エンジェリックセレナーデ SS

猫とネズミの鬼ごっこ(後編)








 3:50 ウィネス魔法店前――


「ごちそうさまでした。美味しかったです」

「い〜え〜。そう言ってもらえるとサーリアも嬉しいですぅ☆」

 ぺこりとおじぎをするラスティ。サーリアは心底嬉しそうだ。

「ラスティ、時間は残り少ないけど、お互いに頑張りましょうね!」

「もちろんですっ! カウジーさんは、
私の(人生の)パートナーです。言われるまでもありません!」

 両者の間で交わされる堅い握手。

 勝ったら一日デートの権利があるだけなのだが、
彼女等にとっては既にその価値は高騰して頭打ち状態らしい。


 
――ぶわっ


 ラスティが真っ白な翼を広げる。
 既に眼は兎みたいに赤くなっている。

「あ、そっか。ラスティは空からね……あたし達ちょっと不利かなぁ?」

「大丈夫ですっ! 一人より二人がいい、って聖書にも書いてあるですよ!」

 何故、聖書の話をサーリアが知っているのかは疑問だが……、

 それを聞いてラスティがあぅあぅと戸惑っていた。
 教会の手伝いか何かで知っていたのだろうか?

「わっ、私には……(多分)サフィさんがついててくれます!」

「……誰?」

「――にゃ? 誰ですかぁ?」

「カウジーさんの……元・恋人みたいです」


 
――ピシィッ!


 それを聞いた二人から、そんな音が響いた。
 ついでに何かが「ぷちっ♪」とちぎれる音が……、

「行くわよサーリア! カウジー捕まえて全部吐かせるわよ!」

「モチのロンですっ! あのカウジーさんを射止めた人ならタダモノじゃないですっ!
カツ丼作ってでも白状させるですっ!」

 上がりっぱなしのテンションを更に上げ、二人は一気に走り去ってしまった。

「あ、あぅ……」

 そして、火に油を注いでしまったと気付いたラスティは、一人空へと舞い上がった。








 4:00 町外れの公園――


「本部アンクルノートからみなさんに連絡です。
大会終了まで残り一時間になりました。最後まで頑張って下さいね」

 カウジーはベンチに腰掛けながら、町中に響くシアリィの声を聞いていた。

(アルテさんは、俺が教会に入るのを知っていたような口ぶりだった。
それに、フィアとサーリアは、俺が図書館裏にいても路地にいても的確に追い掛けて来た。
やっぱり、ジェニーさんが言った通り、みんな物探しの魔法でも使ってるかもしれないな)

 カウジーはベンチから立ち上がり、公園から離れようとした。

 しかし、寸前になって図書館側に行きかけた足を止めた。
 話し声が聞こえて来たからである。

「もうちょっと先ですよぉ」

「ねえ、さっきの話、本当? 十秒食い止めれば確実に捕まえられるって……」

 カウジーは急いで引き返すと、近くの小さい階段に身をひそめた。
 いい感じに建物の影があったので、そこに隠れて会話を聞くことにしたらしい。

 と、公園内に二人が入って来た。

「詠唱にちょっと時間がかかるですけど、効果は実証済みです!
発動させれば間違いなく勝てるですよ♪」

(何だってっ!?)

「へえ……凄いわね。どんな魔法なの?」

「にゃー、説明が難しいですね。フィアちゃん、前にカウジーさんと、
女装爆弾の実験したの覚えてるですか?」

 フィアとカウジーの脳裏にあの光景が蘇る。

 サーリアが敢行した実験の中で、
ある意味で伝説的なその実験は、忘れようにも忘れられる物ではなかった。

 女になったカウジーを、フィアが一撃でのしてしまったことからも、
それが周囲に与えた衝撃が伺えるだろう。

「覚えてるも何も……」

「実はですね、あの爆弾を元にした応用魔法が見つかったんですぅ☆
対象になった人の体を一時的に女にして、その上で小さくするんですよぉ〜☆
ロリ属性の女の子の完成ですっ♪ あ、もちろんホーミングですから当たるまで追い掛けるですよ」

(なっ、それじゃ本当に発動させたらアウトじゃ……っ!?)

「そりゃ小さくしちゃえば足も遅くなるけど……、
やっぱりカウジーが女の子になるのはどうしようもないの?」

「フィアちゃん? 変身したカウジーさんの方が胸おっきかったの、まだ根に持ってるですか?」


 
ぷちっぷちっ♪

 
グリグリグリ……!


「ぎにゃぁぁぁぁっ! ごめんなさいです、失言ですっ! サーリアが悪かったですーっっ!」

 拳を両サイドのこめかみに当ててグリグリするフィア。
 サーリアが絶叫していることから、かなり力が入っているみたいだ。

「にゃっ! にゃっ! にゃぁぁぁっ!!
サーリアの頭のネジが外れちゃうですよぉっっ!!」

(まずいな……フィアの奴、かなり怒り心頭来てるみたいだ。助けた方が……いいかな?)

