綾:ラスボス……第3形態……、
GM:はい、この『暴走アジ=ダハーカ』こそが、
本当に最後の闘いです。
ライル:ブーストも無く……、
もう第3PTの力も借りられない。
イルス:真の意味で、僕達の手で決着を付けろ、って事だね。
ケイオス:GM、私には何が出来る?
最後の最後まで、私は、皆の足を引っ張り続けるしかないのか?
GM:それは、ケイオスの決断次第です。
最後の闘いに必要なのは、最早、運のみ……、
その結果によって、ケイオスに迫られる決断の内容が変わるでしょう。
綾:幸運のみ、ですか……、
信じましょう。わたし達自身を……、
わたし達は、絶対幸運圏すらも、打ち破ったんですから。
GM:では、始めましょうか。
ふぁんぶら〜ズの最後の闘い……、
最後のセッションを……、
ライル:オレ達に、二柱の女神の加護のあらんことを……、
『Leaf Quest TRPG』 リプレイ
ふぁんぶら〜ズ冒険譚 17
『英雄伝説 〜虹の奇跡〜』 後編
―― PHASE-05 虹の架け橋 ――
GM:最後の力で、再び、ケイオスを取り込んだアジ=ダハーカは、
ケイオスの体に残るウイルスバグを、
自己再生、自己進化、自己増殖の能力で、繁殖・暴走させる。
それによって生まれたのは、強大なウイルスバグの爆弾。
もし、これが爆発すれば、ウイルスバグが世界中に撒き散らされ、
周囲で闘うドットハッカーズはもちろん、世界中の竜族が、
ウイルスバグに感染してしまうだろう。
それを防ぐには――
アレスタ:「――今一度、結界を張る!
そして、外の空間と中の空間を遮断し、
ウイルスバグの蔓延を防ぐしかない!
だが、完全に暴走が始まる前に、邪蛇とバグを消滅させなければ、
さすがに、わしの結界では蔓延を防ぎ切る事は出来ん!
虹の英雄達よ、許された時間は一瞬……奴を討てっ!!」
と、アレスタは、再び、血を吐きながらも結界を展開する。
しかし、結界は、酷く不安定に揺らぎ、今にも消えてしまいそうな……、
おそらく、維持できるのは、ほんの一瞬のみ……、
ライル:「――なにいっ!!?
自爆を目論んでやがるのかあっ!!」
ナーフ:『ちょ、おま、兄者はどうにもならんのかよ!?』
ライル:「ここまで来て、見殺しにできるかっ!!」
綾:「喋ってる暇があるなら、一匹でも蟲を潰すんです!」
イルス:「む、無理だよ……バグを全部潰しきらないと、何の意味もない!」
綾:「だからって、放って置いたら、
すぐに取り込まれちゃうじゃないですか!!」
GM:じゃあ、アジ=ダカーハ最終形態との戦闘のルールを説明します。
暴走アジ=ダハーカ
HP:最大HP×2 回避0 防御0
・攻撃できるチャンスは、各PC1回ずつのみ。
・1ターンで倒し切れなければ、敗北となり、ケイオスは死亡する。
イルス:アジのHPは、最終的に150だったから……HP300……、
ライル:――無理だっ!!
綾:攻撃できるのは、わたし達3人だけ……、
どんなに頑張っても、300なんて届きませんっ!!
ライル:ブラムの攻撃のオーバーダメージが、
こんなカタチで仇になるなんて……、
GM:まあ、普通の方法なら無理です。
では、ここで、ライルの脳裏に聞き覚えのある声が響く。
???:「――しっかりしなさいよ!
前にも、これと似たような事があったでしょう?!」
GM:ライルの耳に聞き覚えのある声がして、一瞬、初音島の風景が……、
大きな桜の木と、その根元に佇む『霧羽
香澄』の姿を幻視する。
ライル:「初音島……桜の木……?」
イルス:「そうだ、桜だよ! 願いを叶える桜の木!
ある桜の木は……ここにもある!!
あの時、皆で願いを叶えた奇跡を、もう一度、再現出来れば――」
ナーフ:『それだけじゃ、ねぇ……、
おい、イルス! ライル! 綾ちーに鉢植え!
