GM:皆さん、お待たせしました。
ふぁんぶら〜ズのセッションを始めま〜す!
綾:確か、前回、赤ちゃんを預かったんでしたっけ?
ライル:赤子連れのPTなんて、前代未聞だぞ?
ケイオス:あの師匠あって、この弟子あり、か。
ライル:あっはっはっはっ……、
ご期待通り、乳母車は、オレが押してやるわ〜い!
綾:オムツ替えとミルクは、わたしがしますね。
一応、それなりに、経験ありますから。
あ、もちろん『PCが』ですよ?
GM:そういえば、大家族な設定がありましたっけ?
シナリオに活かせなくて、申し訳ないです。
イルス:まあ、綾ちゃんは、途中参加だし、その辺は、仕方ないよ。
ケイオス:完全に、ウチの組織が、
シナリオのメインになってるからな〜。
しかし、子守りのロールプレイは大変だぞ?
綾:大丈夫ですよ、その辺は、
リアル子持ちのGMが、何とかしてくれます。
GM:あっはっはっ!
さて、そろそろ、シナリオに入りますよ〜。
ケイオス:じゃあ、予定通り、乳母車は、弟者に任せた!
ライル:しとしとぴっちゃん、しとぴっちゃん♪
し〜と〜ぴ〜ちゃん♪(泣)
一同:違和感無いなぁ〜。(笑)
『Leaf Quest TRPG』 リプレイ
ふぁんぶら〜ズ冒険譚 14
『なんだと、巨像!?』 前編
―― PHASE-01 豪雨の中の巨影 ――
GM:さて、ノーチェの街で赤子『キャロル』を託された皆さんは、
シエルの薦めで、ノーチェの街の近くにあるという、
『アップルフィールド修道院』に向かって、森の中を歩いています。
ライル:「ててごと、ははごと、ごとごと〜♪」
森の中を、乳母車を押しながら進むぞ。
ケイオス:「…………」
いつもの調子を保とうとはしてるが、
やはり、何処か虚ろな様子で歩いている。
綾:「ふぁ……」
欠伸を噛み殺して、皆について行きます。
イルス:「え〜っと……修道院へは、あとどれぐらいだっけ?」
シエルさんから貰った地図を持ってる、綾ちゃんに訊ねるよ。
綾:「え〜っと、ですねぇ……」
GM、あと、どれくらいで着きそうなんです?
GM:そうですね……何事も無ければ、明日の朝には到着するでしょう。
綾:「ん〜、明日ってところですかねぇ……ふぁ〜」
ケイオス:「……眠そうだな。大丈夫か?」
綾:「へーき、へーきですよー……、
最近、開発中の新術が上手いこといきそうだったので、
寝る間を、何回か、30分くらい惜しんだだけなのでー」
ケイオス:「そうか……ムリは、するなよ」
ライル:「あんまり無理しすぎると、兄者より先にバタンキュ〜だぞ?」
綾:「だいじょーぶ、貫徹は、すでに何回も経験済み」
兼任とは言え、これでも記者ですからね。貫徹なんて、割と朝飯前です。
ライル:「まあ、本人がそう言うなら、良いんだが……、
しかし、なんというか……、(乳母車を見て)
我ながら、どうにもしっくりきてるのが恨めしい」
綾:「はふぁ〜……ま〜、ライルさんは、
お父さんをする先行練習と思えば……」(糸目のまま)
ライル:「ええい、やかましいわ!」
GM:とまあ、皆さんが、そんな話をしつつ、歩いていますと……、
ポツ、ポツ、ポツ……ザザァァァァァァッ!!
突然の大雨に見舞われます。
イルス:「ありゃ……これは、スコールかな?」
ライル:「――おっ、いかん!」
ケイオス:「ちっ……」
GM、乳母車に幌は付いてるのか?
GM:もちろん、付いてますよ。
一通りの子育て道具やひつような資金は、
ノーチェの街の人達が用意しておいてくれていましたからね。
とはいえ、それでも防ぎきれない程の大雨です。
ライル:「しかし、これだけ準備が良いってことは、
やっぱり、覚悟の上だったのか……」
綾:「私達に、それだけ期待していた、って事ですよね」
ケイオス:「……急ごう」
イルス:「今、考えても仕方ないよ……、
何処か、雨宿り出来そうな場所はないかな?」
ライル:「とりあえず、雨を防げそうな木の下だな」
綾:「あわあわ、キャロルちゃんが濡れちゃいます〜」
少しでも濡れないように、自前の服を幌に被せますね。
GM:皆さんは、雨宿り出来る場所を探すわけですが……、
雨は、一向に止む気配はなく、さらに激しさを増し、
いつしか、視界を塞ぐほどの豪雨になります。
で、ライルは、雨宿りできそうな木を探しているうちに、
いつしか、自分の周りに、仲間がいないことに気付きます。
ライル:「こういう時、盾は便利だな……って、あれ!?(きょろきょろ)
おーい、兄者〜! 綾っち〜! イルス〜! 不良鷹〜!」
GM:どうやら、はぐれてしまったようです。
では、ここで、ビーストテイマーか、ガンスリンガーで判定してください。
ライル:「くそっ、はぐれたか……」
技能無しだから、平目で(ころころ)5だな。
GM:ふむふむ、ちょっと低いね……、(怪しい気配には気付けなかったか)
では、ライルは、皆の名前を叫びながら歩いて……、
もう一度、同じ判定してもらえます。
ライル:「返事が無い、まるで屍の……って、オレが屍になってどうすんじゃー!?」
(ころころ)4……やばいか?
GM:(さっきより、低い? じゃあ、包囲されたな)
では、それから、もう暫くして、
ライルは、自分の周囲に、複数の殺気を感じます。
ライル:「むっ……まさか、早速『狙って』きやがったか?」
GM:周囲の茂みが、ガサガサとゆれ……姿を現したのは、狼の群れです。
雨音に紛れて、完全に、ライルとキャロルを包囲したようです。
狼:「グルルルルルル……」
ライル:「違うか、狼……って、状況的には、全然、好転してねぇな」
包囲網の突破は、乳母車を押してちゃ無理だよなぁ。
GM:特に大きな、リーダーらしき狼を筆頭に、
狼の群れは、少しずつ、包囲を狭めてきています。
涎を垂らす狼達の殺気は、キャロルに向けられています。
ライル:「ちっ、よりにもよって、小さい方を、ご所望かよ」
GM:そりゃ、キャロルの方が美味しそうですからね。
ライル:どうせ、オレはマズイよ!
とにかく、こうなったら、逃げるのは無理だな。
街で貰った長剣と盾を構えるぞ。
キャロルには、指一本だって触れさせねぇ!
GM:と、ライルが覚悟を決めた、その瞬間――
ズシーン、ズシーンという地響きがして、
その音に驚いたのか、狼の群れは逃げていきます。
ライル:「――って、なんだぁぁぁっ!?
ま、まさか、一難去ってまた一難っ!?」
GM:一目散に逃げて行く狼達……、
それと同時に、ライルの背後に、圧迫感にも似た気配が!
ライル「ちっ……腹括るか?」
背後の気配を気にしつつ、動くタイミングを伺う。
GM:ライルの背後に立っているのは、2〜3メートルはある巨大な人影。
雨のせいで、姿はしっかりと確認できませんが、
その手には、大きな棍棒が握られているのだけはわかります。
そして、その棍棒が、グワッと振り上げられ――
ライル「す、すまん! キャロルちゃん……アロエッテ!!」
GM:ズゴォォォォンッ!!
