――神渡 清華の朝は早い。

 日が昇る直前に目を覚まし、
日課の基礎トレーニングから始まるが、その辺は割愛する。

「こういうのは日課にしておかないと鈍るんだよ」

 ――とは彼女の弁。

 兎に角、日課を終え、かなりの人が、
まだ眠っている時間に、彼女は机を前に、毛筆を握っていた。

 別に、書道が趣味というわけでもない。
 ただ、単に、思い立ったので、他人から借りただけである。

 公言していないが、彼女の趣味は――


『ろりこんだっていいじゃないか へんたいだもの みうぜる』


「……よし、力作! これを『飛び交う弾丸亭』の、
ミュー君の使命手配書の隣に貼ろう。誰も居ないうちに♪」


 ――イタズラ、である。



ミュー:
なんだ、これはぁぁぁっ!!
GM:
――見ての通りだ。
ミュー:
これ以上、俺の風評を悪くするなぁっ!
GM:いや、これについては、ボクは関与してない!
   やったのは清華だから! 
まあ、許可は出したがな!
ミュー:
同罪だぁぁぁぁっ!!
フリッツ:……まあ、大丈夫じゃね?
     どんなに下がっても、0は底辺だし?
清華:
『下がらない男』ミュー君♪
ミュー:それは、頭に『これ以上』って言葉が付くんじゃないか?
GM:……否定はしない。
ミラ:ここは、前向きに考えよう。
   『変態』なだけ、まだマシだ、と……、
清華:――その心は?





ミラ:『変質者』になったら、救いようがねぇ。

ミュー:
どちくしょぉぉぉぉっ!!(泣)






『Leaf Quest TRPG』リプレイ

がんな〜ズ冒険譚 4

『スウィートファーム』







―― PHASE-00 今回予告&ハンドアウト ――


GM:まずは、いつも通り、
   今回予告とハンドアウトからです。


―― 今回予告 ――

無法都市に、小さなサムライがやって来た。

病に侵された師匠の為……、
その治療法を求め、高名な魔術師を訪ねて……、

そんな彼と出会ったミラ達は……知ってしまう。

少年の哀しい過去と……、
少年の過酷な運命を……、


がんな〜ズ冒険譚
第4話 『スウィートファーム』


まだ、少年は知らない。
まだ、少年は知ってはいけない。

己が背負う業の重さを――



GM:というわけで、今回の主役はミラです。
ミラ:高名な魔術師って……、
   もしかしなくても、アレスタの事だよな?
フリッツ:だろうな……他に心当たりは無いしな。
ミュー:また、無理難題を吹っ掛けられそうだなぁ。
清華:でも、西部な街にやって来たサムライ、って……、
   ちょっと萌えポイントだよね。


★PC1★ ハンドアウト:ミラ

 いつものように酒場で働くミラ。
 マスターに買い物を頼まれ、町を歩いていると、
 袴姿の少年が、悪徳商人に絡まれているのを発見する。



ミラ:うわっ、初っ端から騙されてそう!?
フリッツ:まあ、この街じゃ、騙される方が悪い。
清華:でも、子供とか、力の無い相手を騙すのはダメなんだよ?
   そんな人は、ナナちゃんが許さない。
ミュー:読めたぞ、GM……、
    このサムライ少年、テルトみたいな奴だな?
GM:うっ、鋭い……、(笑)


★PC2★ ハンドアウト:清華

 先のヒマワリ事件で、すっかり廃業状態のタツミヤ牧場。
 だが、そんな牧場から、何やら怪しい機械音が聞こえてくるそうな。
 保安官事務所にて、清華は、七瀬に、牧場の様子を見て来て欲しいと頼まれる。



清華:そういえば、あの事件の所為で、牧場は潰れたも同然なんだよね。
ミュー:その割には、ナターシャはノンビリしてたな。
    前回も、決闘の見物に来てたし……、
フリッツ:怪しい機械音ねぇ……?
ミラ:こっちはこっちで、大変そうだなぁ。


★PC3★ ハンドアウト:フリッツ

 今日も、銃の練習をするフリッツのもとに、バットがやって来た。
 バットは、フリッツに封書を渡す。
 それは、ホームパーティーへの招待状だった。



フリッツ:平和だな……怖いくらいに……、
清華:というか……バットって誰だっけ?
ミュー:ナターシャの(一応)恋人だ。
    ヒマワリの化け物にやられた傷は治ったようだな。
ミラ:しかし、何故に、いきなりホームパーティー?


★PC4★ ハンドアウト:ミュー

 今日も変態らしく街を歩いていると、
 ナターシャがゴロツキに絡まれているのを発見する。
 ミューは、彼女を助けようとするが、
 そんなミューよりも、一足早く、ナターシャとゴロツキの間に割って入る少女がいた。



ミュー:変態らしく、って何だっ!?
    一体、それは、どんな歩き方だっ!?
清華:きっと、街を歩きながら、襲う相手を物色してるんだね!
GM:いや、本人の意思とは関係なく、トラブルが起こって、
   それにミューが巻き込まれて、結果的に、ラッキースケベなイベントに繋がるんです。
   分かり易く例えると、某ToLO○Eる的な展開がダース単位で♪
フリッツ:つまり、ミュー本人には、特に落ち度は無いのに、
     全ての事態の責任を、ミューが引っ被るわけか。
ミラ:歩くエロイベント発生器め……、
ミュー:……そろそろ、この扱いに慣れて来た自分がいる。
GM:いっそ、全て受け入れて、状況を楽しむのも手かもね〜。
清華:そうすると、今度は一転して、何も起きなくなる……に3000点だね。
ミラ:で、自分を変態だと認めた、という事実だけが残る、と……、
ミュー:……泣いていいかな?





―― PHASE-01 ナターシャからの招待 ――


GM:では、まず、ミューのオープニングからです。
ミュー:しかし、今回も見事なまでにアプローチがバラバラだな。
GM:その為のシーン制ですよ。
   では、前回のビリー事件から数日……、
   ミューは変態行為以外で、何してますか?
ミュー:
そもそも、変態行為なんて、普段からしない!
GM:と思っているのは、本人だけなわけで……、
ミュー:そのへん、後で、じっくり話をしたいところだが……、
    まあ、普段している事と言えば、
    スラム地区と表通りの境界ギリギリの所をブラブラしてるかな。
GM:
……何をブラブラさせてるって?
ミュー:
散歩っ!! 散歩してるんだよ!!
GM:さて、例の清華のイタズラ書きの事など『まだ』知らず……、
   ミューが街で
ブラブラさせていると、見知った少女が、
   ゴロツキ達に囲まれて、何やら因縁をつけられているのを発見します。
ミュー:「む、あれはナターシャか?
    彼女に因縁を付けるとは、なんて命知らずな……」
    と、呟きつつも、絡まれているなら助け――
GM:――いや、その必要は無い。
   ゴロツキが、ナターシャに掴み掛かろうとした瞬間、
   別の見知らぬ髪の長い少女が、割って入ります。
   ぶっちゃけますと『坂上 智代』です。
ミュー:それは、ゴロツキに対して、ご愁傷様と言うしかないな。
    とはいえ、それでも黙って見ているわけにもいかん。
    俺も、ゴロツキに横から声を掛けるぞ。
ゴロツキ:「なんでぇ? 誰だから知らねぇが、関係ない奴は引っ込んでな!」
ミュー:「引っ込むのは貴様だっ!」
    と、ツッコミアイテムで、ゴロツキをスパ〜ンとフッ飛ばす!
GM:では、ゴロツキが、ミューのツッコミで横に吹っ飛び、
   次の瞬間、智代が放ったマシンガンキックが、
ミューに誤射されます。
ミュー:マシンガンキック?
GM:数秒間に百発単位で放たれる蹴りです。
   その威力と連射速度で、蹴られた相手が宙に浮く程の大技♪
   というわけで、
ズガガガガガガガッ!!
ミュー:
「あばばばばばばばっ!?」
智代:「――あっ」(←誤射に気付いた)
ゴロツキ:「なっ、味方諸共?! この女、クレイジーだ!!」(脱兎)
智代:「すまない、敵と味方の見分けがつかなかった」
   と、逃げる雑魚を一瞥してから、素直に頭を下げる。
ミュー:「い、いやはや……大したモンだ」(←ボロボロ)
智代:「とにかく、助太刀、感謝する……、
   私が蹴り飛ばしておいてなんだが、大丈夫か?」
ミュー:「いや、いい、慣れている……ナターシャも無事なようだな」
ナターシャ:「う、うん……ありがとう、ミューくん」
智代:「ミュー……? ああ、よく見たら『ザ・変態』じゃないか。
   ということは、これで、私は1Gを貰えてしまうのか?
   しかし、困ったな。助太刀してもらったにも関らず、
   蹴ってしまった身としては、賞金を受け取るわけにもいかないし……、
   そうだ! ここは、逆に、私が1Gを払おう。これで勘弁して欲しい」
ミュー:「
――いらんわ! その限り無く慰めに近い追い討ちっ!」
智代:「そうか? 遠慮深い男だな……ああ、そうか。
   そういえば、ろりこんだと……」(ぶつぶつ)
ミュー:「待て、ミス・マシンガンキック……誰がロリコンだ?」
智代:「飛び交う弾丸亭の張り紙に、そう書かれていた。
   まあ、とにかく、後は任せても良さそうだな。私は、失礼する」
   と、言い残し、智代は去っていきます。
ミュー:
「あ〜い〜つ〜かぁ〜……」(ゴゴゴゴ)
清華:〜♪ 〜♪(←口笛吹いてる)
ナターシャ:「え、えっ〜と、ミューくん、ちょうど良かったよ。
      実は、キミに会いに行くところだったの。
      ミューくんは、今夜、お暇かな、かな?」
ミュー:「ヒマはヒマだぞ? 今晩は、特に予定は無い」
ナターシャ:「そう、よかった……じゃあ、はい、これ♪」
      と、ナターシャは、ホームパーティーへの招待状をくれます。
ミュー:「なんだ? とうとう、彼氏とゴールインか?」
ナターシャ:「そ、そそそ、そんなんじゃないよ?
      こ、これは、ヒマワリ事件で助けてくれたお礼が、まだ、だったでしょ?
      だから、ご招待するの♪ みんなで来てね」
ミュー:「そーいうことなら、ありがたく、ご相伴に預かるとしようか」
ナターシャ:「うん、じゃあ、待ってるね……(オ○シロモード)
休んじゃダメだよ?
ミュー:
「OKOK、分かったから、その目は止めなさい。
    
俺、ノコギリでバッサリやられそう」
ナターシャ:「やだな〜、私の得物はノコギリじゃなくて……
コ・レ♪
      ナタをブンブンと振りつつ、去っていきます。
ミュー:「俺が言うのも何だが……流石は、ナカザキだな」





