GM:最後の階層へと続くエレベーターの中……、
外で激しい戦闘が、今も尚、続いている事など嘘であるかのように、
エレベーターは静かに、静かに……最下層へと降りていきます。
ケイオス:「…………」
瞳を閉じ、今までの旅路や、かつて幸せだった思い出を……、
守れなかった女性を思い返している。
ライル:「不気味だな……まるで、オレ達を待ちかねているようだ。
憂いは無くなったけど、今度は逆に『死』への恐怖が押し寄せてきやがる。
ったく、どうにも心の安定がきかねぇ」
綾:「わたし達になくすものは無い。
何故なら、勝利は『それ』しか無いからだ――なぁんてね」
軽くメモ帳にペンを走らせ、ポケットにしまいます。
ナーフ:『さぁて……とうとう来ちまった、って感じだな』
イルス:「ここまで来たら、もう……、
まあ、戻る気は無いけどね」
GM:ふぁんぶら〜ズの冒険の終着点……、
ここからがクライマックスです。
皆さん、覚悟は良いですか?
ケイオス:覚悟は、とっくに出来ている。
ライル:さあ、行こうぜ……、
全てに決着をつける為にっ!
『Leaf Quest TRPG』 リプレイ
ふぁんぶら〜ズ冒険譚 16
『ラストマルハゲドン』 後編
―― PHASE-08 悲劇の舞台 ――
GM:最下層へと続くエレベーターが止まり、
ドアが開くと、そこは、廃墟と化した近未来的な研究施設です。
ライル:「いつか、学院でちらっと見たヤツに似てる……?」
ケイオス:「ここが、全ての始まりの場所か……」
GM:その広大な施設には、幾つもの大きなガラスのシリンダーが
まるで最奥へと誘うように、ズラッと並んでいます。
シリンダーには空の物もあれば、中身が入っている物もある。
その中身は、全てとある女性――が、原型だったのであろう。
異形のモノと化した、哀れな命達が、やって来た皆さんを見つめています。
その虚ろな瞳が語っているのは……一様に『殺して』と……、
ケイオス:「……すまない。すぐに、終わらせる」
皆に、少し下がっていろ、と無言で示す。
ライル:「……ああ、分かった」
ナーフ:『嫌な役回りばっか押し付けちまうなぁ』
綾:「苦しくしたら、ダメですよ?」
ケイオス:「せめて、安らかに。眠ってくれ……」
淡々と、だが様々な感情が滲みでるような声と共に、腕を横に振り抜く。
一拍置いて、全てのシリンダーが横一列に切り裂かれ、
その中の女性達を、生命ごと刈り取る。
GM:周囲のシリンダーが破壊され、中にいた生命達が床に落ちる。
カタチを維持できなくなったのか、ドロドロと溶けていく肉体……、
だが、その表情は、皆、安らかで――
ライル:「終わった、か……?」
綾:「これしか無いんですけど……後味は悪いですよね」
ケイオス:「……進もう」
???:「――失敗作の廃棄、ご苦労。
そのまま、奥へと進むがいい。
愛した者の空蝉の亡骸を踏み越えてな」
咽返る程の死臭が漂う施設の奥から、声が聞こえてきます。
その声の主は……言うまでも無いですよね。
ナーフ:『ったく、いちいち言い方がいやらしいっつーに』
ケイオス:「…………」
その声に応える事無く、ただ淡々とした足取りで奥へ進む。
GM:奥へと進むと、大首領が鎮座するにしては、
意外と質素な椅子に腰掛ける、一人の怪老の姿が見えてくる。
白衣に身を包み、スキンヘッドに蛇の刺青――
だが、先日、相対した偽者との最大の違いは、
背中から顔を、ニョロリと顔を覗かせる二体の蛇……、
それこそが、ザッハークの大首領アジ=ダハーカの姿……、
アジ:「ようこそ、我が玉座にて、
我の生まれし場所へ、ケイオス……いや、カーランソン……、
そして、我が宿敵……虹の英雄の継承者達よ」
ナーフ:『おう、宿敵参上だぜ、このクソジジイ』
ライル:「ふん、こっちは少しも願ってはいないがな。
とっとと、こんな宿命とやらからおさらばしたいぜ」
ケイオス:「丁重な出迎え感謝するよ、アジ=ダカーハ」
アジ:「ああ、ただ招待するだけでは芸が無い。
色々と趣向を凝らさせてもらった。気に入ってもらえたかな?」
ケイオス:「ああ、とてもな……」
イルス:「正直、趣味には合わなかったけど……、
お持て成しの丁重さだけは感じ入った、ってところかな?」
ケイオス:「貴様のせいで、全て変わってしまったよ……、
私は、ただ、彼女と穏やかな陽だまりの中のような時を歩んでいければ、
それで良かった……」
アジ:「全て、お前が望んだことの結果だよ、カーライソン。
さて、お客人への最後の持て成しをさせてもらおうか。
――諸君、アレを見るがいい」
と、アジが示す先には、2つのガラスシリンダーがある。
その中にいるのは……アルナワーズと、アヌーラです。
ケイオス:「…………」
その姿を見て、目を見開く。
ライル:「て、てめぇっ――!!」
イルス:「この期に及んで、まだ――っ!!」
アジ:「どうだ、カーライソン? 今一度、我が配下に加わるというのなら、
あの2人、生き返らせてやってもいい。
もちろん、仲間の命も保障しよう。