棍棒は、ライルのすぐ横を通過し、地面に突き刺さる。
ライル:「……へっ?」
GM:見れば、棍棒に潰されているのは、先程の狼の群れのリーダーです。
このリーダー狼だけが、巨体の影を恐れる事無く、
ライル達に襲い掛かろうとしていたようです。
ライル:「こいつ、オレ達を助けてくれたのか?
それとも、単に、横取りを目論んでいるのか?」
???:「…………」
巨大な人影は、リーダー狼を潰すと、
その太い指で、ライルに、とある方向を指し示す。
そして、無言のまま、踵を返し、豪雨の向こうへと消えていきます。
ライル:「あ、お、おいっ!! ちょっと待ってくれっ!!」
GM:ズシーン、ズシーン……、
呼び止めるライル声を無視して、巨大な影は去っていきます。
ライル:「……って、行っちまったか。
しかし……あれは、一体、何だったんだ?
とにもかくにも、ありがとう。そして、疑ってすまなかった」
巨体が消えた方向に頭を下げてから、教えてもらった方向に進もう。
GM:では、ケイオス達の方に場面を変えます。
キャロルを連れたライルとはぐれたケイオス達は、
雨が降る中、ライル達の姿を探しています。
と、その最中、大きな足音を耳にします。
ケイオス:「……今のは?」
綾:「やけに響く足音ですね……、
推定すると、かなりの大物みたいです」
イルス:「……何だろうね?」
とにかく、足音がした方に行ってみよう。
GM:では、ケイオス達が、足音がした方に向かうと、ライルと合流できます。
ライル:「お〜い! みんな〜!」
イルス:「あ、いた……ライルさん、無事〜?」
ライル:「オレも、キャロルちゃんも大丈夫だ〜!」
綾:「も〜、ライルさんってば、一人ではぐれて……、
もしかして、半分寝てたんですか」(←それは、お前だ)
ライル:「む、むう……寝てはいなかったが、面目ない」
ケイオス:「すまない、先走ってしまって」
ライル:「まあ、オレも、色々と考え事してたからなぁ」
GM:ちなみに、あんな事があったにも関らず、
キャロルは、すやすや眠っています。
ケイオス:「うむ、大物になるな」(笑)
ライル:「しかし、パナップといい、この子といい……、
これからの女の子は、強く豪胆になっていくんかな?」
イルス:「でも不思議だよね……、
確かに酷い豪雨だけど、どうして逸れたんだろう」
綾:「そういえば、そうですね」
ケイオス:「……何か引っ掛かるな」
GM、メイガスとして、何か感知できないか?
イルス:ビーストテイマー的にも気になる。
GM:そう疑問に思うなら、各技能で判定してください。
ケイオス:(ころころ)13……平均だな。
GM:それなら、ケイオスは、この森に、
方向感覚を狂わせる魔術が施されているのが分かります。
しかも、かなりの広範囲の魔術です。
あと、その魔術のクセに既知感を覚えますが、それが何なのかは分かりません。
ケイオス:「厄介だな。方向感覚を狂わせる魔術が働いてる」
綾:「方向感覚を狂わせる魔術ですか〜……ん〜?」
ライル:「あの、テリオンのねーちゃんと似たようなヤツか?」
綾:「そーそー、なんか覚えがあると思ったら、それですか!
アレは厄介でしたねー」
GM:あ〜、その名前を出すなら、ケイオスは、
この魔術が、マスターテリオンによるモノだと気付いて良いですよ。
ケイオス:「ああ、そうか……、(ポンッ)
魔術の構成の癖に覚えがある気はしてたんだ。
この魔術、あのテリオンによるものだ」
ライル:「何で、こんな場所に……?
てか、あの人、色々とやってるな〜?」
まあ、アレスタがやった事なら、PL的には安心だが……、
ケイオス:「まあ、何かしら意味はあるんだろうが、今、我々が考える事でもないだろう。
とにかく、急ぎたくはあるが、この状況では、そうも言っていられない。
少しでも、キャロルが冷えないようにして、固まって行動しよう」
イルス:「また逸れると厄介だしね……、
ロープでも使って、繋がっておいた方がいいかな」
ライル:「おう、じゃあ、皆、これを持っててくれ」
皆でロープを持って、電車ごっこしながら進もう。
綾:「なんか、凄くマヌケですね……」
ケイオス:「また、はぐれるよりはマシだ」
イルス:「でも、ボク達らしいって思えちゃうのは、何でだろう?」
GM:では、そんな厄介な魔術の中で、正しい方向に進みたければ、
ビーストテイマーかガンスリンガーで判定してください。目標値は12です。
綾:イルスさん、お任せします。
イルス:おっけー、任された。
猫耳装備で野生度アップ(笑)して(ころころ)……あっ。(笑)
ケイオス:ここで、ファンブル……流石はイルスだ。
綾:わたしも、判定した方か良さそうですねぇ。
イルス:(ころころ)ファンブル表は5……足手纏いの仲間?
この状況で、誰が出てくるんだろう?
GM:じゃあ、ちょっと変則的だけど……、
突然、キャロルが泣き出して、集中が出来なくなり、
綾のガンスリンガー判定に−2の修正です。
キャル:「びえええええっ!!」
ライル:「えっ? お、おおおお?」
ケイオス:「……ぬぅ」(あやそうと頑張ってみる)
イルス:「あ、あうあう、ごめんね、キャロルちゃん」(わたわた)
綾:「あ〜、あ〜、よしよし……ちょっと貸してください。
あばば〜、キャロルちゃ〜ん、お〜、よしよし」
ライル:「す、すまん、綾っち……、
こんな時、男って……ほんっっっっっとうに、ダメだな」
キャル:「びえええっ!! びえぇぇぇっ!! まんま、まんまぁぁぁ!」
ケイオス:「母が恋しいのか、お腹が減ったのかどっちだろう」
ライル:「まんま……って、飯か、食い物か!?
それとも、お母さん?! おい、イルス!
じゃなくて、綾っち、何とかしろぉっ!」
綾:「な、何とかって言われても……」
キャル:「まんま、まんまぁぁぁ!」(むにゅ)
綾:「――ひあっ!?」
キャル:「……(むにむに)……はぅ〜」(タメ息)
綾:「な、なんか、物凄く失礼な溜息を吐かれましたよ!?」
フォル:「主人、胸囲、貧弱、女性、魅力、欠落」
ライル:「……通訳、いるか?」
綾:「いりません……フォルにまで……」
ケイオス:「主人に対しても、容赦無いなぁ」
GM:ちなみに、フォルビアは、体のサイズは小さいですけど、
プロポーションという意味では、綾よりも、ずっと上です。
綾:納得いきませ〜んっ!!
フォル:「無問題、主人、胸囲、向上、手段、承知」
ナーフ:『お〜、良かったじゃねぇか。
こいつ、胸を大きくする方法、知ってるってよ』
フォル:「――酒乱、協力、要請」
と言って、自分の胸を揉みつつ、ケイオスを指差します。
ライル:「通訳――」
ケイオス・綾:「――しなくていいっ!!」
イルス:「そんな事より、早く、キャロルちゃんを宥めてよ〜!」
ケイオス:「ええい、こうなったら……」
GM、久しぶりに、手品技能を使わせてもらうぞ。
GM:ホントに久々ですねぇ。
ケイオス:「……今は、コレで泣きやんでくれるかい?」
キャロルの目の前で、造花を熊のぬいぐるみにかえるぞ!