 彼は知らないことだったが、フィアがキレているのはサフィという要因もあったのだ。

 それを知ってか知らずか、カウジーは敢えて様子を見るだけにしておいた。
 出て行ったら間違いなく捕まるだろうし、これすら罠かもしれないからだった。

「フィアちゃん、頭を冷やすです〜!! ラーグ・イスですっ!!」

 こめかみを拳で挟まれながらも、サーリアは眼前のフィアの額にルーン文字を描く。


 
――ぴきっ!


「きゃあっ!」

 フィアのおでこに一瞬にして氷が張る。
 やっと解放されたサーリアはうずくまり、涙目でフィアを見上げた。

「フィアちゃん……その力はカウジーさんを捕まえるのに取っておくですよ」

「そ……そうね」

(おいおい……そんな力取っておかれても困るよ)

 心の中でツッコミを入れたカウジーは、
そろそろこの場を離れた方がいいと感じ始めていた。

 そろそろと立ち上がり、音を立てないよう慎重に歩きだした。
 笑いをこらえるのも辛いらしい。


 
コツン――


「え?」

「にゃにゃ?」

(またかーっ!?)

 突然した物音で、途端に緊張が高まる三人。
 カウジーの脳裏には、つい何時間か前にラスティに追い掛けられた際の光景が再現されていた。

「あ……あ……っ!」

「サーリアッ!?」

 しかし、すぐさま追われると思ったカウジーの予想は外れた。
 地面の一点を見つめて怯えるサーリア。

 その視線の先には……、
 小さな小さな、一本のネジが……、

「ぎにゃぁぁぁっ!! ネジが、ネジが外れちゃったです!」

「ちょっ、ちょっと落ち着いてサーリア!! 元々ネジなんて外れてたでしょーが!」

 パニックを起こしたサーリアに引きずられたのか、
フィアまでパニックを起こして何気に酷いことを言っている。

(うーん……外れてるってのは言い過ぎにしても、人より緩んではいるかも……)

 ハラ薬と惚れ薬を間違えて作ったり、木製の樽で火炎放射機を作って爆発したり……、
 過去の事件を振り返れば、確かにどこか抜けてる感は否めない。

 フィアはそれらの失敗の数々を、きっと彼以上に見てきたのだ。
 ネジが外れているというのも、仕方ないだろうか?

「こ、このまま放っておくと、きっとネジが外れた場所から、
血がどぴゅーって吹き出して○○○○が○○○になって最後はキ○○イになっちゃうですねっ!?
そ、そんなのやですっ!! おかーさーん! 助けてくださいですーーっっ!!」

「あーもうっ! どこでキ○○イなんて言葉覚えてきたのよっ!?
それに……暴走するなら終わってからにしなさいっっ!!」


 
スパァァァン!!


「あうっ」

 フィアがどこからか出したハリセンが快音を響かせた。

 腰が入ったそのスイングたるや、まさしくホームランバッター。
 バットを持っていたら、間違いなくスタンドへ運べる勢いだ。

「きゅ〜〜」

 ハリセンだったからお星様にはならなかったものの、
その威力は彼女の意識を飛ばすには充分だった。

(……っ! やばい。二人には悪いけど、笑いをこらえてるこっちも辛いよ!)

 カウジーは、今度こそ、その場所を離れた。
 だが、今度は口に手を当てて小刻みに震えながらだった。

 当事者として、身をもって誰かの暴走を体験するのはごめんだが、傍観している立場だと、
こんなにおもしろいことはないと、カウジーは、その時、痛感したのだった。








 4:15 大通り――


「はぁ〜……危なかったぁ……」

 随分と落ち着くのに苦労したカウジーは、辺りに注意を払いながら歩いていた。

 爆発寸前だったとはいっても、あの状況で爆笑してしまっては、
たちどころにフィアが追い掛けて来ただろう。

 探知機を管理するサーリアが気絶させられたからなのか、
カウジーが移動してから彼女達が追い掛けてくる様子はなかった。


 
バサバサ――


 その時、彼の耳に鳥が羽ばたくような音が聞こえた。

 いつもであれば即座に反応している彼だったが、この時は何故かそちらに反応せず、
のんびりとした足取りでウィネス魔法店近くの路地へと入っていった。

「……ラスティも慎重になってるみたいだな」

 路地に入ってラスティの死角に入ったカウジーは、天使の羽根を手にしながら呟いた。
 その羽根はやわらかな光を放ち、影が落ちるこの場所を照らし出していた。

 天使の力の共鳴で羽根が光っているのに気付いた彼は、
上空で羽音がしても大して驚きはしなかった。

 それに、音が近づいて来るようだったら、ギリギリまで引き付けて避けるつもりだった。
 しかし、距離が変わらなかったので、そのまま放っておいたのだ。

(隙を見せたら……急降下して奇襲を仕掛けて来るかも)

 翼が大きい分、小回りがきかないのは知っていても、そのトップスピードは侮れない。
 ましてや、普段、意識して見ないような、真上から奇襲をかけてくるなら尚更である。

(さてっ、どうするかな……?)