―― PHASE-02 サムライ少年 ――


GM:では、飛び交う弾丸亭にシーンを移します。
ミラ:「――はい! こちら、テキーラ2丁!」
   いつものように、ウェイトレスとして、クルクルと働いてるぞ。
GM:と、いつものように、ミラが働いていると、
   マスターが、お金とメモを投げて寄越します。
マスター:「ミラ、買い物に行ってこい。
     それに書いてある食材、全部、買って来てくれ」
ミラ:「りょーかい、オーダー承りました、っと。
   ちょっと行ってきまーす!」
   とゆ〜ことで、サッサと済ませますかね。
   あたいがいないと、文句を言う客もいるんでね……なんちゃって♪
GM:では、あっという間に買い物を終えて、その帰り道――
   ミラの耳に、何やら気になる会話が飛び込んできます。
ミラ:「む……?」
   身体全体で荷物を抱えるように歩いてるんだけど……はて?
GM:ミラが、そちらを見ると、
   道の脇に露天商と袴姿の少年がいまして――
少年:「本当に、この薬を飲めば、どんな病気も治るんですか?」
露天商:「おうよ、坊主も運がいいぜ。この薬があれば、どんな病気も一発だ。
   だが、貴重な薬だから、これ1つしかねぇ。
   当然、それなりの値段は覚悟してもらうぜ?」
少年:「……ど、どれくらいします?」
露天商:「そうだな〜、坊主が持ってるその刀……それと交換で良いぜ?」
少年:「こ、これは、師匠から預かった大切な――」
露天商:「――じゃあ、この話は無しだ」
少年:「うっ……それは……」
露天商:「さ〜、どうする? 明日には売れちまってるかもしれねぇぞ〜?」
ミラ:「ちょいとそこの人? あたいにも、それを見せてくれるかい?」
   なんか『上京したての若者が騙されてる』的な光景だね。
   まあ、運良く、あたいはアルケミスト技能を持ってるし、
   ちょいと割り込んでみようかね。
露天商:「おっ? お、おおよ……好きにしな」(汗)
GM:ミラなら分かるが、商人が売ろうとしていたのは、
   容器を変えただけの、ただのナオール剤です。
ミラ:「……ふ〜ん?」
   やっぱり、そんなもんか……、
少年:「……?」
ミラ:「――キミ、その刀、いくらくらいの代物だい?」
少年:「これは、どんなにお金を積まれたって、手放せません」
ミラ:「そうだろうねぇ……、
   あとちょっとで、これくらいのモンと交換するトコだった」
   ナオール剤の定価である100Gを、露天商に投げる。
少年:「……えっ?」
ミラ:「貰っとくよ、ナオール剤。ちょっと手持ちが無かったんでね。
   あと、商品は適正価格で売った方が、長い目じゃ儲かるぜ?」
露天商:「ちっ、余計な真似しやがって……」
    と、100Gを受け取り、露天商は逃げるように路地に消えていきます。
ミラ:「もうちっと真面目に働かんかーっ!」
   と、そいつの背中に向かって怒鳴っておく。
   ありゃ、新入りだな……ったく、ガキ相手にセコイ真似しやがって……、
少年:「えっと……その……?」
   去っていく露天商とミラを、何度も見比べている。
ミラ:「ま、この町じゃ、良くあることだよ」
少年:「そ、そうなんですか……、
   ありがとう、ございま……すぅぅぅ〜〜〜〜〜」
   ミラにお礼を言おうと、頭を下げる少年……、
   いや、そのまま、力尽きたように、ふにょんと倒れてしまいます。
ミラ:――ふにょん?
GM:少年は、ミラの胸に顔を埋めるように、倒れたんです。
   だから『ふにょん』です♪
ミラ:
「――って、おい! 何をやっとるか!
   
ひゃう!? 変なトコに顔を埋めて掴んで落ちるな〜!?」
   慌てつつも、何とか抱きとめよう。
少年:「お……」
ミラ:「――お?」


少年:「お腹……空いた……きゅ〜」(←気絶)


ミラ:「……ああ、もう!」
   とりあえず、どうしたモンか……、
   大量の荷物と、この少年……両方、持って帰らないと……、





―― PHASE-03 アレスタに相談 ――


GM:続いて、フリッツのシーンです。
   フリッツは、いつものように、酒場の裏で、銃の練習中です。
   たまに、マスターが付き合ってくれたりもしますが、
   なかなか、前回の『あの感覚』が自在に再現できません。
フリッツ:「はぁ……どうやったら『あれ』が出来るんだ?
     イマイチ、コツが掴めないや……」
GM:と、そんなフリッツの肩が、不意に、ポンッと叩かれます。
バット:「よう、調子はどうだ? 変態の相方」
フリッツ:「アイツと一緒にするな……まぁ、まだまだってトコかな?
     で、今日は、どうしたんだ?」
バット:「いや、ちょっと、ナターシャに頼まれてさ」
    と、フリッツに招待状を渡します。
フリッツ:「なになに……ほ〜、ホームパーティーか〜」
     ミューが貰ったモノと同じ物だよな?
バット:「ヒマワリ事件で世話になっただろ? そのお礼がしたいってさ。
    ナターシャの料理は旨いんだぜ。期待していい。
    あんたの仲間達にも、声を掛けておいてくれ」
フリッツ:「ほう、そりゃ楽しみだ」
バット:「日時は、今日の夕方の6時だ。遅れるなよ。
    ああ、そうそう。あのちっちゃい魔術師も来るそうだ。
    何か煮詰まってるなら、相談してみたらどうだ〜?」
    と言い残し、バットは去っていきます。
フリッツ:「アレスタか……そうだな、あいつの知恵を借りてみるか?」





―― PHASE-04 タツミヤ牧場の謎 ――


GM:悪戯に成功した清華は、
   やり遂げた男の顔で、保安官事務所にやって来ました。
清華:
「にゅふふふふふ……」
   糸目になってニヤニヤしつつ、保安事務所前に来る。
   で、扉を開ける前に、普通の表情に戻してから、事務所に入るよ。
GM:清華が事務所に入ると、
   七瀬が、凄く難しい顔をして書類を呼んでいます。
七瀬:「ストームブリンガーが強奪? こっちに流れてる可能性あり?
   あ〜もう、成金トレボーの馬鹿は〜……、
   そーゆーのは、キッチリ管理しとけっての……」(ブツブツ)
清華:「こんにちは〜……って、どったの?」
   すとーむぶりんがー? 強奪? 何か面倒事?
七瀬:「ああ、清華、いらっしゃい。
   ……アレ、見たけど、悪戯は程々にね。
   まー、あいつが相手なら、どんどんやっていいけど」
清華:「ありゃりゃ、やっぱり、ななちゃんにはバレちゃうかぁ……、
   うん、程々にするよ、ほどほどにー」
七瀬:「そうそう程々にね、
止めるつもりは無いけど♪
   まあ、それはともかく、ちょうど良かったわ。
   ちょっと、頼みたい事があったのよ。タツミヤ牧場での一件は、覚えてるわよね?」
清華:「そりゃあ、あの事件では、色々とあったし……」
七瀬:「あそこ、敷地一杯にヒマワリが咲いちゃったせいで、
   今や、牧場は、すっかり廃業状態……なんだけど……、
   最近、変な噂を耳にするのよね」
清華:「廃業状態は痛いよねぇ……で、噂って?」
七瀬:「なんか、牧場の近くに行くと、妙な機械音が聞こえてくる、とか?
   夜中に、何人もの人影が、牧場の中を歩き回ってる、とか?
   そういうわけで、コレのついでに、ちょっと様子を見てきてくない?
   まあ、コレを見る限り、心配はいらないと思うけど……」
   と、七瀬は、ナターシャから預かっていた招待状を差し出します。
清華:「おーけー、了解でありますっ! ボクに任せといてー!」
   招待状を受け取って、ミラっちの店に向かうよ。





―― PHASE-05 魔術師を訪ねて ――


GM:シーンを、飛び交う弾丸亭に戻します。
   皆さん、ここで、交流してくださいね。
   まず、ミラが店に戻ってきました。
ミラ:「マスター! 余りモンで良いから、
   ちょいと消化の良いモンを1人前用意してやってくれ!」
   荷物を乗せた台車を押し、少年を背負って、店に入る。
マスター:
「……あら、大きなおでん種」
ミラ:「……は?」
マスター:「いや、何でもない、気にするな……、
     それにしても、随分とデカい食材を買ってきたな?
     いくらなんでも、そんなデカイ鍋は、ウチには無いぞ?
     ウチに来る客も、さすがに人間食う奴はいない」
清華:「そこで、まさかのカニバリズム!
   ……ミラっち、食材?」
   そのタイミングで、ボクも店に入るよ。
ミュー:その頃、俺は、店の掲示板の、例のアレを見て、石化している。(笑)
ミラ:「あー……なんか、ひろっちゃった、ははは。(汗)
   一応、代金はあたいの立替払いってことに――」
マスター:
「それとも……お前が『食う』のか? だったら、自分の家でヤれ」
ミラ:
「どっちの意味でも食うかーっ!
   あたしゃ善意で行き倒れ拾っただけだーっ!」(噴火)
マスター:「はっはっはっ、冗談だ、冗談。
     とにかく、お前が拾って来たなら、お前が、適当に何か作ってやれ。
     ただし、関わるなら、最後までキッチリ面倒みろよ?
     それが出来ないなら、今すぐ、七瀬の嬢ちゃんトコに連れていくか、
     スラム地区にでも捨てて来い。
     よく見りゃ、かわいいツラしてるし、『その気』になりゃ、食う分には困らねぇよ」
ミラ:「普通に肉体労働させても大丈夫そうな体格ではあるからな。
   ちゃーんと面倒見ますよーだ」(あっかんべー)
   なんか、猫でも拾って来たみたいだよ。
   ま、一度助けちゃったしね……、
   いかにもワケありっぽいし、話くらいは聞いても良いさ。
フリッツ:「うぃ〜す……何かあったのか?」
     特訓を中断し、昼メシを食いに、店に入る。
ミュー:
「清華ぁ〜……、(ゴゴゴゴゴゴ)
    
あの、いかにも朝から準備万端仕込みました、って感じの書は、何だ?」
フランク:『はっはっは、いいぞ、清華ちゃん、もっとやれ!』
ミラ:「ウチの壁がどんどん面白くなってるねぇ……」
マスター:「ウチの掲示板は、落書き帳じゃないんだが……まあ、いいか、おもしれぇし」
フリッツ:「いいのかよ、それで……まぁ、ミューだから良いか」
ミュー:「誰か一人くらいフォローねぇのか!?」

マスター:
「すまん、フォローできねぇ」
フリッツ:
「すまん、フォローしようがねぇ」
ミラ:
「すまん、フォローする気もねぇ」
清華:
「すまん、フォローしたくねぇ」

