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二次創作投稿(うたわれるもの)
「泉の神さまのおはなし」
(作:阿黒)
むかーしむかしのことじゃったー。
ある辺境の村に、
それはそれは仲のよい親娘が住んでおったそうな。
「まあ、確かに、私は二人の保護者ではあるのだが……、
こんな大きな娘がいる歳じゃない……」
「わ、わたしとハクオロさんは親子じゃなくて…………きゃっ♪」
「……エルルゥ、帰ってきなさーい。帰ってこーい」
「ん~~、おとーさん」
「よしよし、どうした、アルルゥ?」
「おとーさん、帰ったら背中のながしっこする」
「ははは、アルルゥは甘えん坊だな~」
「んふ~~~~~」(すりすり)
「…………………」(ギロリ)
「エ、エルルゥ? な、なにをそんな怖い目で見てルノデスカ?
いやだって、アルルゥは、まだ子供なんだし……、
こ、こんなのはいつものことじゃナイデスカ?」
「……流しっこ……私が、お背中流しましょうかって言っても、いつも断るのに……」
「い、いや、それは仕方ないというか……その、ホラ?」
…………………。
「ハ、ハクオロさんの幼女趣味~~~~~~~~~~~!!」
「うぎゃあああああああああああっ!?
か、噛むな! 噛まないで、エルルゥーーーーー!!」
と、まあ、こんな感じで仲良し家族じゃった。
「俺の身体はもうボロボロだ!」
似てないギャレンのモノマネはいいから。
さて、ある日――
親娘は、いつものように、森に薬草摘みに出かけたのじゃ。
ところが薬草があまり見つからず、
三人はいつしか森の奥へ奥へと入り込んでしもうた。
と、その木々の間に隠れるように、きれいな水が滾々と湧く泉を三人は見つけたのじゃ。
「ハクオロさん、丁度いいですからここで御弁当にしましょうか」
「そうだな。せっかくだし」
「うふふふふ…ひゃ――」
「あ、でも、エルルゥ、薬草摘みに、わざわざ御弁当用意してたのか?
いつもは、そんなに時間はかけないのに」
「んっがんっんん!!」
「お姉ちゃん……変なナマモノみたい」
姉の方には何やら底の浅い企みがあったようじゃが、
なにせ底が浅いのでバレバレのようじゃった。
「まあ、いいか。じゃあ、食事にしようか、アルルゥ」
「ん、おとーさんといっしょ」
本命の方は、ちっとも気がついてないようじゃったが。
なんだかちょっと悲しい姉じゃった。
「ん~~~、いい匂い~~~」
「こら、アルルゥ! 勝手に開けない!」
つまみ食いをしようとする妹を嗜めようとする姉。
その手をかい潜って、妹は大きく身体を捻ったのじゃ。
「――あう?」
その弾みに妹はバランスを崩し、泉の渕からコロリと落ちてしもうた。
「あう――――――――――!?」
じゃぽ~~~~~~ん!
「ああっ、アルルゥ!? お願い助けて!
何でもします! 私はどうなってもいいから!
だから、誰か、アルルゥを助けて~~~~~~~~!!」
「いや、エルルゥ、そんな錯乱しなくても。
待ってろ、アルルゥ! いま、お父さんが――」
父親が水に飛び込もうと上着を脱ごうとした時じゃ。
ゴポゴポゴポ――…
不思議なことに、突然、
底まで見透けそうな清い泉が不気味に波立った。
そして、次の瞬間――巨大な影が泉から現れたのじゃ!
ザパ――――――ン!
『答ヨ。汝ガ泉ニ落トシタノハ―――』
「貴様は―――!!」
突如父親は激昂すると、手にした鉄扇をそのモノの頭に叩きつけた!
右!左!顎!眉間!腋下!腹!金的!
情け容赦のない連撃に、
さしもの、そのモノも巨体を揺るがせ、よろめいた。
『い、いきなり何をするのだ我が空蝉よ!』
「やかましい! いきなりラスボスが出てくるとは、
貴様、我のくせして何を考えているのだ分身よ!」
『仕方がなかろう! 今回はそういう配役なのだから!
