浩平が起きてくれません
 折角起こしに来たのに……、

 ……。

 でも、浩平って寝てると可愛いです。(*・・*)
 ……ちょっと、悪戯しちゃいましょう。(*^ー^*)






 ONE SS

 策士ちゃん







 その日、折原浩平は体を揺すられる感触に目を覚ました。

「うぅ〜…後2年…」
「いくらなんでもそんなに眠れません」

 お約束のボケに素の感想を返してくれる声がした。

「……おはよう、茜」
「おはよう、浩平」

 寝巻き姿でぼーっとする浩平の前には、
彼のクラスメイトの里村茜が寝巻き姿でちょこんと座っていた。

「……なんだ? いやに眠そうだな?」
「昨夜、浩平が寝かせてくれなかったからです」

 ちょっと頬を赤らめる茜の言葉に、浩平は「うぐっ」と言葉に詰まる。

「(昨日って……茜としてたっけ?)いやまあ、これが若さか…ってことで」(←寝ぼけてる)
「若さでも限度があります」
「……」(汗)

 さすがにこれ以上ベッドの上で禅問答をするつもりも無い。

 着替えて登校の準備をしたいが、自分の近くに上、
前のはだけたパジャマ、下、下着1枚の女の子が居る状況では、おちおち着替えも出来やしない。

「あー……茜、そろそろ着替えたいんで部屋から……」
「……立てません」
「――え?」

 茜が呟いた言葉に、浩平は一瞬ぽかんとする。

「……立てません」

 顔が真っ赤になったまま、もう一度その言葉を繰り返す茜。

「もしかして、腰に来たとか?」
「……」(///..///)

 赤くなっていた顔を更に赤くしてうつむく茜。

「あのー、茜?」

 流石にこちらも赤面して確認を取ろうとする浩平。

「あのさぁ……俺、昨日一体どんな……」
「……嫌です」

 確認は失敗に終わった。

「浩平、引っ張ってください」
「へ? ああ……」

 茜の言葉に、彼女の手を取って立たせようとする浩平。

 普段なら大した事無く出来るのだが……、
どうやら浩平の方もそうとう来ているらしく、なかなか力が入らない。

「くっ……」
「浩平……」

 茜もベッドに手をついて、なんとか体を持ち上げようとするが、どうにも上手く行かない。

「っ……このぉ……」
「浩平……痛いです……」

 腕を引っ張られすぎて、すこし涙目になった茜が言う。

「ああ……ゴメン……」
「……いいです」

 さて、こうなると2人とも頭を抱えてしまう。
 幸い、まだ時間はあるが……、

「……いっその事今日は学校サボって一緒に寝てるか?」
「……」

 茜から発せられる無言の圧力に負けて、浩平は乾いた笑いを立てる。

「……もうちょっと、頑張ってみよう」
「はい」

 再び茜の手を取った浩平は、こんどは少し勢いをつけて引っ張る。

「せーの!!」
「っ!!」

 今度は上手く行ったが……、
 勢いに負けて立ちあがった茜は、そのままの勢いで浩平を押し倒した。

「あ……茜ぇ……ちゃんと立ってくれぇ……」
「すいません……」

 四つん這いのまま、身体を起こそうと腰に力を入れて……、

「浩平、立てません」
「うう……」

 茜の言葉に、流石に涙を浮かべる浩平。
 今度は体勢が体勢だけに、ある意味でさっきよりもやばい。

 事実、浩平の視線は先程から見えたり見えなかったりする茜の胸に行ったりしている。
 それも、殆ど無自覚にだ。

「……浩平、さっきの話、構いません」

 突然、茜がぽつりと言い出す。

「さっきのって……一緒に寝てるって……アレ?」

 と言うか、他に思い浮かばなかった。

 浩平の言葉に、茜が真っ赤になりながら頷く。
 実は彼女、学校に行くのをもう諦めたのかもしれない。

「……でも、お願いがあります」
「――?」
「……ベッドの下に落ちてるパジャマの下……取ってください」

 以外にさらりと言う茜。

 浩平は、ベッドの端から手を伸ばしてパジャマのズボンを掴む。
 腕を上げると、薄いピンク色の可愛いパジャマが目に入ってきた。

「ほら、茜」
「ありがとう……」

 そう言ってズボンを手に取るが、4つん這いのままではまともに履く事はできない。

「浩平……」
「な……なにかなー?」

 流石に予感がしたのか、額に汗を浮かべて答える浩平に、茜はその言葉を告げた。

「……履かせてください」(///..///)
「……」(///)
「……どうにか、ゆっくりなら動けます」

 そう言って、本当にゆっくり腰を下ろしていく茜。
 どうにか、ズボンが履けそうなくらいまで腰を下げる。

「……」

 浩平が、それを確認した後で茜にズボンを履かせにかかる。
 浩平の目の前に、茜のすらりとした太腿が、白い下着がある。

(うう……抑制力が……)