キャル:「……きゃう〜♪」
ピタッと泣き止み、上機嫌で、クマのぬいぐるみをはむはむし始めます。
ケイオス:「ふぅ、新技が役に立ってよかった」
ライル:「子守唄を唄う必要は無さそうだな」
フォル:「音痴、歌、厳禁、逆効果、赤子、音感、悪影響、将来、心配」
ライル:「ぐわぁぁぁぁぁぁぁんっ!!」
ケイオス:「相変わらず、辛辣だねぇ」
ライル:「マンマ、マンマ〜……、(えぐえぐ)
ええい、オレにもクマのぬいぐるみ寄越せ、ぢぐじょー!!」
ケイオス:「――もう無い。(バッサリ)
さて、キャロルは泣き止んでくれたが、
状況は、好転したわけでもない……どうしたものか」
イルス:GM、ナーフにお願いできないかな?
空から、目的地まで、ボク達を誘導してもらうの。
GM:それなら、可能ですよ。
ただし、動物使役を1回、行使したものとします。
イルス:「ナーフ……頼める?」
ナーフ:『しんどいんだぜー? 雨ん中を飛ぶのは!』
ライル:「すまん、夕飯、オレの分、半分やるからよ〜」
ケイオス:「今度、黒胡椒ビーフジャーキーをわけてあげるから」
ナーフ:『しゃ〜ね〜な〜』
ぶつくさ鳴きつつも飛んで、樹の上から辺りを見回す。
もちろん、はぐれないように、足にロープが縛ってある。
GM:目的地である修道院は、雨の所為で、目視は出来ません。
でも、雨宿り出来そうな洞穴なら見つかります。
ナーフ:『あかん! 雨が酷くて視界が悪すぎる!
でも、雨宿りポイントなら、近くにあるぞ!』
ケイオス:「雨が凌げるだけでもありがたい。
とりあえず、そこに向かおう」
イルス:「ナーフ! 案内お願いね〜!」
ナーフ:『へいへ〜い』
―― PHASE-02 シスター・ジェーン ――
GM:では、次のシーンに入りまして……、
結局、豪雨は止む事無く、皆さんは、洞穴で、一夜を過ごしました。
そして、翌朝には、カラッと上天気となり、
ナーフも上空から、修道院の位置を、しっかりと確認できます。
ナーフ:『修道院が見えたぞー!』
イルス:「引き続き、誘導をよろしく〜!」
GM:ナーフの誘導で、皆さんは、昼過ぎ頃には、
問題無く、アップルフィールド修道院に到着します。
古ぼけた、小さな修道院です。敷地は、小さな柵で囲われており、
前庭で、子供達が元気に遊び回っています。
そんな子供達を相手にしつつ、赤頭巾を被った小柄なシスターが洗濯物を干しています。
ライル:「ふう、やっと到着か……」
綾:「何だか、実際より、かなり長く歩いた気がしますね」
ケイオス:「まあ、道中、キャロルが病を患わなくて良かったよ」
イルス:「多分、例の結界の所為だと思うけど……、
まあ、そんな事よりも、まずは、キャロルちゃんの事が先だね」
綾:「そうですね……正直、わたしは、
孤児院とかって、好きじゃないんですけど……」
ライル:「なあ、綾っち……、
両親がいない事が、必ずしも、不幸とかつらいとは思えない。
ちゃんとした親代わりの人がいれば、この子は大丈夫、いい子に育つと思う。
師匠と一緒にいた、パナップも、そうだったしな」
綾:「そうですね……カールさんとか、幸せそうでしたし……」
イルス:「ま、それは本人の感じ方次第だと思うよ。
他人が、想像だけで、とやかく何かするものじゃない」
綾:「頑なだったかなぁ……今更ながら、後悔してます」
ライル:「それだけ、この子を大事に思ってた、って事でいいさ」
ケイオス:「あ〜、すまん……よろしいかね?」
洗濯物を干しているシスターに声を掛けよう。
シスター:「はい? 何でしょう?」
仕事の手を休め、皆さんに向き直ります。
ライル:「聖堂教会のシエルさんの案内で、
こちらで、子供を預かってもらいに来たんです」
シスター:「……事情は知りませんが、子供は、やはり、親と一緒が一番です。
お父さん、考え直してはもらえませんか?」
と、キャロルを見て、シスターは、ライルに諭すように言います。
ライル:「いえ、その、いや、ぼ、ぼくが、ではなく!
ええと、その、あの……、(わたわた)
お父さんはこっちで、お母さんはこっちですって!!」
兄者と綾っちを指差す。
綾:「おかーさんって……えええっ!?」
ケイオス:「……とりあえず、後で、良い子の見えない所で折檻な」
ライル:「ひぃっ! 鞭とロウソクは勘弁……、
いや、ナンデモアリマセン、ゴメンナサイ、オニーサマ」
ケイオス:「……誤解があるようだが、この子は依頼の結果、保護した子だ。
本音を言えば、我々で保護したいところだが、そうも言えない状況でね」
シスター:「わかりました。取り敢えず、お話だけでも聞きましょう」
と、皆を修道院の中に案内しようとして……、
シスターは、ふと、イルスに目を止めます。
イルス:「……はい?」
シスター:「イルス! イルスよね?
まさか、こんな所で、あなたと会えるなんて!?」
突然、シスターは、イルスに抱きつきます。
ライル:「な、なんとっ!?」
もしかして、例の本が、ここまで出回ってるのか?
綾:あの『美少年大全』ですか?
GM:いえ、その本ではなく、
もっと昔から、イルスの事を知っていたような雰囲気です。
イルス:「え、えええっ!? あ、あの、ちょっと……!?」
GM、ボク、この人の事は知ってたりするの?
GM:まあ、イルスは、知らない……てか、分からない。
ナーフは、覚えてるかもしれないけどね。
シスター:「わからない、イルス?
ジェーンよ……ほら、この赤頭巾を、私にくれたじゃない?」
ジェーンと名乗ったシスターは、そう言って、被っている赤頭巾を示します。
ケイオス:「……知り合いかね?」
イルス:「ジェー……ン? えっ、え……?」(←分かっていない)
ナーフ:『ジェーン、ジェーン……あ〜』
イルスの肩の上で、思い出そうとしている。
ライル:「可能性1、幼少時、一緒に遊んだお姉さん、別れ際に結婚の約束有り。
可能性2……は、思いつかないな」
ジェーン:「そう、覚えてないのね。まあ、無理も無いわ。
あなたは、まだ、幼かったし……、
私も……あの頃とは、随分と、雰囲気は変わったと思うから」
イルス:「え、え〜と……え〜と……」
ライル:「ま、まあ、とにかく、思い出せないなら、追々、ピースを繋げていこうか?
彼女は、お前を覚えてるわけだから、
段階を踏んでいけば、何か思い出すかもしれんし……」
綾:「昔話でもすれば、ふと思い出したりとかするかもしれないですよ?」
ジェーン:「そうそう、申し送れました。私は『ジェーン=ドゥ=ナイン』。
ここで、シスターとして奉仕させてもらっています」
ライル:「あ、自分は、ライル=フィッシャーと言います。一応、冒険者です」
綾:「――鞍馬 綾です」
ケイオス:「ケイオス=ダルク、だ……」
イルス:「ごめんなさい、覚えてなくて……、
ほら、ナーフも、ご挨拶……」
ナーフ:『おい〜っす』(片羽をパタパタ)
ジェーン:「いいのよ。後で、改めてお話しましょうね。
まあ、ナーフも……相変わらずのようねぇ」(しみじみ)
ライル:「あ、相変わらず……?」(苦笑)
ケイオス:「昔から、こうだったんだねぇ」
ナーフ:『ジェーン、ジェーン……あ〜っ!(思い出した)
よっしゃ、イルスには、何も教えてやらねぇ!』(笑)
イルス:「……ナーフ?」
GM:では、皆さんの挨拶が終ったところで、修道院の中から、老夫婦が出てきます。
どうやら、この夫婦は、ここの責任者のようです。
老神父:「ジェーン……どうしたんだい?」
ライル:「あ、どうも、お邪魔してます」(ぺこり)
ジェーン:「あの、レガ神父……実は……」
と、キャロルに目を向けます。それだけで、神父は状況を察したようです。
ケイオス:「誤解がないように先に言っておくが、依頼で保護した子だ。
勝手な願いだとは自覚している。
だが、危険な旅に赤子を連れていくわけにもいかなくてね」
レガ:「なるほど……取り敢えず、中で、お話を聞かせてもらえますかな?
