゴリラがイコールなんだが、
これからは、少女も連想の選択肢に含めんとな〜」
純一:「この状況で、一番、得をしている奴は誰だ?」
ライル:「――アレ」(←美春を指差す)
イリス:「この島の住人は、一人だけで、全てを制覇できる、何か強大な術を持ってるの?」
純一:「住人は、至って普通だと思うぞ……、
ただ、この島自体が、ちょっと特殊でさ……、
『願いを叶える桜の木』って、聞いた事あるか?」
イリス:「――無い」(←PLも無い)
ケイオス:判定OKかね?
GM:自分が持つ、一番高い特殊技能で判定してください。
一同:そ〜れっ!(ころころ)
ライルとイリスの出目が悪いが、
この判定は、全員、無事に成功する。
元々、噂としては有名だと思うので、目標値は低めなのだ。
GM:では、皆さんは、初音島には、
どんな願いをも叶える桜の木が存在する、という噂を聞いた事を思い出します。
ライル:「……まあ、噂程度なら」
ケイオス:「正直、御伽噺の類と思っていたが……」
イルス:「うん、聞いた事はあるけど……えっと、まさか?」
純一:「だから、その桜の木が、美春の願いを叶えたんじゃないか、ってな」
ライル:「その推測は、あながち間違いではなさそうなのが厄介だな」
イリス:「……だったらそれって、あの子じゃなくて、桜の木のせい、じゃないの?」
ケイオス:「ただ、な〜んか違和感があるんだがなぁ……」
ライル:「本人が頑として否定してるのを見るとな〜」
美春:「違いますよ〜! そりゃあ、島中がバナナになったら、
美春は嬉しいですけど、だからって、美春は、こんな真似しませんよ〜」
ライル:「わーった、わーった! そこまで疑ってないから心配するな」
イリス:「桜の木って、そもそも何なの?」
純一:「実は、俺にもよくわからん。
俺が知ってるのは、あの木は、俺のばーちゃんが植えた、ってことくらいだ。
詳しいことは、さくらが知ってると思う」
GM:ちなみに、純一が言う『さくら』とは、彼の幼馴染の『芳乃さくら』のことです。
ライル:また一人、女性の名が出てきたか……、(汗)
イリス:「桜の事はさくらに訊け、か……それが手っ取り早そうね」
純一:「さくらなら、隣の家に住んでるけど……話を聞いてみるか?」
ケイオス:「そうだな……情報は、多ければ多いほど良い」
イリス:「案内してくれるの、純・一・君?」(ぴとっ)
純一:「ああ、そりゃ、もちろん……って、何故にくっつくっ!?」
イリス:「な〜に言ってるの、私とあなたの仲じゃない」
と、音夢に流し目してみたり。(笑)
ケイオス:「はっはっは、モテモテだな、少年」(他人事な笑い)
ライル:「おいおい、あんまり冷やかすのも考え物だぞ、兄者、イリス……」
音夢を横目で見ながら、冷や汗を流す。
音夢:「…………」(ギリギリギリギリ)
芳乃宅に向かう間、音夢は、何やらドス黒いオーラを発しています。
ケイオス:「……確かに、下手すると、少年が折檻されてしまうな」
ライル:頼むから、アロエッテは、こうはならないでくれよ……、
う〜ん、でも、やっぱりヤキモチ妬いてくれるのは、
可愛いかな〜なんて思ったり……、(ブツブツ)
―― PHASE-04 芳乃宅訪問 ――
GM:とまあ、そんな緊張感の中、芳乃宅に着くわけですが、
どうやら、さくらは留守のようです。
ケイオス:「む……困ったな」
ライル:「タイミングが合わなかったか」
純一:「ったく、かったりぃな……、
ばーちゃんが、何か残してるかもしれないし……漁ってみるか?」
ライル:「おいおい、いいんか?」
純一:「ここは、俺のばーちゃんの家だからな。まあ、良いだろ?
さくらだって、ウチに勝手に上がりこんでくるしな」
と言って、純一は、鍵の隠し場所から、鍵を取り出すと、
玄関の戸を、アッサリと開けてしまいます。
ライル:「いや、それとこれとは……って、まあ、後の処理は純一君がやってくれるとして」
GM:では、探索開始です。芳乃宅は平屋建ての木造建築。
割と広いですが、住んでいるのはさくら一人なので、あまり生活観はありません。
怪しそうな場所は三つ……さくらの部屋、書斎、倉庫です。
三組に分かれて行動してください。
ちなみに、純一達も分かれて同行するので、ヘンな真似はできませんよ。
ケイオス:取り敢えず、私みたいなのが、
うら若き乙女の部屋を漁るのは色々と問題がありそうなので、
書斎を探索する事にしよう。
イルス:じゃあ、ボクは倉庫にいくね。
ライル:では、俺はイルスに付き合おう。
イリス:私は、純一と探す。(笑)
純一:「じゃあ、俺は、さくらの部屋を――」
イリス:「そっか〜、じゃあ、一緒に行きましょ、純一君」
音夢:「兄・さ・ん・は、別の場所を探してくださいね」(にっこり)
そんな二人の間に、音夢が割って入ります。
というわけで、イリスは、音夢と、さくらの部屋に行ってくださいね。
ライル:ひぃ〜っ! おーまいあろえって、おーまいあろえって!(がくがくぶるぶる)
イリス:え〜、純一君の一緒じゃないの?
GM:キミが本気かどうかはともかく、
そこまで、あからさまにされたら、邪魔もしますよ。
ケイオス:「まぁ、アレだ……愛されてるな、少年」
イリス:「そうね……行きましょうか、妹」
そういう事なら、行動パターンを変更してみましょうか。
音夢:「妹って……」(ふるふるふる)
GM:では、書斎へは、ケイオスとアイシアが……、
倉庫へはライル、イルス、美春……、
さくらの部屋に、イリスと音夢、で良いかな?
