[前書き]
この作品は、「Leaf Another Story」とのクロスオーバー作品です。
「Leaf Another Story」については、ここを参照。
「はぁ〜」
俺は、机に突っ伏し、
今日は帰って、何をやるかを考えていた。
確かに……やらなければいけない事といえば、いくらでも思いつく。
将来のために勉強をするとか、
残っているプログラミングの作業をする、といった選択肢がない訳でもない。
しかし、今日は、
何だか、パーッと遊びたい気分なのだ。
偶には羽目を外して遊びたくなる時って……誰にでもあるだろ?
そうと決まれば行動は早い。
「お〜い、さくら〜、あかね〜。
この後、暇か〜?」
Heart to
Heart
×
Leaf Another Story
3rd Impact 「熱唱」
そんな訳で、今日はカラオケにやってきた。
「カラオケに行くのも、久し振りですね〜♪」
「そうだね〜♪」
俺の隣では、さくらとあかねが、
楽しそうに、既に鼻歌を歌っている。
おいおい、気が早いぞ。
別に、今日は土曜だから、
ウチに来て、色々やってもらうという選択肢が無かった訳じゃない。
何と言うか、今日は外で遊びたい気分だったのだ。
それにウチに来て遊ぶと、
マジで『色々』になりかねんからな……、(爆)
そんなこんなで、俺達はカラオケボックスに到着した。
だが、思い出してほしい。
カラオケといえば、
必ず話題に出てくる人がいる事が……、
「あ〜っ、あんたたち〜!」
そんな訳で、今日は志保と、
「輝けっ! 第二回アニメ&ゲーム歌合戦・リベンジ」を敢行する羽目になってしまった。
そして、あの時は同席していたのは浩之だったが……、
今回は、更に、不確定要素の高い人が同席していた。
「俺は、普通に歌いに来ただけなんだがな……」
「まぁ、堅い事は言いっこなしですよ」
――そう。
俺達に同席したもう一人の不確定要素……、
それはすなわち、本宮さんの事だったのである。
ちなみに、何故、本宮さんが、
こんな所に一人でいたのかというと――
「何と言うか……偶に、思いっきり歌いたくなる時ってあるだろ?」
――なのだそうだ。
本宮さん、その意見には同意するけど……、
何と言うか……、
カラオケボックスには、一人で入るもんじゃないよ……。
本宮さんって、アニメとかにはあまり興味はなさそうだから……、
この勝負、志保が勝つ確率は、
前回に比べてかなり高いかな……、
「さぁ、あたしから行くわよ〜ん♪」
そう言って志保さんは、マイクの調整に入る。
「ぐ・う・ぜ・んが〜、い〜くつも〜、かさ〜な〜りあ〜〜って〜♪
あな〜たと〜、であ〜って〜、こ〜いにおち〜〜た♪」
「へぇ、長岡さんって結構歌上手いんだな」
本宮さんが隣で、感心したような声をあげる。
「まぁ、今回の勝負は、
歌の上手さじゃなくてレパートリーですからね」
「あまり気は進まないんだがな……」
「ここに来た時点で、そう言う事は言いっこなしですよ」
「まぁ、そういうもんなのか」
……そうこうしているうちに、志保さんの出番は終わった。
さて――
次は、さくらの番だな。
「あれれ? おかしい〜な、このドキドキは〜♪
キミの腕の中であふ〜れだす〜♪」
相変わらず凄い選曲だな、さくらも……、
というか、その曲が、
カラオケに入ってる事自体、驚きなんですけど、俺。
「I wanna be your
princess〜、I wanna be your princess〜、
Tell me my prince、What can I do for you〜?♪」
あかねの曲も、さくらに負けず劣らずの選曲だ。
何と言うか……、
ここのカラオケ、レパートリーが増えた?
そうこうしているうちに、俺の出番が回ってきた。
「はいっ、まーくん! 頑張ってね!」
「よっしゃ、任せとけ!」
あかねからマイクを渡され、俄然、張り切る俺。
さーて、何を歌おうかな?