貴様とて父親役に甘んじておるではないか空蝉よ!』
「そ、そういう言い方は身も蓋もないと思います、ハクオロさんと黒ハクオロさん」
『ウィツアルネミテアと呼ぶがよい!』
「頼むからそれくらいで拗ねるな、私のくせに……って、そんなことよりアルルゥ!?」
その言葉に、大神ウィツアルネミテアはホッとしたように小さく頷いた。
ちっちぇえな、大神。
『娘よ。お前が落としたのは、この歳の割にけしからんほど巨乳な銀髪黒翼の妹か?
それとも、こちらの薄幸病弱で男の保護欲を刺激する盲目の妹か? ちなみに得意技は吐血』
「やっほー、おじ様~」
「ハクオロ様……」
身の丈4メートルを越す、外見は二本の角にシッポまで生やした大怪獣の大神さまは、
左右の手にそれぞれ妹を乗せておった。
「っていうか、カミュにユズハ、お前たち何をやっとるんだ?」
「あはは…そういう配役なもんで」
「すみません…」
「いやホントに身も蓋も無いなソレ」
「…って、和んでる場合ではなくてハクオロさん! アルルゥが大変なことに!」
「うわそうだった! あ、アルルゥ――――!!?」
『ム。だから、お前が落とした妹は、
この巨乳の妹かそれとも可憐な妹、どちらだ?』
びき、と額に青黒い血管を浮かび上がらせる姉の形相に、
大神ウィツアルネミテア様(黒)は怯んだように一歩下がりました。
「私の妹はアルルゥ一人です!
食い意地はっててイタズラ好きなくせに人見知りが激しくて、
でも実は図々しくて姉を姉とも思っていない生意気極まりなくて、
自分の幼さを武器に私の目の前でこれでもかこれでもかーっ!とハクオロさんにまとわりついて、
ベタベタベタベタベタベタベタベタすりすりしまくって時々本気で殺意を抱いちゃいそうになりますけど、
でも私の妹はアルルゥただ一人なんです! 私の妹を返してください!」
「エルルゥ……ここは感激していいのかどうか、お父さんわかんないよ」
「それに巨乳な妹や実はほぼ同い年の妹なんて、私の妹ではありません! 特に巨乳なんて!」
「エ、エルルゥ姉様、それちょっとヒドイ~。
うわ、ユズっち、吐血しちゃダメっ!!」
『え~~~と……』
わたついている妹とか吐血してる妹を手にしたまま、
微妙な声をあげるウィツアルネミテア様(黒)です。
と、何かに気付いたように、大神はお父さんに声をかけました。
『空蝉よ。……お前の娘はどちらなのだ?』
「えーと。そりゃもちろんアルルゥだけど……でも……」
ふと、何気なくおもいついただけのことを、お父さんは口走ったそうな。
「でもできれば気位高くてちょっと生意気なんだけど、
実はさみしがりやの甘えん坊さんなウサ耳バニーガールな娘なんかちょっといいかなって」
『ク……クーヤは渡さぬぞ、我が空蝉よ!!!』
「なんだと横暴な! ならばせめてサクヤを! ウサ耳バニーの!」
『ぬう! 流石はわが空蝉! 我らは同じ存在故に』
「同じ好み、同じものを求める……か」
『ウ…』
「う…」
「『ウサ耳万歳~~~~~~~~!!」』
「「「ハクオロさん(様・おじ様)の裏切り者~~~~~~~~~~~!!!」」」
ドカバキメチャグチャゴキュゲチョッ!!
―――かくして娘たちは一致団結し、
ダメ人間全壊っぷりな父親ズをタコ殴りにしてしもうたそうな。
この世に悪の栄えたためし無し。
めでたしめでたし。
……………ところでアルルゥは?
* * * * *
むかーしむかし、ある所に、
重度の妹魂(しすこん)の若者がおったそうな。
ところがある日、その妹が突然いなくなってしもうた。
若者は狂乱して妹を捜し求め、ついに森の奥にまで足を伸ばしたのじゃ。
(中略)
『――というわけで、お前が泉に落としたのは、
この年齢の割にけしからんほど巨乳な銀髪黒翼の妹か?