一同:OK〜♪
GM:では、ここからは、各班、別々にやっていきましょう。
<シーン1:さくらの部屋 〜イリスと音夢〜>
GM:では、まず、イリスからね、
イリスと音夢は、微妙な空気を醸し出しつつ、さくらの部屋にやって来ました。
畳敷きの部屋で、目立つ物は、大量の本が納まった本棚と、勉強机しかない、
割とシンプル、と言うか、飾り気の無い部屋です。
イリス:「……ね〜ね〜、妹?」
家捜しつつ、音夢に話し掛けてみよう。
音夢:「……な、何でしょう?」(ピクピク)
イリス:「なんで、アンタは妹なの?」
音夢:「えっ? それって、どういう……」
イリス:「うん、あんまりにも隣にいるのが自然すぎるから」
音夢:「い、妹なんですから……家族なんですから、そんなの当たり前です」
イリス:「他にもいるでしょ? 隣に相応しい子」
音夢:「……誰を選ぶかは、兄さんの自由です」
イリス:「じゃあ、誰でも良いんだ?」
音夢:「そ、そうですね……でも……」
イリス:「うん、な〜に、妹?」(ニンマリ)
音夢:「尤も、あのミスターかったるいの兄さんの面倒を見れる人なんて、
そうそういないと思いますけど」
イリス:「そ〜お? 風来坊とか、案外合うかもよ?」
音夢:「……何か、見つかりましたか?」
その話はこれで終わり、とばかりに、音夢は話題を変えます。
イリス:「うん、純一君オンリーアルバム集♪」
音夢:「――見せてください」
イリス:「ダ〜メ、これは勝手に見るモンじゃないでしょ?」
と言いつつ、既に懐に収納済み。
音夢:「それ、持っていかれると……、
私は、警察に通報しなくちゃいけなくなるんですけど……?」
イリス:「隠し撮りされた物は、本人に提供しなきゃね」
音夢:「わかりました……見たりしませんから、
ちゃんと、元の場所に戻しておいてくださいね」
ちなみに、この子、後で回収する気満々です。(笑)
イリス:「うん、了解」
回収した本とは、別の本を元の場所に戻す。
GM:(おいおい、良いのか……?)
イリスの、この軽率な行為に、GMは、ちょっと首を傾げる。
PL本人は、冗談のつもりでやっているのだろうが、
PCイリスの行為そのものは、明らかに窃盗である。
まあ、後で純一に返す、と言っているので、別に良いのだが……、
とはいえ、NPCの監視の下、許されているのは、
家捜しする事だけで、家にある物を持って行って良いとは、誰も言っていない。
いくらゲームの中の事とはいえ、常識は弁えるべきだと思う。
その行動には責任があり、場合によっては、
その行為が、最悪の結果(NPCの死など)を招く事にもなるのだ。
ここで、PLを注意する事も出来たが……、
まあ、話の流れが悪くなるし、
本人も、ノリでやっているのだから、スルーしておこう。
でも、音夢だって、ちゃんと警告したんだから、今後は気をつけてね。
GM:さて、脱線話は、それくらいにして……、
イリスは、ガンリスンガー判定してください。
イリス:じやあ、ヒーローダイスを使うわ。
1d6をプラスして(ころころ)17ね。
GM:さくらの机の上に、書き掛けの書類を発見しました。
その内容は、願いを叶える桜の木のメカニズムについての仮説が書かれています
で、その仮説の内容ですが、要約しますと……、
願いを叶える桜の木は、島中の桜の木を介し、島の住人の願いと魔力を集める力を持ってる。
そして、集めた魔力を使い、強く、真摯な想いを持つ者の願いを叶えるそうです。
だが、さくらの仮説では、桜が集めるのは、人々の願いだけ。
木々を繋ぐラインを維持するための魔力は集めているが、
それは願いを叶えられるほどの量ではない。
ならば、桜の木は、どうやって願いを叶えるのか……?
その答えは、簡単……、
桜の木を植えたのは、さくらの祖母で、その祖母は、魔術師なのだ。
ならば、魔術師の基本に立ち返れば良い。
すなわち、「足りないものは他から持って来る」ということ……、
って、ところでしょうか。
イリス:「あら……ビンゴ?」
GM:あと、その成功度なら、本棚に聖杯に関する書物が多数あり、
その事から、さくらが、聖杯について調べているらしい、という事がわかります。
イリス:――聖杯かいっ!?