 意気込んで彼は道具袋を覗き込む。
 中には相変わらず音の小箱とマタタビの実のみ。

 さっきはソフィルの鳴き方が変わったことから、もしやという感じで使ったのだ。
 実際その予想は当たっていたので、アルテだけではなく彼自身もこの実が何かを知っていた。

(そうだな、サフィと……サーリアには悪いけど、これ使わせてもらおうかな)

 カウジーは道具袋に手を突っ込むと、そこから住宅街へと入って行った。








 4:20 フォンティーユ上空――


 ラスティは、カウジーが住宅街に入っていくのを見ると、ちょっとだけ苦い顔をした。
 その辺りは屋根が重なり合って、ラスティからは死角になる場所だったからだ。

 ラスティは翼を上手に操って、徐々に高度を下げ始めた。
 彼女の足が屋根に接すると、その背の翼は光の粒になって、空に溶けるかのように消えてしまった。

(えっと……カウジーさんは……?)

 ひょこっと屋根の切れ目から顔を出したラスティは、きょろきょろと辺りを探した。

 しかし、そこに求めた姿はなく、
彼女は別な場所へ移動しようと顔を引っ込めて立ち上がろうとした。


 
〜♪〜♪〜〜♪


(え……?)

 その時、ラスティの耳に聞いたことのない音色が聞こえた。
 聞き慣れたフォルテールの音ではない。

 でも、不思議な気持ちにさせるその曲に、ラスティは聴き入っていた。

(私の知らない曲……でも、何だかあったかい感じ……、
あ、あぅっ! カウジーさん探さなきゃ……)

 ぶんぶんと頭を振ったラスティは、肩幅くらいの小さな羽根を広げて屋根から飛び降りた。
 落下する体は地面につく前にふわりと浮いて、彼女はゆったりと着地した。

「こっちかな……」

 音のする方へと歩くラスティ。
 大人が通るのに苦労しそうな狭さの路地は、至る所に物が散らかっていた。

 逆を言えば、誰かが通ったとも考えられる。

「これは……!?」

 路地の終わりに差し掛かり、彼女はようやくその音の源を発見した。

 路地の真ん中に置かれた、古ぼけた小さな箱。
 その中から音が溢れて重なり合い、曲となって辺りに広がっていた。


 
ザッ……

 
ビクッ!


 突如として背後から聞こえた足音に怯えて振り返るラスティ。
 眼前の暗がりから現れたのは……、

「はにゃ? ラスティちゃんですか?」

「――え? サーリアさん!?」

「フィアちゃぁぁん! ラスティちゃんです! 飛び出しちゃダメですよ〜!」

 ラスティを見るなり、いきなり声を上げるサーリア。
 ほどなくして、やや呆れ気味のフィアがもう一方から現れた。

「なぁんだ、ラスティだったんだ……構える必要もなかったわね」

「フィアさんまで……どうしてここにいるんですか?」

 危うく挟み打ちにされかけたラスティが尋ねる。
 しかし、返って来たのはその質問の答えではなかった。

「ぎにゃぁぁっ! やられたです、謀られたですっ!! まんまと撒かれたですーっっ!!」

「ちょっ……どうしたのよサーリア!?」

 音の小箱を見るなり、いきなりパニックに陥るサーリア。
 フィアはいつも通りだったが、ラスティはいきなりのことで取り残されていた。

「あ、あの……」

「人探しの魔法を応用するのは難しかったですから、
探知機はカウジーさん本人じゃなくて、物探しの魔法で代用して、
音の小箱の古い部品に反応するようにしてたですよ〜〜!!
まさか気付かれるなんて予想しなかったです!
サーリアの読みが浅かったです〜〜っ!!」

「……手抜き?」

「急いで作ったですから見逃して下さぁ〜い!」

 二、三十分程度で作られた道具である。
 やはり完璧を求めるのは酷というものだろうか。

 何にせよ、二人が頼りにしていた探知機は使い物にならなくなったわけだ。

「ま、まぁ使えなくなったのは仕方ないわね……でも、大丈夫よ!
速攻で捕まえればデート確定だし♪」

 サーリアを励ますようにフィアが言うと、その言葉にラスティが噛み付いた。

「カウジーさんを……取らないで下さい!」

 威圧感たっぷりでフィアに向かうラスティ。
 しかし、フィアはあっさりと流した。

「ラスティ、そのセリフは勝ってから言うものよ。
あたし達が勝ったらそのセリフ、使わせてもらうかもしれないけどね〜」

「そうですぅ☆勝ったら堂々と言えるですよぉ〜☆」

賛同したサーリアは、勝った後のことを考えているのか、
頬に手を当ててやんややんやとくねくねしている。立ち直り早すぎ。

「何にしても、まずはカウジーを見つけなきゃね……」

 そして、今、彼を巡る戦いのピリオドへ、カウントダウンが始まろうとしていた。

「アンクルノートからみなさんに連絡でーす。残り三十分になりました。
これからは気まぐれに時間をお知らせしまーす。みなさん頑張って下さいねー」

 ――そう。
 テンションが上がって陽気になったシアリィの声によって……、








 4:30 図書館裏――


「アンクルノートからみなさんに連絡でーす。残り三十分になりました。
これからは気まぐれに時間をお知らせしまーす。みなさん頑張って下さいねー」

「……お主も相当苦戦しているようだな」

「みんな容赦しないですからね、しかたないですよ」

 シアリィの声が聞こえなくなると、二人はようやく口を開いた。

 ラスティを音の小箱によって撒いたカウジーは、
偶然にもフィア達が包囲する前に路地から抜け出して、
およそ一時間前に飛び降りた柵からまた飛び降りて、
その足で図書館裏へと逃げ込み、ジェニーと合流したのだった。