外で戦っている者達も、全てだ。
……どうだ、悪い条件ではあるまい?」
ケイオス:「――ふっ、はは……、
あはははははははハハハハハ!!」
右手で、顔を覆い……狂ったような笑いを上げる。
アジ:「返答を聞こうか、カーライソン?」
ケイオス:「貴様の言うように……、
私のせいで、全ての悲しみが、全ての絶望が始まり……、
彼女らに理不尽な運命が課せられた、そう言うのならば――」
狂ったような笑い声の時と打って変わった、淡々とした口調で……、
「終わらせよう、この場で全てを……、
そして、幕を下ろそう――」
顔を覆っていた右腕を伸ばし、それを異形の竜の腕へと変化させ……、
ツゥと血の涙が……右目から一筋落ちる。
「この……永過ぎた、喜劇に」
アジ:「そうか……残念だ」
ケイオスの決意を嘲笑うかのような、無造作に指をパンチと鳴らす。
すると、シリンダー内の2人の肉体がバラバラに分解され……、
シリンダー内は、真っ赤な血の色で染まっていく。
ナーフ:『さて、前口上は、このくらいか?』
アジ:「ふむ、そうだな……そういえば、我が姪はどうした?
ちゃんと殺してきたか?」
ライル:「殺すわけねぇだろ、このタコハゲ野郎」
アジ:「なるほど……で、何か言っていたかね?」
ケイオス:「お前を救ってほしい、とだけな……」
アジ:「救え、か……そうか、そんなことを……、
くっ、くくくっ……はっはっはっはっ! それは傑作だ!
失敗作のくせに、何と言う傲慢な!
戯れに可愛がってやれば、そんな事を言うとはな!
まったく、何を勘違いしてるのか! こういうのを何といったかな?
そうそう『雌豚もおだてれば木に登る』だったか?」
ケイオス:「安心したよ、それが聞けて……、
これで、彼女に気兼ねする事なく、貴様を憎み殺す事ができる」
イルス:「OK、その嘲笑があなたの回答……そう受け取っていいんだね」
綾:「はいはいはいはい……、
もー、なんていう在り来たりな台詞ですか……ここは要編集ですね」
手をひらひらさせて、オーバーに呆れを表現します。
ライル:「……取り敢えず、一言いいか?」
アジ:「なにかね? 今、我は最高の気分が良い。何でも言いたまえ」
ナーフ:『オレの気分は最悪だよ、オイ……、
変らねぇなぁ、てめぇは、何から何まで……』
心底うんざりしたように呟く。
ライル:「なんつーかさ、あんた……、
何て言うんだろうな、こういうのって……、
あ、そうそう、あれだ。(ぽんっ)
――構って欲しいガキ!!
嫌味もさ、度を越すと怒りより呆れるんだよ……あんた、必死すぎだよ」
綾:「おー、その解釈面白いですねっ!? それ頂きですっ!!」
アジ:「なるほど……少し、図に乗れ過ぎたようだ。そこは反省しよう。
だが、それでも、充分に効果はあったようだ。
何故なら、精霊石は、今、我の目の前にある。
それだけでも、今までの苦労は報われた、と言うべきか……」
ライル:「あと、一つ聞いておきたい。
この戦い、手を引くつもりは毛頭ないんだな?」
アジ:「無論だ……どうしても、その石は必要なのだよ。
――いずれ復活する、破壊神ガディムを倒すためにね」
ライル:「ガディムを……倒す?」
綾:「あれ。倒す方ですか?」
アジ:「何を不思議に思うことがある?
我は、ガディムを倒す為に作られた存在……、
なら、その為に尽力するのは当然だろう?
尤も、ガディムを倒した後、世界は、我のモノになるのだがな」
ライル:「世界を守るで、終わらせとけば、英雄になれたものを……」
アジ:「マスターテリオンとも、その辺で意見が分かれ、道を分かつことになった。
あの技術と知識は、本当に惜しかったよ」
ライル:「そりゃ、世界を我が手になんてほざけば、意見も分かれるだろうさ。
兵器として生まれた存在が、自分の存在意義の確立の為に、
世界を欲した……それが、行動の全てか。
すまんな、ガディムから世界を守るというとこまでは同意だが、
そっから先は、こっちも願い下げだ」
ケイオス:「そんな事の為に……、
彼女達は、あんな運命を歩まされたというのか?」
アルナの笑顔が、アヌーラの笑顔が……、
アルナの死体と直面した瞬間が、アヌーラが腕の中で消えて逝った瞬間が……、
何度も、何度も、脳裏に浮かんでは、憎悪の炎に消えていく。
アジ:「いいぞ、カーランソン……、
その憎悪……それこそが、闇の精霊石をさらなる高みへと誘う。
さあ、掛かってくるがいい。
そして、この闘いの中で、さらに、その闇を増大させるがいい!」
ケイオス:「――殺す」
明確に、そして、今までの旅路の中で、
最高の憎悪と憤怒を表情に出す。
イルス:「言うべきことは言った、聞くべきことも聞いた――準備は、いいかな?」
ライル:「せいぜい、あの世で、てめえが苦しめ殺した人達にお仕置きされやがれ!!」
綾:「まあ、皆さん、色々と抱えてるわけですが……、
わたしの場合、憎いとかそーいうのよりも先に出てくる理由が一つあります。
『あんたが気に入らないっ!!』だから、ブッ倒します!」
ナーフ:『よーしよし! 待ちくたびれた!