マーブル、お客さんにお茶をお出してあげなさい」
レガ神父は、奥さんのマーブルに言うと、皆さんを、修道院の中へと促します。
ライル:「はい、それでは失礼します」
イルス:「お邪魔します」
ナーフ:『な〜な〜、ジェーン……?
時間もなんだし、オレら、泊めてもらってもいいか?』
イルス:「いきなり、馴れ馴れしいよ、ナーフ」
綾:「今のは、通訳しませんからね」
―― PHASE-05 キャロル=ノーチェル ――
GM:では、修道院の客間に場面を移しまして……、
マーブル婦人が、紅茶とケーキを用意したところで、
レガ神父が話を切り出します。
レガ:「……事情を、お聞かせ願えますかな?」
ライル:「は、はい……実は、この森を抜けたところに、
ノーチェという街がありまして――
事情は、全部、話してしまっても良いよな?
ケイオス:ああ、正直に、事実を話すべきだろう。
綾:「――唯一の生き残りが、この子です」
ケイオス:「…………」
無言で、拳を握り締めていよう。
レガ:「そうですか……この子は、街の人々の希望と未来を、託されたのですね」
ライル:「はい、他人の心情の全ては分かりませんが、
彼らの、せめてもの希望を託された……と、考えて良いと思います」
去り際の、街の人達の笑顔を思い出しつつ、頷こう。
レガ:「わかりました。この子は、私達が、責任を持って、お預かりしましょう。
この子の名前は、何というのですか?」
ライル:「キャロル、といいます」
綾:「すみません……苗字は、聞きそびれてしまって……」
ケイオス:「そんな余裕も無かった……、
いや、あれで最後だなんて、思ってもいなかったからな」
レガ:「本来、この修道院で育った子には、アップルフィールドの名が与えられます。
ですが、この子には、女神の祝福とともに、この名を与えましょう。
――『キャロル=ノーチェル』と」
そう言って、レガ神父は、キャロルを抱き上げ、女神像の前で祈りを捧げます。
ケイオス:「良い名だ……」
ライル:「……だな」
レガ:「さて、折角いらしたのですから、今夜は、ここに泊まっていきなさい。
それで、出来れば、子供達に、皆さんの旅のお話を、
聞かせてあげてもらえませんか?」
ライル:「えっ? ま、まあ……それは構いませんが……」(汗)
綾:「お土産話ですか! 記事にしてない小ネタみたいなのを、
皆に聞かせてあげましょう♪」
ケイオス:「人の恥ずかしい話の暴露は、頼むから止めてくれよ」
ライル:「では、ここにいる酔っ払いの、嬉し恥ずかしな手紙の話なんかを」(笑)
マーブル:「じゃあ、お食事の準備をしましょうか。
ジェーン、手伝って頂戴」
ジェーン:「はい、マーブルさん」
マーブルの後に続き、キッチンへと向かう、ジェーン。
ですが、その途中、彼女は、ケイオスの横を通り過ぎざまに、小声で言います。
ケイオス:「……む?」
ジェーン:「食事が終ったら……皆さんにお話があります」(ひそひそ)
ケイオス:「……了解した」(ひそひそ)
綾:「どうしました、ケイオスさん?」
ケイオス:「いや、何でもない……、
ちょっと神父に話があるんでね。先に行っててもらえるか?
それと、弟者……あとで覚えてろよ」
ライル:「うむ、今、忘れた。(笑)
……ったく、色々と厄介な兄者だぜ。
ドツかれるの覚悟で、ああでも言わないと、
いつまで落ち込んでるか分からないからな」
綾:「ああ、そうそう……子供達の目もあるので、タバコは没収しますからね」(ひょい)
レガ:「――私に、何か御用ですかな?」
ケイオス:「ああ、コレを渡しておきたくてね。(手持ちから2000Gを渡す)
正直な所、自己満足であるが、運営や子供の養育に必要だ。
せめてもの、足しにしてほしい」
レガ:「ありがとうございます。(ぺこり)
情けない話ですが、正直、こういう事をしていると、
お金のやりくりが大変でしてね。
まあ、カールをはじめ、ここを出ていった子達が仕送りはしてくれるのですが……」
ケイオス:「これでも、彼女を育てるには足りないのだろうが……、
苦労をかけて申し訳ない」
深く頭を下げ、退出しよう。
―― PHASE-06 アップルフィールドの子供達 ――
GM:では、子供達に冒険話を披露する、
ライル達に場面を移しまして……、
ライル:「――そこで、イカ野郎が、イルスに襲い掛かり!」
イルス:「よりにもよって、その話っ!?」
綾:「うにうにと、触手が、イルスさんに襲い掛かり、
その光景が、ライル=フィッシャーの目に焼きついたぁ!」
イルス:「綾ちゃんまで、なんかノリノリだし!!」
ケイオス:「……少年少女に、なんの話をしとるか」(←戻ってきた)
綾:「もちろん、起こった出来事を、
子供達が楽しめるように、こう、わかりやすく直して……」
ケイオス:「人、それを『脚色』と言う」
ライル:「『おのれ! 我らがいもう…もとい、弟に何をするか!!』
と、ケイオスのお兄さんが、渾身の魔術を放つ!」
戻ってきた兄者に気付かぬまま、熱く語り続ける。
ケイオス:「…………」
無言で、足音と気配を消し、背後から弟者に近付く。
ライル:「愛の力か怒りの闇の炎か! たちまち、不埒なイカは、
闇の炎で真っ黒焦げに〜!!」(べべべんべんべん)
ケイオス:「――そぉいっ!!」
ぱぁんっ、と脱いだ靴で頭をひっぱたいてやる!
ライル:「『うむ、無事か我がいもう――』ぶおっはあああああっ!!(←殴られた)
ええい、不意打ちとは卑怯なり! それでも、オレ達の長男か!?」
ケイオス:「多感な少年少女に聴かせるエピソードじゃないだろうが!
エピソードを選べ、エピソードを!」
綾:「じょーそーきょーいくとかせいきょーいくも大事です!
ちなみに、わたしは、ミナモト出版のえっちい本は、
入社してから読んでました」(えへん)
ライル:「未成年が、そんな本読んじゃいけません!」
子供達:「あははははははっ!!」
流石兄弟+αの漫才を見て、子供達は馬鹿ウケです。
GM:さて、そんな感じで、皆さんの冒険談を話し続けるわけですが……、
アレスタの工房で闘ったゲッターゴーレムの事は覚えてますか?
ライル:そりゃまあ、インパクトはあったからな。
綾:わたしと皆さんが、出会った時のお話ですからね。
GM:その話しの途中、ゴーレムを倒した件を話したところで……、
話に聴き入る子供達の内、少年が一人、
突然、不機嫌そうな表情を浮かべて、話の輪から出て行ってしまいます。
で、その少年は、修道院の敷地から出て、森の中へと走っていきます。
イルス:「――あれ?」(←気付いた)
ケイオス:「む? どうした?」
イルス:「一人、森の中に入っていっちゃった。
大丈夫かな? ここの森は、迷い易いのに……」
ケイオス:「少し気になるな……イルス、申し訳ないが頼めるか?