客一同:
「――うんうん」

ミュー:「この場で押し倒して、
    とても人様には言えない様な事しまくるぞ、こんちくしょう」
ミラ:「一応、ここの管轄が七瀬さんだってことは言っとくぞ〜」
   と、忠告しつつ、厨房に入る……と言っても、あたいか作れるのって、
   親子丼くらいだからなぁ……、
清華:「ご飯は柔らかめでね〜」
GM:さて、カウンターに座らされた少年は、
   そこで突っ伏して、ばたんきゅ〜しています。
   少年の腰には、少年には不釣り合いな立派な刀があります。
ミュー:「歳の割に、腰のモノは立派だな」
清華:「ミュー君……
何処、見てるの?
フリッツ:「ミュー、お前……ロリだけじゃなく、ショタまで……」
ミュー:「そうじゃない!! そいつの剣の事を言ったんだ!」
    刀は、大陸では珍しいんだよな? 判定しても良いか?
GM:じゃあ、アルケミストか……剣術でも良いかな?
ミュー・フリッツ・ミラ:そ〜い!(ころころ)――
GM:達成値12以上なら分かります。
   この刀は、サムライソードと呼ばれ、この世界の極東の島国である、
   『ウタワレ』でしか作られていない、とても珍しい剣です。
   しかも、彼の刀は、珍しい以上に、間違いなく、大業物と呼ばれる部類のモノです。
   尤も、今は鞘に収まり、しっかりとヒモで封印もされているので、
   それ以上はわかりませんが……、
ミュー:それをふまえた上で、改めて少年を観察しよう。
    やっぱり、ウタワレ人なのか?
GM:ウタワレ人ではありません。
   ウタワレ人特有の獣耳ではなく、大陸の人間です。
ミラ:「妙な剣だな、反ってるし……シミターの仲間か?」
ミュー:「カタナと言ってな、達人が振るえば、
    岩でも真っ二つに切り裂くとか、鉄もバターみたいに裂くとか……、
    酷い話になると戦艦を真っ二つに切り裂く、とか言われてるな」
ミラ:「そーいや、聞いたことがあるような無いような……」
   と言いつつ、出来上がった親子丼を置く。
少年:
「――っ!!」
   親子丼が目の前に置かれた途端、
   ガバッと身を起し、凄い勢いで食べ始めます。
ミラ:「……お、気付いたか?」
少年:
「ガツガツガツガツ! モグモグモグモグ!」
フリッツ:「へぇ……凄い食いっぷりだな。よほど腹が減ってたんだな」
清華:「胃が弱ってるんだから、掻き込むのは危な――」
少年:
「グッ……ゴホッゴホッ!!」
ミラ:
「――ほれ、水!」
少年:「ゴクゴクゴクゴク……ふう〜……」
   一気に食べて、胃が落ち着いたのか、少年は、ひと息付き……、
   状況を理解すると、顔から血の気が引いて、真っ青になっていく。
ミラ:「……どうした?」
少年:
「す、すみません! 僕、お金持ってないんです!
   ごめんなさい!! どんな仕事でもしますから、この刀だけは!!」(土下座)
ミュー:「ミラ……お前、それが目当てで……」
ミラ:「オマエみたいな変態じゃないから!
   ま、それはともかく、ちゃんと返せよ?
   体で払え〜、なんて言わんから……」
少年:「は、はい! それはもちろん!」
ミラ:「だが、しかし、返せと言っても身一つか〜。
   相場はやっぱし『カラダ』とはいえ……何か、特技とかある?」
少年:「師匠のお世話をしてたので、家事全般は……、
   あと、ミフネ流剣術も……修行中です」
ミラ:「ミフネ流剣術ねぇ……、
   そういや、そもそもキミの名前を聞いてないな」
ティーノ:「あ、申し遅れました。僕は『ティーノ=ウイングロード』といいます。
     リーフ島から来ました。
     煩わしい名なので、ティとかティノって呼んで下さい」
ミラ:「リーフ島……あ〜、なんとなーく騙されてた理由が分るような……」
ミュー:「あそこの住人では、騙されるのもむべなるかな、というトコロか」
フリッツ:「平和ボケが凄いもんな、王様共々」
清華:「まぁ、いきなりココは危ないかな〜。
   ボクも、ココに来た頃は、結構、危なかったし?」
ティーノ(以下ティノ):「――お姉さんのお名前は?
            先程は、助けてもらって……しかも、食事まで……、
            本当にありがとうございます」(ぺこぺこ)
ミラ:「あ〜、名乗るの忘れてたっけか?
   あたいはミラ……ミラ=プリメーラ……17歳だ」
   サラッとサバを読んでみる。(笑)
清華:そういう時は、
ミラ=プリメーラ17歳(おいおい)って言うんだよ♪
GM:
『永遠の17歳教』ですね、わかります。(笑)
ミュー:「正直に22さ――」
フランク:『馬鹿野郎! わざと年齢誤魔化して、セーラー服着て、
     高校生やっちゃったりしてるからエロ可愛いんぢゃねーかっ!』
ティノ:「ミラさん……ありがとうございました。このご恩は必ず……」
ミラ:「で、ティノ……何故に、平和でいいトコだと評判のリーフ島から、
   危険極まりないと評判のナカザキなんぞに?
   さっき、薬がどうこう言ってたが……?」
ティノ:「えっと、実は、僕の剣の師匠が、
    重い病に倒れまして……その治療薬を探しているんです。
    で、この街に高名な魔術師の方がいると聞いて……」
フリッツ:「高名な魔術師って言うと……アイツか?」
ミュー:「アイツ、だろうな」
清華:「高名かどうかは分かんないけど、
   やり手といえば、おねーさまだよね?」
ミラ:「……その情報の出所は?」
   その魔術師がアレスタだとして……、
   あいつ、そんな簡単に居所を掴ませるようなヘマする奴じゃないだろ?
   それを知ってるって事は、個人的な知り合いか、相当のやり手――
ティノ:「リーフ島の
『まーりゃん』って人が教えてくれました」


 
――ずざざざざざざざっ!!


客A:「うわ、あのガキ……アレの関係者か?」
客B:「くわばらくわばら……」
GM:『まーりゃん』という単語が出た瞬間、周囲の客が、一斉に引きます。
ミラ:「あたしの魂が、相談する相手を選べ、って叫んでるぞ」
   ってか、あたいは知ってても良いのかな?
GM:そうですね、まーりゃんの悪名は、こっちにまで轟いてます。
   『卑怯オブ卑怯』とか『関わった人生の終わり』とか、
   『逆らったら(社会的に)死あるのみ』とか、
   『敵に回すと鬱陶しい、味方につけると恥ずかしい』とか……、
ミラ:「珍しく的を得てる情報だが……、
   アイツは助けてくれるか、って意味じゃ、やっぱ『まーりゃんの情報』かぁ」
清華:「……ミラっちの様子からすると、アブない人みたいだね」
ミラ:「アブないって話が海を越えて、
   ここの客を震え上がらせる程度には、な……」
ミュー:「出来る限り、関わり合いになりたくないタイプってやつか」
ティノ:「性格や行動に難はありますけど……基本的には良い人ですよ?」
GM:破天荒な行動で有名な御仁ですが、彼女のする事は、
   その過程はともかく、結果だけ見れば、良い方向に進んでるんですよ。
フリッツ:尚更、性質悪いじゃねーか。
ミラ:「ティノ……あんた、心広いねぇ」
ミュー:「ま、それはそうと……、
    先刻、ナターシャが、こんなモンを持ってきたんだが……?」
    と、例の招待状をヒラヒラさせる。
清華:「あ、それ、ボクも貰った」
ミラ:「ほ〜、パーティーか……あたいは貰ってないが?」
マスター:「あー、それなら、俺が預かってる」
     と、マスターが、ミラの分の招待状をくれます。
ティノ:「……食器、洗ってきますね」
    自分とは関係無い話になったので、食器を持って、厨房に消えます。
ミラ:「ティノ……いい嫁になるぞ」
フリッツ:「パーティーで思い出した!
     ティノ、そのパーティーにお前の探している奴が来るぞ」
ミラ:「アレスタも来んの? じゃあ、あいつも一緒に連れて……行って良いのか?」
ミュー:「別に良いんじゃないか?」
ティノ:「アレスタって……もしかして、マスターテリオン様のことですか?」
    と、自前のフリフリエプロン姿で、台所から出てきます。
ミラ:「
(ずきゅーんっ!?)そ、そーゆーふうにも名乗るな、あいつはっ!」
ティノ:「そ、その人です! まーりゃんさんが言ってたのは!
    お願いします! ぜひ、連れて行ってください!!」
    ミラの手をガシッと掴んで、ウルウル瞳を潤ませて見上ます。
ミラ:「えーいっ! 後悔してもしらねーぞ、あのこーまんちきに絶望しても!」
   
な、なんだ、この熱い胸のたぎりはっ!
   
これは恋か? 性欲かっ!?
   
くそっ、なんで20過ぎて、これなんだ!
   
まるで、下も生えてねぇ、小娘みたいな反応をっ!
ティノ:「――覚悟の上です!!」
ミラ:「よーし、いい覚悟だ! 『魔術師の取引は等価交換』ってのを忘れるな!
   犠牲を覚悟しろ! ならば、連れて行こうじゃねぇか!?」(真っ赤)
清華:「……ミラっちのハートに、ド真ん中ホームラン?」
ミュー:「アレだな……最近、話題になってる『イルス=クークルー』に対する、
    男の反応みたいなモンか?」
フリッツ:「そうか……あれが噂の『男の娘』ってやつか……」
清華:「まぁ、こーゆーのは色々な要素が絡むからねぇ。
   ボクとしては、惚けられなかったら、面白そうでOKたけど」


 こうして、ミラ達は、ティーノを連れて、
ナターシャが催すホームパーティーに行くことになった。

 タツミヤ牧場に行く前に、
買い物の為に、いつものボッタクル……、

 ……いや、ボルタック商店に向かう。



清華:「おっちゃーん! この前、注文しといた銀拳あるー?」
   銀製品のナックルを購入する!
店主:「お〜、届いてるぜ〜」
ミラ:「こりゃ、また、ゴツイの買ったな」
清華:「じゃあ、これ、代金ね!」
店主:「ひーふーみーよー……今、何時だい?」
清華:「お昼過ぎだね」
店主:「ちっ……清華ちゃんも、すっかり、この街に慣れたねぇ」
清華:「いやー、それほどでも〜」
   がちゃり、と右腕にナックルを装備する。
店主:「――おお、ピッタリだな。
   流石は、マジアンの津岡製、いい仕事してやがるぜ」
ミュー:「ほう……銀、か」
フリッツ:「やっぱ、見栄えが良いな、銀武器は……」
清華:「ボクは拳士だから、霊体相手には、ちょっと分が悪いからねぇー」
店主:「間違っても、そいつで、変態ドツくなよ?」
ミュー:「洒落抜きで、ダメージがデカくなります」
清華:「……考えとく」(笑)





―― PHASE-06 紫琥珀 ――


GM:では、その日の夕方頃……、
   皆さんは、ティーノを連れて、タツミヤ牧場へ向かいます。
   ちなみに、ティーノは、紙箱を抱えています。
ミラ:……菓子折りか?
ティノ:「マスターに台所を借りてケーキを焼きました。
    ニンジンがたくさんあったので、キャロットケーキですけど……」
フリッツ:「器用だな、お前……」
ミラ:「そこらへんで礼節を尽くすのがウタワレ流……と聞いたような、聞かなかったような?」
   食ってみたいなぁ……ニンジン嫌いだけど、コレならいけそうな気がする。
GM:そんな話をしつつ、皆さんは、タツミヤ牧場に到着します。
   すると、牧場の敷地内から――


 ギー、ガッチャン、ガッチャン……、
 ガシャコン、ガシャコン……、
 ウィィィン、ガリガリガリガリ……、
 え〜んやこ〜ら、え〜んやこ〜ら……、
 へいへいほ〜、へいへいほ〜……、



GM:――とまあ、こんな奇妙な物音が聞こえてきます。
ミュー:
いや、奇妙にも程があるだろ!?
フリッツ:
最後の2つは、物音ですらねぇぞ!
GM:そういう雰囲気の物音だと思って下さい。
ミラ:「……何か、巨大ロボでも歩いてるような音がするぞ?」
GM:ご明答♪ 巨大ではありませんが、
   5体のゴレームが、ヒマワリを刈ったり、地面を耕したりしています。
フリッツ:「畑を耕してるのか、あのゴーレム?」
ティノ:「……
耕運機ゴーレム?
清華:
「大地を耕す、こ〜うんきロボ♪」
   ななちゃんが言ってたのは、多分、コレの事なんだろうな〜。
   見てる限り、実害は無さそうだねぇ。
ミュー:「まー、こういう活用法も有だろ。
    寧ろ、今まで、誰もやってなかった方が意外だ」
    多分、ここまで器用な真似が出来るゴーレムを作る技術が、今は無いんだろうな。
    こんな酔狂なモン作れるのは、アレスタとファングくらいだろ?
ミラ:「しかし、こんなのを動かせるのって、アイツくらいだろうなぁ」
ティノ:「じゃあ、これも、マスターテリオン様が……凄い」
ミラ:「アイツは、確かに凄いが……、
   世の中、突き抜けて凄い奴ってのは、
   大抵、突き抜けて『変』なんだ、って事は覚悟しとけよ?」
清華・フリッツ:
「…………」
ミュー:「OKOK、そこで、何故、俺を見るのか、詳しく説明してもらおうか?
    