さっさと始めようぜ……なぁ、ジジィ!!
決着だぜ、オレとてめぇの悠久の宿縁のな……行くぞ、イルス!』
イルス:「友の宿命、全ての借り……ここに、僕は“盟友”として存在する。
返して、貰うよ――全部を」
虹の宝剣の鞘を握り締め、歩み出る。
―― PHASE-09 虹剣の英雄 ――
アジ:「さあ、はじめよう! この瞬間を、ずっと待っていた!
だが、そう簡単に、この闇の衣(ラストリゾート)を貫けると思うな!」
アジがそう叫ぶと同時に、その全身が闇のオーラで包まれる。
そのオーラの膜こそが、闇の衣『ラストリゾート』という名の概念武装です。
イルス:……らすとりぞーと?
GM:物理攻撃と魔術攻撃を無効化する概念武装です。
詳しくは『誠の世界漫遊記6』と『劇場版』を参照してください。
ケイオス:つまり、女装爆弾で解除できるわけだな?
GM:まあ、そういうことになりますが……、
今回は、その必要はありません。何故なら――
アジ:「何だ……聖杯からの魔力供給が……?」
概念武装を発動させた瞬間、闇のオーラは、
何故か、急速に弱まり、霧散してしまう。
ライル:「――そうか、誠達がっ!!」
綾:「うまく制御できたみたいですねぇ」
イルス:「聖杯の蓋となる願い桜の木……、
その木は『サクラ』の名を持つモノの願いを最優先する」
ナーフ:『HtHの姫さんが、やってくれたわけだ』
ケイオス:「…………」
にぃっと、獰猛な笑みを浮かべる。
アジ:「なるほど、伏兵がいたわけか……まあ、いい。
まだ、我には、これがある!」
と、アジが叫ぶと同時に、全身がウイルスバグに包まれる!
ライル:「でやがったな、ウイルスの本体がっ!」
綾:「おー、すごいすごい。(ぱちぱち)
どーせだから、もう全部出しちゃいなさいな、ここで終わるんだし?」
<第1ターン>
GM:さあ、ラストバトルを始めます!
イニシアティブ判定は(ころころ)13!!
綾:ブーストは温存して(ころころ)12!?
すみません、ギリギリで先制されましたっ!!
アジ:「まずは、小手調べ……っ!」
アジの右肩の蛇の瞳が怪しく光り、怪光線が放たれるっ!
これは、MPへの全体攻撃ですっ!
(ころころ)15と言って命中っ!
ライル:いきなり、MP攻撃って……殺意高いな!(ころころ)
綾:MPを回復しておいて良かったですっ!(ころころ)
イルス:魔術扱いで回避だよね?(ころころ)……うあっ?!
GM:綾以外は命中ですね。ダメージは(ころころ)ちょっと低くて20点!
アジから放たれた怪しい光が、ケイオス達を薙ぎ払う!
イルス:MP攻撃は、それでも痛いよ!
これで、残りMPは……たったの6点?!
GM:続いて、左肩の蛇の攻撃は……大きく息を吸い込んで終わり。
(ころころ)出目は2か……、(メモメモ)
ケイオス:何か企んでるな……嫌な予感がする。
GM:最後に、アジ本体は、テトラカーンを発動します。
ライル:げっ、またややこしいモノを……、
綾:後手後手になっちゃいますねぇ。
GM:ふふふ、先手を取れたのは大きいです。
寧ろ、そっちの準備が整う前に大技を出さなかった分だけ、
ありがたいと思ってくださいな。
綾:じゃあ、その準備をしましょうか?
その余裕っぷりを後悔させてあげます!
ナーフ:『さ〜てと、物理障壁とは厄介なモンだねぇ……』
動物使役でナーフが行動!
魔法瓶を足で開け、全体へタルカジャを発動!
これで、全員の物理攻撃力が+5だ!
綾:アナライズを発動!
4ターンの間、クリティカル値を−1します!
ケイオス:「その邪魔なモノ……消し去ってやる!」
復活ブースト1点消費でデータドレインを発動っ!