まずい事があったら、ナーフを寄越しくれ。すぐに向かう」
イルス:「おっけ〜。いくよ、ナーフ」
森に向かった子供を追って、シーンから離脱するね。
子供A:「ああ、ポポロンのこと? あいつ、いつも、森に行っちゃうんだよ」
皆さんの話を聞き、子供の一人が、そう教えてくれます。
ライル:「そうなのか? 秘密基地でも作ってるのかね?
お兄さんに、こっそり教えてもらえるかね?」
子供A:「秘密基地? そうかもしれないけど、知らない」
子供B:「大丈夫だよ。ここの周りの森にはね、
ローズ姉ちゃんが結界をはってくれたから、
狼もモンスターも寄って来られない。それよりも、お話の続きしてよ〜」
綾:「……ローズ姉ちゃん?」
子供B:「うん、随分前にね、ここに来た魔術師のお姉ちゃん」
すごいんだよー、悪い魔物が近寄れ無いように、
森の中で迷っちゃう結界を張ったんだって」
綾:「ローズ? アレスタさんの結界なのに?
あの人って、偽名を使うような方でしたっけ……?」
ケイオス:「可能性はあるな……、
変化の術で、私らをからかったくらいだし……、
それに、あの合成の技術は、時計塔もアトラス院も知らんだろう。
身を隠す意味でも、偽名を使う理由は充分だ」
ライル:「あの仕掛けを施したのが、ローズって子なのか?」
子供B:「うん、そうだよ。地面に落書きしただけで、魔術が使えるの。よごいよねー」
子供達の話では、外見的な特徴はともかく、
魔方陣を使う、小柄な魔術師であることは間違いなさいそうです。
ライル:「地面に落書き、そして、あの仕掛け……」
ケイオス:「ちなみに、口調は老人っぽかったかね?」
子供B:「――うん」
ライル:どう考えても、アレスタっぽいなぁ……、
ケイオス:該当する人物が、一人しか思い浮かばん。
ライル:「まあ、現状では、あまり気にする事じゃないな。
とにかく、ポポロンが、無事に帰って来てくれれば良いんだが……」
ケイオス:「まあ、イルスが追跡しているから、最悪の事態は無いだろう」
綾:「イルスさんがいれば、大丈夫だと思います」
イルス:でも、僕だけじゃ不安じゃない?(←追跡中)
ライル:気持ちは分かるが……自分で言うなよ。(笑)
綾:大丈夫です。ナーフも一緒です。
ケイオス:うむ、安心度がグッと上がるな。
ライル:「しかし、ポポロンは、いつも、あんな感じなのか?」
子供A:「ううん、そんなことないけど……、
でも、最近は、よく森に行くのを見かけるよ」
ライル:「いつもは、特に塞ぎ込んだりはしてない、と……、
子供とは言え、いや、子供だからこそ、色々と抱えてるモノがあるのか?」
綾:「何かの秘密特訓とか、でしょうか?
わたしもやってましたよ〜……銃の分解整備の特訓」
子供A:「大丈夫だよ。ポポロン、いつも、ちゃんとご飯までには帰ってくるもん。
それより、早く、お話の続きをしてよ」
ケイオス:「おお、すまんな……しかし、話ばかり聞いていても飽きるだろ。
ここは手品でも楽しんでもらいたいのだが……どうかね?」
懐から取り出したトランプを一枚、造花に変えて見せる。
綾:「ケイオスさん、ちょっと羨ましいかも……、
わたし、そんな芸は持ってないですし……」
ライル:「じゃあ、兄者の手品のアシスタントはどうだ?
将来の為にも、やっておいて損はないと思うが?」
綾:「んー、マネゴトならやってみようかなー?」
ケイオス:「では、まず手始めに……一瞬で彼女(綾)の服を下着のみに――っ!」
綾:「え、え、え、なんですかソレ!?」
GM:ケイオスが、そう言った途端、女の子達が、
一斉に、男の子達の目を塞いでますが?(笑)
ケイオス:「――すると、お兄さんの額に穴が開いてしまうから、まずは鳩を出してみる」
不意討ち気味に、手を振ると、何もなかったはずの空間から鳩が出る。
子供達:「わあ〜、すご〜いっ!」(大喝采)
綾:「……わー、すごーい」(パチパチ)
ライル:「……わー、すごーい」(パチパチ)
ケイオス:「何かな……このアウェーな空気?
観客の意識を逸らして、タネを仕込むのは、手品の定石だろ?」
綾:「それは、そうですけど……」
ライル:「方法を選ばんか! このドランカァァァッ!!
必殺ギターケースツッコミィィィィッ!!」
ケイオス:「ぶはぁぁぁぁぁぁっ!!
ギターのバードケースは、かなり硬いぞっ!
だから、良い子は、決して、人に向かって振り上げちゃいけません!
お兄さんとの約束だぁぁぁぁぁっ!!」
―― PHASE-07 謎の足跡 ――
GM:では、場面を、イルスへと移します。
イルスは、ポポロンを追って、森の中へと入ったわけですが、
方向感覚を狂わす結界の為、少年を、見失わずに追うには、
ビーストテイマー判定が必要です。
動物使役を使って、ナーフに先行させるなら、自動成功になります。
イルス:もう、1回使っちゃってるから、あまり多様したくないんだよね。
(ころころ)13……微妙かな?
GM:それでも、所詮、相手は素人の子供です。
イルスは、無事、ポポロンを発見します。
イルス:「よっ、ほっ、よっと」
ひょいひょいと、木の枝を伝って追い駆けるよ。
ケイオス:森の中で、活き活きしとるな。
ライル:単独だと、ここまで機動力があるんだな。
綾:さすがに、森の中では、わたしの脚力は活かせませんしねぇ。
ナーフ:『おいおい、久々だからって、はしゃいでるだろ、おめ〜』
イルス:「あ、わかる?」(あはは)
笑いながら、ポポロンの足が止まるまで追跡するよ。
もちろん、見つからなければ、だけど……、
GM:達成値が、ちょっと悪かったので、
ポポロンに見つかっちゃいますね。
ポポロン:「……あ」
枝の上のイルスに気付き、足を止めます
イルス:「ありゃ……」
見つかったので、木の枝の上から降りる。
ナーフ:『ほら、浮かれすぎ』
ポポロン:「お……兄ちゃん……わざわさ、追い駆けてきたの?」
イルス:「まぁ、そうなるね……、
森で休むのって久しぶりだったから、大部分、散歩だけど……、
ライルさんの話、あんまり面白くなかったかな?
僕たちの冒険談って、ヘンな事とか、失敗話ばっかりだったしね」
ナーフ:『失敗の大部分は、お前なんだぜ』
ポポロン:「そ、そんなことないよ……」
散歩と言うイルスを疑わしげけに見つつ、
ポポロンは、踵を返して、修道院へと戻り始めます。
綾:どうやら、森に入った目的を知られたくない様子ですねぇ。
イルス:「あっと……邪魔だったかな?
それだったら、僕が帰るけど……?」
ポポロン:「う、ううん……ぼくも、一緒に帰る――」
と、彼が言いかけた時、何処からか、
ズシーンズシーンという地響き音が聞こえてきます。
イルス:「そう……え? なに?」
ポポロン:「ほ、ほら……早く帰ろうよっ!!」
それを耳にした途端、ポポロンは、
あからさまに慌てた様子で、イルスの背中を押します。
イルス:「……うん」
地響きのする方向を見て、ポポロンをちらっと見て……、
ポポロンが引っ張ったりするなら、それに合わせた速度で引き返すよ。
GM:では、帰り道の途中で、
もう一度、ビーストテイマー判定をしてください。
イルス:(ころころ)うっ、さっきと同じ。
GM:では、イルスは、帰り道の途中で、
地面にある、大きな四角い凹みを見つけます。
イルス:もしかして、何かの足跡っぽい?