GM:とまあ、発見できたのは、そんなところです。
あと、聖杯について、イリスが知っているかどうかは、
メイガスかエクソシストで判定してください。
イリス:両方とも無い。
GM:じゃあ、知らない事になりますね。
イリス:「聖杯か……何だろう?」
<シーン2:書斎 〜ケイオスとアイシア〜>
GM:じゃあ、次は書斎に行ってみましょう。
書斎は、どうやら、あまり使われていないようです。
本棚に収まりきらない程の、数多くの書物が、雑多に積み上げられています。
アイシア:「芳乃のおばあちゃんが集めた魔術書か〜……楽しみです♪」
ケイオス:「そんなに凄い人物だったのかね?」
アイシア:「そりゃあもう! 立派な魔術師だった、って、私のおばあちゃんも言ってました♪
すごい魔術で、たくさんの人を幸せにしたんですよ」
ケイオス:「そうか……(新たな力を得る手助けになるかもしれんな)楽しみだ」
GM:では、メイガス、アルケミスト、エクソシストで判定してください。
ケイオス:(ころころ)9……低いな。
GM:ギリギリってところですね。
ケイオスは、聖杯について、詳細な考察が書かれた本を発見します。
それらの本を読んでいると、本の一部に、付箋が貼られているのに気付きます。
そのページには、所々に下線が引かれており、
『大聖杯』『小聖杯』『端末』『サクラ』『神の場所』とあります。
本が古くて、これ以上は読めそうにないです。
ケイオス:「……『聖杯』?」
聖杯について、メイガス判定(ころころ)12だな。
GM:その達成値なら知ってます。
まあ、実際、魔術師とかには、有名な話でしょうしね。
聖杯とは、無尽蔵に蓄積された魔力で、あらゆる願いを叶えると云われる願望器のことです。
ケイオス:「ここに手掛かりがあるとはな……、
願いを叶える桜の木、そして、文献に出ている『聖杯』……取り戻せるのだろうか」
ぼそり、と暗い声で呟く。
アイシア:「……取り戻す? 何をです?」
ケイオス:「……え? ああ、いや……なんでもない」
(ダメだな、『彼女』に酷似した少女らに会ったせいか、思うように感情を抑制できない)
苦笑し、本を書棚に戻すぞ。
<シーン3:倉庫 〜ライルとイルスと美春〜>
GM:では、最後に倉庫にいきましょう。
倉庫のの戸をガラッと開けた途端、
積もり積もった埃が、外気によって、一気に巻き上がります。
役立ちそうなもの、ガラクタとしか思えないものが、埃に埋まり、山となっています。
美春:「ケホッケホッ……埃が凄いですねぇ〜」
ライル:「う〜む、さすがに年季が入ってるなぁ」
イルス:「埃っぽいよ〜……」
あまり埃を散らさないように探すよ。
ライル:「おっ、この髪飾りなんかは、アロエッテに似合いそうだが……ブツブツ」
GM:では、ここで、エージェント判定です。
目標値を10として、失敗するまで何度もやってください。
ライル:(ころころのころ)二回成功したぞ。
GM:じゃあ、ライルは『謎の頭飾り』と『謎の眼鏡』を発見しました。
メイガスか、アルケミストで鑑定すれば分かるかもしれません。
ライル:あっはっはっ! 二人とも無い!
後で、兄者に鑑定してもらうしかないな。
GM:まあ、それは後でやってください。
で、それ以外にですね、イルスは、割と最近の物っぽいアルバムを発見しました。
しかも、そのアルバムの中に収められた写真に、一枚、不思議なモノを見つけます。
イルス:「……あれ?」
GM:なんと、その写真には、美春が二人、写っているんです。
違いと言えば、二人目の美春には、犬耳犬尻尾がついてる、くらいですね。
イルス:「……あれれ?」
ライル:「…………」
写真を見て絶句しよう。
―― PHASE-05 美春とミハル ――
ケイオス:さて、家捜しも終わったところで、情報を整理しようか。
私は、聖杯に関する書物を見つけたが……
イリス:魔術理論は、サッパリなのよね。
見つけた書類の内容を、かいつまんで話すわよ。
ライル:俺達は、妙な写真を見つけたんだが……、
その前に兄者、これの鑑定をしてくれないか?
GM:倉庫で見つけた物ですね。
鑑定するなら、目標値8で、メイガス判定してください。
ケイオス:では、まずは『謎の眼鏡』から(ころころ)……ぶっ! 1ゾロ!?
一同:きたきたきた〜っ!!
ケイオス:ファンブル表は(ころころ)『11:自分に被害が出るが有利な結果も及ぼされる』。
GM:いつものやつですね……、
どうして、このPTって、ファンブル表の出目が11ってのが多いのかな?
まあ、それはともかく、鑑定中に、ケイオスは、つい、眼鏡を装着してしまいました。
では、ケイオス、その時、キミは誰を見ましたか?
ケイオス:こういう時は、当然、ダイスで決めよう。
1:NPC 2:イリス 3:イルス 4:ライル 5:NPC 6:NPCで判定だ。
(ころころ)5だから、NPCだな。
GM:では、1:美春 2:純一 3:音夢 4:美春 5:アイシア 5:他 6:他で……、
ケイオス:(ころころ)ふむ……3だから、音夢譲だな。
ライル:――きたぁっ!
GM:ここで狙ったように音夢か……、
じゃあ、ですね、ケイオスは、眼鏡を装着した瞬間、その眼鏡の効果を知ります。
実は、その眼鏡は、透視眼鏡なんです。
ケイオス:――なに?!
GM:……ただし、魔力限定の、ね。
ケイオス:ふむふむ、それで、音夢譲を見てしまったわけだな?
GM:で、音夢を見たケイオスは、彼女の胸の部分が、
ぼんやりと緑色に光っているのが見えます。風属性の魔力っぽいですね。
ケイオス:「……む、ちょっと良いかね?」
音夢:「……何ですか?」
ケイオス:「いや、君から風の魔力を感じるのだが……何か護符とかを身につけているのかね?」
胸から、って言うと間違いなく惨劇の幕が上がるな。(笑)
ライル:(兄者、それ以上は言うな、言わないでくれえっ!!)
音夢:「――っ!?」
ケイオスに指摘され、心当たりがあるのか胸を両手で隠します。
で、どこから取り出したのか、広辞苑を片手にニッコリ微笑みます。
「え、ええ……御守りみたいなものです。
でも、大した物ではないので、お気になさらず」
(意訳:それ以上、喋ったら、どうなるかわかってますよね?)