ここはダマーヴァンドなんだ……そう、ダマーヴァンドなんだ!』
イルス:「ナーフ……?」
ナーフ:『何で忘れてたんだよ――
ここは封印の監獄、ここは浄化の祭壇、ここは希望の要塞――
ここの真名は“おれ”と“あいつ”しか知らねぇ。
オレが忘れてちゃいけなかった!
オレ達は、ここにアジ=ダハーカを封じた。
永き時、邪の力を、大地の浄化の力で封じた場所――
封印要塞“希望を繋ぎ止めた虹色の鎖(ダマーヴァンド)”――
“それ”がその名の通りの働きをするそのとき――
全ての悪しき者は、大地の奥底へと封じられ、浄化の波動で癒される。
ここは――そういう場所なんだ!!』
――ナーフの言葉に、皆が気付く。
今、必要なモノの力ではない。
ケイオスを救うのは、そんなモノじゃない。
綾:「詠いましょう――わたし達の、想いを」
ライル:「力ではない、皆の想いで、兄者を助けよう。
それこそが、兄者にふさわしい……、
アロエッテ……一緒に唄ってくれないか?
今度のコンクールのリハーサルってわけじゃないけど、
今こそが……『その時』だと思う。
二人で『超えたい』んだ。
お師匠様……そして、大叔父さんを……」
アロエッテ:「ええ、唄いましょう、希望の歌を!
歌で繋げましょう、想いを届ける虹の架け橋を!」
イルス:「ナーフ、祈ろう――
皆の祈りを、皆の為に届けるんだ」
ナーフ:『ああ……イルス、兄者に弟者、綾ちーに鉢植え――
それに……お前も力を貸してくれないか――
フィルドウスィー……、
オレの、今と並んで最高だった日の、最高のパートナー……、
護りたい……“馬鹿たれ”が――いるんだよっ!!』
歌が、旋律が……、
虹色の光鎖となり、アジ=ダハーカへと伸びる。
その光が届いたのか、蟲塊の中にいるケイオスも……動いた。
ケイオス:(弟者……これを使えっ!!)
未だ手に持つ闇の精霊石を、ライルに向かって投げる。
GM:ケイオスの覆う蟲の塊から、小さな光……
闇の精霊石が飛び出し、ライルの魔剣と融合する!
ライルが持つ魔法銀の剣『バーニングスピリッツ』から、
黒き炎が噴き出し、その燃え上がる黒炎は、一対の翼のよう……、
彼の者の象徴である、あの黒き翼……、
発動するのは『ウイング・オブ・ディスペア』……、
ナーフ:『ダマーヴァンドは、邪を封ずる鎖……、
気にせずかませ。兄者が邪であってたまるか!
アジ=ダハーカも、そうやって封じたんだ!
あんな蟲の塊なんて、訳ねぇだろ?!』
大地から虹色の光が、鎖のようにその剣へと伸びる。
そして、黒き翼は……いつしか、虹の翼へと……、
GM:さらに、それは、夢か幻か……、
虹の翼の剣を構えるライルの手に、三人の女性の手が添えられる。
アルフィミィ:「ライちゃん、迷っちゃダメ……」
アヌーラ:「お願いします。あの人を……父を救ってあげて」
アルナ:「アルベルトを……おねがい……」
ライル:「アルナさん……アヌーラさん……アルちゃん……」
ああ、絶対、兄者を不幸になんかしない!!
『女神様』は、いつだって、
守ってくれてるんだぜ、兄者っ!!」
GM:ここで、ライルに『ウイング・オブ・ディスペア』を放つ権利が与えられます。
威力は、現時点でのケイオスのデータと同じ8d6+14です。
アルナ、アヌーラ、アルフィミィが力を貸してくれるので、
さらに、ダイスが追加されますが――
アロエッテ:「まだ……もっともっと、想いの力を……唄って、ライル!
皆に、虹の歌を届けましょう!」
ライル:「ああ、兄者がこれ以上拒否しても止めるもんか!」
ナーフ:『――まだ、力は集まる!
まだ、全部の思いが届いてきていねぇ!』
綾:「そう……まだ……、
まだ、こんなものじゃない!!」
イルス:「この要塞全体……、
ううん、世界全体から、この一瞬の為に……」
ライル:「響け……そして、伝われっ! オレ達の歌っ!