それともこちらの姉譲りの貧乳で一見無口でおとなしそうな顔して、
実は結構エゲツないハニーハンターな妹か?』
「中略ってなんだ!? っていうか俺はユズハを泉になんか落としていないし!
そ、そんなことより妹を、ユズハを返せ!
俺の妹はユズハ一人だ! かけがいのない、俺の大事な妹だ!
返せ! ユズハを! 返しやがれ!!」
『お前は正直者だな』
大神さまは満足そうに頷きました。
『そんな正直者のお前には、青い袴の美少年と赤い袴の美少年をセットで与えよう』
「「若様……」」(ぽっ)
「ドリイ……グラァ……お前らまで何をやっとるんだ一体……?」
「さあさ、若様、どうぞこちらへ」
「臥所の準備はできております」
「いや、だから何で、ってお前らちょっと人の話を聞け! 俺はユズハを……」
「僕たちだって若様のことをずっとお慕いしてきました」
「どうぞ、枕も三つ並べてありますから」
「ちょっとまてってこらお前らは、放せ!?」
「ステキです若様☆」
「ご立派です若様☆」
「うわ、いつの間に人の下帯をっ!?
こ、こらお前ら、いいから放せ!放しやがれ!!
おうわ!? な、なんてとこに手を伸ばしてくる!?
っていうかお前らなんで脱いでる!?」
「ステキです若様…」
「ブラボーです若様…」
「うわだからやめれ! まて! とまれ!?
ちょ……うわああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……!」
「うっわー……」
「お~~~」
「ア、アルちゃん……見ちゃダメだよ」
「お~?」
ズルズルと、更に森の奥に引きずり込まれていく若者を見送って、
なにやら微妙な沈黙を続けていた大神さまは、
その場を誤魔化すようにゴホン、と咳払いを一つしました。
『これにて一件コンプリート!』
なにが。
『めでたしめでたし』
あんたが言うな。
* * * * *
むかーしむかし、あるところに、
それはそれは重度の姉魂(しすこん)な若者がおったそうな。
(中略)
「……だんだんとすっ飛ばしかたが豪快になっていくな」
デリホウライという名のその若者は、頭いたそうに呟きおった。
あきらめるんじゃな。
『お前が別れ別れになった姉は、
この美形でそれなりに似合ってるけど本人のプライドズタズタな女装姉か、
それとも、そもそも企画そのものに無理がありすぎる、
筋肉隆々の雄度全開なマッチョ女装姉か、どちらじゃ?』
女装という時点で姉もヘッタクレもないのですが。
ウィツアルネミテア様も結構必死です。
「何故、私がこんなことを……」
「まーまー大将、俺っちは結構おもしろいですぜ」
元々美形な侍大将はギリヤギナ種族の剣奴の格好をしていても、それなりには様になっておった。
胸に詰め物も入れて、背の高さ以外は結構イケておる。
股間の膨らみは隠せておらんが。
でもうっすら化粧なんかして、実は結構ノリノリかもしれんベナウィさん。
「プハーッ! まあ旨い酒があれば俺はこれくらいはいいっすけどね」
少しは気にしろボケ。
服を内側から張り割かんばかりに盛り上がるプラモデルのような筋肉を、
モリモリと動かしながら、トラ耳装備のクロウはグビグビと喉を鳴らして酒を流し込んでおる。
そういうところはカルラに似ておるが、実はヤケ酒かもしれんかった。
だがしかし、やはり傍目に
股間のモッコリがイヤ過ぎでおじゃる。
「あ…」
「「「?」」」
大神さまがいつもの台詞を言う前に、若者が先にうめくような声をあげた。
若者は信じられないものを見たような驚きの表情を浮かべながら、
しかし目は潤み、ハアハアと息を荒げておる。ちょっとアブナイ人みたいに。
「あ……あ………あねうえ~~~~~~~~~~~~~!!!」
「うおなんでいっ!?」
いきなりむしゃぶりつかれて、
流石のグロマッチョ姉も慌てておるが、若者はまるで気にしておらんかった。
「ああ……この逞しい胸……ぶっとい二の腕……、
女の腰ほどもある太腿……素手で人くらい平気で殴り殺せそうなゴッツイ拳……、
美しく可憐で聡明で気品に溢れ、長い年月の間に、
更に圧倒的な強さと逞しさを凶暴さを加えてより完璧になった姉上……!」
「いやよくわかんねぇけどお前、ムチャクチャなこと言ってんじゃねぇって!」
「姉様! 僕だよ! デリだよ! もう二度と姉様を放したりしない!