いや……やっぱり、しなくて良い」
ティノ:「その辺は、まーりゃんさんで、多少は慣れてます」
ミラ:「……そういや、そうだっけ」
GM:牧場の奥の方に、家屋が見えます。
   窓から明かりが漏れており、煙突から煙も出ています。
ミラ:「お〜い、遊びに来たぞ〜?」
   もう、パーティーの準備は出来てるのか?
   とにかく、ドアを開けて、家の中に入ろう。
GM:ミラがドアを開けると、玄関には――





仔ブタ:
「……ぶひっ?」
    と、可愛らしい仔ブタが出迎えてくれます。

一同:
「…………」





清華:
「――ブタだー!?」
ミラ:
「ンなこたぁ分かっとるわ〜!」
ミュー:
「ツッコミ所だらけで、
    何処からツッコんで良いのか分からね〜よ!」
フリッツ:
「待て、落ち着け!
     
落ち着いて、まず、素数を数えるんだ!」
ミラ:
「ええい、家主は何処だぁぁぁぁっ!?」
ナターシャ:「――あっ、皆さん、いらっしゃい」
      と、困惑する皆さんの後ろから声がします。
ミラ:「なんだ、そこにいたの――」





 と、ミラ達が後ろを振り向くと――

 そこには、返り血を浴び、
血に濡れた大ナタを持ったナターシャが――






一同:
「ぎゃああああああああっ!!」





ミュー:「――って、剣士が返り血を怖がってどうする!
    そ、そうか、豚か鶏でも絞めてたんだな」
清華:「う、うんうん……ご飯、作ってたんだよね?」
   そういえば、ボクも、日頃から、割と同じ事してるよ。
フリッツ:「それは、分かるんだが……」
ミラ:「相手がナタシーャだと、インパクトが……、
   あ〜、心臓に悪ぃ〜……」


ナターシャ:
「みんな、どぉしたのぉ?」(小首傾げ)


ミュー:
「取り敢えず、瞳のハイライトを消すの止めよう。
    
そのナタは仕舞おう。台詞を間延びさせるの止めよう。
    
今のお前の姿は、死体の解体してきました、って言われたら、
    
事情を知らない奴は、素で信じるぞ」


ナターシャ:
「……うん、してきたよ?」


ミラ:
「豚のだよな?! 鶏のだよな?!
   
ちゃんと言葉に主語は入れような、そこ重要だから!」
ティノ:「――っ!!」
    ティノは、ミラを庇うように、咄嗟に前に出たりしてます。
ミュー:「落ち着け、剣士なら、相手がどんなヤツで、
    どんな状態かは、可能な限り素早く判断しろ。
    ああ見えて、ナターシャは、そうそう人に危害は加えない。
    まだ未熟だと、よく言われなかったか、サムイラボーイ?」
ティノ:「……はい」(しゅん)
ミュー:「とはいえ、咄嗟に護ろうとした、その姿勢は立派なモンだ。
    その点は、誇って良いと思うぞ」
ミラ:「珍しく優しいな、変態」
ミュー:「案外、ホントに必要な時は動けなかったりするからな。
    それはともかく、ナターシャ、その姿は? やはり、鶏でも絞めていたのか?」
ナターシャ:「うん♪ あっ、でも、こんなに大勢だと、一羽じゃ足りないかな?
      (仔ブタを抱き上げ)
じゃあ、行こう、ぷーちゃん♪
清華:
「えっ!? その子、食べるの?」
フリッツ:
「てか、家畜に名前つけんなよ! 食い辛ぇっ!」
ナターシャ:「大丈夫、この子は
『まだ』食べないよ」
ミラ:「まだ、なんだ……」
ナターシャ:「準備に、もうちょっと掛かるから、皆は、上がって待ってて。
      もう、アレスタさんも来てるから」
GM:と、ナターシャに促され、リビングに向かうと、
   今日は、パーティ用なのか、黒いゴスロリ服を着たアレスタが、優雅に紅茶を飲んでいます。
   しかも、バットに羽団扇で仰がせて、寛ぎモード全開です。
ミラ:「……妙な光景が広がってるな」
   てか、どう見てもアンゼ○ット様です。
   バットは仮面つけてたりしねぇよな?
ミュー:「……それで良いのか、バット?」
アレスタ:「――うむ、遅かったな」
     皆の姿を見て、アレスタはカップを置きます。
ミラ:「あ〜、女王様に謁見を願い出ようとしてる者がおるのですが、如何されます?」
アレスタ:「ほう……それは、そこの侍坊主か?」
清華:「ボクも、ちょっと訊きたい事があるんだけど?」
フリッツ:「俺も……後で、ちょっと良いか?」
アレスタ:「やれやれ、千客万来じゃな……、
     一度に言われても、わしは、分割思考なんで出来ん。
     聞いてやるから、ちゃんと一人ずつ話せ」
ミラ:「リーフ島の『まーりゃん』の紹介、とか言ってるんだが?」
アレスタ:「……あの女の関係か? となると、かなりの厄介事じゃな。
     それについては、最後に聞こう」
清華:「じゃあ、ボクからで良い? 多分、すぐに終わるから。
   タツミヤ牧場の近くに行くと、妙な機械音が聞こえてくる、とか、
   夜中に、何人もの人影が、牧場の中を歩き回ってる、とか、
   そんな話が、街で噂されてるんだけど、それ、ぶっちゃけ、おねーさまの仕業?
   ななちゃんが、その事を気にしてたから、報告しなきゃいけないんだけど?」
アレスタ:「あ〜、そんな噂になっとったのか。
     その噂の元は、今、表で動いとる耕運機ゴーレム『コンバインV』じゃな。
     あと、ハム製造ゴーレムの『ボンレスV』というのもある。
     2つとも、わしが、ナタ女に貸し与えたモノじゃ」
フリッツ:
前回、言ってたヤツか!?
     
ネタじゃなくて、マジであったのかよ!
アレスタ:「いや、牧場が廃業同然だから、立て直す為に、
     しばらく、農業に転業する、と言うから、ある条件と引き換えに貸したのじゃよ。
     いや、そんな噂になっているとは悪い事をした。
     問題は無いと、保安官の娘に伝えておくが良い」
清華:「おーけー、じゃあ、そう伝えておくよ」
アレスタ:「ふっふっふっ、しかし、良い出来じゃろう?
     あのゴーレム達は、ただ、土を耕したり、ハムを作るだけじゃないぞ?
     なんと、
変形合体機能&自爆装備完備じゃ」
ミュー:「今、サラリと、要らん機能が付け加えられてなかったか?」
清華:「自爆はともかく、変形合体はカッコイイね!
   やっぱり、凄く強くなったりするの?」
アレスタ:
「いや、より効率良く、土を耕し、ハムが作れるようになる」
ミラ:
「変形合体、意味ねぇっ!?
   自爆は、もっと意味ねぇ!?」
アレスタ:「ゴーレムに変形合体と自爆装置は技術屋のロマンじゃ。
     かつての我が同朋も、それについては激しく同意しとったし?」

たまたま見学していたファングのPL:
激しく同意です。(笑)

フリッツ:「まぁ、そんなこ事はどうでも良いとして……、
     なあ、『コンセントレーション・ワン』って知ってるか?」
アレスタ:「うむ、聞いた事はあるがの……それがどうした?」
フリッツ:「先日の決闘の時、一瞬だけ、アレを感じて……、
     マスターしようとしてるんだが、なかなか身につかないんだよ」
アレスタ:「ふ〜む、そういう特殊能力に関しては、
     わし自身、持ち合わせておらぬから専門外だが、
     おそらくは、錬金術師の高速思考に類をなす能力じゃろうな。
     一瞬の中での、判断と思考と反応の同時展開……、
     まさに、高速思考と分割思考じゃろ?」
フリッツ:「高速思考か……なるほど、少しは糸口が掴めたかもしれねぇ、ありがとな」
アレスタ:「何か掴めたかの? それなら幸いじゃ。
     流石のわしも、生まれ持った才に関しては、助言はできんからのぅ。
     で、最後は……あのバカ女の関係者か……」(溜息)
ミュー:「類稀に見る程、面倒臭そうだな」
ミラ:「気持ちは分かるが、話だけでも……、
   長くなりそうだから、コレでも食べながら、さ……」
   と、ティーノに手土産を出すよう促す。
ティノ:「は、はい……あの、実は――」
    アレスタにケーキを差し出しつつ、事情を話し始めます。


 ――ティーノには、剣の師匠がいる。

 名を『ミフネ』と言い、大陸では珍しいウタワレ人……、
 その中でも『エヴェンクルガ』と呼ばれる、誇り高き武人の部族の一人だ。

 ティーノが言うには、その師匠が、重い病に倒れた、とのこと。

 治療法が分からず、困っていたところ、
偶然、リーフ島にいた『ミカト』という薬師を、まーりゃんに紹介された。

 彼女の診断によると、師匠の病を治すには『紫琥珀』というモノが必要らしい。

 だが、それは、ウタワレでは、
ほんの少量で街一つか買える、とも云われる高価なモノ……、

 エリクサーの原料が豊富な、
リーフ島でも、それを手に入れることは出来なかった。

 ――ならば、大陸に行って探すしかない。

 そう考えたティーノは、
単身、海を渡り、大陸へとやって来たのだ。

 まーりゃんから得た情報……、
 ナカザキにいる『至高の探求師』を求めて……、



アレスタ:「なるほど……紫琥珀とは、な……」
     ティノの話を聞き、アレスタは、暫く考える。
     そして、ミラ達に向き直ると、それはそれはイイ笑顔を見せます。
ミラ:「うっ……嫌な予感……」
アレスタ:「さて、給仕娘達よ……、
     
これから、わしがする質問に『はい』か『イエス』で答えよ
ミュー:
「選択の余地がねぇっ!?」
フリッツ:
「拒否権は無しかよっ!?」
ミラ:「
キャラが違う気がするが……ええい、条件を言ってみやがれ!」
アレスタ:「先程、わしが、ナタ女にゴーレムを貸す為に、
     ある条件を出した、と言ったじゃろ?
     その条件とは、我が工房への転送陣の管理じゃ。
     何処ぞの馬鹿が、宝具ぶっ放したせいで、
     この街にあった、わしの工房がぶっ飛んでしまったからな。
     仕方なく、昔、使っておった工房に移ることにしたのじゃよ」
ミラ:「……引越しの手伝いでもしろ、ってか?」
アレスタ:「いや、そっちは問題ないのじゃが……、
     その工房への転送陣に、新たな試練の洞窟を増設したのじゃよ。
     で、おぬしら、今から、ちょっと行ってテストプレイして来てくれぬかの?」
ミラ:
「――デバッグかよっ!?」
清華:「うわー、それ、面白そうっ!」
アレスタ:「パーティーまでには、まだ時間がある。
     食事前の軽い運動、ということで、どうじゃ?
     ただし、おぬしらだけでは意味がない。そこの侍坊主も連れて行け」
ミラ:「ティノも一緒なのか?」
アレスタ:「そもそも、これは、その侍坊主の願いを聞き入れるかどうか、その対価の条件じゃ。
     ならば、その坊主が一緒に行くのは当然じゃろ?」
フリッツ:「なるほど、確かにな……」
ミラ:「……ティノ、どうする?」
ティノ:「もちろん、行きます……いえ、行かせてください」
アレスタ:「では、行ってくるが良い。
     洞窟への転送陣は、この家の裏の枯井戸に飛び込めば発動する」
ミラ:「定番な入口だなぁ……」