 ちなみに、サーリアの探知機が音の小箱に反応する仕様だったのを彼は知らない。
 僥倖というべきか、これも天使の加護か。

「やはり……男が絡むと女は強いものだな」

「そうですね、じゃあ、クララ辺りが鬼だったら、みんなも……、
あ、でも、クララはフィアみたいに活発じゃないか」

 ジェニーの言葉の意味を全く別に取ったカウジー。
 しかし、その彼の一言をどう曲げて解釈したのか、ジェニーは自身ありげに力説した。

「ふむ、やはり恋愛は女の子同士でなければな!」

「それは……愛があるなら大丈夫だと思いますけど……」

「ををっ! さすがは我が同志! ならば、お主には自分の秘蔵ブロマイドを……!」

 途端に辺りに展開されるブロマイド。
 秘蔵というだけあってレア物もちらほらあるが、当然、大部分はそちらの系統だ。

「むっっ!?」


 
キュピーン!!


 ジェニーの額に光が走る。
 広げられたブロマイドの数々は、一瞬にしてその手の中に納められていた。

 最初はそのあまりにも異常な超反応と動作に戸惑った彼も、
冷静になるにつれてその理由を察した。

 暗がりにも関わらず、その正反対の色彩。小動物のような白い姿がすぐ近くにいた。

 ――そう。
 例えるなれば、コーヒーに入れても全く溶けず、表面に浮かんで形を保ったままのミルクのようだ。

 絶対にサーリアが飲めないような、そんな感じ。
 そして身構えるカウジーに向かって、それが飛び掛かって来た!

「にゃん!」

「ソフィルっ!?」

「にゃーにゃーにゃーにゃーにゃーにゃー!」

 飛び出して来たのはソフィルだった。
 そして、素早く道具袋に取り付くと、火災報知機にも劣らない鳴き声を発した。

「アルテさんか……っ!?」

「いや、この辺りに人の気配はないが……」

「にゃーにゃーにゃーにゃーにゃーにゃー!」

「……このままでは見つかるのも時間の問題だな」

 ただでさえ狭い図書館裏である。
 こんな所で追い詰められたら今度こそ逃げ場がない。

 そして、ソフィルの鳴き声を誰も聞きつけない……なんてことが起ころうはずはなかった。








 4:35 ウィネス魔法店前――


「はいはーい、五分経過しました。あと二十五分ですよ♪」

「にゃーにゃーにゃーにゃーにゃーにゃー!」

 アルテはウィネス魔法店前でその放送を聞いていた。
 それと時を同じくして、ソフィルの鳴き声が聞こえて来た。

「カウジーさんを見つけたみたいですね。
この方向は、図書館の辺りかしら。ルーシアさんはどう思います?」

『今日、最初に我の力を行使した場所……それより奥だろう。
人間が熾天使セラフィについて記した書物が並べられている場所だ』

「やはり図書館ですね……それではお迎えに行きましょうか」

 彼の居場所を確信したアルテは、いつものように大通りを歩き出した。

『勝算はあるのだろうな?』

「ええ、全くない訳ではありませんよ。
混乱に乗じて……ですが、場合によっては天使の力も使わせて頂きますね」

『ふっ……神に逆らい、堕天し、地に落とされて千年の月日を過ごそうとも、
我が天使であることには変わりないのだな……』

 ルーシアが自嘲気味に笑うと、アルテは歩きながら過去を思い出すように答えた。

「誰であっても、自分自身に別れを告げることはできません。
例え死して肉体を失おうとも、魂は新たな命として何度でも地上に帰ってくるといいます。
そして、魂に刻まれた願いや想いは、いずれ生まれる命が受け継いで叶えるそうです。
ルーシアさんだって、魂という存在になってまで、
自分の復活を成し遂げようとしたこと、忘れたとは言わせませんよ?」

『……汝はどこかの天使のような物言いをするのだな』

「ふふ、これでも二百年生きてますからね」

 もしかしたら、ルーシアよりアルテの方が数段上かもしれない。
 堕天使の長をも丸め込むその光景を、もしセラフィが見ていたら何と言っただろうか?