ケイオス:「OK、把握した。誰も『水増ししている?』なんて言ったりしないから、
その物騒なモノを下ろしてもらえるかね?」(←自ら地雷踏む)
音夢:「ふ、うふふふふ……」
大きく広辞苑が振り上げられ、投擲っ! ケイオスの顔面に直撃します。
ケイオス:「ぎゃああああああっ!!」
イルス:「あああああの、音夢さんっ!?」
ライル:「ひぃぃぃぃぃっ! だ、だから言ったのに〜……」
イリス:「純一君、こわ〜い♪」
音夢:「この件は、他言無用ですからね……兄さん達も」(にっこり)
ライル:「あの、その……音夢さん? 兄者も、それ相応の目に遭ったから、
それくらいで勘弁してやってください、おねがいします」(ぺこぺこ)
イリス:純一をギュッと羽交い絞めして、ガタプルガタプル。
音夢:「本当に、本当に誰にも……特に杉並君とかには言わないでくださいね」
ちなみに、杉並ってのは、純一の悪友でトラブルメイカー……、
まあ、ようするに、こみパで言うところの九品仏
大志みたいな奴です。
ライル:「いえいえ、とんでもない!
絶対に言いません、忘れました、水増しなんてっ!!」
ケイオス:弟者ぁぁぁぁぁーーーっ!!
音夢:「ライルさん……そんなに叫びたいですか?」
ライル:「あっ……」(硬直)
ケイオス:『流石だな、弟者……』
口から出た魂にて、弟者へサムズアップ。(笑)
ライル:「ええと……お祈り、良いですか?」(諦念)
純一:「はいはい、この話はもうおしまい!
音夢の胸が薄いのは、今に始まったことじゃないだろう?」
ライル・ケイオス:勇者だぁぁぁーーーっ!?
イルス:「あ、あ〜……そうか胸の話だったのか」(ぽむっ)
音夢:「兄さんの、バカーーーーッ!!」
と、純一に国語辞典が振り下ろされ……とまあ、このへんで話を戻します。
ライル:「サ、サア、トリアエズ品物ノ調査ノ続キヲシヨウヨ」
ケイオス:「……不思議だ、顔と首がめちゃくちゃ痛いのに……、
何で、そうなったのか思い出せん」
と首を傾げつつ、頭飾りを鑑定(ころころ)うむ、成功だ。
GM:では、もう一つの頭飾りですが……それ、猫耳のヘアバンドです。
ケイオス:「ふむ……」
何事も無かったかのように、イルスの頭へ装着。
ライル:「おいおい、兄者……って、うぐぐぐぐっ!」
イルスを見て、必死に笑いを堪える。
純一:「はははっ! それで、メイド服でも着てたら、頼子さんとお揃いだな!」
ケイオス:「うむ、後は、メイド服があれば、その手のお兄さんは大喜びだぞ」
イルス:「……って、ケイオスさん、何ですこれっ!?」
ケイオス:「いや、どこからともなく『彼にコレを着けろ』と言う電波が私に語りかけてきてな」
ライル:「兄者……それ、自分で送受信してるだろ?」
ケイオス:「はっはっはっ、何のことやら?」(目を逸らす)
イルス:「で、電波って……あっ、ちょっと、ナーフ! そんなもん出さないの!」
ナーフが荷物からメイド服を引っ張り出す。
ライル:「あんた、準備良すぎ!」
ケイオス:「……器用だな、そして、漢だな」
ナーフにサムズアップだ。
イルス:「いや、前に、アロエッテさんのところで借りた奴、結局、貰っちゃって……、
きっ、これを着ろ、って無茶言わないの! こら、ナーフ!」
ライル:「ちゃんと返しておけよ」
イルス:「返そうとしたんだけど、押し付けられたの!」
イリス:ね〜、ところで、頼子さんって誰?
GM:朝倉家にいるリュンクスのメイドさんです。人見知りするので、今は二階に非難してます。
隣の朝倉家のベランダを見上げれば、
こっちをチラチラと覗いてる、猫耳メイドさんの姿が見えますよ。
ライル:「ん? あれ……誰だろ?」
頼子:「……っ!?」
ライルと目が合うと、家の中に引っ込んじゃいます。
ライル:「あっ……引っ込んじゃった。
しかし、まだ、女の人がいたのか、あの家は」
純一:「まあ、取り敢えず、その二つは、
今回の件には関係無さそうだな。ちゃんと倉庫に戻しておいてくれよ」
イルス:「……だってさ、ナーフ」
猫耳メイドが鷹に言う。(←結局、着た)
ナーフは残念がるだろうけど、猫耳は返すね。
ケイオス:「了解した……しかし、何故だろう、このメガネで酷い目にあった気がする」
純一:「忘れろ……世の中には知らない方が良いこともある」
ケイオス:「まあ、そうかもしれん……、
っと、それはともかく、話を戻そう。
仮に、桜に願いを叶える力があったと仮定するにしろ、そうでないにしろ……、
その現物を見てみたいのだが……どうかね?」
ライル:「そうだな、桜も見てみたいな……っと、そうだ」
二人の美春が写る写真を、純一に見せよう。
純一:「――ん? 何だ?」
ライル:「ちと、この写真について、覚えがあるなら、教えてくれんか?」
純一:「あ、これは……ミハルの写真か」
ライル:「……覚えありか?」
純一:「そっくりだろ? 実は、この犬耳の方のミハルは、
美春の親父さんが、娘に似せて作った自動人形なんだよ」
ライル:「自動人形……まあ、そっくりなんだが、何故に犬耳?」
美春:「美春と見分けるためですよ……、
尤も、今は構造上の問題から、スリープモードになってるので、
見間違えられることは無いんですけどね」
ミハルの話をしているのを耳にし、美春も話しに加わってきます。
イリス:「スリープモードって……?」
GM:美春の話を要約すると、眠ったまま、動けない状態のことです。
構造上の問題点とは、自動人形であるミハルの動力です。
補助動力としてゼンマイを使用しているが、
メイン動力は、周囲の魔力を吸収し、動力源とする集積魔力機関。
ただ、その機関は、かなり実験的なシロモノで、
魔力の集積量を一定に保てず、時に、積載量をオーバーし、
それが彼女の記憶やボディーに多大な悪影響を与える、のだそうです。
だから、その問題を解決する方法が見つかるまで、
スリープモードのまま眠っている、とのことです
イリス:「ちょっと、訊きたいんだけど……、
精神が協調し易い、例えば、意思の拡散から周囲の魔力を通じて夢が漏れる、
なんてことは起こったりしなかった?」
GM:(うおっ!? いきなり確信に近いところ突いてきた!?)