よし、まずはこれから……。
「ハートをみ〜がくっきゃな〜い♪
本気でみ〜がくっきゃな〜い♪」
この曲は最近の曲じゃないから大丈夫だろう、うん。
まぁ、本当に勝負が、
ヤバい方向に傾いてきたら……、
……俺も、手段は選んでいられないけどな。(爆)
「よし! 次、本宮さんだ!」
俺は、コード表とにらめっこしていた本宮さんに、マイクを手渡す。
「――えっ、もう俺?」
意表をつかれたらしく、本宮さんはきょとんとしている。
「もう、って……もう俺達歌ったよ」
「なになに? やっぱり歌えないの?」
横から志保さんが嬉しそうな声で割り込んでくる。
う〜ん……、
やっぱり、本宮さんを誘ったのは失策だったか……、
しかし、本宮さんは何か決心したように頷くと……、
「……よし」
リモコンを片手にとり、コードを入れ始めた。
さて、本宮さんは、
どんな曲を入れたのかな……?
程なくして、曲のイントロが流れ出す。
「……お? この曲は……」
「あらしの〜、なかでかがやい〜て〜♪
その〜、ゆ〜めを〜♪ あきらっめ〜ない〜で〜♪」
「……普通に上手いな」
「そうですね〜……」
「うみゃ〜……何で気が進まなかったんだろう?」
「きずつい〜た、あなたのせな〜かの♪
てんしのはね〜、そっとだいて〜♪ だいてあ〜げ〜たい〜♪」
「……そういえばこの曲って、女性ボーカルだったよな?」
「……言われてみればそうですね?」
「う、うみゃ……言われるまで思い出さなかったよ」
「あ〜おく〜、はてな〜いそ〜ら〜のか〜た〜すみ〜で〜えぇぇ♪
う〜まれた〜、ゆめが〜、いまちいさく〜て〜も〜♪」
「言われるまで、女性ボーカルだった、
って事を思い出させないって事は……」
「曲に馴染んでいるという事か……、
はたまた、歌い慣れているという事か……」
「どっちにしろ、一朝一夕で出来る事じゃないね……」
「あ〜なた〜のひ〜とみに〜う〜つる〜あ〜した〜を〜おぉぉ♪
だ〜れより〜、そばで〜、し〜んじてい〜た〜い〜♪」
「…………」
「…………」
「…………」
「こおりつ〜く〜、ような〜♪ つよいか〜ぜ〜でさ〜え〜♪
そのむ〜ね〜に〜、かがや〜く〜、ゆめを〜♪ けしたり〜、そう〜よ〜、
けしたりなんてで〜きな〜いぃ〜♪」
「本宮さん……目ぇ、閉じてないか?」
「いえ……それどころか、モニターに背を向けてますよ?」
「か、完全にトリップしちゃってるね……」
「あらしの〜、なかでかがやい〜て〜♪
その〜、ゆ〜めを〜♪ あきらっめ〜ない〜で〜♪
きずつい〜た、あなたのせな〜かの♪
てんしのはね〜、そっとだ〜いて〜♪ だいてあ〜げ〜たい〜♪」
やがて曲が終わり、
本宮さんは気付いたように回りを見渡す。
そして、一つ溜息をつくと……、
「……だから、気が進まないって言ったんだよ」
今、本宮さんが気が進まないと言った理由が、よ〜く分かった。
俺達はおろか、あの志保さんまでもが、
本宮さんの行動に引いていたから……、
つまり、本宮さんは歌は上手い。
だが、そのあまりの上手さに、
聞いている人は逆に引いてしまう……という寸法だ。
だから、本宮さんも、普段は一人でカラオケボックスに足を運んでいるのだろう。
「どうした? まだ勝負はついていないんだろう?