GM:達成値が低いので、そこまではわかりません。
でも、サービスで1つだけ……、
その四角い凹みの、すぐ横に、小さな花が一輪咲いています。
ライル:足跡だとすると……、
綾:その花を……よけた?
ケイオス:咄嗟に避けて、思わず、足跡が残ってしまうくらい、
地面を踏んでしまった、といったところか?
イルス:「……あれ、なんだろ?」
ポポロン:「さ、さあ、なんだろうね……ほら、早く早く!」(グイグイ)
イルス:「うん……いい森だね」
引っ張るポポロンに合わせて走りながら、ボソッと呟くよ。
ポポロン:「そ、そうだね……、
ほら、時間に遅れると、ご飯抜きになるから……」
イルス:「ねえ……この森とお家、好き?」
ポポロン:「うん、もちろんだよ!」
その質問には、ハッキリと答えます。
イルス:「――よかった」
それを聞いて、にこっと笑う。
ナーフ:『おーい、晩飯抜きは勘弁だ! 俺は先にいくぜー!』
イルス:「あぁ! ちょっと待ってよ、ナーフ!」
今度は、ボクが手を引いて、ポポロンと一緒に、修道院に戻る。
―― PHASE-08 英雄の宝剣 ――
マーブル:「さあさあ、晩御飯が出来ましたよ〜」
イルス達が帰ってくると、
すでに、マーブルが、食卓に、料理を並べています。
イルス:「あ、っと……晩御飯らしいね。いいタイミングだったのかな?」
GM:はい、全員、揃ったところで夕飯です。
もちろん、神父夫妻にジェーンに子供達も一緒ですよ。
レガ:「では、皆さん、頂く前に、女神様へのお祈りを――」
ライル:「それでは……いただきます」(両手を合わせて)
ケイオス:「いただきます」
綾:「いただきます!」(ぱん)
イルス:「いただきま〜す」
レガ:「――まあ、今夜は、お客様に合わせましょうか」(苦笑)
ライル:「す、すいません。では、改めてお祈り致します」(汗)
はんにゃ〜、はんにゃ〜。(←祈り)
ケイオス:「しかし、ご馳走になって良かったのかね?」
レガ:「ええ、もちろんですよ。すみませんね。
ここは、子供達ばかりですから、お酒の類は置いてないもので……」
と、ケイオスのコップにお茶を注いでくれます。
ライル:「いえ、それは大いに結構な事だと思いますよ」
ケイオス:「……自前もアウト?」
綾:「ちなみに、煙草も、ここを出るまでは返しませんよ」(にこ〜)
ケイオス:「食後の一服が美味しいのに……」(がく)
レガ:「子供達の手前、どちらも、控えて頂けると助かります」
ケイオス:「……了解した」
イルス:「良かったね、ケイオスさん。健康体、健康体」
ライル:「本当、たまには、健康的な空間に置いておかないと、
どこまで飲み明かすか分からんからな」
ケイオス:「弟者よ、知ってるか?
濁水で育った魚は、急に清水に移すと衰弱してしまうんだぞ?」(えぐえぐ)
ライル:「元の濁りし田んぼに沼恋しきってやつか?
というか、1日の禁酒禁煙は、清水以前の問題じゃい」
と、ツッコミいれつつ、約束通り、ナーフに夕飯をおすそ分け。
ナーフ:『お〜、遠慮なく♪』
イルス:「ナーフ、大丈夫なの?
ケイオスさんのおつまみとか貰い過ぎて、
最近、身体が重い、って言ってなかったっけ?」
ナーフ:『――ギクッ』
綾:「ナーフも、ダイエットしましょうね」(にこ〜)
ナーフ:『おおう、おおう』(えぐえぐ)
GM:では、この世の終わりのような顔をする、
ケイオスとナーフを余所に、恙無く食事は進みます。
と、その途中、レガ神父が、皆さんに訊ねます。
レガ:「ところで、キャロルのことですが……、
何か、形見のようなモノはありますか?」
ケイオス:「……あるな」
綾:「確か、ライルさんが持ってましたよね?」
ライル:「そういえば……これです。
どうやら、キャロルが、この剣の『主』のようで……、
他の者には、抜くことすらできませんでした」
と、前回のシナリオで手に入れた宝剣を差し出す。
レガ:「ほう、この剣が……と、これは、もしや!?」
ちょっと驚いた様子で、しげしげと、宝剣を眺めています。
イルス:「……どうしたんです?」
綾:「もしかして、何かご存知なんですか?」
レガ:「いえ、以前、書物で読んだ剣の外見に、よく似ていたもので……」
ケイオス:「書物、ということは……、
結構、名のある剣の可能性があると言う事か」
ライル:「剣の造りから、古代の物であるとは予想してたけど……」
レガ:「これが、その剣なのかどうかは、ハッキリと断定できませんが……、
これは、おそらく『グルザ・イ・ガウサール』……」
ライル:「グルザ……なに?」
綾:「グルザ・イ・ガウサール……」
ケイオス:GM、その名前に聞き覚えは?
GM:ケイオスなら、ありますね。
以前、静(アルフィミィ)が、この剣を見た時に、
真っ青な顔で、剣の名を呟いてましたよ。
『見つけちゃった……どうしよう』とね。
ケイオス:(そういえば、アルフィミィが……、
何故だ、胸騒ぎがする……)
ライル:「しかし、限りなく可能性は高いよな」
レガ:「私が読んだ本では……、
グルザ・イ・ガウサールは、かつての英雄……、
ファリードゥーンが持っていたとされる剣、とのことです」
ライル:「……なっ!?」
ケイオス:「ファリードゥーン……?」
その名前って、私的には、かなり不吉な名前だよな?
GM:そりゃあ、不吉な名前でしょうね。
幻想神話を調べれば分かると思いますが、
ファリードゥーンとは、アジ・ダハーカを倒した英雄の名です。
で、アジ・ダハーカといえば、ケイオスが属する組織『ザッハーク』の大首領……、
ファリードゥーンの名が、大首領にとって忌むべきモノであることは、
ケイオスも、当然、知っているはずです。
ライル:「ファリードゥーン……フィルドウスィーの想い人……」
思わず、あの楽譜を引っ張り出す。
レガ:「レガ「ほう、ご存知ですか……、
ファリードゥーンは、かつて邪悪な蛇を倒した英雄なのですよ」
ケイオス:「そう、みたいですね」
話をしつつも、自然と、喉が渇くのを感じる。
レガ:「しかし、その剣が反応する、ということは……、
この子は、英雄に縁のある子なのかもしれませんね」
ケイオス:「……ですね」
かなりの可能性で、担い手である可能性が高い。
そして、アルフィミィが、ああ言った以上……、
と、考え込みつつ、これでもかってくらい顔色が悪い。
イルス:「……へえ〜」(←何も分かってない)
綾:「邪悪な……蛇、ですか」(←同じく、状況が分かっていない)
ライル:「どうした、兄者?」
ケイオス:「すまん。ちと、風に当たってくる」
ふらっ、と席を立つと、返事をする気力も無いのか、
ただ、大丈夫だ、と言わんばかりに手を振って、外に出る。
レガ:「とにかく、大変な剣ですが……、
こちらで預からせて頂いて構いませんか?」
ライル:「それは、もう勿論……、
ですが、それが、ファリードゥーンの剣だとすると……、
もしかしたら、キャロルと、この剣が、狙われる危険性がありませんか?」
綾:「確かに、伝説の剣だったら、
担い手共々、狙われる可能性ってありそうですよね。
尤も、それを脅威と思う存在がいれば、の話ですけど……」
と言いつつも、手には、あの無限蛇マークのプレートを持ってたりする。
イルス:「よくわかんないけど……、
宝具ってだけでも、金銭的な価値は高いんだよね?