純一:「……それに近い事はあった」
イリス:「どれくらいの影響力?」
ケイオス:「………」
視線は、恐らくバナナ食べてる美春嬢へ。
純一:「実は、ミハルが稼動している間、美春が事故で意識を失っていてな。
本来、ミハルが持っていない、美春本人の過去の記憶を、
ミハルが夢というカタチで見ていたらしい」
イリス:「なるほど……」
ライル:「ミハルの夢が、美春を通じて現れる、って事もありか」
イリス:「無意識のうちに、美春ちゃんの願望を、ミハルが実現させちゃった可能性もあるのね」
純一:「あと、もう一つ……、
俺には他人の夢を『見せられる』能力がある……、
でも、それが、今回の件と関係あるのか?」
イリス:「うん、私の中では繋がった。
でも、実証というか、立証できる魔術理論が私にはない」
ライル:「誰かを通じて、他人の願望を『叶える』ってやつだな」
ケイオス:「ふむ、ちなみに、桜で願いを叶える場合は、
どのように手順を踏む必要があるのかね?」
純一:「さすがに、それは俺にも分からない……さくらなら、分かると思うけど……」
ケイオス:「ふむ……そうか」
イリス:「私の想像が合致していたら……、
やっぱり、このバナナの島は、『みはる』ちゃん達と、
純一君の共同作業なんだね……ちょっと妬けちゃうかも」
ケイオス:「……即ち愛の賜物か、妬けるねぇ」
純一:「ちょっと待った! 俺は、島がバナナになる夢なんて見て無いぞ……、
って、待て! 誤解だ! 落ち着け、音夢!」
ライル:「繋がりは見えてきたんだが、
どうにも『他の要素』が、ごちゃごちゃ入ってきて纏まらねえ……」
ケイオス:「後は、もう一歩、決め手が欲しいところだね」
イルス:「まぁ……取り敢えず、解決策を探るには、さくらさん待ちかなぁ
―― PHASE-06 二つ目の事件 ――
GM:と、皆さんが悩んでいるとですね……、
唐突に、芳乃宅に、来客が訪れます。
暦:「お〜い、朝倉はこっちにいるか〜?」
と、やって来たのは、眼鏡を掛け、白衣を着た美人女性です。
風見学園の教師であり、天枷研究所の所員でもある『白川 暦』です。
純一:「どうしたんだ、暦先生?」
暦:「いや、ちょっと、例の少年に用事があったんだが……」
純一:「あいつなら、まだ、遺跡調査から戻ってないよ。
だいたい、暦先生が、あいつに依頼したんだろ?」
暦:「まあ、そうなんだが……実は、ちょっと困った事が起こってな。
彼に相談しようと思って来たのだが……そうか、まだ、戻っていないか」
GM:と、暦と純一は、皆さんを他所に、話し込み始めます。
ケイオス:さり気なく、聞き耳を立てよう。
ライル:盗み聞きは、あまり良くないんだけど、どうにも、引っ掛かるからな。
GM:だったら、暦も、皆さんがいる事に気付きますよ。
暦:「キミらも冒険者か? ああ、そうだ。
折角だから、キミ達も相談にのってくれないか。ちと深刻な問題でね」
ライル:「は、はい……」
暦:「実はな――
と、暦は、皆さんに話し始めます。
GM:暦の話の内容ですが……、
天枷(美春の実家)の管理下にあった遺跡に何者かが侵入し、
その遺跡に保管されていた遺物が盗まれた、とのことです。
暦:「――古代魔法王国時代の研究施設でな……第7ミュルメクサ研究所という名前だ」
ケイオス:第2PTのシナリオで、そういう名前の遺跡があったな。
尤も、あっちは12番目の施設のようだが……、
GM:もちろん、その事は、皆さんは知りませんがね。
暦:「モノがモノだけに、警備は万全だったんだが……、
どうやら、コイツを使われてしまったらしくてな」
と言って、鍵付きの南京錠を見せてくれます。
ケイオス:どんな代物なんだ?
GM:見た目は、普通の南京錠です。
でも、ケイオスなら、それが魔道具だと、ひと目で分かります。
暦:「遺跡内部へ直通する転送魔具だ……、
あたしが保管していたんだか、盗まれてしまってな。
これを使って、遺跡に直接侵入したんだろう。
ちなみに、これは、遺跡荒しが発覚した後、
すぐに、遺跡の傍に捨てられていたのを発見したんだ。
つまり、これは、もう用無しってわけさ……我ながら間抜けだよ」
GM:ちなみに、その南京錠なんですけど、イルスには見覚えがあります。
イルス:えっ? 僕に?
GM:はい、アロエッテの屋敷で見ているんです。
イルスは、これを弄ったせいで、エライ目に遭ってます。
具体的に言うと、第2PTの最初のセッション中に、
カインのファンブル効果で乱入する羽目になったでしょ?
(↑詳しくは、第2PTリプレイ『ライラック・ブロームズ』を参照)
イルス:「あ、あれって……これだったんだ」
ライル:「んっ? 何か、見覚えある代物なのか?
