雫 SS
お弁当勝負!!!
「……どうしてこんな事になったんだろう?」
僕、長瀬祐介は屋上で呟いた。
「はあーー」
僕がこんなため息をついている話の始まりは、
昨日にまでさかのぼる……、
――昨日の昼休み――
「あれ?」
そういって僕は鞄の中を探しはじめる。
「どうしたの、祐くん?」
僕の席に来ていた沙織ちゃんが尋ねてくる。
「……お弁当、忘れた?」
やはり、僕の席に来ている瑠璃子さんがそう言ってきたので、
「うん、そうみたい」
と、僕は答えた。
僕は基本的に自分でお弁当を作る。
昨日もお弁当を作っておいて、冷蔵庫に入れておいたのだが、
どうやら忘れてきたみたいだ。
「しょうがない、ちょっと購買に行ってパンを買ってくるよ」
「えー、それじゃ遅くなるよー」
そういって駄々をこねる沙織ちゃん。
最も、どの学校も昼休みの購買は混んでいて、それはこの学校も例外ではない。
だから沙織ちゃんが駄々をこねるのもわかるのだが……、
「でも、他に方法がないと思うよ」
この学校には学食無いし、すると……、
「「私のお弁当、少しあげようか?」」
二人とも、そう言ってくれた。
「いいの?」
「もちろん」
「うん……いいよ」
う、うれしいなあ。
「それじゃあ、少しずつもらうね」
そう言って、僕たちは屋上に向かった。
そして、僕は二人から少しずつ貰い、
満腹ではないにせよ、学校が終わるくらいまででは大丈夫だろうくらいにはなった。
「ありがとう、沙織ちゃん、瑠璃子さん」
そういって、二人に感謝してると、
「ねえねえ、祐くん。どっちが美味しかった?」
……と、沙織ちゃんが聞いてきた。
「…………」
うっ、瑠璃子さんも視線で訴えてきてる。
しかしこれは……、
「あれだけではわからないよ」
と、答えるしかなかった。
今、思えば、この時ちゃんと答えておけばよかったのかもしれない。
「それは、ちゃんとした量を作ってこればわかるってことだね」
「――うっ」
「ねえ、るりるり」
「なに?」
「明日さ、祐くんにどっちのお弁当が美味しいか審査してもらわない?」
「……お弁当勝負?」
「そうそう、そういうこと」
「勝ったらどうなるの?」
「うーーん、祐くんとのデート権でどう?」
「……いいよ」
「やったーー! 祐くんも私たちのお弁当食べたいよね?」
「う、うん」
「じゃあ、決定だね」
キーーーン コーーーーン カーーーーーン コーーーーン
「あっ、チャイム鳴っちゃった。じゃ、そういうことで。
祐くん、明日お弁当持ってきちゃだめだよ」
そういって走り去る沙織ちゃん
なんか、やる気満々だなあ
「長瀬ちゃん」
「な、なに?」
「私、負けないよ」
こっちもやる気満々だ(汗)
-----回想終了------
ううう、これってかなりやばい状態だなあ。
と、そんな事思ってるうちに……、
バンッ!