単純に、物盗りに狙われる可能性も、否定できないよ?」
綾:「いっそ、盗賊ギルドに預けた方が良いのかも……」
レガ:「はっはっはっ、大丈夫ですよ。
なにせ、ここには、あのマスターテリ――
いえ、ローズ=ケリーという、とても強力な魔術師の方が、
結界を張ってくれましたからね」
ライル:「あの、森の結界ですか?
確かに、容易な事では、突破はできなさそうですね」
蛇の襲撃は、あまり深刻に考えなくてもいいか……、
それに、今、現在、キャロルと剣の『行方』を知っているのは、オレ達だけし……、
イルス:「代物が代物だし……、
一応、注意してしすぎは、あんまりないとは思う」
レガ:「そこまでおっしゃるなら、
また、あの方が、ここにいらした時に相談してみましょう」
ライル:「それがいいと思います」
綾:「そうですね、慎重な方がいいかと思います」
わたし達でも、ナーフの誘導があれば、ここに来れたくらいですし……、
レガ:「はい……では、そろそろ、お開きとしましょうか。
子供達も、そろそろ寝る時間です。
と、広間にある年代物の古時計を見れば、すでに夜の9時です。
ケイオス(のPL):古時計? ああ、あれか。(笑)
時間遅行の魔方陣が描かれてるやつだな。
GM:はい、それです。(笑)
時期的には、現在は、幼馴染〜ズの第1シナリオの後になるので、
これは、光達から、返却された物ですね。
ケイオス(のPL):相変わらず、色んなところで、
節操無く繋がってるな〜。
ライル:「もう9時か……早いな」
綾:「時間が経つのって、早いですねぇ」
ライル:「ああ、そうだ……、
これは、ほんの感謝の気持ちなんですが……、
宜しければ、子供達の為に、
そして、あの子の、今後に役立てて頂けたら幸いです」
と、こっそりと、2000Gを、レガ神父に渡しておこう。
レガ:「ありがとうございます……大切に使わせて頂きます」
GM:では、夕食も終って……、
食器を片付けつつ、さり気なく、
ジェーンが、皆さんに耳打ちしてきます。
ジェーン:「先程、ケイオスさんにも言いましたが……、
子供達を寝かしつけたら、皆さんで、私の部屋に来てください。
少し、お話ししたい事があるんです」
ライル:「あ、はい……分かりました」
ケイオス:「…………」
そんな会話がされている間……、
私は、外で、今後、どうするべきか、夜空を見上げて悩んでいる。
組織と、仲間と……私は、どっちをとれば良い?
―― PHASE-09 血塗れの修道女 ――
GM:では、夜中になりまして……、
皆さんは、約束通り、ジェーンの部屋にやって来ました。
ライル:「失礼します」(コンコン)
ジェーン:「――どうぞ」
部屋に入ると、ジェーンは、椅子に座って、繕い物をしています。
ライル:「……子供達の、ですか?」
ジェーン:「はい、すぐにボロボロになってしまうんですよ。
まあ、それも、あの子達が元気な証拠です」
綾:「遊び盛りの子はそうですよね〜」(うんうん)
イルス:「ああ……僕も、よくボロボロにしてたなぁ」
ジェーン:「お呼び立てしてすみません。
実は、皆さんにお話があったのですが、仕事が多くて……、
作業をしながらで構いませんか?」
ライル:「それは、お構いなく」
綾:「なんなら、わたしも手伝――わない方が良さそうですねぇ」
ジェーン:「では、そうですね……、
何処から、話した方が良いでしょうか……」(思案中)
ケイオス:おそらく、イルスとの関係なんだろうが……、
そんな考え込む程、複雑な関係なのか?
イルス:う〜ん……どんな関係なんだろう?
PLとしても、GMからは、何も聞かされてないんだよね。
綾:そ、そうなんですか?
今、明かされる、我等がアイドル『イルスちゃん』の衝撃の真実!?
ライル:黙って聞けよ、お前等……、
ジェーン:「――実は、私は、昔、暗殺者でした」
一同:サラッと言うなよっ!
そんな重い事実っ!!
ライル:「な、なんと……?」(さすがに混乱)
ケイオス:「それはまた、奇抜な経歴だねぇ」
まあ、PL的には、ホムンクルスのサンプルキャラとして、
紹介されてたから、知ってはいたけどさ。
イルス:「……えっ?」(キョトン)
綾:「あっはっはっは……いきなり、どぎつい告白ですか〜」
ケイオス:「冗談……にしては、突拍子が無さすぎる……事実なんだろうねぇ」
ライル:「こうして、わざわざ、呼び出しておいて、冗談を言うとは思えないし……、
となると、それは正真正銘、事実の告白……、
でも、そんなにあっさりでいいのか?
いや、重い事実だからこそ、あっさりになってしまうのか……」
ジェーン:「かつて、私は、とある組織(ケイオスを見つつ)に、
命じられるがままに、何人もの命を奪ってきました。
今、こうして、子供達の服を繕っている手は、血で汚れきった手です」
ケイオス:「そうか……」
色々と言いたい事はあるが、立場上、言えないな。
ジェーン:「そんな私が、今では、こうして、
シスターの真似事をしているわけですが……、
そのきっかけをくれたのが……そちらの、イルスなんですよ」
ナーフ:『あ〜……』
チラッと、何やら気まずそうにイルスを見る。
ケイオス:「そうなのかい?」
イルス:「……覚えてない」(ぽつり)
ジェーン:「覚えてないのも無理はないわ……、
あの頃、まだ、イルスは幼かったから……」
イルス:「幼くても、覚えて無い筈はないと思う。
ナーフは知ってるんだよね? それ、いつの話?
僕が、もうナーフといた頃でしょ?
ナーフと会った時のこと、僕、ちゃんと覚えてるよ」
ナーフ:『…………』
イルスの質問に、ナーフは黙して語らない。
GM、取り敢えず、過去に何があったのか、話してもらえる?
GM:では、ジェーンの話を要約しますと……、
時は、遡ること10年前――
暗殺者であったジェーンは、
とある任務に失敗し、深手の傷を負ってしまった。
追っ手から逃れる為、彼女は、森の中へと入る。
傷そのものよりも、出血が酷い。
どんなに止血しても、血の跡は、地面に点々と残る。
このままでは、見つかって、殺されるのは、時間の問題だった。
そんな時、ジェーンは、古びた小屋を発見する。
重い体を引き摺り、ジェーンは、小屋へと入り、そこで気を失ってしまう。
そして、何時間たったのか……、
次に、目覚めた時……、
目の前には、幼いイルスの姿が……、
朦朧とする意識の中で、
一瞬、ジェーンは、それが何者なのか理解できなかった。
――ここは、何処だ?
――古い小屋の中に逃げ込んだ。
――自分は、何をしていた?