さらに、命中にブースト1点を追加だっ!(ころころ)
アジ:「――ぐぉぉぉぉぉぉっ!?」
アジが苦痛の声を上げ、その身を汚染するウイルスバグが消えていく。
だが、その表情は、何処か余裕があった。
まるで、それが想定内であったかのように……、
ライル:「ちっ、まるで見透かしたような……」
ナーフ:『はてさて、どこまでが計算の範囲内なんだろうねぇ?』
綾:「どうせ、追い詰められれば追い詰められるほど、
『本気を出してやるぜフハハ〜』とかいう、負け犬フラグ満載な思考してるんですよ」
ライル:「迷うな……今、オレができる事をやれっ!」
宝具発動! 演奏するのは……初使用の第7楽章!
こいつで、奴の魔力を奪い尽くしてやるっ!
盗賊ギルドで得た情報が確かなら、これが――
(ころころ)達成値は16だから、これで毎ターンMP5点ダメージだ!
GM:指向性の判定は? それで12以下だと、味方にもダメージですよ?
ライル:失敗したらゴメンナサイ!
ブーストは使わずに(ころころ)うあっ、失敗したっ!?
アジ:「チッ、忌々しい虹の楽譜め……っ!」
ナーフ:『がぁぁぁぁ!? ストップストップきついきついきつい!?』
これで、イルスのMPが残り3点になっちまったぞ?!
ライル:「す、すまねえ、ナーフ!!
なにせ、こいつは、ぶっつけ本番で使ったからな」
イルス:「あぁもう、うまく決まらないねぇ……」
と、頭を抱えつつ、宝剣を手に前に進み出るよ。
アジ:「虹の剣……グルザ・イ・ガウサール……」
イルス:「アジ=ダハーカ……見覚えあるよね、これに……?」
一振りの剣を手に、つかつかとアジに近付いていく。
不用心……あまりにも不用心な接近……、
アジ:「ああ、もちろん、報告は受けている。
だが、それを扱えるものはいない!
担い手は、未だ赤子、そして、本来の持ち主がいても、所詮はただの鳥!
担い手がいないことに絶望しろ!
この闘い、最初から勝敗は決まっているのだ!」
ナーフ:『確かに、オレだったら使えるかもしれねーけど……、
オレを直々に鷹公に変えちまったの、てめぇだしなぁ……、
普通なら、そう思うよなぁー?
――でもよ、知ってるか?
このクワルナフの担い手が、どんな人間か……』
と言いつつ、イルスの肩の上に乗る。
アジ:「……なに?」
イルス:「深き深き森の隣人……生きとし生ける者全ての友……、
僕は言ったよ、自分が“盟友”だって。
僕は――ビーストテイマーだ。
それも、その真意を知っている……」
アジ:「ビーストテイマー?
ウタワレ人の原点……ま、まさかっ!?」
ナーフ:『――そうだよ!
オレ達は教わった! 見せて貰った!
知ってんだよ! 共に戦う方法をな!』
イルス:「――いくよ、ナーフ!!」
ここで、ビーストテイマーの技能の、
『獣人化』を発動するっ!
獣人化を発動した瞬間……、
イルスとナーフの姿が風に包まれた。
天空を駆ける王者の翼が纏いし風の中で、2つの影が一つになる。
そして、風が吹き抜けた時……、
その姿は何も変わらない――
ただ、変わるものは――
消え去ったナーフの姿と、服の随所に飾られた羽飾り――
そして、その瞳――
虹の斧を構える、その姿――
「――ようやく会えたなぁ、アジ=ダハーカ」
「ああ、久しぶりだ……そして、やってくれたな!!」
――古の英雄、ファリードゥーン。
ナーフ:「オレ――参上!」
一同:うおおおおおおっ!!
GM:――そう! それこそが、虹の剣の使用条件っ!
獣人化によって、本来の持ち主であるナーフと一つになったイルスなら、
グルザ・イ・ガウサールを使用する事が出来るっ!!
虹剣の効果は、アジ=ダハーカへ防御無視の攻撃が出来る!
ただし、使用制限回数は、イルスのヒーローLVと同値まで……、
つまり、4回しか使えません。
ナーフ:「こっからは、最初っから最後までクライマックス!
形振り構うつもりはねぇ!」
その4回までで、トドメの一撃をブチかませば良いってわけか!
なら、獣人化と同時に、妖精の腕輪(偽)と魔法のメイド服も発動!
その姿は、明らかにイルスとは違う……、
しかし、その衣服は意外なまでに似合っている!