―― PHASE-07 試練の洞窟・改 その1 ――


GM:では、ここから、ダンジョンのシーンです。
   皆さんが一斉に井戸に飛び込むと、転送陣が発動し、
   一瞬の浮遊感の後、皆さんは、
   石造りのダンジョンの中の入口であるドアの前に立っています。
ミラ:ティーノも一緒なんだよな?
   データはどうなってるんだ?
GM:ティーノのデータは、このキャラシートを参照して下さい。
   ちなみに、ティーノも、戦闘などでダメージを受けますので、
   戦闘不能になる度に、シナリオ終了時に得られる経験値が全員−1されます。
清華:「実は、ダンジョンって、初めてなんだよね」
ミラ:「そういや、あたいも初めてだな」
フリッツ:「さて、何が出てくるのやら……」
ミュー:清華、一応、ドアに罠が仕掛けられてないか調べてくれ。
清華:はいはい〜い♪
GM:ドアに罠はありませんよ。
   皆さんが部屋に入ると、そこは、20m四方の正方形の部屋です。
   ただし、部屋一面が、真っ赤に染められています。
   で、皆さんが入って来たドアの真向かいに、先へと続くドアがあります。
   そして、床一面に、魔方陣が描かれています。
フリッツ:「目に悪い部屋だな、ここ……」
ミラ:「まったく、趣味の悪い塗装だな。
   しかも、魔方陣……いかにも、アレスタっぽい部屋だし……」
GM:魔方陣は、避けて通るのは無理っぽいです。
   あと、よく見ると、先へと続くドアの脇に、レバーがあります。


 ミラ達は、魔方陣を警戒し、
慎重に、一人ずつ部屋に入って行く。

 しかし、ミラ達が入っても、魔方陣は発動する兆候は無い。

 最後に、ティーノが部屋に入り……、
 魔法陣に足を踏み入れると……、



GM:魔法陣が発動し、皆さんは、突然、睡魔に襲われます。
   しかし、それは、ほんの一瞬の事……、
   その僅かな時間で、皆さんは、ある光景を幻視します。



 それは、一人の少年の――
 おそらくは、ティーノの過去――

 幼い頃のティーノの記憶――

 優しい父と母――
 そして、一人の息子――

 とても当たり前で、とても尊い――

 ――とても幸せな家族の光景。

 両親は、元冒険者なのだろう……、

 少年は、父に剣を教わり……、
 母に、将来の夢を、楽しげに語っている。

 いつか、自分も冒険者になりたい、と――

     ・
     ・
     ・




GM:そんな光景を、皆さんは、幻視します。
   しかし、それは、僅か一瞬のことで、すぐに我に返る。
フリッツ:「今のは……まさか、コイツの過去?」
ミュー:「知るか、一つ言えるのは、趣味が悪い、って事だけだ」
ティノ:「う、ああ……そんな……今更、こんな……」
    我に返ったティーノは、膝を付き、泣き崩れます。
ミラ:「……やらしいよねぇ、あの偏屈魔術師も」
   傍にしゃがんで、ティーノの背中を撫でてあげよう。
GM:いや、そんな暇は与えない!
   皆が我に返った瞬間、一気に、天井が落ちてきます!
   その速度は尋常ではなく、逃げ場無い皆さんは、天井を支えるしかない!
ミラ:なるほど、天井の重量との筋力勝負か!
GM:しかも、その重さは、ティーノを含めた5人のB値合計と同じです。
フリッツ:俺達の全力で、ギリギリの重さかよ!?
ミュー:……もしかして、天井を上げるには、ドアの脇にあるレバーを上げろ、と?
    しかも、その為には、誰かが、この吊り天井から抜け出す必要があり、
    その間、残った面子で、何とかしろ、と?
    それが出来なかったら、残った面子は潰れて、レバーを上げに行った奴だけが生き残る、と?
GM:
Exactly! 話が早くて助かります♪
ミュー:
裏切りの門じゃねぇかっ!!(爆)


 裏切りの門、とは――

 説明が面倒なので、検索してみてください。(笑)

 ちなみに、このトラップは、
ミューの機転で、アッサリと突破されてしまいました。

 まあ、その犠牲は、それなりに大きかったのですが……、



ミュー:「――おりゃ!!」
GM:ミューがレバーを上げると、天井は、ゆっくりと上がっていきます。
   しかし、その犠牲は大きく、突っかえ棒として、天井を支えていた、
   ミューの買ったばかりのハルバートは粉々に砕けてしまいます。
ミラ:「あちゃ〜……これじゃ、レストアも厳しいな」
フリッツ:「うわ〜……根元から逝っちゃってるよ」
ティノ「すみません、僕のために……」
ミュー:「元より、こうなるのが武器の宿命、ってヤツだ。
    サムライ、お前が気にすることじゃない。
    現状で、最も効率の良い手段がコレだっただけだ」
ミラ:「なあ、ティーノ……、
   こーゆー人の傷を抉りつつ、体にも傷いかせるよーな事をやるのが、
   あの魔術師なんだぞ? 良いのか?」
ティノ:「それでも、今の僕には、テリオン様しかアテがありません。
    師匠は、僕にとって、家族も同然です。その為なら、どんな試練だって……、
    僕は、もう――失いたくないんです」
ミュー:「泣くな、とは言わん。
    だが、涙に目を奪われると、目前の死に食われることになるぞ」
ティノ:「……はい」
ミュー:「ならば、次だ」
    と、先へと続くドアを示すぞ。
ミラ:「いざとなったら、タオルを投げ込む役ぐらいはできるからな。
   まあ、進めるトコまで進むか!」





―― PHASE-08 試練の洞窟・改 その2 ――


GM:次の部屋は、先の部屋と全く構造は同じです。
   ですが、今度は、部屋一面が青く染まっています。
ミラ:{見事に、反対の色だねぇ」
フリッツ:「今度は、青か……何か法則があるのか?」
ミュー:「交互に入り続けたら、卒倒しそうな配色だな」
清華:「ぽけ○んしょっく、だね!」
   ところで、また、床に魔方陣があったりするの?
GM:もちろん、あります。避けて通るのは無理そうです。
   魔方陣の向こうにはドアもあります。
ミュー:魔方陣の構成は、多分、前の部屋のモノと同じなんだよな?
    出来れば、消してしまいたいところだが……、
GM:暫定的に、最低メイガスLv9(以上)と勝負してみます?
ミュー:無理だな。ここは、潔く踏み込もう。
GM:では、全員が魔方陣の中に入ったところで、
   またしても、皆さんは、ティーノの過去を幻視します。



 それは、ある日のこと――

 元冒険者の両親に、村長が何事かを頼みに来た。

 村長の話では、どうやら、
村の近くにある洞窟に、危険な『蛇』が住み着いたらしい。

 それを退治して欲しい、とのこと。

 両親は、それを引き受け、装備を整えると、少年に留守番を頼み、、魔物討伐に向かう。

 そして、数時間――

 大人しく留守番をしていた少年は……、
 何かを思い立つと、鍛練用の木剣を手に、家を飛び出した。

     ・
     ・
     ・




ティノ:
「――ダメだ!! 行っちゃダメなんだ! ダメなんだよっ!!」
    と、そんなティーノの絶叫で、ミラ達は我に返ります。
ミュー:「読めては来たが……、
    本気で趣味が悪いと言わざるを得ないな」
フリッツ:「まったくだな……」
GM:なんて感想を抱く暇すら与えず、魔方陣が展開!
   6体のガンポット(小型飛行機銃砲台)が召喚され、皆さんに襲い掛かってきます。
ミラ:「ええい、つくづく、ゴーレムが好きだな、あの腐れ魔術師!?」


 ガンポットに包囲されたミラ達は、銃弾の嵐に晒される。

 しかし、所詮は、当たれば落ちる小型砲台……、
 ミラとフリッツの弾丸と、清華の蹴りによって、次々と撃ち落とされていく。

 ――えっ?
 ミュー君、ですか?

 彼は、回避でも命中でもファンブルして、
ティーノにオイシイところを持っていかれましたとさ。(笑)



ティノ:
「疾如風(疾きこと風の如く)――せいやっ!」
     命中はクリティカルして、最後のガンポットが撃墜されます。
ミラ:「やればできんじゃん♪」
ティノ:「少しは、お役に立てましたか?」
フリッツ:「どっかの変態より、充分、役に立ってるぞ、うん」
清華:「それに比べて……」
ミラ:
「つ・か・え・ね・え」
   回避ファンブルの結果、ミューが弾いた敵の銃弾が直撃した。(笑)
ミュー:「言い訳のしようも無いな」
    命中ファンブルの結果、攻撃と同時に、手からスッポ抜け、
    天井に突き刺さった剣を、ボンヤリと見上げていよう。(笑)
GM:ひゅ〜、べぇぇぇぇん……と、凄く間抜けな音を立てて、突き刺さってますね。
   まあ、それを回収したら、次の部屋に行きましょう。





―― PHASE-09 試練の洞窟・改 その3 ――


GM:次の部屋も、今までの部屋と同じ構造です。
   ただし、部屋一面が黄色に染まっています。
フリッツ:「赤、青……そして、黄色か……」
ミュー:「色も気になるが、また、魔方陣か……」
清華:「今度も、ティーノ君の過去を見せられるのかな?」
ティノ:「すみません、ミラさん……手を握っててもらえませんか?
    次の記憶は、あまり見たくないんです」
ミラ:「心当たりアリ、ってか……よっしゃ、離すなよ!」
ティノ:「すみません……」
    と、ミラの手を握り、逃げる事は出来ないと、しっかりとした足取りで部屋に入る。
GM:では、全員が、魔方陣に足を踏み入れると、
   また、ティーノの過去を幻視します。