――私は、敵に追われていた。
ならば――
今、目の前にいるのは――
「――っ!」
その刹那で、反応したのは――
体に染み付いた、暗殺者としての技と本能――
ほんの一瞬だった。
思考よりも、体が先に動いていた。
無造作に『敵』に手を伸ばす。
何故か『敵』は抵抗の素振りを見せない。
そして、ジェーンの手は――
目の前にいた『敵』の左眼を――
GM:――ジェーンは『敵』を退けました。
そして『敵』を撃退した後、自分の体が、手当てされている事に気付きます。
全身に、多くの薬草が使われた跡……、
特に、出血が酷かった箇所には、包帯代わりに、赤いバンダナが巻かれている。
バンダナには『イルス=クークルー』と刺繍がされており……、
そこに至って、ジェーンは、ようやく、自分の犯した過ちに気付いたのです。
ライル:そういや、イルスって、左眼をバンダナで隠してたっけ。
そんな設定、すっかり忘れてたぞ。
イルス:うん、ボクも忘れてた。(爆)
ケイオス:おいおい。(笑)
ナーフ:『…………』
ジェーンが経緯を話している間、
ずっと冷や汗を掻きながら、そっぽを向いてる。
ライル:「で、そこの鷹……何か、さっきから、落ち着きが無いようだが?」
ケイオス:「…………」
何か、やらかしたんか、とナーフを見る。
ナーフ:『いや、その、だな……』
イルス:「……嘘でしょ?」
最後まで聞いて、漸くして、思い出したって顔をする。
ナーフ:『イルス……その……』
イルス:「やだなぁ、ナーフ……何で、いまさら蒸し返すのさ」
ジェーン:「……思い出して貰えたかしら?」
イルス:「止めてよ……もう……」
いつの間にか、泣いている。
一同:「――イルス?」
イルス:「……寝る」
椅子を蹴り倒して、珍しくむ、荒っぽく部屋を出て行く。
ナーフ:『ちょっと待て、イルス! 説明す――』
イルス:「ナーフ……僕だって、そろそろ怒るよ?」
ナーフ:『…………』(硬直)
そのまま、部屋を出て行くイルスを見送る。
ライル:「おい、ナーフ、説明してくれ。
正直、ここまで来たら、知らないフリを決め込む方が、
かえって、ギクシャクする」
ケイオス:「しかし、我々が踏み込んで良い話なのかね?」
綾:「その判断は、ナーフに任せますよ?
言いたくないなら、それ以上、わたし達も、追求しません」
ナーフ:『……綾ちー、通訳、頼むわ』
綾:「……はい」
ナーフ:『さて……どっから説明しようか――』
――ここで、ちょっとネタばらし。
ちなみに、ジェーンとイルスの関係は、GMが、
イルスPLに、無許可、無相談で、でっち上げたモノだったりします。
故に、これから、ナーフが語る話は、全て、イルスPLのアドリブです。
にも関らず、その説得力は、
GMが用意していた設定以上のモノでした。
では、イルスPLの、素晴らしいアドリブ力をご覧ください。
ナーフ:『ジェーン……お前さんが、あん時……、
イルスの左眼を駄目にした時から、
あいつは、他人に踏み入るが怖くなった』
ライル:「それでか……妙に、人と距離を置く言動が多いのは……」
ケイオス:「なるほどな……」
ライル:「好意でした事を頭から否定されれば、
そりゃ、確かに、人に好意をよせる事が怖くなっちまう。
他人の心情は、分かりようがないし……、
だったら、距離を置いて付き合ったほうが楽だよな」
綾:「…………」
ナーフ:『最大の原因は、だ……、
あいつ、お前のことは、あの時、死んじまったモンだと思ってんだ』
ジェーン:「えっ? でも、イルスのおかげで、私は、こうして――」
ナーフ:『まあ、話は、最後まで聞けって……、
あの後、お前と別れた後、オレ達は、追っ手とすれ違った。
怪我さえしてなきゃ、お前からすりゃ、何ともない数だった。
だけど、小さいイルスにゃ、どうにもならない数だ。
それで、あいつ、捕まっちまって……、
色々された後……お前の行き先を吐いちまった』
GM:――色々されたっ?!
な、なにされたの!?
ナーフ:黙って聞けや、KYGM!!(爆)
お前が想像したような如何わしい真似はされとらん!
一同:自重、自重。(笑)
ナーフ:『あいつの、お前さんに対する接点は、そこで途切れてる。
結局、その後、森の人間から聞くには、追っ手の死体しかなかったらしいから、
オレは大丈夫と踏んでたんだが……、
あいつは、そうとは思ってなくてなぁ……』
一同:「…………」
ナーフ:『あいつを助けたのも、森の連中だったが……、
しばらく、ごめん、ごめんって、ずっと泣いてた。
オレも小さかったのは変わりないから、どうもできんかった』
ライル:「イルスに……そんな事が……」
ナーフ:『……弱肉強食は自然の摂理。
他人は他人、自分は自分。過去を聞いて良いことなど無い』
ケイオス:「なるほど……な」
GM:(……凄いアドリブだ)
繰り返し、言いますが……、
この設定は、GMの想定外……、
100%、イルスPLのアドリブです。
元からの設定と、GMが提示した設定とを、咄嗟に
ナーフ:『――で、ここまで聞いてもらったなら、敢えて言うぜ。
オレも、イルスと同意見だ。言っちまった以上、忘れろとは言わんけど、
あんまり蒸し返して欲しくない。
正直、ジェーンにも、そういうことだから、って言いたいところだが……、
まぁ、ジェーンにだけは、そうは言えねぇな』
ライル:「分かった。当事者の考えを尊重する」
ケイオス:「ああ、この件は、君達とジェーンさんの問題だ。
下手な口出しをするつもりはないよ」
ジェーン:「私は、彼と関わってしまったから……、
イルスは、目を失い、傷付いてしまったわ。
私は、逆に、彼を傷付けたことで、彼に救われた事で、
もう人を殺めることができなくなってしまった。
こうして、立ち直ることができた。
普通の人として、生きることができるようになった。
だから、私は、今日、彼に会えた時、とても嬉しかった。
彼に謝りたかった。お礼を言いたかった。
そして、彼の為なら、どんなことでもしようと思った……、
だから、私は……」
両手で顔を覆い、押し殺した声で泣き始める。
ケイオス:「ならば、君が思うように、気持ちを伝える事が一番なのかもしれないね」
ライル:「今は、その気持ちを自分の胸の中で大事にしておいてください。
確かに、イルスは、今も、人との関わり合いを避けている所がある。
あいつね……『素直じゃない』んですよ。
多分、今は、謝っても、お礼を言っても、拒絶されると思います。
でも、それは、きっと、想いの裏返し……、
あいつは、あなたが無事だったことを、再会できたことを、喜んでますよ」
綾:「今は、色々ありすぎて、頭の中がグルグルしてるんだと思います。
何かをするにしても、一晩休んで、自分が、どうするべきか、
ゆっくり考える方が良いと思います」
ジェーン:「はい……私も、イルスとのことは、
一晩、落ち着いて、考えようと思います」
ナーフ:『ああ、それがいい……、
色々と複雑だが、お前のその想いは、決して、悪いことじゃねぇ。
で、話も纏まったところで……そろそろ、窓、開けてくんね?』
綾:「――はい?」
首を傾げつつ、窓を開けます。
ナーフ:『オレも、そろそろ自重するわ』
開けられた窓から、逃げるように飛び立つ。
と、次の瞬間、ナーフが飛ぶ脇の木の幹に、
何処からか飛来した手斧が一本、突き刺さる。
もちろん、本気投げではないが、命中するギリギリの位置だったりする。
ライル:「ほれ、見ろ……、(苦笑)
聞かれたくないとか踏み込まれたくないとか、
心底、そう思ってるなら、先ず真っ先に、
あの鷹やろーを連れていくっての」
綾:「そうですよねぇ……」
ケイオス:「正直、私は、君が羨ましいよ。
率直な気持ちとしてね……、
気持ちを伝えられない人間もいるのだから……」
明らかになった過去――
心に深い傷を持つ、2人の想いの行方は?
森の中に潜む、巨大な影の正体とは?
孤児達の住む修道院で……、
彼らの冒険は、ついに、終わりへと集束していく。
<後編に続く>
<戻る>
注釈1:リプレイの様子と内容を、分かり易くする為に、かなり加筆・修正・脚色をしています。
注釈2:今回の内容は、あくまでもテストプレイです。
その為、今後、ルールが改訂される場合があります。