これからは僕と姉様、姉弟仲良く暮らしていこう!
姉様……姉様……姉様……
姉様―――――――――――――――――――――――――!!!」
「このお馬鹿―――――!!!」
ごがずっ!!
横合いからいきなり伸びてきた鉄拳が、
すっかりダメなヒトになっておった若者を縦回転ですっ飛ばしおった。
「さっきから黙って聞いていれば、どうしてこの美しく聡明で可憐なこの私と、
こんなブッサイクな筋肉ダルマを間違えられるのこの愚弟!
バカだバカだと思っていたけどここまでバカだったなんて、姉さん情けなくて涙出てきちゃいますわ!」
「あ~。カルラ?」
「なんですの女装がお似合いな侍大将様?」
「……いや、一声あげるたびに馬乗りになって殴られてる弟御が、
いくらギリヤギナ種族でもそろそろ危ないのではないかと……」
「かまいません。いえ、いっそ姉の手で撲殺してあげるのも一興かと」
「一興なんですか…」
元はそれなりに整っていた若者の顔面は、今は見る影も無く破壊されておった。
「……というか貴方たちも私を愚弄してるのかしらその格好?」
「いえ……これは今回そういう配役なもので」
「身も蓋もねえッス大将」
フン、と忌々しげに暴力姉はいい感じでブッ壊れて、
ピクピク痙攣している弟の襟を掴んで引き摺りだしました。
「ともかくお騒がせしました。ウチの愚弟は、私が責任をもって矯正しておきますので」
そして、凄惨としかいいようの無い微笑み。
暴力姉が哀れな弟を引き摺って消えてゆくまで、
残された男たちは声一つ上げられなかったそうな。
「大将……」
「なんですかクロウ」
「あの男……ひょっとして姉魂な上に被虐趣味でも持ってんじゃないですかねぇ?」
「……長年の環境に適応した結果かもしれませんね」
「うわ。イヤすぎますわ、そりゃ」
* * * * *
昔、ある所に(中略)――
「あの、私もやるんですか?」
『それがオンカミヤムカイの巫の宿命だ』
「はあ……そうなんですか……」
ウルトリィはため息をつくと、
ウィツアルネミテア様(黒)の巨体を見上げた。
「そういうことなら……カミュ?
いつまでもこんなところで遊んでないで、さっさと帰りますよ?」
「…………」
「カミュ? そこの大神さまの尻尾の陰に隠れてるカミュ?
バレバレですから早く出てきなさい」
『……あー、娘よ。段取りとかお約束というものを無視されると困るのだが』
「大神さまは黙っててください。これは我が皇家の躾の問題です」
決して荒々しくも鋭くも無いが、
抵抗しがたい金髪巨乳様の異様な迫力は、大神さまさえ気圧されてしまうほどのものじゃった。
「カミュ、あなたまたムントの肋骨の隙間に、
抜き手を差しこみ肺を強打して逃げだすなんて、あまりいいことじゃありませんよ?」
『肺って……大丈夫なのかソレ?』
ウィツアルネミテア様(黒)の視線が、
少し脅えを含んだものに変わったようじゃ。
ともかく金髪巨乳姉様はこそこそ隠れている銀髪巨乳妹に近づこうとしたのじゃが……、
「……カミュはもういない。私が目覚めると共に消えてしまった」
『ムツミ……目覚めたのか?』
「始祖様……」
ゆっくりと、銀髪巨乳妹は立ち上がった。
その姿はまるで変わっていないのじゃが、
雰囲気と佇まいがまったく異質なものになってしまっておった。
カミュの中にいる人格……、
いや、魂の本質、前世でありオンカミヤリュー族始原の存在が、あるべき姿に戻ったのか。
それは圧倒的なまでの威厳と迫力を以って、先ほどまでの姉の脅威に対しようとして……、
こうっ!
