Kanon SS
おもいで
プロローグ 「いつもの日常」
カーテンの隙間から入る光がまぶしい。
まだ、眠気が完全に覚めてないので、布団の中に潜り込んだ。
布団の中で、だんだんはっきりしていく意識の中で、さっき見ていた夢を思い出す。
(珍しいな……ここのところ、夢なんて見ても忘れてしまうのに)
懐かしい夢だった。
まだ子供の頃、この町に最後に来たときのことだった。
そうあれは……、
「ボクの夢でも見てた?」
「…………」
耳元で、聞き慣れた声が。
「……俺も、もう高校3年生になる」
「うん、そうだね」
「……だからそう簡単に怒りはしない」
「さすがだね、祐一君!」
「そう思うなら出ていけ、俺の眠りを妨げるな」
布団から手だけ出して、追い払う真似をしてみる。
「うぐぅ、せっかく起こしに来てあげたのに、それはないと思うよ。
それにそろそろ起きないと学校に遅れちゃうよ?」
(――ん? 学校? 何言ってるんだこいつは。
今日はたしか4月7日……4月7日?)
「今日から学校じゃないか!!」
「うわっ! びっくりさせないでよ、祐一君!」
布団をはね除け起きあがる。
近くにある目覚ましを見ると少し時間に余裕がある、が、ゆっくり出来る時間ではない。
普段ならもう少し早く起きるはずなのに……、
(まてよ……昨日たしか目覚ましセットしたはず……)
「あ、目覚ましならボクが止めたよ、うるさかったからね」
「お・前・の・仕・業・かー!」
ポカっといい音がして拳が頭の上に落ちる。
「痛っ! うぐぅ……痛いよ祐一君……」
「なんで目覚まし止めて、すぐ起こさなかったんだよ!
というか、何のための目覚ましだ!」
「だって、祐一君起こしたらまずいかなーって思ったんだもん……」
涙目でこちらを見る少女。
その仕草に、少し心が揺らぐ。
(ったく、本当にこいつは、進歩という言葉を知らないのか?)
「とりあえず、俺は着替えるから、下で待ってろ」
多少、呆れ気味に――まだ叩かれた場所をさすっている――少女に言った
「うん、わかったよ……」
終始、頭を押さえてた少女は、渋々部屋から出て行った。
カーテンと窓を開け、外の様子を見る。
今日も快晴だ。
着ている服を脱ぎ捨て、近くにある制服を素早く着込む。
準備完了。
部屋の外に出てみると、まだ頭を押さえている少女がいる。
「下で待ってろって言わなかったか?」
呆れた口調で少女に問いかける。
「うん、言ったけど……」
少し言いづらそうに顔を下に向けた。
「でも、ボクが待っていたかったからいいんだ♪」
パっと前を向き、少し頬を赤く染めながら笑顔で少女は答えた。
思わず見とれてしまいそうになる、眩しい笑顔。
「はぁ……」
俺は、わざと大きなため息をついた。
「まったく、朝から何言ってるんだよ、お前は」
自分が照れているのがわかる。
しかし、そんなことを相手に知られてはもっと恥ずかしい。
こんなことを言ってるが、顔が笑っているので、格好がつかない。
「飯食いにいくぞ、このままだと学校に遅刻するから」
少女に顔を向ける。
「……いくぞ、あゆ」
「――うん!」
少女――あゆは大きな返事をした。
<つづく>
<コメント>
誠 「この幸せモンが……」(−o−)
祐一 「のっけから、何を言い出す、お前は……?」(−−;
誠 「恋人に起こしてもらえるなんて……、
幸せ者以外に、どんな表現があるんです?」( ̄ー ̄)
祐一 「こ、恋人って……、
俺と、あゆは……そんなんじゃ……」Σ(* ̄□ ̄*)
名雪 「――そうだぉ〜!
祐一は、あゆちゃんとは何の関係も無いんだよ!」(−−メ
秋子 「……祐一さんは、わたしのです」(*^_^*)
名雪 「そうそう! 祐一は、お母さんの――えっ!?」Σ( ̄□ ̄)
誠 「あ、秋子さん……?」(^_^;
祐一 「……冗談ですよね?」(^_^;;
秋子 「了承♪」(*^o^*)
祐一 「――何がっ!?」Σ( ̄□ ̄)