『常命の者も、捨てたものではないということか……』

「まあ、そういうことにしておいて下さいね」

 街に住み着く動物達には見えていたかもしれない。
 彼女にダブって見える、金色の目の男が微かに笑っていたのを。








 同時刻 図書館裏――


「……行くのか?」

「はい。このままだと見つかるのも時間の問題だし……、
上手く動けば、もしかしたら撹乱出来るかもしれないですから」

 カウジーは辺りの様子を伺った。

 ソフィルが未だに鳴き声をあげているにもかかわらず、幸いにも見える範囲内には誰もいなかった。
 もしかしたら隠れているのかも知れないが……、

「そうして、撹乱しながら時間を稼ぎ、逃げ切るつもりか……」

「はい。フィアとラスティが手強いけど……、
ここでじっとしているよりはずっと安全ですよ」

 そう言い残すと、彼は図書館の影から飛び出した。
 白猫のソフィルを伴ったまま……、

「にゃーにゃーにゃーにゃーにゃーにゃー!」

 それを見送るジェニーには、
ソフィルの鳴き声はドップラー効果でやや低く間延びして聞こえた。








 同時刻 路地裏――


「サーリア、どうかしたの?」

 突然、立ち止まったサーリアにフィアが尋ねる。

 何かに集中するようなその様子は大魔法の詠唱前に似て、
話し掛けるのを躊躇してしまいそうだった。

「猫さんの声が聞こえるですよ。[カウジーさんがここにいるですー!]って」

「あの、サーリア? さっきのネジ、もしかしたら本当に……」

「にゃーにゃーにゃーにゃーにゃーにゃー!」

 フィアの言葉を遮るように、遠くから猫の鳴き声が聞こえて来た。

「ほらぁ〜猫さんですよぉ☆」

「……びっくりしたわね。聞こえてたんだ」

「もちろんです☆ あ、きっとラスティちゃんも聞こえてるですよ!
カウジーさんが奪われちゃうです! 急ぐですっ!!」

 またか、といった感じでフィアが呆れ顔になる。
 しかし、その瞬間、彼女達の頭上を白い翼が影を作って横切った!

「ラスティ!?」

「にゃぁぁっ!! でも、まだ終わった訳じゃないです!
すぐに現場に直行するですーっ! 事件は現場で起こってるですよーっ!!」








 異なる物が引き合う磁石のように……、
 はたまた生命と生命が引かれ合うかのように……、

 ――今、カウジーの所へと全員が集結しつつあった!








「にゃーにゃーにゃーにゃーにゃーにゃー!!」

「みなさ……の…り…分…す♪」

(くっ……あと何分だ?エオリアさんの声が聞こえない…!)

 ソフィルの鳴き声に掻き消されるシアリィのアナウンス。

 かなり遠くまで響くその鳴き声を至近距離で聞いているのだから、
さすがにそれも仕方ないのだろうか。

 カウジーは公園を抜ける。

 そこからウィネス魔法店の脇を抜け、
アルテの家の方から回り込んで、アンクルノート前を通り過ぎてフィニッシュ。

 そこまでやれば、危険はあるにしても撹乱はできるだろうと彼は踏んでいた。
 もっとも、ラスティだけは空を飛んでいるので、そんな小細工は通用しないが。

 しかし、そんな彼の思惑はあっさりと気付かれていた。

「フィアちゃん、フォーメーション分かってるですね?」

「もっちろん! サーリアこそ、下手撃たないでよ」

 明るいサーリアの声と、気合充分のフィアの声。
 ちなみに二人の会話は、カウジーから離れた物影で静かに行われていた。

 その距離、約二十メートル……、

「カウジーがあたしの家の前まで来たら、あたしが後ろを取って仕掛ければいいのよね?」

「はいです。でも、カウジーさんは逃げちゃうですから、
曲がり角まで逃げて来たらサーリアが魔法で壁を張るですよ。そこを追い詰めて捕まえるです☆」

「もう時間がないからね……ここで捕まえてみせるわ!」

 今日は本部として貸し出して、人も混み合うから、とてつもなく忙しくなるアンクルノート。
 その手伝いを休んでまで参戦している彼女である。

 雄々しいというのを通り越して既に怖い。

「ホーミングの魔法は、カウジーさんを見ながら詠唱をしないといけないですから……、
やっぱり魔法で道を塞ぐのが確実ですね」

「あたしとしても……女装したカウジーは見たくないしね」

「あ、カウジーさんが動いたです。
サーリアは待ち伏せしてるですから、フィアちゃんは尾行して下さいです」

「分かったわ、しっかりね!」

 フィアが静かに動き出す。瞬く間に彼女の姿は魔法店の脇に消えてしまった。

「さて、サーリアも行くですよぉ〜☆」

 高らかに杖を掲げ、サーリアは堂々と大通りを闊歩する。
 その楽しげな様子と、相変わらずの無邪気な笑顔は、まるで誕生日プレゼントを待つ子供のよう。

「フィアちゃん。しっかり捕まえて下さいですよ〜♪」

 曲がり角まで来たサーリアは身を伏せ、呪文詠唱の準備を始めた。
 変わらない笑顔で、少しばかりの緊張を自分に対してごまかすように。

 そのせいかどうかは分からないが、彼女は背後にいた人物に全く気付かなかった。

「にゃーにゃーにゃーにゃーにゃーにゃー!」

 相変わらずの鳴き声の中、カウジーはアンクルノートの前に差し掛かろうとしていた。

 残り時間が少ないからか、それともサーリア達が囲んでいるのを、
知っているのかどうかは分からないが、店内の人々は息を殺して事の成り行きをじっと見守っていた。

(うわ……これは視線が痛いな……演奏で失敗した時よりきついかも……)

 窓越しに彼に向けられる視線の大半は、「自分が賭けた人に捕まれ」的なオーラを含んでいる。

 まあ、若干ながら応援してくれる人もいるが、
彼がかなり大穴扱いされているのはこれでハッキリと分かった。

 と言うか、教会として、ギャンブルはOKなのだろうか?