ちなみに、獣人化中は、ナーフが主人格になるから。(笑)
ライル:「――ったく、伝説ってのは、
やっぱり『作られる』モンだと、しみじみ感じるぜ」
アジ:「なるほど、テリオンが、何の策も無しに、
お前達を寄越すとは思っていなかったが……、
そういうことだったか……、
しかし、その恰好は……何の冗談だ、ファリードゥーン?」
綾:「何って……戦闘服?」
ケイオス:「――ぷっ」(←思わずシリアスが保てなくなった)
ナーフ:「テリオンの置き土産だよ……、
いいんじゃねぇの? 酔狂と冗談に満ちてた方が“俺達”らしい」
イルス:『それで良いの、ナーフぅぅぅ?!』(爆)
アジ:「お前は、昔からそうだったよ、ファリードゥーン……、
いつもいつも、人をコケにしおって……、
だが、そんな不完全な状態……いつまでも保ってはいられまい?」
ナーフ:「だ・か・ら……こっから朽ち果てるまでがクライマックスだっつってんだ!」
アジ:「なるほど、ならば、今度こそは、最後に立っているのは我だ。
終焉を迎えるのは、お前だ、ファリードゥーン!」
ナーフ:「今度は鳥公にするなんてなまっちょろいことせずに、
粉みじんに消し飛ばして見やがれ! 出来るモンならなっ!」
<第2ターン>
イルスの獣人化によって、
虹の剣が抜かれ、これで、全ての準備は整った。
アジ=ダハーカにとって、その剣は、最大の脅威……、
だが、邪蛇は余裕の構えを崩さない。
3回行動をフルに使って、
全力で、ナーフを集中攻撃すれば良いものを……、
右肩の蛇は、プレス攻撃の準備をし……、
左肩の蛇は、前のターンと同様に『何か』をチャージする。
アジ本体は、マハガルダインで、
全体攻撃を放つが、大きなダメージを与えるには至らない。
アジ:「ほう、耐え切ったか……だが、次で終わりだよ、くくく」
ナーフ:「ちっ……」
左足がスカートの裾ごと軽く切り裂かれる。
ライル:「野郎、無茶苦茶なパワーだな……」
とはいえ、アヌーラ程の超火力じゃない。
大首領アジ=ダハーカ……この程度なのか?
ケイオス:油断するな。次のターンのプレスもだが、
何より、左肩の蛇がチャージしているモノが気になる。
綾:確かに、あれは気になりますね。
ところで、イルス……じゃなくて、ナーフ?
MPを回復した方が良いですよね?
ナーフ:回復してくれ。折角、カッコつけたのに、
即座に気絶したら、ギャグにもならん。
綾:「受け……とれぇぇぇ!!」
安らぎの呪文薬を取り出し、大きく足を上げ……、
振りかぶって……投げたぁぁぁっ!!(爆)
(ころころ)というわけで、ナーフのMPを11点回復です。
ナーフ:「あんがとさん、綾ちー!」
ケイオス:「オオォォォォォォォ!!」
奴のウイルスバグは除去したっ!
続いて、最大火力で、最大HPを削るっ!
必殺『グリムリーバー』! 命中判定にブースト1点使用!
(ころころのころ)ダメージはクリティカル込みで31点!
アジ:「ぐぉああああっ!!」
防御無視の技なので31点が丸抜けっ!
グリムリーバーが、アジの体を貫き、魂そのものを削り取る!
ケイオス:初手の攻撃としては、まぁまぁか……、
しかし、これで、もう、この技は――
アジ:「ま、魔典を応用した技か……素晴らしい。
いいぞ、カーライソン、その調子だ!
だが、もう、その技は、我には通じぬぞ?」
そう、ケイオスの言う通り、
アジの特殊能力『自己進化』によって、その技は、もう通用しません。
ケイオス:「黙れっ! ならば、通じる技で叩き潰すまで!」
ライル:「そういや、一度喰らった必殺技は、無効にするらしいがな……、
オレには、そんなの関係ねぇぞ!
もう一度、第7楽章だ! 今度は失敗しねぇっ!!」
GM、ここで、ギャグキャラ特徴で取得した『奇跡の楽師』を使うぞ!
バード技能のLVをダイスの数に変換っ!
これで、楽譜発動判定は8d6(ころころ)達成値32!
3で割って、毎ターンにMP10点のダメージだ!
GM:うぐあっ、そういう使い方があたかっ!?
しかし、指向性の判定に失敗すれば、それの諸刃の剣……っ!
ライル:「奇跡の楽師なんて言う人も居る。正直、オレはそれが気恥ずかしかった。
だが、その言葉から逃げやしねえ!!
奇跡ぐらい何度でも……起してやらぁっ!!」
失敗なんかするわけねぇだろ!
ここで、ブースト1点使用!(ころころ)成功っ!!
アジ:「黙れ! 黙れ! 黙れ!
その忌々しい歌を止めろぉぉぉっ!!」
虹の楽譜の……ライルのギターと歌声が紡ぐ旋律が……、
明日を、未来を、希望を奏でる賛歌が、
アジ=ダハーカの魔力を……魂を削っていく。
ケイオス:「止まりはしないさ……、
貴様の時間が止まるまではなっ!!」
ナーフ:「やっぱ、いっぱしに弾けるじゃねぇのライル!
BGM担当がおめーってのがナンだが、それでも最高の気分だ!」
フォル:「過去、最高、音痴、返上、世界一、楽師!」
イルス:『フォルが褒めるのって、きっと、これ1回こっきりだよ!
よし――いくよ、ナーフ!』
綾:「おっけーおっけー、人間、その気になれば……、
限界の一つや二つ、軽く超せますっ!」
ケイオス:「そして、理不尽な運命など、未来など……破壊してみせる!」
ライル:「オレは一人じゃねえ、今まで出会ってきた人達や、
仲間や……師匠……そして……愛しい人がいる!!
