「それは……」
「それは?」
エンジェリックセレナーデSS
戦乙女
〜忘らるる福音の葬送曲〜 中編
身をずずいとサーリアに寄せるカウジー。
さあ、何なんだと思って期待したサーリアの答えは……、
「ないしょです♪」
ドンガラガッシャーーーン!!!!!!
あたりを転げ回るカウジー。
「何なんだ、その答えは……」
今の回答で、これはもうサーリアには勝てない、と認識したカウジー。
「わかったよ。そこまで隠そうとするなら俺は何も言わないし聞かない。
その代わりさっき習得しようとしていた魔法の名前を教えてくれないか?」
サーリアは少し考えた後で言った。
「クロス・エアレイドって魔法とシャドウサーバントって魔法です〜」
「――ん? クロス・エアレイドとシャドウサーバント?
どこかで聞いたような聞いてないような……」
どこかで聞いたような名前だが、思い出せない。
「ふ〜ん……その魔法ってどのくらい強いの?」
カウジーは興味津々と言った表情でサーリアを見ている。
「カ、カウジーさん、そんなに見つめられちゃ、サーリア困っちゃうです〜」
「答えてくれるまで見つめ続けちゃうぞ〜」
最初は威圧感を出してサーリアをにらんでいたのに、今はもうデレデレモード。
そこら中に、ハートマークが飛んでいそうな雰囲気です。
「わ、わかりました。カウジーさんがそこまで言うのなら……、
クロス・エアレイドとシャドウサーバントは私のジオスソードの最低10倍は威力があります〜」
「そうなんだ〜……ってなにぃ! 10倍だと!!
そんな威力の高いものを何に使うつもりなんだ、サーリア!」
「それは企業秘密ですよ〜」
「ちっ、誘導尋問には引っかからなかったか」
「でも、カウジーさん……この二つの魔法には特典がついていてですね〜」
「どういう?」
「この二つの魔法は、一定の条件を満たすと、更に強力な魔法が使えるようになるんですよ〜」
目をキラキラさせて嬉しそうに説明するサーリア。
逆に、かなりの精神力を使ったカウジーは、もう話を切り上げようとしていた。
「サ、サーリア……もういいや。とにかく暖房薬と結界薬をくれないか」
「はいですぅ〜、結界の魔法薬と暖房薬ですね?」
「ああ、ありがとう、サーリア」
お金を払って店を出るカウジー。
「また、すぐに来てくださいです〜」
「すぐには来ないだろうけど、来ることになるだろう」
見送ってくれたサーリアに、そういって立ち去った。
「もう日が暮れてしまったな。
明日になったらラスティとアルテさんに会いに行こう」
帰路を歩くカウジーは、またフィアに逢った。
「よう……身体の方は大丈夫か?」
「だ〜いじょうぶよ! あたしに任せなさい!」
何を任せるのかは不明だが、元気そうでよかった。
「でも、絶対無理なんかするなよ。また倒れられたら俺は……」
「わ、わかってるわよ。もう心配性なんだから……でも、ありがと」
「それじゃあ、フィア、また明日な」
「あ、ちょっと待ってカウジー! 心配してくれたお・れ・い♪」
――ちゅっ☆
「そ、それじゃあね〜」
フィアは少々照れて自分の家へ帰った。
「……ありがたいお礼だったな。
さて、帰ったら作曲して寝ますか!」
自分の野宿しているところに戻って、ご飯と作曲活動を終わらせるカウジー。
でも、一つだけ気になることがある。
フィアとサーリアが必死に何かを隠そうとしていることだ。
「明日になったら、ラスティとアルテさんに聞いてみるか……とにかく寝よ寝よ」
ヒュィィィィィン……
「まったくもう! 何で、あなたはそんなに鈍感なのよ!」
「いきなり出てきて、なんだよ、サフィー?」
天使の羽の中に眠るサフィーが、夢の回廊にカウジーをつれてきた。
「あなたがはっきりしないせいで、みんなは……」
「えっ、みんなが何だって?」
「な、なんでもないわよ!」
あきれた様子でカウジーを見るサフィー。
「まあ、そこがあなたのいいところだけど……うふふふふ」
それから昔の話などになった。
「あはははは……」
「あはは〜」
「そろそろ朝だから、私は退散するけど、みんなの気持ち考えてあげなさいよ!」
「ああ、一応、善処するよ」
ヒュィィィィィィン……
「ふあぁああぁ……朝か」
カウジーは夢の回廊から現実の世界に戻ってきた。
「さて……サフィーに言われたことと、昨日、言ったことを実行するか」
朝ご飯を済ませ、フォンティーユに続く階段を登るカウジー。
「ふう、やっと登りきったか。いつも登ってるけど、結構きついものがあるな」
階段を登りきったカウジーは考えた。
「今日は、ラスティとアルテさんに話を聞こうと思ってたんだっけ……、
さて……いくか!」
気合を入れてラスティとアルテに会いに行くカウジー。
街通りを歩いているとアルテに出会った。
「アルテさーん、ちょっと待ってください」
「あっ、カウジーさんおはようございます」
「これから、何処かへいくんですか?」
「いえ、ちょっとフィアさんのところへ行こうと思って」
昨日から疑問に思っていたことを、アルテに聞こうと思った。
「アルテさん、ちょっと聞きたいことがあるんですけど」
「私に答えられることだったら何でも答えますよ」
「昨日から、フィアとサーリアの雰囲気がおかしいんですよ。何か知りませんか?」
「ななななにも、ししししりませんよ〜」
アルテは明らかに動揺してカウジーに答える。
「アルテさん……どもって答えられても、説得力ないですよ」
「――はうっ!」
「みんな、何を隠しているんですか?」
「それは……まだ答えられません」
「――なぜ!?」
「それは、私とフィアちゃんとサーリアちゃんと、そして、ラスティちゃんとの約束なんです」
「はい、わかりました。この隠し事は四人共通なんですね?