そして、この剣に想いの歌を――!!』
戦場に、奇跡の歌が響き渡る――
要塞の頂上――
桜の木の下で闘う少年達に――
あかね:「――えっ!? 今のは……」
誠:「ボ〜ッとするな、あかね! やられるぞ!」
エリア:「どうしたんですか、あかねさん?」
あかね:「……が、聞こえる」
誠:「何だ!? 何が聞こえるって?!」
あかね:「歌が……歌が聞こえるよ!」
フラン:「はい、確かに……この歌は……?」
あかね:「ライルさん達が言ってる……力を貸して欲しいって!」
誠:「――さくら! 桜の木に願うんだ! 今、ここで闘ってる皆に……、
今日の果てで闘う仲間達に、この歌を……想いを届けるんだ!」
さくら:「で、でも、そんな奇跡みたいなこと……」
誠:「出来る、出来ないじゃない! やるんだ!
奇跡ってのは、待っていたって起きない! 自分の手で起こすもんなんだ!
ただ願うだけでいい! 信じろ!
自分が信じられないなら、俺を信じろ!
俺が信じる、お前を信じろっ!!」
さくら:「まーくんを……はい、まーくんを信じます!」
戦場に、奇跡の歌が響き渡る――
黒き邪悪の波――
その只中で闘う、二人の円卓の騎士に――
パール:「はあ、はあ……ねえ、何体倒した?」
アラン:「200を越えたところで、数えるのを止めた。そっちは?」
パール:「だいたい、似たようなものね」
アラン:「……体力は限界……魔力も底を付いた……、
しかし、敵の数は、未だ絶えること無し、か……、
……まさに、絶体絶命だな」
パール:「……ここまで、なの」
アラン:「何を弱気なことを……、
俺達は、こんな戦場を何度、経験してきたと思っている?」
パール:「そうね……そうだなったわね」
アラン:「ほら、立て……サッサと片付けるぞ。
これが終ったら、キュリオ達の手伝いに行かないとな」
パール:「ええ……不戦勝は好みじゃない。
あと、残りのノルマは一人500ずつくらいかしら?」
アラン:「そのうち、半分は、俺が引き受けて……、
なんだ、奴等、向きをかえた? 何処へ行くつもりだ?」
パール:「桜の木に……向かっている?」
アラン:「あっちには、確か、さくら姫達が……何かあるのか?
ならば……あの桜を守るぞ! 一匹たりとも近づけるな!」
戦場に、奇跡の歌が響き渡る――
要塞内で闘う、かつての仲間達に――
カイン:「キュリオ! 一匹、そっちにいったで!」
キュリオ:「わかってる! カインも、爆弾、まだ残ってる?!」
カイン:「爆弾ならぎょーさん持って来たけどな……ああ、もう、大赤字や!
太陽仮面は、いつになったら来るね〜んっ!!」
キュリオ:「アランは、もっと大変な場所で闘ってる!
頼ってちゃダメ……ここは、ボク達で頑張るんだよっ!!」
エル:「ヴァル、リーラ! そろそろ、武装を解除しなければ――」
ヴァル:「そんな余裕は無いだろ。大丈夫だ、まだ、いける」
リーラ:「ここで武装を解除したら戦線が――って、何ですか、これ?」
エル:「この歌声は……?」
キュリオ:「ライルの歌……?」
ヴァル:「力を……想いを……届ける?」
カイン:「なんや、これ以上、まだ、うちらに働けっての?
しゃ〜ないな〜、こっからは追加料金やで!
まあ、友情価格にまけといたるから、感謝しいや!」
戦場に、奇跡の歌が響き渡る――
虹の英雄達のために――
無数のゴーレムを相手に足止めをするガンナー達に――
清華:「……ねえ、ミラっち?」
ミラ:「ちっ、そろそろ弾が……おい、フリッツ! そっちは?!」
フリッツ:「正直、そろそろ、心許なくなってきた!
おい、ミュー! 弾を持たせてただろ、こっちによこせ!」
イリス:「わたしにも頂戴! 元々、持ち合わせが少なかったんだから!」
フリッツ:「そいつは、構わねぇけどよ!
それなら、全弾撃ち尽くすまで倒れるんじゃねえぞ!」
ミュー:「縁起でもないこと言うな!