イルス:「いや、アロエッテさんの屋敷で、
ちょっと、これ弄って……うん、ちょっと……」
ケイオス:「……なるほど」
ライル:「何で、彼女の屋敷にそんなのが……ま、取り敢えず、それは置いとくか」
GM:暦が実際に、転送装置を作動させて見せてくれます。
南京錠を開けると、その場にドアが現れ、ドアを開くと、
ドアの向こうには遺跡らしい光景が……、
ようするに、何処でもドアの場所限定版のようなものです。
暦:「研究所でありながら、遺跡には居住区は無かった……つまり、そういうことなんだろう」
ケイオス:「なるほどな〜、鍵であり、通勤手段であり、身分証明だった、と言うことか」
暦:「それでだ……藁にも縋る思いで訊ねるが……、
キミ達は、怪しい人物に心当たりは無いか?
賊が入ったのは……おそらく、今朝……明け方くらいだと思うのだが?」
ライル:「いえ、これといった人物には……」
ケイオス:「怪しい人物……言っちゃなんだが、私以上に怪しいのも少ないと思うわけだが」
イルス:「というか、バナナ騒ぎで、それどころじゃなかった」
イリス:「怪しい服を着て歩く人なら……」(←視線を上に)
純一:「頼子さんは怪しく無いぞ。
だいたい、頼子さんは、外出恐怖症だし……」
暦:「そうか、なら、良い。忙しいところ済まなかったね。
朝倉、彼が帰ったら、一応、私に連絡するように伝えて欲しい」
純一:「了解……誠が帰ったら、伝えておくよ」
ケイオス:まーくんが来てるのかっ!?
GM:今頃は、恋文矢を手に入れた遺跡探索の真っ最中です。
(↑『誠の世界漫遊記4.5』参照)
ライル:誠、ね……朝倉家に、ようやく、男の名前が出てきたか。
ケイオス:怪しい人物、か……、
タイミングだけ見ると、一つ気に掛かる人物達がいるが……、
それは、まだ、言う状況でもないし、な……、
ライル「何だか、また、追加情報が入って、余計にゴチャゴチャした気分だな」
暦:「もしかして、キミらは、このバナナ事件を解決するつもりなのか?」
何やら意味深な情報を残した暦ですが、去り際に、皆さんに訊ねます。
ライル:「まあ、頼まれ事ですからね」
ケイオス:「乗り掛かった船だし……、
バナナも惜しいが、話に聞く、見事な桜ってのも見てみたいからね」
暦:「……依頼人は?」
ライル:「この、モテモテ少年」(←純一を指差し)
暦:「だったら、報酬の話なんてしてないだろう?
わかった、もし解決できたら、私のところに来ると良い。
一人500Gくらいなら出せるよ」
ケイオス:「そういえば、成り行きで、報酬の話をしていなかったな」
ライル:「えっ? あ、いや……、
これに関しては、俺達の好きでやってる事で……ううむ」
イルス:「そういえば、報酬なんてすっかり忘れてたね」
暦:「あたしらも……この件に関しては、困ってるのも事実なんでね」
ケイオス:「まぁ、貰えると言うなら、貰っておこうじゃないか」
と、弟者の肩をポンッと。
ライル:「まあ、くれると言うのなら、断る道理も無いしな」
イリス:「えっ? 純一君を貰えるんじゃなかったの?」(爆)
ライル:「もれなく、音夢さんも一緒だぞ?」
暦:「はっはっはっ……敵は多いぞ、お譲ちゃん」
と、からからと笑いながら、暦は去っていきます。
ライル:「で、兄者、どっちが優先か、だが……、
取り敢えず、金が絡んでる方からにしようか?」
ケイオス:「そうだな……金を出すと言う事は、
それだけ、切羽詰ってる、って事でもあるだろうし」
ライル:「まあ、実は、バナナ騒動の黒幕には、
遺跡荒らしの賊が絡んでました、なんて言ったら話は別だけどな。
そんな事はあるわけないか〜、はっはっはっ」
ケイオス:「はっはっは、そんな上手い話……本当にあったら、笑うしかないな」
イルス:「うん、それはいくらなんでも間が良すぎだねー、あはは〜」
ライル:「じゃあ、まあ、取り敢えず、問題の桜の大木を見に行ってみるか」
―― PHASE-07 魔樹との戦闘 ――
GM:では、純一とアイシアに案内され……、
皆さんは、島の中央部にある『さくら公園』に向かいます。
ケイオス:しかし、今はバナナ公園……皮肉なモノだな〜。
純一:「こっちだ……」
純一は、舗装された公園の道を外れ、桜(バナナ)林の奥へと足を踏み入れます。
GM:桜が、バナナになる前の名残りでしょう。
足元には、大量の桜の花びらが積もり、まるで絨毯のようです。
ライル:「これは、中々、風情のある光景だが……、
上のバナナを見ると、ミスマッチになってしまうな」
イルス:「上を見ると、いきなり気分は南国……」
ケイオス:「残念極まりないね……、
まぁ、気合を入れて、元の風景に戻すとしようか」
GM:では、ここで、ビーストテイマーかガンスリンガーで判定してください。
イルス:ほいほい(ころころ)……って、1ゾロ!?
ケイオス:あ〜、じゃあ、ファンブル表だな。
ライル:ほら、イルス、サッサと振る。
GM:もう既に、イルスがファンブルしても、誰も驚きませんね。
ケイオス:イルスだからねぇ……、
イルス:だんだんだん!(←無言で地団駄を踏んでいる)
イリス:まあ、いつもの事でしょ……、
で、この後は、どうせ……、
イルス:ファンブル表判定(ころころ)……、
『11:自分に被害が出るが有利な結果も及ぼされる』。
イリス:……ほらね。
ケイオス:予定調和だねぇ。
ライル:ここまでくると、風物詩とも言えるな。
GM:では、イルスは、足元の桜の絨毯の下に隠れていた、
木の根っこにつまづき、転びそうになります。
誰かを巻き込んでください。もちろん、任意です。
イルス:じゃあ、真っ先に反応したイリスに。
イリス:……かわせる?