とってもいい感じな荷電粒子が程よくムツミ(カミュ)を黒焦げにした。
ピクピク痙攣しているケシズミ一歩手前の物体の足首を掴むと、
金髪巨乳様はあっさり歩き出します。
「まあ、カミュでもムツミ様でも、基本的には同一人物ですから無問題ですわね」
「ううう……基本的に御姉様とカルラ姉様、同じだよう…」
「あら? 本当はやっぱりカミュだったのですね?
姉に嘘をついて騙そうとするなんて……、
ああ、お父様申し訳ありません、私はカミュを少し甘やかしてしまったようです……」
「ち、ちがうよう! 私が荒んでるとしたら、
それは姉様のその天然っぷりの被害をいーっつも受けてたせいだよう!
御姉様自分では全然気づいてないけどその偽善者ぶりが……」
ギロッ
「な・ん・で・す・っ・て?」
びしばしっ!
「うええ、だからそのノーブラボイン撃ちではたくのヤメテ~~~!
痛くはないけど何だかとっても屈辱的~~~~~~~~~!!」
結構な勢いで振り回される豊満な乳房にビシバシとはたかれて、
ダメージは無さそうであるがカミュは泣き声を上げておった。
……………。
……………。
……………。
『空蝉よ……我らは娘達の教育を誤ったのか?』
広義的には、この世全ての種族の親である、
ウィツアルネミテア様は、深く重く苦悩したそうな。
* * * * *
むかーしむかし、あるところに、
クンネカムン皇クーヤ陛下とその側女・サクヤがおったそうな。
「既に文章として変だろうそれは! 余をバカにしているのか!?」
「ク、クーヤ様落ち着いて~」
ウサ耳をピコピコゆらしてダダをこねるクーヤ様を、
サクヤは健気に宥めようとしました。
「しかしなサクヤ、いい加減このパターンも使い古しだろう。というか二回目で既にダメだろこれ。
あの禍日神めが、大方我らの場合はヒエンとハウエンクアの2人でも出して、
どちらが余の忠臣か~などと戯けた質問をしてくる腹づもりであろう!
誰がそのような愚問につきあってやるものか!!」
「えーと、具体的にはどうなさるのですか?」
「2人まとめてヌッ殺す!」
「え~~~~~~~~~~~~~!!?
す、すいませんクーヤ様ぁ、うちのお兄ちゃんは勘弁してあげてください~~。
決して悪気があったわけではないんです~~!
ハウエンクアさんはキモいから比較的どうでもいいですけど」
「サクヤ……お主結構ヒドいな。同感ではあるが。
しかしヒエンも余をないがしろにしている点では全く同罪!
済まぬがかける情けはないと思え」
「そ、そんなぁ~~~~~~。お、おねがいします~~!