このままだと、俺の一人勝ちって事にしてしまうけど……、
それでもいいかな?」
その本宮さんの一言に、勝負好きの血が騒ぐ女が一人。
「い、言ったわねぇ……勝負よ、利幸!」
「ほらほら、藤井誠も呆けてないで」
・
・
・
「Brand New Heart〜♪
いまここからはじまるぅ〜♪」
「そ〜ら〜に、あおいりゅう〜せ〜い〜♪
よるのうん〜が〜を〜、すべるよう〜だね〜♪」
「あつい〜、かぜが〜、せんし〜にはよくに〜あう〜♪
いかりを〜、かくして〜、たちあ〜が〜れ〜♪」
「あ〜らっし〜お〜こる、スタ〜ジ〜アム〜に〜♪
お〜なっじお〜もい、む〜ね〜にだきしめ〜♪」
「くらやみ〜に〜は〜しるきみ〜は〜、じぶん〜をきず〜つけ〜♪
かえるい〜え〜さえみうしな〜う、わたしの〜むねでねむれ〜♪
わたしの〜むねでねむれ〜♪」
「あいとい〜う〜、かったっちないも〜の、
とらわれ〜て〜い〜る〜♪」
「ほしくずっの、ようさいまのふ〜たり〜♪
ことばを〜、う〜ば〜われたまま〜♪」
「気を〜つけて〜、だれ〜かがWatching
You〜♪
せな〜かからきみをおいつめてる〜♪」
「お〜〜らろ〜〜どが〜ひらか〜れた〜♪
き・ら・め・く・ひかり、おっ・れっ・を〜うつ〜♪」
「I feel your love、Reflection、みつめかえすひとみに〜♪
え〜がいて〜、は〜るかな〜、Never ending story〜♪」
何と言うか……、
結局、本宮さんの、
一人勝ち状態になってしまった。
それともう一つ、結論――
本宮さんは、女性ボーカルの曲の方が上手さが引き立つ。
「ふぅ、満足満足」
カラオケからの帰り道――
結局、全員からヤックを奢ってもらい、満足顔の本宮さん。
もっとも、本宮さんは食べた事に満足しているのではない。
久々に歌った事に、満足しているようだ。
しかも、本宮さんの右手には……、
持ち帰りにしてもらった、ヤックのバリューセットが4つ。
アレから、結局、ヤックに行ったのは良いが、
本宮さんは、全て持ち帰りにしてもらっていたのだ。
「しかし……よく4つも食べられますね?」
「おいおい……藤井誠が言えた台詞じゃないだろ」
……それもそうか。
「それに、これは、全部、俺の分って訳じゃないよ。
家に帰って、渡さなきゃいけない奴の分もあるしな」
本宮さんは俺の表情を察してか、状況の説明をしてくれる。
「……というと?」
「俺が理緒ちゃんの家に居候してるってのは、以前話したよな?」
「はい……」
「一度、長岡さんとのゲーセンバトルに勝って、ヤックを奢ってもらった事があるんだ。
その時もこうやって持ち帰りにしてもらったんだけど……、
良太とひよこ……理緒ちゃんの弟と妹の昼食にしてあげたんだ。
そしたら、凄く喜んでくれてさ……、
こういう機会があったら、また持って帰ってやろうと思ってたんだよ」
あぁ、そういう事か……、
だから、本宮さんは、あんなに優しい目をしているのか……、
「でも……本宮さんが、あんなに歌が上手いなんて、正直意外でしたね」
俺達の会話に、さくらが割り込んでくる。
「うみゃ、絶対歌手になれるよ!」
続いて、あかね。
「そうだな……、
音楽の授業とかも、成績良かったんじゃないですか?」
それに続き、俺も会話の流れに乗る。
しかし、本宮さんは、少し複雑な表情をした後――
「う〜ん……音楽はいつも、4か3だったなぁ」
意外な返答を返してきた。
「えっ、どうしてですか?」
堪らず俺は本宮さんに質問する。
「いやぁ……歌に関しては、成績良かったんだけどね。
俺って楽器の扱いがからっきしで……、
それでいつも、減点されてたよ」
あぁ、なるほど……そういう事か。
「それじゃあ、俺はこの辺で。今日はありがとう、みんな」
「いえいえ、それじゃ」
「今日は楽しかったですよ」
「うみゃ、またね〜」
本宮さんは一人、別の道で帰って行った。
「こっちから行った方が、近いから」だそうで……、
「しかし……」
三人になった帰り道、俺は何となく呟いた。
「どうしたんですか、まーくん?」
「いや……本宮さんって、歌上手かったじゃないか。
初めこそその上手さに引いたけど……、
今、考えれば、また聞きたいって思わせる歌声だったよな」
俺の言葉に、さくらは微笑む。
「ふふふ……私も、ですよ」
「うみゃ、まーくんも? さくらちゃんもなの?」
「う〜ん……そう考えると、今日は少し消化不良気味だったかな」
「でしたら、今からでも歌いましょうか?」
「うんうん!」
「――えっ?」
ちょっと待て。
何か、凄く嫌な予感がするぞ?
「すきすきすきすきすきっすきっ♪ あ・い・して〜〜る♪」
「すきすきすきすきすきっすきっ♪ ま〜〜く〜ん♪」
「や〜め〜て〜く〜れ〜っ!!」
あぁ……、
これで、また……、
俺、ご近所の晒し者だよ……、(泣)
3rd Impact…END
[後書きのコーナー]
はい、(作者の)本宮です。
「Heart to Heart × Leaf Another Story Vol.3」、いかがでしたでしょうか?