GM:ファンブル効果は絶大です。かわせません。
イリス:――押し倒された!?(笑)
ケイオス:――そして、右手はイリスの胸へっ!(爆)
GM:で、押し倒し、倒された二人は、足を引っ掛けた木の根が、
何やら、ウネウネと動いている事に気付いて良いです。
(本当は不意打ちの予定だったけど、
ファンブルの出目11の効果で、不意打ちは無しに……、
やはり、ファンブルが有利に働きます……流石は、ふぁんぶら〜ズ)
イルス:「わわっ……!? えっ!? わっ!?」
押し倒したところで、何だか、足元が変なのに気付き、慌てる。
イリス:「――何処、触ってんのよっ!!」
取り敢えず、イルスに銃口を向ける。
ライル:「うむ、これはこれで、お似合いかもな」
ケイオス:「さしずめ、奥手な男とリードする姉さん女房か?」
イルス:「そんなんじゃないですよっ!
なんか、足元の根っこが動いてるんですってば!!」
イリス:「知らない、知らない、知らないっ!!」
ガンガンッと、銃のグリップで、イルスを殴る。
GM:時代のトレンド……ツンデレだな。
まあ、それはともかく、イルスが警戒を促すなら、
周囲が、いつの間にか、魔物化した桜(バナナ)の木に囲まれている事に気付いて良いです。
ケイオス:「む?(動いてる木を見て)わお、ふぁんたすてぃっく」(ゲンナリ)
ライル:「な……こ、これはっ!?
くそっ、ややこしい事態な予感がするぜ」
ケイオス:「……まぁ、私らが、のんびりと観光、って時点で間違ってたのかもな」
GM:不意打ちは、ファンブル効果で回避できましたが、
イルスとイリスは1ターン目は行動不可です。
イルス:了解……取り敢えず、イリスとドタバタしてる。
イリス:「サッサと、そこどくっ!!」
GM:しかも、敵が現れると同時に、同行者である、
純一とアイシアに、木の根が絡みつき、動きを拘束してしまいます。
純一:「な、なんで、公園内に、こんなヤツが……うわぁぁぁ〜っ!?
アイシア:「純一っ!? キャアアアーーーッ!!」
GM:桜の魔樹の数は20匹……、
しかも、ヘタに動けば、純一達を殺す、とでも言っているのか、
二人の首に根を巻きつけます。
ケイオス:「っち、厄介な……っ!」
ライル:「にゃろ、以前と似た状況か」
剣を抜き、敵を威嚇するぞ。
ケイオス:「……そして、前よりも厄介っぽいね」
弟者と背中合わせ、いつでも魔術を放てるように構える。
イルス:「でも、どうして……、
元々は、こういうのが出るような公園じゃなかったんでしょっ?」
取り敢えず、体勢を立て直そうとして、ちょっとイルスを胸を揉んでしまったり。(爆)
イリス:「……ほう」(←顔が能面のように無機質に)
GM:では、ここから、モブ戦闘に入るわけですが……、
その前に、代表者の人は、1d6を振ってください。
ケイオス:うん? では、僭越ながら私が(ころころ)5だな。
GM:奇数……ちっ、間に合ったか……、
じゃあ、何処からか飛来した矢が、純一を拘束する木の根に刺さります。
ライル:「――おっ?」
ケイオス:「誰だか知らんが、ぐっじょぶっ!!」
GM:それと同時に、風見学園の女子制服を着た剣士が飛び出て来ると――
???「魔法剣、起動――火属性、付与――」
ライル:おおう、この呪文詠唱は!?
???:「――ファイヤーブレイドッ!!」
剣士が突き立てた、炎の剣が地面を焼き、木の根を焼き払いました。
純一達を拘束していた木の根も、焼け消えます。
実は、先の判定で偶数が出ていたら、
1ターンの間、援護は間に合わない予定でした。
そして、もし仮に、援護が間に合わず、
その上で、PTが、敵の攻撃に対して、回避行動をとっていたら……、
厳しいとは思いますが……、
純一の足一本くらいは折られていたでしょう。
正直なところ、ホッと胸を撫で下ろす、GMでした。
ライル:「うわっ、やるなあ……あの女の子」
GM:助けに現れたのは、炎の剣を持つ剣士と、弓を構えた巫女姿の少女です。
ちなみに、剣士の方は、お察しの通りで、
巫女の方は、DCのヒロインの一人『胡ノ宮 環』です。
剣士:「純一さん達は俺と環さんで守る! あんた達は、そいつらを始末してくれっ!」
ケイオス:「……了解した。救援感謝する!」
ライル:「わ、分かった!! 感謝する!」
しかし、女の子が『俺』ってのは、ちょっとな……、(笑)
イリス:「…………」(←相変わらず、無表情)
イルス:「わ、わかりました! あっ、えっ……イリス?」(今頃、様子が変なのに気付いた)
イリス:「――手を放して」(冷たく)
イルス:「は、はぃぃっ!?」
ササッと、言われた通りにする。
GM:というわけで、純一達の事は気にせず、闘えそうです。
第1ターン、まずは、イニシアティブです。
ちなみに、言うまでも無く、イリスとイルスは判定不可ですからね。
ライル:「んじゃ、ひとつ、魔物退治といきますか」
ケイオス:「――あいよ」
ライル:イニシアティブ判定(ころころ)よしっ、13だっ!
GM:魔樹は(ころころ)7なので、そちらの先行です。
ケイオス:私からいかせてもらうっ!