 目を閉じて、ズボンをきちんと履かせる。
 それだけの事で、浩平の気力は殆ど尽きた。

「あの……浩平……」

 前の方から茜の声が聞こえる。

「どうしたぁ? 茜ぇ?」
「あの……あたってます……」
「え"?」(滝汗)

 そこではっと気付く。
 自分の気力は既に尽き果ててダウンしているのに、ナニだけが妙に元気になっている事に。

「あ、えーと……まあ朝だし……」

 しかし、その弁明も茜の上に覆い被さるような体制で言ったのでは説得力皆無だ。
 焦る浩平の声を、笑いをこらえるような顔で聞いていた茜は……、

「……いいですよ?」
「――え?」

 茜の言葉に、浩平の動きが止まる。

「……我慢は、身体に良くないですから」

 そう言いながら、茜がゆっくりと、本当にゆっくりと仰向けになる。
 浩平とは、丁度向かい合う体勢だ。

「浩平……」
「茜……」

 どちらからとも無く、キスをする。
 初めに触れるだけの……次に互いを求めるようなキス。

 はだけていたパジャマの上を脱がし、先程苦労して履かせたばかりのズボンも脱がす。

 浩平の腕の中で、茜はたちまちショーツ1枚だけの無防備な格好にさせられる。

「浩平……」
「茜……」

 浩平の手が、茜の胸に伸びる……、

「んっ……」
「茜、好きだよ……」
「浩平……私もです。」

 浩平は、茜の胸に触れたまま再び茜にキスする。
 茜は、先程よりも強く、浩平の唇を求める。

「はぁ……」

 唇が離れたとき、茜がぼんやりとした表情で浩平を見る。
 すでに、彼女の瞳には浩平しか映っていない。

「茜……良いか?」
「はい」

 浩平の手が、ショーツに触れる……、
 ショーツがゆっくりと降りていく感触が、茜に伝わる。

「浩平……」
「茜……」

 互いの名を呼ぶのは何度目か?
 浩平が、茜のそこに触れようとしたとき……、

「折原ー!! 何やってんの!! 学校ちこく…す……る……」
『浩平さん! 茜さん! ご飯が冷めちゃうの!』
「浩平! まだ起きてない……の…?」
「茜ちゃん、起こすの急いだ方が良いよ?」

 七瀬が、澪が、瑞香が、ドアを開いて氷つき、みさき先輩だけが頭の上に疑問符を浮かべる。
 勿論、ベッドの中の茜と浩平もフリーズする。

「あ"」
「い"」
「う"」
『え"?』
「?」

 ドアを開けた少女達と浩平が、訳のわからぬ言葉を発する。
 茜は、真っ赤になったまま、布団の中に潜り込んでいた。

 誰かが息を吸う音が聞こえる。


「「『朝っぱらから何やってるの
浩平(折原、浩平さん)!!!』」」



 少女達の怒声が、ご近所いっぱいに響き渡った。

「……浩平君、茜ちゃん、服、着たほうが良いと思うよ? なんとなくね」





<終劇>




 ――その日の午後談


「なあ、茜」
「はい?」
「実は狙ってなかったか? 今朝……」
「……秘密です(ぽっ☆)」


後書き

 ……はい、白状します。
 この話しギリギリまで……っつーかちょっと以上に突っ切りました。

 ほっとんどR指定です。
 洒落にならないです。

 でもオチは基本に忠実です。
 まだまだ争奪戦の真っ最中、こんな風に策を労する少女が居ても悪くは無いんじゃあ無いでしょうか?

 因みに、茜の前半部分の行動は演義です。
 相手の寝ボケを上手く利用……したのかなぁ?


<コメント>

誠 「ふぁ〜あ……」\( ̄○ ̄)/
みこと 「おはよう、まこりん♪」(*^_^*)
誠 「ああ、おはよう、母さん……って、何で母さんが俺と一緒に寝てるんだっ!?
   しかも、何でそんな恰好なんだっ!?」(@□@)
みこと 「まこりん……昨夜は、凄かったよ♪」(*・_・*)
誠 「何がだぁぁぁぁぁーーーーーっ!! って、はうあっ!?」(@○@)

 ゴゴゴゴゴゴゴゴ……

さくら 「まーくん……」(^〜^メ
あかね 「どういう事か……」(^〜^メ
エリア 「納得のいく説明を……」(^〜^メ
フラン 「……してくださいね」(^〜^メ

誠 「誤解だぁぁぁーーーーっ!! 俺は何も知らないんだぁぁぁぁーーーっ!」(T□T)

みこと 「ホント、昨夜のまこりんは凄かったよ……食欲が」(^○^)

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