本宮は、カラオケとかはあまり行かない方です。
しかし、いざ行った時には……、
作中の本宮の如く、熱唱します。(笑)
まぁ……流石に一人で行く事は、ないんですけどね。
でも、一度で良いから一人で行ってみたいなぁ……、(爆)
一人でフリータイムで歌ってみたいなぁ……、(核爆)
ちなみに(作者)本宮は、音楽の成績は良かったです。
理由は作中で本宮が述べている通り。
唯一、作中と違うのは、楽器もそこそこ使えたという事でしょうか?
ちなみに本宮が最初に歌っていた、某小隊のOP。
あれは(作者)本宮も大好きです。
何て言うか、隊長の生き様に燃え。
好きな人に気持ちを素直に、率直に伝える……凄く大切な事ですよね。
でも、それは、なかなかできない事……、
それをやってしまう隊長、最高です。
(作者)本宮が尊敬する人物ですね。
それでは、次回をお楽しみに〜。
[出典]
カラーは、歌ったキャラ、
順番は歌った順に対応しています。
「Feeling Heart」(中司雅美)[To Heart(PS)]
「Brand New Heart」(AKKO)[To Heart(PC)]
「Sound of Destiny」(緒方 理奈)[WHITE ALBUM]
「さくらんぼキッス 〜爆発だも〜ん〜」(KOTOKO)[カラフルキッス 〜12コの胸キュン!〜]
「メロスのように -LONELY WAY-」(AIRMAIL from NAGASAKI)[蒼き流星S.P.T.レイズナー]
「バーニング・ラブ」(いけたけし)[超獣機神ダンクーガ]
「Princess Bride!」(KOTOKO)[Princess Bride]
「戦士よ、立ち上がれ!」(遠藤 正明)[魔装機神サイバスター(アニメ)]
「夢色チェイサー」(鮎川 麻弥)[機甲戦記ドラグナー]
「ハートを磨くっきゃない」(TOKIO)[飛べ!イサミ]
「限りなき使命」(谷本 憲彦)[疾風!アイアンリーガー]
「ダンバインとぶ」(MIO)[聖戦士ダンバイン]
「嵐の中で輝いて」(米倉 千尋)[機動戦士ガンダム 第08MS小隊]
「君を見つめて 〜The Time I'm Seeing You〜」(森口 博子)[機動戦士ガンダムF91]
「WHITE REFLECTION」(TWO-MIX)[新機動戦記ガンダムW Endless Waltz]
<コメント>
サフィ 「君が今でも〜、探し続ける〜♪
青い鳥は〜、いなくても〜♪」(^▽^メ
ラスティ 「あなたのことが大好き〜♪
そう気付いた瞬間の〜♪」(^▽^メ
フィア 「ねえ、サーリア……、
あの二人、何やってるの?」(−−;
サーリア 「もちろん、歌勝負ですぅ。
どっちが、カウジーさんの歌姫なのか、ハッキリさせるんだそうです」(^_^;
アルテ 「なるほど……、
それで、問題のカウジーさんはどちらに?」(−O−)
サーリア 「教会で、シアリィさんと一緒にお掃除してまですぅ」(^○^)
フィア 「ええっ! それって、
あの二人を出し抜くチャンスじゃないっ!!」( ̄□ ̄)
アルテ 「と言いますか……、
シアリィさんと一緒というのが、危険ですね」(−−;
フィア 「――いこう、アルテさん!」( ̄□ ̄)
アルテ 「急ぎましょう!!」( ̄□ ̄)
ダダダダダダーーーーッ!!
サーリア 「……行っちゃいましたですぅ」( ̄ー ̄)
カウジー 「お〜い、サーリア?
薬草採ってきたけど、これで足りるのか?」(^_^)
サーリア 「はい、充分ですぅ♪
それじゃあ、ちょっと休憩にするですぅ。
サーリア、今からお茶の用意をするですよ♪」(^〜^)v
カウジー 「ああ、そうだな……」(^_^)
一方 某丘の上の屋敷――
?? 「あはー、サーリアさんも、
すっかり、逞しくなっちゃいましたね〜♪」(^▽^)
?? 「誰のせいですか、誰の……」(−−;