 
――タンっ!


 突然、背後から聞こえた音に、慌ててカウジーは振り返る。

「もらったぁっ!」

 そこには、サイドに流した赤い髪を後ろにたなびかせながら駆けてくるフィアの姿が。

 しかも、駆け出したと思われる音がした直後にも関わらず、既にかなりのスピードが出ていた。
 恐るべき加速である。

(やば……っ!)

 踵を返して逃げ出すカウジー。
 彼の足もなかなかの早さだが、それでもじりじりと距離は詰まっていく。

 そして、残り三メートル程度に詰まった時、フィアが叫んだ。

「サーリア! 今よっ!」

「はいですっ! 炎の嵐よ…(超早口につき以下略)…ファイアーストームですっ!!」

 曲がり角まであと少しという時になって、サーリアの呪文詠唱とともに飛び出る炎の壁。

(なにぃぃーーっ!?)

 もちろん彼も急には止まれない。
 だからといって止まってしまったら、確実にフィアの手によって捕まえられてしまうだろう。

 彼が覚悟を決めるのには、一瞬もかからなかった。

「守ったら負ける……攻めろっっ!!」

 彼はそのまま速度を緩めることなく、炎の壁に向かっていった!

「うおぉぉぉっ!!」

「う、嘘っ!? サーリア、そっちに行ったわ! カバーお願い!」

「遅いっっ!!」

 サーリアが動き出すより早く、彼女の目の前に展開されていた炎の壁の一点が膨らんで、
そこからカウジーが飛び出して来た。

 しかし、それとほぼ同時に、サーリアの脇から人影が飛び出した。

「にゃにゃ? アルテさんですか!?」

「この距離ならっ!」

「にゃー!!」

 アルテの姿を認めたソフィルが、一層強い鳴き声を上げる。
 カウジーは横目で彼女達を確認すると、アンダースローで道具袋ごとソフィルを放り投げた!

「サーリア、パス!」

「にゃ?」

「にゃー!」

 突然のことに、思わず素直にキャッチするサーリア。
 そこからこぼれ落ちるマタタビの実。

「ふにゃー!」

「あ……いい匂いがするですぅ〜」

「また、ですか……」

 教会の時と同じ様に引っ掛かるソフィル。
 何故か知らないが、マタタビに反応するサーリア。
 そして、溜息をつくアルテ。

「あーもうっ! 何やってるのよサーリア! こうなったらあたしが!」

 サーリアが気を取られたので炎の壁は消え、フィアがまた追って来た。
 カウジーは二人と一匹の脇を抜けて逃げようとしたが、一瞬で踏み止まった。

 なぜなら……、

「カウジーさんっ!!」

 ウィネス魔法店の屋根からラスティが飛び降り、空中で翼を広げて向かって来たのだ!

「くっっ…!!」

挟み打ちにされたと悟ったカウジーは、踵を返して段々畑の方へと逃げ出した。
階段を二、三段飛ばしで駆け降りていく彼だったが……、


 
――ガッッ!


「うわぁぁぁっ!」

 階段の途中でつまづいたカウジー。
 バランスを失った体は、重力に引かれて落ちていく。

 畑仕事で歩き慣れた、まっすぐで長い階段を……、

「カウジー!?」

「カウジーさんっ!!」

 フィアが柵から身を乗り出し、ラスティは急降下して彼を追おうとする。

 ごろごろごろ……

 階段すれすれの超低空飛行で、急な傾斜を転がっていくカウジーを追うラスティ。
 小さな手を思いっきり伸ばして、必死になって風を切る。


 
ドンっ!

 
ゴツっ!

 
ベチっ!!

 
バシャァァァン!!