 それは、少年の過ち――

 少年は、身を潜め、
静かに、洞窟の奥へと入っていく。

 最奥から聞こえてくるのは、戦闘音と、両親の声……、

 少年が覗き込むと、三頭蛇と、両親が闘っていた。

 お互いの強さは互角……、
 だが、巧みな連携で、少しずつ、彼の両親が押している。

 そして、3つ蛇頭の内の2つが落ち……、

 ついに、最後の1つが……、
 父の剣によって、落とされようと……、

「――っ!?」

 と、その時……、
 蛇が、物陰にいる少年に気付いた。

 素早く、両親の間をすり抜け、その牙が、少年に襲い掛かる。

 咄嗟に反応したのは、母だった。

 少年を庇う母――
 蛇の牙によって、母の体が鮮血に染まる――

 その血を浴び、呆然とする我が子を守るように、母の亡骸が覆い被さる。

 家族を守るため、父は、剣を振るう。

 しかし、残酷にも、
勝負の天秤は、三頭蛇へと傾いていた。

 瀕死の蛇の一撃が、ついに、父の胸を貫き――

 ――少年は、そこで意識を失った。

     ・
     ・
     ・




ティノ:「……許せないんですよ」
ミラ:「……あの蛇ではなく?」
ティノ:「あんな、軽はずみなな真似をした自分が……どうしようもなく、憎いんです。
    こんな自分、死んでしまいたいと思うくらいに……、
    でも、それは出来ないんです。
    父さんと母さんが守ってくれた命だから……」
ミラ:「そこが分かってんなら、ティーノ……、
   あんたは、きっと、今は、間違っちゃいない。
   過去なんて取り返しつかないが、今や未来を大事に出来てるんなら、きっと進んでいける。
   親父さんもお袋さんも、ティノの背中を、押してくれるだろうさ」
ティノ:「じゃあ、僕は、どうすれば良いんですか?
    ずっと、自分を憎しみ続けて生きるんですか?
    僕は許される時が来るんですか?
    いつか、自分を許せる時が来るんですか?
    この憎しみを抱き続けて生きる事が、僕に出来る、唯一の贖罪なのに……、
    でも、そんなこと、父さん達は望んでいないって事も分かるから、
    もう、どうして良いのか分からなくて……」
フリッツ:「きっと、あの性悪魔術師も、それを、お前に分からせる為に……、
     乗り越えさせる為に、こんな趣味の悪い仕掛けを用意したんだと思うぞ。
     それが出来なきゃ、師匠の助けが出来ないだろ?」
ミラ:「何やりゃ良いかなんて、ちゃんと探す気がありゃ見つかるだろうよ。
   真っ向から向かおうとしてるんなら、それだけでも一歩も二歩も進んでる」
ミュー:「往くか折れるか、好きに決めろ。
    覚悟があるなら、無様でも進め。
    そうすれば、答えなど、後から付いてくるものだ」
ミラ:「全ては、女神の思し召し、ってやつさ……」
清華:「キミに対する想いが解るのなら、突き進むべきだよ。
   許す許さないは後で考えなさい。
   今やらないと、確実に後悔すること、あるでしょ?」
ミラ:「ま、『目の前のことに集中しろ』ってことだな」
ティノ:「よくわかりませんけど……、
    そう言って貰えただけで、少し気持ちが楽になった気がします。
    とにかく、今は、師匠を失わない為に全力を尽くします。
    あの人は、僕の、唯一の家族ですから」
ミラ:「うむ、その意気だ!」
GM:では、そんな話をしていると、
   頭上から、ズドンと、橙色に塗られた宝箱が落ちてきます。
清華:「あからさまだなぁ……、
   ご褒美か、引っ掛けか、どっちだと思う?」
ミュー:「1つだけハッキリしている。
    取り敢えず、開けねば話にならん、という事だ」
清華:とにかく、罠を調べて(ころころ)14だよ?
GM:それなら、開けると爆発するトラップが仕掛けられているのが分かります。
清華:解除して〜(ころころ)また、14だけど?
GM:問題無く解除に成功し、宝箱を開ける事が出来ます。
   中身は、B7シュバイツァーサーベルです。
   しかも、甲殻類に+5タメージ効果付き。
   ……通称カニスレイヤーです。
フリッツ(のPL):何処かで聞いたような?
清華:第3PTのリクスの武器だよね?
GM:さ〜てね……、(視線逸らし)
   それはともかく、宝箱を開けると、先へと進む扉が開きますよ。
清華:「んー、ボクは、剣なんて扱えないんだけどな〜」
ミュー:「持って行って損は無いだろ?」





―― PHASE-10 試練の洞窟・改 その4 ――


GM:4つ目の部屋にやって来ました。
   基本的な構造は、やはり、今までと同じです。
   ただし、部屋一面が緑色に染まっています。
清華:赤、青、黄、緑……、
   ここまで、あからさまだと、やっぱり、気になるよね。
フリッツ:そして、部屋の中央には、また魔方陣か……、
     今度のも、ティーノの過去を見せるモノなんだろうな。
清華:「ティーノ君、今度のは心当たりはある?」
ティノ:「あるといえば、ありますが……、
    多分、ちょっとビックリすると思います」
ミラ:「なんじゃそりゃ?」
   意味が分からず、首を傾げるぞ。
   ちなみに、手は、ずっと握りっぱなしだ。(笑)
ティノ:「あ、でも……(ミラを見て)……え〜と……」
    さり気無く、手を放そうとする。
ミラ:「あ、寂しいことするな」
ティノ:「あ、いえ、そういう事じゃなくて……、
    もしかしたら、こう、見られると、恥ずかしい光景が……、(ごにょごにょ)
    いえいえ、何でもないです! 本当です!」
ミラ:
そこまで言われると――
清華:
――俄然、見たくなるよね。
GM:一応、抵抗もできますけど?
一同:
抵抗放棄でっ!(爆)
GM:……ですよねー。
   では、また、皆さんは、ティーノの過去を幻視します。


 少年が目覚めると、
そこには、12〜3歳の盲目の少女がいた。

 少女の名は『ミフネ』――

 旅のウタワレ人で、
見た目は幼いが、すでに二十歳の半ば、とのこと。

 旅の途中で、戦いの気配を察し、洞窟に入ると、
両親の亡骸に埋もれるように、少年は倒れていたそうな。

 他にも、切り落とされた蛇の頭が2つあっただけ……、

 両親の遺体は、ミフネが弔った、とのこと。

 天涯孤独となってしまった少年は、
ミフネが武人だと知り、彼女に弟子入りを求める。

 そして――

     ・
     ・
     ・




ティノ:「……よかった。こっちだった」(安堵)
ミラ:「……ヤバイ方もあったのか?」
ティノ:「ヤバイと言いますか……、
    師匠って、見た目だけなら、僕と同じくらいじゃないですか?」
ミラ:「そうだなぁ……下手すりゃ年下に見える」
ティノ:「で、目が見えないじゃないですか?
    師匠の身の回りの世話は、弟子の役目じゃないですか?
    背中流せとか、洗濯しろとか、あれやこれや……」(真っ赤)
フリッツ:「あ〜、なるほど」
ミラ:「それ、絶対に楽しんでるぞ……やるな、女座頭市」
GM:話を進めますよ〜。
   幻視から覚めると、4つの魔方陣が展開し、
   各々が、赤、青、黄色、緑とカラーリングされた4体の小型ゴーレムが召喚されます。
   では、戦闘を開始しますっ!


<第1ターン>

ミラ:「今度は、ちゃんと働けよっ!」
清華:「――誰に言ってんのさっ!」
ティノ:「――僕も前に出ます。指示してください!」


 先攻を獲得したミラ達は、
手始めに、赤いゴーレムを攻撃する。



フリッツ:「折角だから、俺は、あの赤い奴から行くぜ!」
ミュー:「お約束のセリフだな」


 ゴーレムには、回避能力も、防御能力も無く、ダメージは素通し。

 それを訝しく思いつつ、
フリッツに続き、清華も、赤ゴーレムを攻撃するが……、



GM:赤ゴーレムの体は、意外と脆く、フリッツの銃弾で、アッサリと片腕が落ちます。
   そして、清華の拳が、赤ゴーレムの胴体を貫き、風穴を開ける。
   だが、清華が腕を抜き、距離を置いた途端、今、開いたばかりの穴が塞がり……、
   いや、先程のフリッツの攻撃で落ちた腕の残骸が、
   本体へと集まり、瞬く間にゴーレムが再生されていく。
フリッツ:「なるほど……そういうカラクリか」
ミラ:「コイツは、また、面倒臭いモンを……」
清華:「でも、フリッツ君が撃っただけじゃ再生はしなかったよね?
   何か、条件でもあるのかな?」
ミラ:「全部、一度に倒す……とか?」
清華:「ボクら、複数に対する攻撃手段ってあったっけ?」
ミュー:「無いな。今、全員分のデータを確認した」
ミラ:「メタ自重……となると、順番か?」
フリッツ:「じゃあ、やっぱり、色か?」
ミラ:「アイツが、意味も無く、部屋に色を付けるとは思えん。
   多分、今までの部屋の順番と、ゴーレムを倒す順番が連動してるんだろうな。
   で、赤色から撃破してもダメだったんだから……逆回りで緑色っ!」


 ミラの弾丸が、緑ゴーレムの顔半分を削る。
 だが、予想に反して、緑ゴーレムは、瞬く間に再生されていく。

 ならばと、ミューが、再び、赤ゴーレムに攻撃する。

 彼の豪剣によって、赤ゴーレムの、
胴体が薙ぎ払われ、バラバラと、残骸が床に落ちる。

 ……再生する様子は無い。



ミラ:「もしかして、順番通りってだけじゃなく、ティーノじゃないとダメなのか?」
フリッツ:「よし、ティーノ! 赤い奴を狙えっ!」
ティノ:「……赤、ですか?」
ミラ:「んっ? 何か、気になる事でもあるのか?」
ティノ:「いえ、何でもないです……いきますっ!」


 ティーノは、指示に従い、赤ゴーレムに斬り掛る。

 意外と鋭い斬撃によって、足を断たれ、
赤ゴーレムは、バランスを崩し、派手に倒れた。

 だが、その体は、すぐに再生し、立ち上がる。



GM:赤ゴーレム、HP全回復です。
ミラ:「あ、あれ……?」
清華:「んー、見当外れだったかな?」
GM:(ちょっと、条件が難しいかな?)
   では、ここで、剣士であるミューは気付いて良い。
   ティーノは、赤ゴーレムに斬り掛かる直前まで、その行動に迷いを抱いていた、と……、
ミュー:「おい、ティーノ……何を迷っていた?」
ティノ:「その、何の根拠も無いんですけど……、
    さっき、あっちのゴーレムが気になったんです」
    と、青ゴーレムを示します。
フリッツ:「……どういう事だ?
     普通、1体ずつ潰すのが、常套手段だろ?」
ティノ:「とにかく、あの瞬間、青いゴーレムを攻撃するべき、と思ったんです。
    昔から、勘は良かったりするんで……」


<第2ターン>

 この後も、再生を繰り返す、
4体のゴーレムに、ミラ達は苦戦を強いられる。

 再生を防ぐ方法はある筈なのだが、どうしても、それが分からない。

 だが、次のターン……、
 ミューのファンブルにより、状況が好転する。


フリッツ:「青ゴーレムを撃てば良いんだな?」(ころころ)
GM:フリッツの弾丸が、青ゴーレムの顔面を吹き飛ばす!
   再生する様子はありません。
ミュー:「やはり、何か条件があるようだな」
    取り敢えず、ティーノのHPがヤバイな。
    ここは、メディアで回復を(ころころ)――
あっ。(爆)
清華:また、やっちゃったね……、(笑)
ミュー:ええいっ! ファンブル効果は(ころころ)……、
    『9:仲間に被害が及ぼされる/大迷惑をかける』だ、畜生め!
GM:では、ここの演出はGMが……、
ティノ:「てやぁぁぁぁぁっ!!」
    ティーノが青ゴーレムに斬り掛かる。
    しかし、ミューの不発した魔術で目がくらみ、誤って、黄色のゴーレムを攻撃してしまう。
    鋭い刃で、黄色ゴーレムの腕を落ち……、
ミラ:……再生は?
GM:黄色ゴーレムは再生はしません。
   そして、それを見たティーノが、ミラと清華に叫びます。
ティノ:「――わかった! 緑です!!
    ミラさん、清華さん! 次は緑を狙ってください!」
清華:「緑?! やっちゃっていーの?」
ティノ:「さっき、僕が赤ゴーレムを斬って、次に、フリッツさんが青を撃って……、
    そして、今、黄色を攻撃して……、
    赤、青、黄色、緑……今までの部屋の順番なんです!」
GM:ちょっと時間が掛かり過ぎているので、
   ティーノが『直感スキル』を使ったことにします。
ミラ:「なるほど! ローテーションで叩けば良かったのか!」
清華:「じゃあ、やっちゃうよ! はぁぁぁぁぁっ!!」
   ティーノの言う通り、緑ゴーレムを攻撃っ!!(ころころ)
GM:清華の踵落としが、緑ゴーレムの脳天に直撃!
   その勢いのまま、敵の全身を両断します。
   そして、緑のゴーレムが真っ二つになって倒れると同時に、
   他の3体も、ガラガラと崩れていきます。
ミュー:「やれやれ……根性悪い仕込み作りやがって」