……来た。(汗)
「おまたせーー、祐くん」
「もって来たよ、長瀬ちゃん」
それぞれ二人分のお弁当を持っている沙織ちゃんと瑠璃子さん。
……二人とも目が本気だ。
「ね……」
僕が今更ながら止めようとすると……、
ちりちりちりちり……
(今更やめはなしだよ)
と、電波で先手を打たれた。(泣)
ちりちりちりちり……
(……はい)
そんな事やってるうちに二人ともお弁当を出していた。
「じゃあ、るりるり、せーので開けるよ!!」
「うん」
「じゃあ――
「「せーの!!!」」
二人が同時にお弁当を開ける。
おお、沙織ちゃんのお弁当は、まさにお弁当だ。
ご飯に卵焼きにから揚げにほうれん草の胡麻和えだ。
ご飯にハートマークをつけるところが何ともかわいらしい。
それに対して瑠璃子さんのお弁当はサンドイッチだ。
野菜サンドや玉子サンドなど、色々種類がある上きちんと形が整えられているのが瑠璃子さんらしい。
……と、ボ〜ッと見ていると
「さっ、ボ〜ッと見てないで食べて食べて」
と、急かされた。
「二人ともありがとう、いただきます」
まずは瑠璃子さんの野菜サンドイッチから……、
――パク
「どう?」
「……美味しい」
「本当?」
「うん」
瑠璃子さんってサンドイッチが結構上手なんだなあ……、
でも……、
「ねえねえ、私のも食べて」
「うん」
では、卵焼きを……、
――パク
「うん、美味しい」
「ホント?」
「ホント、ホント」
「やったーっ! ありがとう、祐くん♪」
沙織ちゃんの卵焼きも上々なんだが……、
……そんなこんなの内に、お弁当を全部食べ終わってしまった。
「ふー、ご馳走様」
「……で? 祐くん、どっちが美味しかった?」
「その前に、まず二人とも僕のためにお弁当を作ってくれて本当にありがとう」
「そんなに改めて言われるとなんか照れるね(ポッ)」
「……(ポッ)」
「それでお弁当の事なんだけど……沙織ちゃん」
「――何?」
「卵焼きにはもう少し甘味があったほうがいいと思うよ」
「へー」
「それから、瑠璃子さん」
「うん」
「サンドイッチにマスタードを塗ると美味しくなるよ」
「うん、次からそうするよ」
「それから……」
……。
…………。
………………。
キーーーン コーーーーン カーーーーーン コーーーーン
「あっチャイム鳴っちゃったね」
「祐くん、料理の事詳しいんだね」
「そんな事ないよ、沙織ちゃんも瑠璃子さんも上手だったし。
そうだ、今度みんなで一緒に料理しない」
「あっ、おもしろそーっ! やるやる♪ るりるりもいいよね?」
「…………(コクッ)」
「じゃあ、決まりだね。それじゃ、そろそろ教室に行こうか」
こうして……、
三人仲良く屋上を後にした。
<了>
<後書き>
はじめまして、メディオンという者です。
これが私の初のSSなんですが……どうでしょうか?
しかも初投稿なんでちと緊張したり……、
学校の設定とか勝手に決めちゃったし……、
STEVENさん、こんな作品でよければ掲載してください。(ぺこっ)
<コメント>
誠 「――あれ?」(−−?
沙織 「誠君……な、何かな?」(^_^;;
誠 「沙織さんって……料理できましたっけ?」(−−?
沙織 「そ、そそそ、そんなの当たり前でしょっ!?
あたしだって、これでも、一応、女の子なんだからっ!」(^▽^;;
瑠璃子 「クスクスクス……沙織ちゃん、嘘ついちゃダメだよ」( ̄ー ̄)
沙織 「あうう……いいもん! ご飯は祐クンが作ってくれるんだからっ!」(;_;)
誠 「じゃあ、掃除は?」(−o−)
沙織 「うぐっ!」Σ( ̄□ ̄)
誠 「……洗濯は?」(−o−)
沙織 「はうあっ!」Σ( ̄□ ̄)
誠 「はあ〜……祐介さん、このまま主夫街道まっしぐらか……」( ̄▽ ̄)
沙織 「じゃあじゃあ、あたしが一家の大黒柱になるんだね♪
で、仕事から帰ってきたあたしを、祐クンが――」(*^○^*)
祐介 『おかえり、沙織ちゃん♪ ご飯にする? お風呂にする? それとも、僕かな?』(*^_^*)
沙織 「――な〜んちゃって、きゃ〜きゃ〜きゃ〜♪」(* ̄▽ ̄*)
瑠璃子 「……沙織ちゃんから、凄い電波が出てるよ」(−o−)
誠 「それは、電波能力が俺にも分かります……」(^_^;