エンジェリックセレナーデSS

         
永遠を生きるもの







「う〜ん、サフィー……ZZZ」

 昔の恋人の名前を寝言で言いながら、気持ち良く寝ているカウジー。


 
ゴゴゴゴゴ……


 その言葉を聞かせられて黙っていられないものが一人。

 カウジーと天使の刻印を受けて不老不死となったもの――
 そして、その悲しみを分かち合えるもの――

 ――アルテである。

「カウジーさん……どういう夢を見ているんですかぁ!!!」


 
バキィィィィィ!!!


「いぎゃあぁああああ!!!!」


 全力で振り下ろした拳は、
見事にカウジーの頭にクリティカルヒットした。

「ふあぁぁぁあ……おはよう、アルテさん」

 なんともないように、いつもの様子で話している。

「――えっ! カウジーさん、どこか痛いところはないんですか?」

「えっ? いや、ちょっと頭が痛いけど特に問題はないよ」

 驚くのも無理はない。
 あれだけ大声で叫んでいたのに、何も効いてないようなそぶりなのだから。

 しかも、アルテ全力の拳なのです。

「そ、そうですか。何もないのなら良かったです。うん、よかった」

「――ん?」

 何だろうと思いながらも深く追求しないカウジーであった。








「と・こ・ろ・で、カウジーさん? にこにこ(怒)」

「は、はいぃ!!」

 アルテの普段の温和な性格とは遠くかけ離れたオーラが全身から湧き上がっている。
 いくら鈍感なカウジーでもその雰囲気から察しただろう。

 ……アルテは怒っていると。

 今、下手なことを言って更に怒らせると、アルテの堕天使の力で吹っ飛ばされるだろう。
 いくら天使の刻印を受けたものだからって、痛いものは痛いのだ。

「カウジーさん、さっき寝ている時、何の夢を見ていました?」

「えっ、いや、昔の事を夢に見ていたけど?」

 なるべく平静を装ってアルテにそっけなく答える。

「そうですか、なら、その夢に、
サフィーさんという方は、いらっしゃいませんでしたか?」

「なななな、い、いやっ! 夢には、そのような人はいなかったよ!」

 どもりながらも答えるカウジー。

『そんな〜酷いよカウジー。
夢の中で、思いっきり昔の甘い生活について語り合ったじゃないの〜』

 カウジーの心の中でサフィーがそう呟く。

『サフィー! 今はそれどころじゃないんだよ!』

(カウジーさん〜)

『うえ〜ん! 酷いよ、カウジー!(号泣)』

(カウジーさん?)

 サフィーは泣き出す始末。
 そんな彼女に、カウジーは困ってしまった。

(カウジーさん〜(泣)

 ここでカウジーは一つミスをしていた。
 心の中でサフィーと対話をしているカウジーが思いっきり無視をしていた人が一人……、

「カウジーさん!!!! いつになったら答えてくれるんですかああ!!!」

「えっ……ご、ごめん!! アルテさん……で、なんの話だっけ?」

 アルテに話しかけられて、ようやく気づいたカウジーであった。

「うううっ……カウジーさんが無視する〜(泣)」

「あああぁっ! ごめん! アルテさん〜」

『カウジー、駄目だよ。女の子の話はちゃんと聞いてあげないと〜』

 サフィーがお姉さんぶった話し方でカウジーに話しかける。

『お前が話しかけてくるからだろうが!!』

『きゃあ〜、カウジーがおこった〜(笑)』

 そう言いながら、サフィーはそれから話してこなくなった。

「アルテさん、ごめん。さっきの話で一つ嘘をついた」

「わかってますよ。夢の中にサフィーさんがいたんでしょ?」

 ちょっといじけた顔をしてアルテが呟く。

「なぜ、知っているんだ〜!!」

「わかりますよ。寝言で、
楽しそう〜に『サフィ〜』なんて、言っているのですからね!(怒)」

「うっ……それは……」

「いいですよ〜。どうせ、夢の中で、
サフィーさんと楽しく話していれば良いんですから」

 アルテはベッドの上にのの字を書くほどいじけている。

「ねえ、アルテさん、話を聞いてよ」

「いいえ、聞きません。
どうせ、私はサフィーさんより大切な人にはなれないのですから!」

 その言葉を聞いてカウジーは怒った。

「アルテさん、そういう言い方は好きじゃないな」

「だって、だってぇ……」

 カウジーは優しく抱きしめる。
 その中でアルテが泣きじゃくっている。

「確かに、サフィーは大切な人だ。
そして、これからも変わらないと思う。だけどね……」

 カウジーは一度深呼吸をしてからハッキリと言った。

「でも、それ以上に大切な人がここにいる。好きだよ、アルテさん」

 カウジーの腕の中で泣いていたアルテが、カウジーの顔を見た。

「本当……ですか?」

「当たり前じゃないか。
でなきゃ国を回って、探すなんてことはしないよ。それに……」

「――それに?」

「一生隣にいてくれる人が見つかったんだ……これ以上の幸せはないよ」

「カウジーさん〜……うううぅ……」

「だから、そういう気持ちは捨ててほしいんだ。
僕の願い、聞いてくれるかい?」

「はい……わかりました」

 カウジーとアルテ二人の目線が合う。
 そして、そのまま二人の顔が引き寄せられて……、








 ――熱い誓いのキスを交わしたのであった。








<終わり>


あとがき

 どうも! これが二作目となる今井です。

 エンジェリックセレナーデの中では、
一番アルテさんが好きなので書かせていただきました。

 これはアルテENDの後の話です。

 ゲームの方では抱き合って終わりなのですが……、
 その後はどうなるんだろう……と思って考え付きました。

 ラスティ、フィア、サーリアは出ませんでしたね。
 構想がまとまれば書くかもしれませんが……、


<コメント>

ラスティ 「ううっ……しくしく」(;_;)
カウジー 「え、えっと……その……」(^_^;
ラスティ 「……やっぱり、ダメなんですか?」(;_;)
カウジー 「――え?」(・_・?
ラスティ 「ちっちゃな胸だと、ダメなんですか?」(*;_;*)
カウジー 「――はい?」(−−?
ラスティ 「アルテさんみたいに、胸のおっきい人が良いんですか?」(*;_;*)
カウジー 「ラ、ラスティ……何を――」(−−;
ラスティ 「うううう……」(−−メ
カウジー 「あ、なんかヤバげな雰囲気……」(T▽T)
ラスティ 「うううううううう〜〜〜〜〜っ!!
      カウジーさんの浮気者ぉぉぉぉ〜〜〜〜〜っ!!」Σ(T□Tメ

 ズドドドドォォォォーンッ!!

カウジー 「ぐええええええええっ!! な、何故に落雷が……、
       ってゆーか、ラスティ……そのバトンは何?」Σ(@□@)
ラスティ 「――天罰、ですっ!!」( ̄□ ̄)凸

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