―― PHASE-11 試練の洞窟・改 その5 ――


GM:回復は終わりましたか?
   じゃあ、クライマックスシーンに入りますよ。
   最後の部屋も、やはり、構造は同じですが、
   今度は、部屋の色が、とってもカラフルです。
   四方の壁が、それぞれ、東西南北の順で、
   赤・青・黄色・緑、そして、床が橙色で、天井が白です。
   そして、その部屋の奥では、
三頭蛇が待ち構えています。
ミラ:「――げっ!?」
ミュー:「予想はしていたが、案の定か……」
ティノ:
「あ、ああ……あああああああああっ!!」
    三頭蛇を目の当たりにしたティーノは、我を忘れて、仇である魔物に向かっていく。
    それと同時に、ガシャンッ、と檻が落ち、少年とミラ達は分断されてしまいます。
ミラ:「テメェ、何やってんだ!?」
GM:そして、皆さんの周囲には、次々と、浮遊するガンボッドが召喚されます。
   ちなみに、こいつらは、モブ扱いで、際限無く、次々と現れます。
フリッツ:「ちっ、そう来たか……」
ミュー:「手を出すな、と言いたげだな」
清華:「ああ、もうっ! さっきから、視界の端にぞろぞろと!」
ミラ:「こっちはこっちで面倒なことに……っ!」
   GM、檻の向こうに、銃は撃てるか!?
GM:檻の隙間が狭すぎて、向こう側への銃撃は不可能とします。
   では、クライマックスバトルを始めます。
   我を忘れており、剣技もへったくれもなく、
   相手に斬り掛かるで、判定無しで毎ターン1d6のダメージを受けます。
   というわけなので、
ティーノが死ぬ前に、何とかしてください。(爆)
   さて、イニシアティブ判定……の前に、
   アルケミストかメイガスで判定してくれますか?」
清華:「むぅ、どーするのコレ!? このふよふよしたの倒したって、
   向こうに行けるわけじゃないし!」
ミラ:「絶対なんかあるんだ! 考えろ、冷静になれ……」(ころころ)
フリッツ:「おい(ころころ)……あの蛇は偽者だ!
     おそらく、何かで投影してあそこに出ている。
     何処かに、その仕掛けがあるはずだ!」
清華:「単純に考えたら、最も防御が高い場所か、見落とし易い場所……、
   天井とかには……無いよね?」
GM:上を見上げても、天井は真っ白に染め上げられてるだけですよ。
清華:「ん〜、真っ白……あれ、そういえば、
   このダンジョンに入ってから、白って見てないよね」
ミラ:「ずっと、やたらと鮮やかだったからな。
   なんか、目がチカチカしそうだ」
フリッツ:「その色にも、何かしら意味があるはず……」
清華:「となると、何かあるとしたら、あの天井かな?」
GM:と、天井が怪しいと思うなら、そこに、小さな魔動機を発見します。
   魔力で動く、とても小さな白い蜘蛛のゴーレムです。
清華:「あれ……なんか、ちっちゃい……蜘蛛?」
   もしかして、あれが投影機?
ミラ:「蜘蛛? もしかしたら、ビンゴかもな」
GM:はい、ヒントは、ここまでです。
   改めて、イニシアティブ判定をしますよ。


 ――判定の結果、先攻は、ミラ達となった。

 とはいえ、現状では、彼女達が、
相手に出来るのは、周囲を飛び交うガンボットのみ……、

 しかも、単体攻撃に特化した彼女達には、
範囲攻撃をする術が無く、モブエネミーとは相性が悪かった。

 フリッツと清華の攻撃でも、雑魚を倒し切る事が出来ない。



清華:二人掛かりでも、ガンボットのHPの半分しか削れなかった。
GM:描写的には、数が半分に減った、ってトコですかね?
ミラ:半分も減ってるなら、蜘蛛を狙えるか?
GM:もちろん、狙えますよ。
ミラ:「マスターなら、一発なんだろがな……」
   必殺技『ウェイトレスの経験と勘』を使用っ!
   (ころころ)命中は23だっ!
GM:なんだ、その達成値!?(ころころ)回避できるか!
   ミラの放った弾丸が、蜘蛛ゴーレムに直撃――したかに見えた。
一同:――おっ?
GM:弾の瞬間、魔力障壁(テトラカーン)によって、弾丸がはじかれます。
   でも、その衝撃で、蜘蛛ゴーレムは、地面にボテッと落ちます。
   ちなみに、この反射障壁は、常時発動型なので、
   反射のダメージは無しで良いですよ。
ミラ:そりゃ良かった――って、どうすりゃいいんだよ!?
フリッツ:……いや、方法が無いわけじゃないな。
ミュー:さっき、GMが
『魔力で動く』って、言ってたからな。


一同:
…………。(笑)


清華:「魔力で動いてなら……吸っちゃえば良いんだよね?」
ミラ:「安心しろ! 今なら、部外者には聞こえないかな!」
フリッツ:「そうだ! 今は我慢しろ!」
ミュー:「まったく……後で恨むからな」
GM:蜘蛛ゴーレムは、ガササササ……と、逃げるように、
   天井に上がって行こうと、壁を登り始めます――
ミュー:
「制御術式2号開放、吸引陣展開、魔力吸引、承認――」
    
必殺技『魔力吸収』を発動っ!!
清華:
さあ、発動キーワードをどうぞ!


ミュー:
「――“お前が欲しいっ!!”」

GM:――蜘蛛ゴーレムが登る壁は、
   ちょうど、清華の真後ろにある壁だったりします。


 ちなみに、ここでの、ミューの発言と、
GMの描写タイミングは、ほぼノータイムである。



ミュー:
状況描写の後出しは、
    良くないと思います!!(爆)
GM:
え〜、後出しじゃないよ?
   
事前に、描写文を書いておいて、エンターキーの上に指を置いて、
   
ミューが発言した直後に、キーを押しただけです。
   (注:このセッションは、IRCを用いて行われています)
フリッツ:
それを後出しと言うんだ!(爆笑)
清華:
汚い! 流石はGM、汚い!!
ミラ:
……っ! ……っ!!(爆笑中)


 普通は、こんな真似をしたら、
確実に、GMとPLとのリアルファイトに突入である。

 良い子の皆は、絶対に真似しないように♪
 おにーさんとの約束だ♪



ミュー:あ〜、まあ、なんだ……、
    つまり、俺が指を差した先には、清華がいるわけだな。
GM:はい、そうなります♪
   ――あっ、しまった!
   今、思い付いたけど、
蜘蛛ゴーレムが落ちたのは、
   
ティーノの肩の上とかの方が面白かったかも?
ミュー:
や・め・て・く・れっ!!
    それはともかく(ころころ)蜘蛛ゴーレムに16点のMPダメージだが?
GM:では、ミューに魔力を吸収された蜘蛛ゴーレムは、
   ポテッと床に落ち、動かなくなります。
   それと同時に、三頭蛇の姿も消えますよ。
   もちろん、皆さんとティーノを分断していた檻も収納されます。
清華:「うん、事情は理解してるけど……、
   でも、やっぱり、それはどーなんだろう?」
ミラ:「大丈夫、もう慣れたし」(肩ぽん)
フリッツ:「うんうん、俺達は分かってからな」(肩ぽん)
ミュー:
「俺はっ! 断じてっ! 変態でもなければ、
    
ロリコンでもスパイダーマッでもねぇぇぇぇっ!!」
GM:と、ミューの(無駄な)魂の主張が、部屋に響き渡るのを余所に、
   憎き三頭蛇の姿が消え、ティーノは我に返ります。
ティノ:「……あ、あれ?」
ミラ:「…………」
   ゴツンと、無言で、ティーの頭に拳を落とす。
ティノ:「あいたっ……?」
フリッツ:「――落ち着いたか?」
ティノ:「は、はい、すみません。ご迷惑をおかけしました」
ミラ:「師匠に教わってると思うがな……、
   感情ってのは力にもなるが、地獄へのドアにもなる。
   そこんとこ、忘れんじゃねーぞ?」
ティノ:「はい……肝に銘じておきます。
    静ざること林の如し……まだまだだな、僕……」
ミラ:「ま、ちゃんと覚えられると信じてるがね。
   もっと、強くなれるさ……己を乗り越えられるくらいに」
   ハンカチを出して、出血してる膝を縛ってやろう。
GM:(おっ、その展開、頂き♪)
ティノ:「己を乗り越える……、
    あの、このハンカチ、頂いてもいいですか?
    今日のこと、忘れないために……」
ミラ:「持ってけ、持ってけ。御代は出世払いで頼むぜ?」
GM:全ての脅威が無くなると、奥へと続く扉が開きます。
フリツツ:「おっ? 奥にいけるみたいだぜ?」
ミラ:「これ、他の連中だったら、
   どんなトラウマ、穿り返されんだか……」
清華:「そすがに、そろそろ終点かな〜?」





―― PHASE-12 紫琥珀の正体 ――


GM:では、ここから、エンディングのシーンです。
   皆さんが、次の部屋に進むと、アレスタが、
   キャロットケーキを食べながら、待ち構えています。
フリッツ:「ようやく、お出ましか……」
ミラ:「アレスタ、お前さん……どんだけ?
   ケーキまで貰っておきながらさ……」
アレスタ:「うむ、ご苦労じゃったな。
     なかなか、良い出来だったじゃろ? 色んな意味で……」
ミュー:「胃の中まで機械油注がれた気分だよ、ったく」
フリッツ:「そりゃ、出来はいいが……正直、悪趣味だぜアンタ……」
清華:「心臓弱い人はショック死しちゃうね!」
アレスタ:「悪趣味云々は、以前、仲間からも言われた事があるがの……、
     とはいえ、己の敵は己自身とも言う……、
     そこの坊主には、必要な試験じゃた、と、わしは思うとる」
ミュー:「否定する要素は無い」
清華:「それは、わかる……かな?
   納得しきれないところもあけど……」
ミラ:「激しく同意だな……とてもつなく癪ではあるが……」
アレスタ:「ほう、給仕娘? 随分と、その坊主の肩を持つではないか?
     おぬしにしては、珍しいのう?」
ミラ:「ああん? そりゃ、2じゅ――ゲフンゲフン!
   17年も生きてりゃ、肩入れする奴の一人や二人できんだろ」
ミュー:「いい加減、サバ読むの自重したらどうだ、2じゅ――」


 
――ズキューン!


ミラ:「……さっきも言ったよな? 寿命縮むって」
ミュー:
「だからって、マジで撃つのはどうかと思うぞ?!
    