頼むぜ、皆……奇跡を皆で叶えるんだ!!!」
アジ:「起こらぬ! 起こらぬ! 奇跡などぉぉぉぉっ!!
破壊されるのは、我が未来ではなく、お前達の未来だっ!」
綾:「奇跡は起こらないって言ってますが……、
起こるから『奇跡』って言葉があるんですよ?
つまり、あんたが、その言葉を口走った時点で、
あんたの負けは確定なんですっ!!」
ナーフ:「良いこと言うじゃねぇの!
よっしゃっ! 今こそ、いくぜっ!
必殺――オレの必殺技――」
と、必殺技を出そうとして、ナーフは気付く。
自分の得物である宝具……、
グルザ・イ・ガウサールを見る。
その形状は……斧。
アジ=ダハーカは知っている。
ファリードゥーンの得物は、鎚だったと……、
ナーフ:「――す、ストレートど真ん中だぁぁぁぁっ!!」(自棄)
というわけで、通常攻撃っ!(爆笑)
一同:なんだそりゃぁぁぁっ!?
ナーフ:宝具の効果で、アジに対しては防御無視の攻撃!
命中は獣人化の効果で、なんと2d6+14!!
(ころころ)達成値は20っ!!
GM:アジの回避は(ころころ)あ、クリティカル♪
ケイオス:ええい、やりおるなっ!!
ナーフ:回避されたのは仕方ねぇけど……、
4回しか使えない虹の剣を空撃ちしたのが痛いっ!
アジ:「ふはははっ! 使い慣れぬ武器で戦うから、そういうことになる!」
ライル:「慣れなきゃ、慣れればいい、それだけだ」
ナーフ:「ライルと同じで、ぶっつけ本番だったからなぁ
<第3ターン>
ナーフの攻撃を回避し、アジは勢いに乗る。
左肩の蛇は、前ターンと同様、『何か』をチャージし……、
右肩の蛇は、瘴気のプレスを吐く。
その効果は、なんと、全体にHP&MP攻撃っ!
グリムリーバーの代償によって、ケイオスは回避不能。
HPとMPに、地味に6点のダメージを受ける。
他のメンバーは、回避に成功し、ダメージは無いものの、
ここで、火力の要であるケイオスのMPの減少は、かなりの痛手である。
しかも、アジ本体からは、追い撃ちのマハガルダインが発動。
この一発だけで、全員のHPは、一気に半減してしまう。
ナーフ:結界薬EXを使っておくべきだったか……、
でも、手番を消費するしなぁ。
綾:でも、毎ターンMP−10ですからね。
相手も、そんなにMPは残ってないはず……、
GM:確かに、残りMPが、じわじわと不安になってきていますが……、
ケイオス:「この程度……彼女達の痛みに比べれば……っ!」
アジ:「いいぞ、いいぞ、カーライソン……その調子だ……」
ライルの歌に苦悩しつつも、不気味に笑っている。
綾:「さてさて、色々と、借りたり貰ったりしてるんで、
引き返せない領域にきたら踏み倒しますよ?」
ケイオス:「……ソレは、困るな」(苦笑)
綾:回復いきますよ〜、メディラマを発動!
同時に、ポーションホルダーの効果で、安らぎの呪文薬を使用!
消費したMPを、その場で回復します!
(ころころ)全員のHPを19点回復です!
ライル:よしっ、これで、全員がほぼ全快したぞ!
ケイオス:「――くらえぇぇぇ!」
竜のソレに変貌しつつある爪で腕を引き裂き、
血で造られた魔獣が、アジに襲い掛かる!
必殺『ブラッドハウンド』! 魔典効果込みでいけぇっ!
(ころころ)クリティカルして33点ダメージ!
防御して抜けた分の最大HPにダメージだ!
GM:次々と、アジ=ダカーハの体へ血の魔獣が喰らい付く!
アジは、両肩の蛇をふるい、それをなぎ倒すが、
間髪いれず襲い掛かる魔獣に対応しきれない!
アジ:「この力、素晴らしい、素晴らしいぞ……さすがは、闇の精霊石!」
(ころころ)ぐあっ、最大HPが20点も削られた!
しかも、最大HPへの攻撃だから、瘴気蟲も出せない!
ケイオス:それも計算した上での攻撃だ!
しかも、再生も許さない!
GM:そうなんだよ! 折角、毎ターンに、
HPを2d6も回復できるのにっ!
ライル:ふはははっ! 自分が兄者に与えた魔典に苦しめられる気分はどうだ!
ナーフ:……そうだよな?
その魔典って、決定打にはならねぇが、
間違いなく、アジにとっては脅威だぞ?
ケイオスの裏切りが、最初から想定されていたなら、
あのハゲ……どうして、こんなモンを、ケイオスに渡したんだ?
ライル:それはともかく、オレは歌い続けるぞ!
奴のMPを根こそぎ削ってやる!
ケイオス:頼むぞ、弟者!
敵に絶望を! 味方に希望を!