予備の弾ならそこに置いといた! 勝手に持っていけ!」
ミラ:「ったく、一体、どんだけ湧いて出てくるんだい!」
清華:「――ミラっちってば!!」
ミラ:「なんだい! 話なら手短に頼むよ!」
清華:「あたしの気のせいかな? 歌が、聞こえるよ」
ミラ:「歌? いや……気のせいじゃない。あたいにも聞こえる」
イリス:「この声……ライル? あいつ、また歌ってるの?」
ミュー:「戦場に歌声とは……だが、悪くない」
フリッツ:「はっ、何でだろうなっ! 不思議と力が湧いてきやがるぜ!」
ミラ:「ここが正念場だね! 伏せな、虎の子いくよ!」
フリッツ:「よっしゃ! ありったけ叩き込んでやれ!」
イリス:「雑魚は引き受ける! あんたは、あのデカブツを!」
ミュー:「着弾と同時に突っ込む……いけるな、清華!」
清華:「――おっけ〜!!」
ミラ:「いくよ、3、2、1……アウトロースター!!」
戦場に、奇跡の歌が響き渡る――
要塞内で闘う戦士達のため――
退路を確保する若き冒険者達に――
キアーラ:「ちょっと……何、これ?」
マイナ:「……七色の……虹の光……?」
ジェシカ:「虹の光が……桜の木に集まっている」
キアーラ:「見て! 魔物達も、一直線に、桜の木に群がっていく!」
テルト:「――いきましょう」
ジェシカ:「テルトちゃん?」
テルト:「ライルさんの歌が……ボク達を呼んでいます。
なら、あそこに届けましょう。ボク達の力と……想いをっ!」
キアーラ:「OK、何処までだって付き合うわよ!」
マイナ:「右に同じです!」
ジェシカ:「やれやれ……これだから、腐れ縁ってイヤよねぇ」
戦場に、奇跡の歌が響き渡る――
大空で戦い続ける竜の戦士達に――
ブラックローズ:「ああもう! 敵も味方も入り乱れて、何がなんだか!!」
オルカ:「だから、この桜の木を守るんだよ!
それで良いんだよな、カイト!!」
カイト:「うん! 桜の木に、敵を近付けちゃいけない!」
ワイズマン:「それが、今、我々に出来る最善だ」
マーロー:「でもよ、敵の数が多すぎるぜ……守りきれるのか?」
ガルデニア:「男が弱音を吐くな!」
バルムンク:「そうだ! 虹の英雄達が決着をつけるまでで良い!」
ミストラル:「――集中砲火、くるよ!」
月長石:「……迎撃」
エルク:「ダメ……あんな数、撃ち落しきれないよ?!」
ニューク兎丸:「だったら、体を張るんだよ!
レイチェル:「攻撃と桜の木の間に割り込んででも止めるんや!」
砂嵐三十郎:「武士道とは、死ぬことと見つけたり!」
寺島良子:「ああ、ダメです! 間に合いません!」
ぴろし:「私が逝く! ぬぉぉぉぉぉっ!!
白銀のぴろし、ここにありぃぃぃぃっ!!」
なつめ:「ぴろしさぁぁぁぁぁぁんっ!!」
戦場に、奇跡の歌が響き渡る――
唄うことしか出来ないモノに――
尚也:「長瀬主任! ミクが……起動しました!」
主任:「なんだって!? 誰が起動させたんだ?!
彼女の整備は、まだ終っていないんだぞ!」
尚也:「それが、ミクが勝手に……自力で起動したんです」
主任:「そんな馬鹿な……主動力も停止しているのに、動けるわけが……」
ミク:「……誰かが、唄っています」
主任:「ミク!? 何処に行くつもりだ!
キミは、まだ、動ける体じゃないんだぞ!」
ミク:「唄っている……想い、届ける……、
なら、私も唄う……私の歌、待っている人達……いる」
主任:「し、しかし……キミの詩魔術機能は……」
みこと:「――いってらっしゃい」
尚也:「みこと、何を……!!」
みこと:「あなたを迎えに来た子達がいるわ。
あの子達と行きなさい。そして、思う存分、唄ってさない。
ヴォーカリオン『初音ミク』……あなたの歌を……」
美雪:「ミクちゃん! 迎えに来たわよ!」
ミリィ:「行くんでしょ? あの虹色の光の先へ!!」
光:「手伝うぜ、ミク! 俺達が連れて行ってやる!