 だが、しかし、ラスティが伸ばした手は届かず、
カウジーは階段の切れ目から下の川までの段差でバウンドして一直線。

 そして……、

「はい、時間切れでーす!」

 ……無情にも、シアリィの放送が響き渡った。
















「網とロープ持って来ーい!!」

「楽士の兄ちゃーん! 大丈夫かーー!?」

「おい、白目むいてるぞ!? 急げ急げ!!」

 町の人達に手伝ってもらって、どうにかカウジーは川から引き揚げられた。
 そして、教会前広場では……、

「それでは、これより閉会式を始めまーす!」

 シアリィが、魔法のメガホン片手に放送する。

 スッて落胆する者、大勝ちして笑う者(ジェニー含む)、
賭けずにただ観客としてアンクルノートにいた者、それはそれで人それぞれである。

「早速ですが、勝者カウジーさんの表彰を行います! カウジーさん、前へどうぞっ!!」

 試合後のボクサーのように、
横の方で椅子に座っていたカウジーは、呼ばれるとすぐに立ち上がった。

 ずぶ濡れになり、タオルを頭からかぶって、
「燃え尽きたぜ、真っ白によぅ」とでもいったセリフが、
似合いそうな感じだったが、その辺りは不老不死の身である。

 ハラ薬のために、とも言えるかもしれないが。

 それに加えて、階段落ちの際に体中に負った擦り傷や打撲、打ち身の痕跡は既に消えていた。

 街の人達も、それには驚いたらしい。
 ある人の話では白目むいてたらしいので、無理もないだろうが。

 前へ出たカウジー。
 彼に浴びせられたのは拍手と、歓声と……三人の痛い視線と、一つの威圧感。

(やっぱり、みんな怒ってるかな……)

 不機嫌な様子で、八つ当たりでもしかねないフィア――
 悔しそうに杖を振り回すサーリア――
 「うー…」といった感じで、目で訴えかけるラスティ――
 そして、何か別な物が浮かび上がってきそうなアルテ――

 彼女等の方を見ることは、彼にはどうしても出来なかった。

 もちろん嫌っている訳ではないのだが、
ルールとはいえ逃げ回ったので、どうにも後ろめたかったのだ。

 まぁ、こういった性格だから、どうにかしようということで、この大会が開かれたのだが。

(後でちゃんと謝っておけば……いいよな)

 彼の目の前には、タルコフとシアリィがハラ薬を持って佇んでいる。

「それでは、優勝賞品の贈呈でーす!」

 シアリィの元気な声に引っ張られて、カウジーは一歩足を踏み出し……、





「ちょぉぉぉっとまったぁぁーっ!」





 突然、カウジーの胸ポケットから天使の羽根が飛び出し、
声を上げると同時に周囲を真っ白に染め上げた!

「この声は……」

「……まさか!」

 聞き覚えのある声に、思わず反応するラスティとカウジー。
 そして、光がその勢いを失い……、

「――え?」

 その場にいた全員の目が点になった。

「やったぁっ! ふっかーつ! って、あ、あれれ?」

 出て来た彼女を含めて……、

「サフィ……どうして、こっちに……?」

「サフィさん……どうして、そんな姿なんですか?」

 二人の質問ももっともである。
 何故なら、突然、乱入して来たサフィの姿は……、

「え、えーっと……回廊を抜けてくる時に…ちょっと力が足りなかったのかな?」

 なんと、手の平サイズの二頭身だったのだ。
 しかも、ほのかに白い光を纏って宙に浮かんでいる。

 だが、しかし、人々が彼女に対して何か言おうとする前に、横の方ではとんでもない会話が。

「ラ、ラスティ……あの時、言ってたサフィって……あの子なの?」

「は、はい……何だか小さくなってますけど……」

 幻でも見たようなフィアには、ラスティの言葉の後ろの方は聞こえていなかった。
 サーリアもかなりそれに近い。

 そして、フィアは……、
 街の人達がひしめきあう広場前で……、

 ――爆弾を投下した。

「カウジぃぃぃぃっ!! ロリコンにも程があるでしょぉがぁぁっっ!!」

 その声と同時に、辺りに一斉に巻き起こるカウジーのロリコン疑惑。
 ラスティという前例(?)があるからか、かなり信憑性もあるみたいだった。

「ま、いつでも無意識にいろんな人を落として来たもんねー」

「落としたって……(汗」

「いい機会だから、この際きっちり落とし前つけときなさーい♪」

 何か間違えたような感じがする彼女の言葉。
 それがギャグを狙ったかどうか分からかった彼は、普通に流してタルコフに助けを求めた。

「タ、タルコフさん……どうにかしてください」

「はっはっはっ。モテるなカウジー君」

「茶化さないで下さいっ!」

「冗談冗談。では……それっ!」

 開会式と同じ様に、薬瓶を放り投げてマグナスを放つタルコフ。
 紫色の煙幕が辺りにたちこめ……、

「ぐぅ……」

「古典的だが、眠り薬というのも悪くないだろ? って、もう寝てしまったか……」

 いつの間にかガスマスクを装着していたタルコフは、やや残念気味に呟いた。

 そして、広場には多くの人々が横たわっていた……、
















「……ってな訳なんです!」

 全身全霊を込めたカウジーの説明(釈明?)は、日が落ちる辺りまで長引いた。
 彼にとっては冤罪に近い話なので、その口調も必死だった。

 他から見れば、冤罪どころではなかったかもしれないが。

 そして、人々が納得したのを見ると、彼は、突然、乱入して来たかつての恋人に質問を向ける。
 彼女は相変わらず小さいまま、ラスティの肩に座っている。

「……で、サフィ、何でこっちにいるんだ?」

 どうやって、とは聞かなかった。
 天使の奇跡の理屈は、もはや人の理解の範疇を越えているからだ。

「――え? だって、タッチしたら一日デートなんでしょ?
天使の羽根は私の一部でもあるんだしー。カウジーは何回か羽根を手に取ってたしー。
出て来るのは遅かったけど、ルーシアの力を抑えてたから、一応、参加してたしー。
体はこんなだけどさ、これでもデートの権利……」