ライルは、指の皮も裂けよとばかりに、
ギターの弦を弾き、全身全霊の歌声を流し続ける。
もし、齢を重ねた人が、その姿を見れば、こう言うだろう。
――あの日の二人の若者のようだ。
そう、互いに死力を尽くした、
あの演奏勝負の舞台にいた、あの二人……、
一人は、アンジョルラス。
そして、一人は、リキーシ=フィッシャー。
ライル:「うおおおおおぉぉぉぉっ!!」
ケイオス:「いいぞ、弟者! その調子だ!」
きっと、この歌声は空間を超え、外で戦う仲間達にも届いているはず!
アジ:「……ぐっうぅ」
口の端から血を流しつつ、歌に耐えている。
ナーフ:「いくぜ、いくぜ、いくぜぇぇぇぇっ!!」
イルスと意識を同調させ、その技術を再現する!
――疾駆! 疾風! 疾走!
それは、イルス=クークルーのスピード勝負の斧術!
両手持ちで、虹の剣の効果を発動! これで、残り2回!
(ころころ)命中は19だ!
GM:(ころころ)そんなの回避できるかっ!
イルス:『ミラン、ダルム――』
アジ=ダハーカへと肉迫し、斧を振り上げる!
虹の刃は消えており、その瞬間までは、イルスの技――
ナーフ:「――スティアァァァァッ!!」
構えから打ち降ろしへ……、
その瞬間に、虹の刃が出現させるはナーフの力!
イルス・ナーフ:「『うおおぉぉぉぉぉっ!!』」
その咆哮は……紛れも無い2人のモノ!!
アジ:「ぬおぁぁぁぁっ!!
ファリードゥゥゥゥンッ!!」
ナーフ:「ファリドゥーンじゃない!
イルス=クークルーとナーフウェイトだ!」
踏み込み――切り裂くっ!
(ころころのころ)クリティカルして、ダメージは41点だ!
GM:宝具効果で、ダメージ丸抜け!!
虹色の刃が、アジ・ダハーカへと振り下ろされる!
アジは、それを受け止めようとするが、
その防御ごと、刃は、アジ本体の体を切り裂く!
炸裂する虹色の燐光……、
響き渡る、アジ=ダハーカの雄叫び……、
そして、ゆっくりと、光の奔流は消えていき……、
アジ:「ふははははっ!
それで終わりか、ファリードゥーン!」
ナーフ:「なら、第2ラウンドだ!
てめぇが塵一つ残らなくなるまでやってやる!」
<第4ターン>
GM:ナーフの攻撃を受けても、尚、アジは生きている!
このターンで、多少は再生したが、
それでも、もうギリギリだったりする。
もう少しチャージしたかったけど……、
ここで使わないと負ける! 左肩の蛇の行動!
今までチャージし続けた判定の合計値は8……、
それを命中と抵抗の修正値としてプラスし、全体に麻痺光線を放つ!
ライル:それが切り札? 意外と地味な――
綾:――地味だけど、怖いですよ!
もし、これで全員が麻痺したら、全滅確定です!
ナーフ:何としてでも、最低1人は抵抗に成功しねぇと……、
いや、出来るちゃ出来るんだ。ブーストを全部使えばな。
ケイオス:ならば、GM! ここで復活ブーストを使うぞ!
黒翼を展開して、闇で光線を遮断してやる!
GM:ん〜、まあ、良いでしょう。
黒翼と麻痺光線の威力で即決勝負です!
アジ:「これで終わらせてやる、ファリードゥーン!!」
左肩の蛇から、強烈な麻痺光線が、ケイオス達をなぎ払うように放たれる!
こっちの達成値は(ころころ)27!
ケイオス:「――させるかぁぁぁぁぁぁぁ!!」
黒翼で相殺!(ころころ)よしっ、38!!
GM:うわっ、完全に相殺されたっ!?
ケイオス:「貴様には、もう奪わせない……仲間を、大切な人を!!」
アジの切り札を防ぎ切り、形勢は完全にケイオス達に傾いた。
邪蛇のHPは残り僅か……、
おそらく、このターンで勝負は決するだろう。
しかし、アジ=ダハーカは……、
いや、GMは、この展開さえも、想定していた。
これで……フラグは立った。
余裕の笑みを浮かべつつも、
GMは、PL達の行動と幸運に驚愕する。
――そう。
これで、フラグは立ったのだ。
彼らの冒険が、大団円を迎える為の、最初の一歩が……、
アジ:「くっ……やるな、カーライソン!!
だが、まだ、カードは残っているんだよ!
先程のお前のデータドレイン……、
この我から、何をドレインしたと思っている?」
ケイオス:「……何?」
GM、どういうことだ?
GM:データドレインの原作での設定は、
ウイルスバグから『何か』を吸収するカタチで、相手からバグを取り除きます。
それは、アイテムだったり、ウイルスコアだったりするわけですが……、
ライル:ああ、そういえば……、
白仮面の時は、兄者の最大HPが2点増えたよな。
GM:白仮面の時は、その吸収は、ケイオスにとってプラスに働きました。
でも、原作では、吸収による結果が、プラスに働くとは限りません。
綾:状態以上になったり、LVが下がったり……、
問答無用でゲームオーバーになったり……、
GM:その設定は、LQでも例外じゃないんですよ。
ナーフ:回りくどいな……、
んじゃ、ケイオスは、あいつから何を吸収したって言うんだ?