半分だったHPが、さらに減ったぞ、おい?!
    だいたい、どうせ、すぐにバレるんだし?」
ミラ:「……言うな。周りは、ぜーんぶ結婚して、町を出てってるんだ」(ぼそっ)
清華:「あー、それじゃ、焦っちゃうかもしれないねー、女の子だし」
アレスタ:「長く生きとると、そーゆー感覚は無くながのぅ。
     そはともかく、本当にご苦労じゃった。
     約束通り、坊主の師匠の病気については、わしがなんとかしてやろう。
     紫琥珀は持ってはおらぬが、それに代わるものなら用意できる。
     少し時間は掛かるが……それが出来るまでは、ナカザキに滞在し待っておるが良い。
     滞在場所は、わしが面倒見てやっても良いが……とうする?」
ミラ:「……なあ、ティーノ? 料理は出来るんだろ?」
ティノ:「はい、一応、一通りは……できます」
ミラ:「よっしゃ。バイトとして、ウチの店で面倒みてやれるかもしれん。
   剣の腕もついてりゃ、悪くない値で売れるだろ」
ミュー:「売るんかい!?」
ミラ:「自分を売り込む、ってやつだよ!
   まあ、ティーノ次第だが……」(照れ隠しに目を逸らす)
ティノ:「ハ、ハイ! よろしくおねがいします!!」
ミラ:「よーし! 自前の部屋が見つかるまでは、アタイんトコに泊まってけ。
   掃除洗濯してくれたら家賃はいらん!」
アレスタ:「さて、話もまとまったところで……、
     協力してくれたおぬしらにも、褒美くらいは用意してやらねばの」
     と、例の箱を、皆さんに差し出します。
ミラ:「――おっ、今回もコレだな?」
フリッツ:「出たな、報酬ボックス」
アレスタ:「さあ、何が出るかはお楽しみじゃ」


 ――判定の結果は、以下の通りである。

 ミラ   ―― ドレスブック:瞬時に、あらゆる服装に着替えられる。ただし、防具効果は無し。
 フリッツ ―― 銀のポイントアーマー:銀製の部分鎧。物理防御・魔術防御+1。
 ミュー  ―― 魔法の拡声器:声を大きくして、指向性を持たせる。『お前が欲しい』威力+3



ミラ:「お、こいつは、なかなか……」
フリッツ:「ま、堅実な装備だな」
ミュー:「…………」(爆)
フリッツ:「まあ、何だ……お前にピッタリのアイテムじゃね?」(肩ポン)
ミュー:「……あの技、できる限り使いたくないんだがな」(泣)
清華:「さ〜て、次は、ボクの番だね!」
アレスタ:「いや、おぬしは、こっちじゃな」
     と、1000Gが入った布袋を出します。
清華:「……うえ、ボクだけ現金?
   なんとゆーか、クリスマスプレゼントを楽しみにしてたのに、
   貰ったのは諭吉さんみたいな、なんか、そんな感じなんだけど?」
アレスタ:「おぬしには、もう渡したじゃろ?
     宝箱の中に、おぬしにふさわしい武器が入っておったはずじゃ」
フリッツ:「まさか……あの剣か?」
清華:「ボク、剣士じゃないんだけどなぁ……」
アレスタ:「剣? そんな筈はないのじゃが……、
     一体、何が入っておった? ちょっと見せてみろ」
清華:「はい、ど〜ぞ」
   途中で手に行けたカニスレイヤーを渡すよ。
アレスタ:「これは“あいつ”の剣ではないか……、
     何故、これが……いや、まて……ミトラス? ミスラ?
     ――ふっ、ははははっ! そうか、そういうことかっ!
     
ははははははははっ!!」
     珍しく、大きな声を上げて笑い出します。
清華:「ミトラスって、何か知ってるの?
   かーさんに教えてもらっただけで、由来とか知らないんだけど?」
アレスタ:「いや、すまんすまん、何でもない。
     これは、こっちの手違いじゃ。すぐに交換してやる」
     アレスタは、トンッと杖で地面を叩き、魔方陣を描くと、
     そこから、鋲打ちグローブが出現する。
清華:「それは……?」
アレスタ:「――『見上げた空に届いた手』(サクセサー・オブ・ソウル)。
     おぬしの為に作った宝具じゃ、もって行け」
     と、そう言うアレスタは、何処か優しげな眼差しで清華を見つめています。


 『見上げた空に届いた手』(サクセサー・オブ・ソウル)――

 拳の周囲に、魔力場を展開するB4相当のオーラナックル。
  一見は、ただの鋲打ちグローブだが、装備者の魔力を拳撃へと変換できる。
 魔力の拳を飛ばすことで、遠距離攻撃も可能。
 攻撃の際、物理ダメージが魔術ダメージとなる。
 使用時にMP2を消費する。



GM:ようするに、キミら、魔術攻撃の手段が無いから、それへの救済処置です。
ミラ:それは助かるなっ!
フリッツ:シャイニン○フィンガーとか、ペガ○ス流星拳とかできそうだな!
清華:「んー、これって、どっち用かなぁ」
   とりあえず、ナックルを両方とも取る。
   すると、左手の甲の辺りには、十字架のような刺青がある。
ミラ:「あれ、そんな刺青いれてたっけか?」
清華:「んー、シールドの方だからねー。普段は隠れてるんだよ。
   生まれた時から付いてたんだって。
   ボクも、かーさんも……フシギだよねー」
アレスタ:「……(やはり、か)」
     清華の刺青を見て、一人納得しつつ、
     アレスタは、ミラを、ちょいちょいと手招きしますよ。
ミラ:「……ん?」
   こりゃ、黙って行くトコかな?
アレスタ:「おぬしだけには、話しておく。
     あの侍坊主が探しておる、紫琥珀じゃがな……、
     これは、ウタワレでの名称で、大陸では、別の名で呼ばれておる」
ミラ:「…………」
アレスタ:「――
リグニア石
     それが、紫琥珀の正体じゃ。
     それが意味すること……わかるな?」
ミラ:「……なんつー、業の深いモンを」
アレスタ:「これを、坊主に話すかどうかは、おぬしに任せる。
     ……おぬしが、支えてやれ」
ミラ:「なあ、あんたは、代わりを用意する、って言ってたな?
   それって、やっぱり、代わりでしかないんだよな?」
アレスタ:「うむ、わしが用意するものでは、完治とまではいかぬじゃろう。
     酷な話だが……いずれは、必要となる時が来る」
ミラ:「こりゃ、親子丼に随分な高値をつけちまったもんだ、あたしも……、
   まあ、少年と少女(?)が苦しんでんだ。
   何とか、やれるだけの事はさせて頂きますよ」
アレスタ:「うむ、わしも、出来る限り、急いで薬を調合するとしよう。
     ――さて、さて、そろそろパーティーの準備もできた頃じゃ。
     ナタ女の得意料理はカレーだそうじゃ。
     運動した後は、さぞかし旨いじゃろう。戻るぞ、一同」
清華:「おー、食べるぞー!」
ミラ:「カレーかぁ。そういや、最近、食ってないな。
   酒の肴に手を加えたよーなのばっかだったし……」





―― PHASE-13 小さな同居人 ――


GM:では、ナターシャの家に戻り、カレーパーティーが始まります。
   数々の種類のカレーと、ライス、ナン、うどんなどが振舞われます。
清華:華麗にカレーのみだねっ!
GM:そんな中、カワイイものが大好きなナターシャが、ティーノにロックオン♪
ナターシャ:「ティノくん、しばらく、この街にいるんだよね?
      だったら、うちに来ない? どう? いいよね?
      あう〜、か〜いい〜♪ おっもちかえり〜♪」(だきだき)
ミラ:「……一応、先約がついてるんだがな、ナタ女?」(ゴゴゴゴ)
ナターシャ:「(オヤシ○モード)
え〜、でも、10歳も年が離れてる人のトコよりも、
      
歳が近い人のトコの方が気楽でいいよね〜?」
ミラ:「(必殺メイドモード)
いいえ〜? こういう子は、母性を求めているものよ〜?
   と、ボタンを1個外して、胸を強調してやろう。
   普段は、邪魔にしかならんが、こーゆー時は便利だよな、うん。
ナターシャ:
「胸が大きいからって、母性があるとは限らないじゃない?
      
うふふふふふ……」(←ナタ装備)
ミラ:
「ね〜、ティノ? こっちの方が良いでしょ〜? にひひひひ……」(←銃装備)
フリッツ:「おお……これが噂の奪い合いと言うヤツか。
     テルト達は、こーゆー露骨な展開は無かったからな〜」
ミュー:「なあ、あれ……いいのか、バット?」
バット:「あー、まあ、いつものことだし?」
ミュー:「なら、止めはしないが……、
    流血沙汰になる前に、お前、割って入れよ?」
バット:「――だが、断る!
    てか、自分ができないことを、他人に勧めるな」
清華:「ぱくぱく、もぐもぐ……」

ナターシャ:
「ウチの方が良いよねぇ〜?」(にじりにじり)
ミラ:
「こっちの方が良いでしょ〜?」(にじりにじり)

ティノ:
「えっ、えっと、その……、
    
2人とも、仲良くしてくださーーーーいっ!!」


 と、夜の牧場に――

 少年の悲鳴が響き渡るのであった。

 そして――
 阿鼻叫喚の夜が明けて――



GM:シーンは、翌日の朝……、
   ミラのアパートから始まります。
ミラ:「あー……仕事、行きたくねー……」
   酒も飲んでないのに、二日酔いの症状だったりする。
GM:小鳥の囀りとともに、トントントンという軽快な音と、
   味噌汁の匂いに、ミラは目を覚まします。
ミラ:「……んっ?」
   のそのそと、ベッドから這い出る。
   で、台所の方を見るけど……?


「おはようございます、ミラさん!」
    
 美味しそうな匂いにつられるように、
ミラが台所を見れば、そこには、朝食を作るティーノがいた。





 ……裸エプロン姿で。(爆)






清華:
なんでやぁぁぁぁぁぁっ!?
ミュー:
色んなモノを間違えとるわぁぁぁぁぁっ!!
フリッツ:
誰の入れ知恵だぁぁぁぁぁっ!?


ミラ:
「ぶーーーーっ!?
   
なんちゅう恰好しとるんじゃ、この天然坊主!?」
ティノ:「あ〜、これですか? 実は、服、全部洗濯しちゃったんですよ。
    大丈夫です、ちゃんとトランクスは穿いてますから」
ミラ:「て、てめっ、そんな格好してたら襲われるぞ!!
   ナガサキには、ノンケでも食っちまうヤツが、ごまんとおるんやぞっ!?」
   いや、もう、朝っぱらから大混乱だな!(笑)
ティノ:「そ、そうなんですか? 確かに、師匠は喜んでましたけど……」
ミラ:「ちょーっと、お話聞かせて頂く必要がありそうね、ミフネさん……」
   目が見えないクセに、どんだけ役得してんだ、師匠! あたしにも分けろ!
GM:とまあ、そんなやりとりしていると、
   玄関のドアが、コンコンとノックされます。
ティノ:
「は〜い、今、出ま〜す」
ミラ:
「出るなばかーっ!?」





清華:
「おっはよー、ミラっ――」

ティノ:「あ、おはようございます、清華さん」





一同:「…………」





ミュー:「なあ、ミラ……、
    男女の立ち位置が逆じゃないか?」
フリッツ:「まさか、そんな趣味があったとはな。
     いやはや、人間って、わからないもんだね」
清華:
「さ く や は お た の し み で し た ね」(はぁと)


ミラ:「は、ははは……」


 ――天を仰ぎ見る。
 ――頭の中が真っ白になる。

 そんな彼女の後ろで、味噌汁が吹き零れる。



ミラ:
「あはは……、
   
あはははははははははははっ!!」


 ――ズキューン!
 ――ズキューン!
 ――ズキューン!



ミラ:
「やっぱり、出てけ、この天然坊主ぅぅぅぅっ!!」
ティノ:
「わわわっ!? ミラさん、ご乱心〜っ!?」
ミラ:
「てめぇの所為だ、ばかぁぁぁぁっ!!」(泣)





 朝もはよから……、
 ミラの叫び声と銃声が木霊する。

 その喧噪の為か、
ミラは、つい、聞きそびれてしまった。

 少年の背中にある、痛々しい大きな傷跡――

 それが、何なのかを――






ミラ:
その伏線を張る為に、
   
裸エプロンってのはどーよっ!?

GM:
――素晴らしいと思います♪(爆)

ミラ:
そう言うと思ったよ、コンチクショウ!!(泣)





<おわり>
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注釈1:リプレイの様子と内容を、分かり易くする為に、かなり加筆・修正・脚色をしています。

注釈2:今回の内容は、あくまでもテストプレイです。
    その為、今後、ルールが改訂される場合があります。