お前の歌声が届くところまで!」
みこと:「歌姫のエスコート、よろしくね」
ティーナ:「――りょ〜かい!」
ミク:「いってきます……私のステージに」
想いが――
力が――
歌声が――
虹色の光となって、ダマーヴァンドに……、
ライルが握る剣へと集まっていく。
ライル:「分かる、分かるぞ、皆の想いが……、
この剣に……兄者の翼に……!!」
アヌーラ:「英雄とは、何処かの誰かの未来を担う者……」
アルフィミィ:「そして、幾百の英雄、幾万の戦士、幾千万の人々の想いを繋ぎ、
世界を担う者を勇者と呼ぶ……」
アルナ:「剣を振るいなさい、ライル=フィッシャー。
今、あなたは『貴方の世界』を担う勇者となった!」
GM:さあ、今、ここにいる全てのプレイヤー達よ!
自らのPCとなって、ライルに激励をっ!!
ケイオスを救う為、最後の一撃を放つ為の力をっ!!
――集まっていく。
虹の輝きが――
――聞こえてくる。
英雄達の想いが――
キュリオ:「おっちゃん! 皆の思いで! 皆の力で!
そいつが泣いてごめんなさいするまで、どつき回したれぇっ!」
カイン:「おっちゃん、一撃ですっぱり決めてや!
さもないと、倍返しやでー!」
エル:「幾多もの風の精霊達が……力を集めて届けていく。
柱の女神よ、強く優しき歌を紡ぐ彼の者に、貴女達の祝福を!」
ヴァル:「思いを届ける、私は感情を捨てて理で行動するのが正しいと思っていた。
だが、お前と出会った時から、その考えはどんどん崩れていく。
出会った時から、私は、お前に心惹かれて居たのだろう」
リーラ:「マ、マスター? それって……」
ヴァル:「あぁ、戦いが終われば、その時は、面と向かってその言葉を……、
だが、今は、その思いを消さぬためにも、
そして、この世界で、その思いが満ちる為に戦っている者達に、
我らの心を風に乗せて――」
ヴァル・リーラ:「我らの思いは、今、重なりて、届け……勇者へと」
アラン:「撃て、ライル!
日輪と赤月の加護は――」
パール:「――今、貴方と共にある!」
ミラ:「てめぇ、失敗したらわかってんだろうな!?
わかってるだろうから、しっかり救ってやれ、いいな?」
ミュー:「『英雄』の一番派手な見せ場だ!
打と意地を以ってブチ抜いてやれ!」
清華:「精神を研ぎ澄ませて――落ち着いてやったらいいよ。
大丈夫、絶対に上手く行く。ボクは、そう確信してるから」
フリッツ:「何処の誰かは知らないけどな……、
希望、想い、その他全てが、お前に宿ってるんだ!
その力で、この世界を救ってくれ!」
マイナ:「女神様……どうか、彼らに祝福を……」
キアーラ:「女神様なんて、どこにいるのかわかんないけどさ。
大丈夫、世界はそんなに残酷じゃない!」
ジェシカ:「虹って良いわよね……、
無数の色っていうのは、それ即ち、無限の可能性……、
そんな感じでいいのよね、テルトちゃん?
陳腐なくらいが、あいつららしいし……」
テルト:「はい! ボク達の力は、想いは……、
とても小さな力だけど……、
一つに紡げば、大きな力に……無限の力になるはずです!」
ジェシカ:「そーゆーこと! 全員が全員、色出してるんだから、
さっきも言ったけど、あんな蛇野郎――塵も残らず吹っ飛ばしちゃいなさいよ!」
テルト:「――想いよ、届け、勇者のもとに!」
ファング:「僕達は過去の幻影であり、オリジナルとは違います。
でも、オリジナルの僕がここにいたとしても、こう言ったと思います。
最後の仕上げです……安寧は、すぐそこですよ」
ディック:「虹の歌、か……おい、糞音痴!
オレはかつて『虹の歌姫』って呼ばれたヤツを知ってる!
テメェも男なら、そいつを超えてみな!