アジ:「呪いだよ……魂を喰らう呪いだ!
さあ、今こそ喰らえ、その男の魂を!」
と、アジが叫ぶと同時に、ケイオスがドレインしてしまった『呪い』が発動します。
具体的には、ケイオスのMPが0になる。
綾:ということは……気絶っ!?
ケイオス:「――ぐ、がぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
魂を削り取られ……意識が遠のく。
膝が折れ、糸が切れた操り人形のように、倒れ伏す。
GM:いや、その表現は、微妙に正しくない。
『糸が切れた操り人形』ではなく……、
今、まさに、勝手に動き回っていた操り人形に、糸が付けられたんです。
一同:――はあ?
アジ:「今だっ、この瞬間を待っていたっ!!」
ケイオスが気絶したの見た瞬間、即座に、アジの右肩の蛇が動き、
ケイオスの体に巻き付き、引き寄せ、確保します。
ライル:「あ、兄者ぁぁぁぁっ!!」
―― PHASE-10 邪蛇降臨 ――
アジ:「――いいぞ、最高だ!
クワルナフも、精霊石も、聖杯も……、
そして、この男も……、
これで、我が欲していたモノは、全て手に入れたっ!」
確保したケイオスの体をまるで、捧げ上げるように、
両肩から伸びる蛇で持ち上げながら、アジ=ダハーカは、
勝ち誇るかの如く、狂ったように歓喜の声を上げる。
ライル:「ど、とういうことだ……、
あいつ……なんで、兄者まで……?」
アジ:「見ているが良い、虹の英雄達よ! 絶望が生まれる瞬間を!
さあ、いくぞ、カーライソンっ!!」
邪蛇は、一番欲していたモノを手に入れた。
全ての布石は……、
待ちに待った、この瞬間の為……、
そして、邪蛇は高々と叫ぶ。
絶望を与える……その言葉を……、
「――武装、開花ぁぁぁぁぁっ!!」
アジがそう叫ぶとともに、
ケイオスを抱えるアジの体から無数の蛇が現れ……、
……群がるように、ケイオスの体に巻きついていく。
そして、黒の禍々しい炎が燃え上がり、ケイオスとアジの体を包む。
黒炎の中で、ケイオスが、
片手を振るうと、一瞬にして、炎が振り払われる。
そして、ライル達の前に立っているのは……、
彼の者を象徴する黒き翼……、
その翼の如き漆黒のマントを身に纏い、
背中から、二匹の蛇を生やした、ケイオスの姿――
いや――
その姿こそが――
――邪蛇アジ=ダハーカ。
一同:なにぃぃぃぃぃぃっ!!
ナーフ:そうか……そういう事だったのか!
何で気が付かなかったんだ!
あいつは……アジ=ダハーカは、そもそも兵器なんだ!
ライル:兵器の力を発揮するには、そりを扱う者が必要不可欠……、
綾:アジは、ケイオスさんを殺そうとはしなかった。
アジは、今まで、何度も、ケイオスさんに言っていた。
『お前一人の体ではない』と……、
単なる冗談だと思っていましたよ。
それが、まさか……、
アジ:「ようやく、分ったか、虹の英雄の後継者達よ。
この魔典……我に対して決定打とはなりえぬが、脅威であることも事実……、
離反することが分かり切っている者に、何故、そんなモノを与えたと思う?
我は生体装甲……それ故に、真の力を発揮するには、
どうしても、我を身に纏う者が不可欠だ。
しかし、武装化すれば、その行動は、装着者に依存してしまう。
我の意志は、装着者によって封じられてしまう。
それでは、ダメなのだよ……、
だから、我は欲したのだ! 我が意のままに操ることの出来る装着者を!
精霊石を生み出す資質、黒竜の眷属としての力……、
そして、何よりも、この怨念と怒りで濁り切った精神……、
この男こそが、我を纏うに相応しい人形なのだ!」
ナーフ:「身体ごとかっ喰らってくつもりだったのか……最初っから!!」
ライル:「だから、兄者をあれだけ、
苦しみのどん底に叩き落そうとしたわけか!」
アジ:「そう……全ては、この瞬間の為に――」
アジが、力を鼓舞するように両手を上げる。
その途端、周囲の全てを吹き飛ばす程の圧倒的なまでの魔力と威圧感が放たれ、
ライル達は、その場に踏み止まることもできない。
そして、アジ=ダハーカは、
ケイオスの体、ケイオスの声で……宣言する。
「見るが良い! これが我が真の姿!
今、ここに、邪蛇アジ=ダハーカは降臨したっ!!
ふははははははははははっ!!」
「この野郎、兄者を――」
「――ケイオスさんを返せぇぇぇっ!!」
<おわり>
<戻る>
注釈1:リプレイの様子と内容を、分かり易くする為に、かなり加筆・修正・脚色をしています。
注釈2:今回の内容は、あくまでもテストプレイです。
その為、今後、ルールが改訂される場合があります。