小さな花に込められた小さな言葉に一喜一憂する……、
それが、乙女と言うものです。
HTH2ND
花言葉
花には、それぞれ意味を込めた花言葉が有る……、
たとえば、フリージアなら「純潔」「あどけなさ」「無邪気」……、
たとえば、マーガレットなら「心に秘めた愛」「誠実」……、
たとえば、ナデシコなら「純愛」「才能」「無邪気」……、
「それで、エリカは「博愛」とか「良い言葉」「幸福な愛」ってのが有るの」
「へ〜」
花言葉がどうこうと言うより、「エリカ」という花が有ることに、あたしは小さく驚く。
「自分と同じ名前があるなんて……すこし照れちゃいますね……」
さすがにちょっと頬を染めているのは、あたしの母親違いの姉妹、藤井 えりか。
「そう言えば……さくらお母さんも花の名前だよね」
そして、今、あたしとえりかの間にいるのが、
あたし達のお兄ちゃん(といっても、年齢は同じなんだけどね)のまーくんこと、藤井 正人。
「そうね〜……えっと……桜は……」
あ、今、花言葉の本を必死にめくってるのは、
お父さんの親友、藤田浩之おじさんとあかりおばさんの娘、藤田 ひかる。
ちなみにその横で壁に顔面埋もれさせてるのが、究極のレズ娘、佐藤 みやび。
「桜は……「すぐれた美人」「純潔」「心の美」だって」
「なんか、さくらお母さんそのものを表しているような花言葉ですね」
「そうね……あれで妄想癖が無ければ……」
最近、さくらお母さんの妄想……琴音さんとタイ張ってるもんなぁ……、
「あ、ちなみにあかねお母さんは?」
まーくんが身を乗り出してひかるちゃんに聞く。
「あかねさん? 花の茜ね? キスしてくれたらおしえたげる♪」
「「ひ〜か〜る〜(さ〜ん)?」」(怒)
「……なによぉ、良いじゃないキスくらい」
「「絶対ダメ!!」」
まったく、油断も隙も無いんだから。(怒)
ぶつぶつ良いながらページをめくっていたひかるちゃんの手がぴたりと止まる。
「………?」
「どうしたんですか?」
2、3回首を振ってから、ひかるちゃんはそのページをあたし達だけに見せる。
茜の花言葉は……「誹謗」「中傷」。
「……見なかったことにしようね」
「うん」
「ええ……そうしましょう」
そう言って、ひかるちゃんは本を仕舞う。
都合良く授業開始のチャイムが鳴って、このことはうやむやになっていった。
帰り道……、
ぼんやりと流れる雲を見ながら、あたしは考える。
もし……ずっとまーくんと居られたら……、
死があたし達を分かつまで、まーくんの側に居られたら……、
そして、ふと思い出す。
あたしとまーくんは「兄妹」であることを。
勿論、兄妹としての「愛」も有るかも知れない……、
けど、あたしは……、
ぽつっ……
鼻先に、冷たい物が当たった。
それは、地面に沢山の染みを作り出す。
……直ぐに、あたりは雨に覆われた。
雨の中で……あたしは一人立っていた。
雨宿りしようと思えば、いくらでも出来る場所はあるのに……、
なんで、あたしは動けないんだろう……、
頭では判っているのに……、
なんでだろう……、
「痛いよ……まーくん……」
心が……痛い……、
「――さやか?」
え……?
気が付くと……いつの間にか、まーくんが不安そうな顔で側に立っている。
「どうしたの? さやか……」
「まーくん……」
まーくんの暖かい手が、あたしの手を握る……、
「ふえっ……まーくん……」
「さっ………さやかっ!?」
不安な時には、いつもまーくんが居てくれる……、
それが嬉しくて……あたしは……、
ただ、ずっと、泣いていた。
「少しは、落ち着いた?」
……どれくらい泣いていただろう?
あたしは……今まーくんと一緒に近くにあったコンビニの軒先で雨宿りしている。
「うん、大丈夫……」
あたしの答えを聞いて、まーくんは少しほっとしたような顔をする。
うぅっ……この笑顔があたしを引き寄せるのよぉ……、
「さやか……」
まーくんが、真剣な表情であたしを見てる……、
「……なに?」
あたしの言葉を待っていたかのように、まーくんは一輪の花を差し出す。
「これ……さやかに……」
そう言ってまーくんが差し出してくれたのは……アイリスの花……、
あ……これって……、
「まーくん、この花の花言葉……知ってる?」
「ううん、知らない」
「この花の……アイリスの花言葉はね……」
――あなたを、大切にします。
そりゃ、家族なんだからそう言う意味での大切かも知れないけど……、
まーくん、今は……、
今だけは、誤解してても……いいよね?
<終>
後書き
何気に語るべき言葉を持たなかったり。(汗)
80万HIT記念に送るはずだったのに……酷い遅れかたです。(汗)
学園の図書室90万HITおめでとうございます♪
<コメント>
みやび 「ひかるちゃ〜ん♪ 激らぶ〜っ!!」(* ̄□ ̄*)
ひかる 「きゃ〜っ!! 来ないで〜っ!」(@○@)
さやか 「――せいっ!」(−−メ
――ごきょっ!
みやび 「ばたんきゅ〜……」(@〜@)
ひかる 「あう〜……ありがと、さやかちゃん」(;_;)
さやか 「まったく……この『日吉 かおり弐号機』は……」(−−;
えりか 「親が親なら、子も子ですね」(^_^;
ひかる 「うううう……わたしの全ては正人ちゃんのものなのに〜……」(;_;)
さやか 「それについては、二時間くらいジックリ話し合いたいところだけど……、
まあ、それはともかく……この子、どうする?」(−−?
えりか 「取り敢えず、鳥葬にでもしておきましょうか?」(^▽^)
みやび 「食べられるなら、ひかるちゃんが良いの〜……」(* ̄▽ ̄*)
さやか 「まだ、言うか……」(−−メ