本当のお兄ちゃんは最後は改心して
自分の身を犠牲にして道を開くような良い人なんでづ~~~~~~~!!!」
「や、やたらと具体的だぞサクヤ! 確かにそんな感じでわかりやすいが!」
ゴポゴポゴポ――――
話に熱中していつの間にか泉のほとりまで来てしまっていたことに、
主従はようやく気付いたものの、既に泉からは何かが出てくるところじゃった。
「――聖上」
「ゲ、ゲンジマル――!?」
「おじいちゃん!?」
今回はウィツアルネミテア様ではありませんでした。じゃがそうなると――
「聖上。このようなところで何をなさっておいでですか?」
「ヴッ」
厳粛そのものの声と眼光に、
本能的に逃走を図っておった2人は先制され、機を失ってしもうた。
「聖上。常日頃から申し上げておりますが、
皇たる者がそのように軽率な事をなさるものではありませぬ。
皇の乱れは國の乱れ。ひいてはそれが鼎の軽重を問われるようなことになるのです」
「わ、わかっておる! くどいぞゲンジマル」
「わかっておられるのならば自重をお願いいたします。それができぬとあれば――サクヤ!」
「は、はいいい―――!」
「君に誤りあればそれを正すのが臣の務め。
にもかかわらず聖上をお諌めするどころか禁裏を脱する幇助をするとは言語道断!」
「お、お止めようとはしたんですよ~~。
でもおじ……大老、私ごときではクーヤ様を掣肘することなど……」
「聖上の御姿を装って衛士の注意を引き付けたり、
人形を使って聖上が寝所でお休みになっているよう工作するのもか?」
「あうう…」
「ふっ。添い寝人形ハクオロくんを使った偽装は、
余自らの手によるものじゃ。なかなか良い出来であったろ?」
「……わかりました。反省などしておりませんな?」
「「うっ……!」」
「2人とも、そこに座りなされ」
「うう……おじいちゃん、お説教態勢だよ…」
「年寄りは話がクドくていかん……」
「お座りなさい!!」
「「は、はいっ!!」」
言葉遣いこそまだ丁寧だが、エヴェンクルガ族の、
生ける伝説たるゲンジマルの威は、とてもとても小娘2人が抗しきれるものではなかった。
半ば条件反射で正座してしまう娘たちじゃった。
「よろしいですか。皇は全ての民と臣下の上に立つ者。
皇がいたずらに軽挙妄動なことを為されば、それだけで下々の心は乱れまする。
故に皇は模範であり規範であり、慎重さが求められるのですぞ。そもそも……」
くどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくど
くどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくど
くどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくど
くどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくど
くどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくど
くどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくど
くどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくど
くどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくど
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くどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくど
くどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくど
くどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくど
くどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくど
くどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくど
くどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくど……
「あううううううう」(泣)
「はあああああああ」(涙)
長時間の正座で麻痺しきった足は、
苦痛を通り越して既に感覚さえ失せておった。
泉のほとりで、いつ果てるとも知れぬお説教に、ただただ滂沱するしかない2人じゃった。
「…おろ~~、おろ~~~~」
「ああっ、クーヤ様が逃避して幼児化しちゃってる!」
「サクヤ! そもそもお主が……」
「お~~~、おお~~~~~」
「はううううううう……クーヤ様ずるい……」
結局、皇ばかりか大老まで行方不明となって、
政を担う者が不在となったクンネカムンでは、ヒエンが3人を連れ帰るまで、
ハウエンクアの跳梁跋扈を許してしまい、大いに國は乱れたという。