でなきゃテメェは……只の音痴野郎だぜ!!」
ブラム:「思いを叶えるってな俺の持つ力だぜ。
その俺が認めてやらぁ!『お前の思いは叶うんだ!』
だから……迷わずぶった切れ!」
リクス:「胸を張れ! ここでは、お前が主役だ!
主役ならその剣で……俺らの想いが詰まったその剣で……、
この悲劇に幕を閉じろ!
そして、その手に平和を掴み取れ!」
エリィ:「想いは考えるより感じる事……、
なら、やる事はわかってる筈……後は進むだけだよ!」
アレスタ:「わしは、多くの罪を背負ってきた。
世界のため、この瞬間のために……、
友を裏切り、友を捨て、友を利用し、友を殺し……、
その業の報いは、全てが終わった後に受け取れよう。
――さあ、決着をつけてくれ!」
GM:全PCとNPCのヒーローLVをダイスに追加っ!!
虹の翼の威力は……78d6+14!!
ナーフ:『――集まった!
虹の鎖、みんなの想い――ぶっ飛ばせ、ライルッ!
こっから、てめぇとオレ達の為の英雄譚だッ!』
イルス:「お願い、ライルさん!
全部を救える、最後のチャンス!
この一撃で――決めてっ!」
綾:「さあ、これで終わりです。あのダメ兄助けるためにも……、
一発キツイの、お見舞いしてやってください!」
ライル:「沢山の人達……出会った仲間……、
まだ見ぬ仲間の声が聞こえる。
そして、皆の想いが積み重ねられていく」
陳腐かもしれないけど、でも、これしか言葉は出ないんだ。
――『ありがとう』。
きっと決める。そして、兄者を助け出す。
そして、オレの世界を守りきる!」
『歌には力がある。唄う者は幸せを運ぶ者』……、
これは、お師匠様が言った言葉ですよね、シャハルナーズさん。
勇者が成すべきことが、それというなら……、
オレは迷い無く、躊躇無く、勇者になる。
……勇者が婿さんってのも、それはそれで面白いだろ?」
アロエッテ:「最初から、あなたは勇者よ、ライル……、
さあ、いきましょう……わたくしの勇者様……」
ケイオス:『私は、赦されて……救われて……いいの、か?』
イルス:「イルス=クークルー……、
赦されていい……ううん、ケイオスさんは……、
赦されなきゃ、救われなきゃ、いけないんだよ」
ナーフ:『この期に及んで、まだそんなこと言ってやがるか、このクソ兄者は!
駄目なヤツの為に、こんな苦労するか!
歯ぁ食いしばれ、今から弟者が思いっ切りぶん殴るからなっ!!』
綾:「あーもう! 赦されて良いとか良くないとか関係ない!
わたしがこうしたいから『こう』してる! 文句あるかッ!!」
ライル:「──さあ、『共に』最後の決着をつけるぜ!
兄者ぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
虹色の翼の剣を軽く振るうと、
ふわりとライルの体が宙に浮き上がる。
そして、ぐんぐんと加速度をつけて、蟲塊に突撃する!!
ライル:「ウイング・オブ・ディスペア……、
この技を使う時、兄者はいつも言ってたよな?
『さあ、唄おうか、絶望の唄を!』と……、
でも、今は、その言葉はふさわしくない。
だってよ、この技は、兄者の希望の技なんだぜ?」
ケイオス:『じゃあ、ライル……相応しい、口火を頼む』
ライル:「ああ、分かった……それじゃあ、いくぜ」
「さあ、唄おうか――」
「憎悪を超え、未来へ紡ぐ詩を─―』
「暗き絶望の闇を切り裂き――」
「悲しみを終わらせ、光溢れる明日へ羽ばたけ─―』
「エンド・オブ――
――ディスペアァァァァッ!!」
――全ての決着を付けるダイスが振られた。
集結した想いの結晶――
未来を紡ぐ虹の翼鳥が舞う!
虹の奔流に流されるように、
ケイオスの体を覆う蟲が……ウイルスバグが消滅していく。
万色に覆われる世界――
薄れゆく意識の中で、最後に英雄達が見たモノは――
<おわり>
<戻る>
注釈1:リプレイの様子と内容を、分かり易くする為に、かなり加筆・修正・脚色をしています。
注釈2:今回の内容は、あくまでもテストプレイです。
その為、今後、ルールが改訂される場合があります。