マハガルを発動っ! 一気に蹴散らすっ!
魔樹との戦闘が始まり、第1ターン――
先行を取った冒険者達は、
ケイオスの全体攻撃魔術と、ライルの剣で攻撃します。
だが、魔術は回避され、剣での攻撃は、
ダメージが振るわず、少し相手を傷付けただけに終わります。
イリスとイルスは、まだ転倒しているので動けません。
そして、魔樹の攻撃……、
魔樹は、生命力を削って、毒の花粉攻撃を行います。
しかし、GMがファンブルを振ってしまい、花粉攻撃は不発に終わりました。
続いて、第2ターン――
ここから、イルスとイリスは、戦線に復帰します。
最初に、ケイオスが、例によって、
全体魔術攻撃を放ち、なんと、それがクリティカル!
魔樹に16点のダメージを与え、一気に、魔樹はピンチに陥ります。
だが、続く、イリスとライルの攻撃を回避し、
イルスの攻撃は受けはしたものの、なんとか耐え切り、粘りを見せます。
冒険者達の攻撃が終わり、魔樹は反撃に出る。
しかし、もう生命力は残り少なく、毒攻撃はできません。
仕方なく、通常攻撃をしたのですが……、
と、ここで……、
またしても、『彼』はやってくれました。
イルス:魔樹の攻撃を回避(ころころ)……おやぁ?
GM:また、きたね……、
では、ファンブル表をどうぞ。
イルス:(ころころ)『6:と〜〜〜っても恥ずかしい失敗をする』。
ケイオス:やっと、ファンブルらしいファンブルが!?
GM:じゃあ、敵の攻撃をかわそうとして……、
純一達を守っていた剣士と、頭と頭がごっつんこ、かな。
ケイオス:確かに、それは恥ずかしい!
ライル:次々と、獲物を変えていくな、イルス!
GM:そう、磁石と磁石が引き合うように――
ライル:運命の赤い糸に導かれるように――
ケイオス:お笑いの神に愛される者同士――
イルス:――で、そのまま一緒に転がればいいのかっ?!(爆)
剣士:「のおおおお〜〜〜……!」(ごろごろ)
イルス:「わわわわっ!?」(ごろんごろん……むぎゅっ)
一同:――『むぎゅっ』?
GM:今度は、何処を触った、イルス!!
イルス:もちろん、想像通りの場所だったり……、
「あ、あれ……? 女の子じゃ、ない……?」
剣士さんを見て、ポツリと呟く。
剣士:「……その話は、取り敢えず、後な」
イルスの呟きに、剣士は目を逸らします。
イルス:「う、うん……」(こくこく)
とまあ、いつもの様に――
最早、固有結界の域に到達しつつある、
イルスのファンブル騒動もあったりしたわけだが……、
魔樹との戦闘は、次の第3ターンにて、
再び、ケイオスがクリティカルし、決着がついた。
GM:……魔樹は闇の魔力に切り刻まれ、消滅していきます。
それと同時に桜(バナナ)林にも、静けさが戻りました。
ライル:「――やった!」
ケイオス:「……ま、こんなもんかね」
煙草取り出し、火をつけて、一息吐く。
ライル:「しかし……やっぱり、実害は出てしまったわけか」
剣士:「お見事……やりますね」
純一達の介抱を巫女の環に任せ、剣士が、皆に歩み寄って来ます。
ケイオス:「まだまだ、さ……、
この程度じゃ、何も守れないからね」
紫煙を吐き出し、苦笑する。
イルス:「……あっ、ええと、助かりました」
何だか、微妙なシンパシーを感じながらも、取り敢えず、剣士さんにお礼を言う。
ライル:「あっ、さっきは、どうもありがとうございます」(ぺこ)
剣士:「音夢さんから話を聞いて、すっとんで来たんですよ。間に合って良かった」
ライル:(ん? あれ? 女の子にしては、ちょっと声が太いかな?)
ケイオス:「君こそ、なかなか、やるじゃないか。
あの剣技と言い、救出の手並みといい……鮮やかだったよ」
剣士:「そんなこと……まだまだ『あいつ』には届きません。
俺は、冒険者の『藤井 誠』です」
そう言って、剣士……誠は、ケイオスに手を差し出します。
ケイオス:「私はケイオス=ダルクだ。
うだつの上がらない冒険者をやってる」
差し出された手を握り返し、握手する。
ライル:「イ、イルス……つかぬ事を訊くが……、
ひょっとして……『彼』って……その『彼』?」(ぼそぼそ)
イルス:「う、うん……さっき、ぶつかったけど……間違いなさげ」
誠:「ケイオス、って……ああっ!!
あんた達、確か、さくらの依頼で、水の精霊王の杯を取りに行った――!?」
ケイオス:「その反応と言う事は、君が精霊王の杯を受け取った色男……ん?」
目の前の情報と、聞いた情報が、一致せずに首傾げる。
ライル:「兄者……どうやら、間違いないらしい」
イルス:「うん、彼が……あの……」
一同:「――『すきすきまーくん』!?」
誠:「その認識やめてぇぇぇぇーーーーっ!!」
思わぬ時、思わぬ場所で――
思わぬ人物との再会(?)した冒険者達――
果たして、彼らは、初音島を混乱させる、
このバナナ事件を、無事、解決する事が出来るのか?
――桜と聖杯との関係は?
――遺物を盗み出した犯人とは?
多くの謎を残し――
物語は、後編へと続く。
<後編に続く>
<戻る>
注釈1:リプレイの様子と内容を、分かり易くする為に、かなり加筆・修正・脚色をしています。
注釈2:今回の内容は、あくまでもテストプレイです。
その為、今後、ルールが改訂される場合があります。