「ありませんっっ!!」

「認める訳ないでしょ!」

「そうですぅ!!」

「認められませんね」

『セラフィよ……私が言えることではないが……堕ちたものだな』

 有無を言わさず、間髪入れずにツッコむ面々。
 漁夫の利を得ようとした彼女に対して、もっともなことではあった。

「あはは〜……やっぱダメ?」

 結局、彼女の理屈は通らなくて……、
















 一ヶ月後――


「さぁっ! 今月もやってきました、月の終わりの闇の日です!」

「みんなもタイトルコール一緒に行こうぜぇぇっ!」

「第二回――」

「神殿都市フォンティーユ主催――」

「カウジー君争奪・大鬼ごっこ大会ぃぃっ!!」

 教会前広場では、またしても魔法のメガホン片手にシャウトする二人の姿が。
 今回からは出場者を登録して、白黒ハッキリつけるらしい。

 もちろんルールは前回と同じ。
 だが、しかし、今度はサフィという未知数の要素が加わったことで、賭ける人達の魂はかなり熱い。

「ラスティ、お手柔らかにね♪」

「絶対に負けませんっ!」

「他の人達もそう言うんだよねー。ルーシアは何だか元気だし」

 脇で繰り広げられる、天使の刻印を押された者同士の対話。

 サフィ本人は一か月経ってようやく本来の姿を取り戻したが、
その事が、ラスティのライバル心を一層燃え上がらせている。

「ルーシアさん。今日は体を乗っ取らない程度に本気で行きましょうね」

『無論だ。一度ならず二度までも……セラフィに遅れを取る気はない!』

 今回のアルテは、ルーシアの力の手綱を相当緩めて臨むらしい。
 お互いにライバル登場で、緊張感は前回の比ではない。

「あ、フィアちゃんの秘密兵器ってバーニィシューズだったですね?」

「そうよ。今回こそ負ける訳にはいかないからね。あたしにもこれくらい必要でしょ?
サーリアこそ、インフィニティロッドって言ったっけ?よく見つけて来たわね」

「在庫整理してたら、お母さんが昔使ってたのが出て来たですよ」

 新装備で勝利を目指すフィアとサーリア。
 過激に振る舞って、市街を破壊しなければいいのだが……、

 それぞれの思惑が交錯する中……、

「それじゃ、早速、おっぱじめるぜーい! レディィィ……ゴゥッ!!」

 タルコフの声と同時に、辺りに白煙が満ちる。
 天使を加えた鬼ごっこは、今やっと、第二ラウンドが始まったばかりだった!!








「絶対に、今月も空腹感とオサラバだぁぁぁっ!!」








<おわり>


あとがき

 ミラーさんは好きですか?
 タルコフさんは好きですか?
 ジェニーさんは好きですか?
 ASはサブキャラも大好きです!(上記三人+モモ)

 さてさて、如何でしたでしょうか?

 いつもなら、どこかでサフィとの会話が入りますが、それを全部カットしていますので、
このオチを読めた方がかなりいるかと思います。

 そうでなくても、彼女の出番がかなり少ない事に不審を抱いた方はいらっしゃるかと。

 それでもお付き合いして下さったみなさん、ありがとうございました。

 ネタ不足に悩まされていた時期が長かったので、所々に他の作品から流用した物が散らばってます。

 ですので、それを探して「これか? このネタなのか!?」って、
ディスプレイの前で叫ぶのも、また一つの楽しみかと思います。

 有名なネタ多いので、苦労はしないと思いますけどね。
 伏線とネタばらしは紙一重、という事を知れただけでも充分です。

 では、次があったらまたの機会にです。
 ありがとうございました。


<コメント>

シアリィ 「はいはーい、五分経過しました。あと二十五分ですよ♪」(^○^)

カウジー 「はあ……はあ……よし、あと少しだ」(−−;;
モモ 「――あれ? カウジーお兄ちゃん?」(・_・?
カウジー 「うわっ……って、なんだ、モモちゃんか……今日もおはじきで遊んでるのかい?」(^_^;
モモ 「――うんっ! お兄ちゃんも、一緒にやろ♪」(^○^)/
カウジー 「ゴメン、今、ちょっと忙しくて……、
      それより、今日は家の中にいた方がいいよ。
      ラスティもフィアも、かなり興奮してるから、巻き込まれるかも――」(^_^;

 ――だきっ♪

カウジー 「――はへ?」( ̄▽ ̄?
モモ 「お兄ちゃん、つっかま〜えた♪」\(^○^)/
カウジー 「えっ? えっ? えぇぇぇ〜〜〜〜〜っ!?
       もしかして、モモちゃんも参加者だったのかぁぁぁ〜〜〜〜っ!?」Σ(@○@)
モモ 「えへへ〜……ぶいっ!」(^〜^)v
カウジー 「えぐえぐえぐえぐ……」(T△T)


サフィ 「ま、まさか、こんな結果になるとは……」(^_^;
ルーシア 「だから言っただろう? あっさりと片がつく、とな」(−o−)