そして、まだということはいずれ教えてもらえると思っていいんですね?」
「はい……詳しいことは言えませんが、ひとつだけ言えることがあります。
それはカウジーさん、あなたがこの隠し事のメインといってもいいですね」
「えっ、それはどういうことですか……あっ、ちょっと待って、アルテさん!」
「時間がちょっと迫ってきたので、急がなくては……、
フィアちゃんにも戦い方というのを……今のは忘れてください。それではまた会いましょうね♪」
ちゅ〜っ♪♪♪
ちゅぽん……
カウジーに熱いキスをして立ち去ったアルテ。
「うううぅっ! 可愛すぎるぜ、アルテさ〜ん!!」
はっ! いかんいかん……当初の目的を忘れるとこだったぜ」
カウジーは踵を返して、ラスティのいる場所に向かった。
ラスティは噴水の前で歩いていた。
「お〜い、ラスティ〜ちょっとまって!」
「あっ、カウジーさんこんにちは」
ラスティはこちらに振り向いた。
「ちょっと、訊きたいことがあるんだけど」
「何ですか?」
多分、断られるだろうと思いながら、一応、言ってみるカウジー。
「フィアとサーリアとアルテさんが隠していることってなに?」
「私は何も知りませんよ?」
ラスティは顔色を変えずに答える。
「隠しても無駄だよ。アルテさんが教えてくれたんだから」
「私に言う権利はありません。
どうしても知りたいのなら今週の末看板を見てみてください」
考えた後カウジーは言った。
「わかった、今週最後の日、看板を見ればいいんだね?」
「はい、それですべての謎が解けると思います」
「後もうひとつ……、
この隠し事には俺が大きくかかわっているって聞いたけどそれは本当かい?」
「はい、それはもう! あなたがいなければ始まりませんから」
「わかった。今週の末が楽しみだよ」
「それじゃあ、さようならカウジーさん。
私はこれから訓練をしてあなたを手に入れて、永遠の世界に……」
「よし、じゃあ今週の末を楽しみにしてみますか!」
そして、やってきた週末――
カウジーが見た看板の内容とは――
「な、なにぃ! こ、これは!?」
やっと四人の謎が解けてきた!
四人の謎とは何なのか?
そして、看板には何が書いてあったのか?
それは最終編『戦乙女 〜忘らるる福音の葬送曲〜 後編』に続く!
<続く♪>
あとがき
やっと四人全員出せました。
最終編は戦闘シーンを多めに出したいと思っています。
あるゲーム、からたくさん引用する予定なので、知ってる人はすぐわかると思います。
題名を見れば、大体、予想はつくと思いますが……、
<コメント>
サフィー 「冷静に考えて、誰が勝ち残ると思う?」(^_^?
ルーシア 「そうだな……ここは、やはり、我が寄り代を応援したいところだが……、
単純な戦闘行為なら、あの魔法使いの娘に分が有るな」(−o−)
サフィー 「そうかしら? ラスティだって、アルテさんだって、
一応、あたし達、天使の力が使えるわけだし……」(・_・?
ルーシア 「だが、あの二人は、基本的に人を傷付ける事に慣れていない。
その点、残りの二人は、場慣れしている分、有利だ」(−o−)
サフィー 「フィアは、酒場で酔っ払いを蹴り飛ばしてるし……、
サーリアは、自衛手段で、いきなりジオスソードぶっ放つし……」(^_^;
ルーシア 「まあ、それらを考慮した上で、勝ち残るのは……」(−o−)
サフィー 「勝ち残るのは?」(^_^?
ルーシア 「――秘密だ」(−o−)
サフィー 「あらら……」(@〜@)
ルーシア 「ふっふっふっ、もしかしたら、思わぬ伏兵がいるかもしれないぞ?」ヽ(
´ー`)ノ
サフィー 「あなた、また何か企んでる?」(¬¬)
ルーシア 「さてな……ふっふっふっふっ」( ̄ー ̄)ニヤリ