めでたし、めでたし。
『……今回は私のせいではないぞ』
大怪獣の姿からオンカミヤカミュー族の哲学史・ディーの姿になった、
ウィツアルネミテア様(黒)は、木陰から3人を覗き見つつボツリと呟きました。
「ああっ、あの気品と誇りに溢れたなクーヤが……退行して大変なことにっ」
「……まだおったのか空蝉よ」
「あああ、親指しゃぶりなんかしたりして……、
ちょっと涎たれてるよ……ああっ、今度は着物の袖をしゃぶっちゃってるよ」
ディーの言葉を聞き流し、
ハクオロは、パッパラパーになっちゃってるクーヤと、
泣きそうな顔でクーヤを相手にしているサクヤを草葉の陰から見守っていた。
歳相応に未熟で幼いなりに、
皇たらんとし、國と民のことを常に一番に考えていたクーヤ。
自分の力不足を嘆き、
しかし決して皇であることから逃げようとはしなかったクーヤ。
小さな肩には重過ぎる荷を背負い、
しかし弱音を吐くこともできず、しかし皇としての誇りを持ちつづけたクーヤ。
我が侭なようでいて、
いつも我を殺し一人の少女ではなく皇たらんとしたクーヤ。
ほんの一時、肩の力を抜いた時に見せてくれた、甘えん坊の顔。
そのクーヤが……無残に壊れていた。
「おうー、おうー」
呂律の回らぬ、言葉にならない声をあげて行儀悪くアグラをかいているクーヤ。
「おっわおっわおっわ」
草葉の虫を捕まえてそのまま口にもっていくクーヤ。
「うーっ! ペッペッペッ!!」
当然、吐き出して下品に唾を吐き散らすクーヤ。
「何をしているのですか、聖上!」
「ああっ、おじいちゃん、そんな大声だしちゃダメ!」
「ふえ……うえええええええええええええええええええ」
ちょっと大声あげただけで、
恥も外聞もなく、洟まで垂らして泣き喚くクーヤ。
そこには、クンネカムン皇アムルリネウルカ・クーヤという、
いつも一生懸命だった少女はどこにも残っていなくて……、、
ただ、無残に破壊されてしまった残骸だけが残っていて……、
「あー、あー、あー、あー、あ~~~」
「ほらほらクーヤさま、じーっとして」
「じー」
「そうじゃなくて……はい、これでいいですよー」
「おー、おろー? はくおろー?」
「あらあら、ハクオロ様に会いたいのですか?」
「おろー、はくおろー」
…………。
「おろー。おろー。おろー。おろー?」
…………。
「おろ? おろおろおろおろ? はくおろー、はくおろー」
そこにあるのは、クーヤという少女の残骸で……、
「……でも、これはこれで萌えるんじゃないかな!?」
「空蝉よー! お前それダメだろ人として!!」
オンカミヤムカイの遺跡から持ってきたデジカメで、
クーヤのベストショットを狙いながら、ディーはハクオロに裏手ツッコミをいれました。
一見、正反対のベクトルのようでいても所詮は同一人物といったところかのー。
* * * * *
そして――
むかーしむかし、ある森の中で、
一人の武人(もののふ)が途方に暮れておった。
「くぅ……某としたことが道に迷ってしまうとは何たる不覚!」
その手には、大雑把な形で描かれた森に、
適当な矢印をつけて『このへんに泉』とだけ注釈つけられた地図があった。
「おのれあの女! またしても某をたばかったか――――――!!」
いまだにカルラが教えることを、頭から信じ込む方にも、
問題はあるかと……ていうかそんな地図、見た瞬間に気付け。
ともかく、トウカが泉に辿り着くのは、当面、無理っぽかった。
<終わり>
「待たれよ―――――――――!!
これでは、某はあまりにも中途半端ではござらんか!!」
<うっかりトウカ・完>
「だから、終わらせるな!
って、タイトル変わってるし!!?」
ぎゃふん。
<うっかりトウカ・完2>
【後書き】
久しぶりに「うたわれるもの」をプレイ。
出だしだけのつもりだったけど、
あちこち話を忘れていて、おもしろいおもしろい。
結局、それからまた数日かけて通しプレイしてしまいました。
まあ、そういうわけで。
<コメント>
誠 「なあ、母さん……ちょっと、こっち来てくれないか?」(-o-)
みこと 「ん~? な~に?」(^_^?
誠 「――てりゃ!」Σ( ̄□ ̄)
――ドボ~ン!
ぴかぴかぴか~!
エリア 「誠さん、あなたが蹴り落としたお義母様は、
桃色の髪の女性ですか? それとも、青色の髪の女性ですか?」(^0^)
誠 「……両方とも違う」(-o-)
エリア 「では、名雪さん似の女性ですか?
それとも、あかりさん似の女性ですか?」(^0^;
誠 「何で、その二人が……、
み~んな違う……頼むから、俺に普通の母親を……」(T_T)
某人妻スキーの人 「このバカチンがぁぁぁーーーーーーっ!!」Σ( ̄□ ̄メ
――ドバキッ!!
誠 「ぐはっ! な、何をするんですか、くの――」(@△@)
某人妻スキーの人 「黙れ! シャラップ!
彼女達を前にして、なんたる暴言!!
見ているが良い! 今、ここで、手本を見せてやろう!」( ̄□ ̄メ
誠 「ら、らじゃ~……」
某人妻スキーの人 「ひかりさんも秋子さんも、俺のモンじゃぁぁぁーーーーっ!!」( ̄□ ̄)/
誠 「な、なんて漢らしい……」(^_^;
エリア 「でも、ウソつきさんにはお仕置きです」(-o-)