秋だ! 食事だ! 大食いカルテットだ!
 目指せ一番 Mド秋の陣!







 春が過ぎ、夏が終わり、秋が来た!

 天高く、大食いカルテットが本領発揮す……じゃなくて馬肥ゆる秋!

 虹鱒も山女も肥えて味が良くなる秋!
 茸に栗にマタタビに山葡萄……山の味覚も楽しめる秋!
 なんだか色々あるけれど、やっぱり秋は食欲の秋!

 ――食欲と言えばやっぱり彼らっ!

 最近どうもガディムすら上回る食い方を見せていると噂の大食いカルテットだぁーーーー!





ぱーと1:誠 対 楓  宿命の対決!



 学校からの帰り道、偶然出会った楓と耕一は柏木家への道のりを歩いていた。

 特に交わされる言葉は無い。
 ただ、柔らかな空気が2人から流れてくるだけである。

 ふと、楓が足を止めてその店のガラス戸に張りつけてあった張り紙をみる。


 『全国大食い選手権開催中!
  30分以内にどれだけ食べられるか!?
  現在のトップ……藤井 誠(16歳)記録:40個!』



 楓の体から謎のオーラが放出される。

「……誠君……その勝負・・・・・・・受けましょう!」

 楓が小さく呟いた言葉に、傍らの耕一は小さく身震いした。

 そして、楓は戦場に……、
 某Mの字が付くハンバーガーショップに入っていく。

 ……30分後、記録が塗り替えられた事は言うまでも無い。





ぱーと2:風邪ひきスフィー(ちょっとらぶらぶ)



「だう〜〜〜〜〜〜」

 ベッドの中で、寝間着姿のスフィーがうなっていた。

「……38.7度、完璧に風邪だなこりゃ」

 健太郎が体温計を見ながら言う。

「あう〜〜〜〜〜〜」

 氷嚢を額に乗せて情けない声を出すスフィーに、健太郎が優しく微笑みかける。

「何か欲しいものあるか?」

 その言葉に、スフィーは少し考えると……、

「梨……食べたい……」

 と、答えた。

 頬の辺りまで毛布を引き上げたのは、
マスクの代わりにでもするつもりだったのか……或は……、

「梨だな? どれくらい食べたいんだ?」

「……風邪引いて調子出無いから……大玉で9玉くらい……」

 その答えに苦笑する健太郎。

「はは……風邪ひいても大食いだな、お前は……」

 そう言って立ち上がる。

「うぅ〜〜〜〜〜〜酷いよぉ〜〜〜〜〜」

 スフィーの声を尻目に、健太郎は階下の台所へと降りて行く。

 だから……、
 彼は……、
 彼の背中に……、

 スフィーがこう言った事を知らない。



「……ありがと、けんたろ……」





ぱーと3:みさき先輩  記録を塗り替える



 浩平とみさきが町を歩いていると、大抵大食いや早食いの張り紙にぶつかる。

 勿論、今回も……、

「お、先輩……Mドでハンバーガーの大食い選手権ってのがやってるぜ?」

「え? ホント?」

 浩平の腕を握り締めた盲目の先輩が楽しそうな声を上げる。

「でも、選手権って事は1位の人とか名前書いてあるんだよね?」

「ああ…って、いっつも張ってある藤井 誠じゃないなぁ……、
柏木 楓17歳……記録は……げっ!? 50個!?
どんな胃袋してんだ、この娘は!? ……先輩?」

 浩平は、自らの隣で妙なオーラを発する先輩に……恐怖した。

「フフフ……楓ちゃん……また腕を上げたみたいだね!」

「先輩?」

 みさきは浩平の腕をより強く握る。
 逃がさないと言いたげに。

「サポート、宜しくね浩平くん♪」

「……了解」

 30分後、勿論彼女も記録を塗り替えた。





ぱーと4:逆襲の誠 (まこと’ず かうんたーあたっく)



 土曜の放課後、Mドに立ち寄った誠達は張り紙を見て唖然とした。


 『現在のトップ
  川名みさき(18)記録:55個』



「ふっふっふ……やるじゃねーか、みさきさん!」

「……まーくん?」

 一緒に立っていたさくらが恐る恐る声をかける。

「まさか…・また?」

 あかねも一緒になって戦々恐々とする。

「さあ、行くぞ! 大食いカルテットのトップを獲る為に!
食欲魔人の名に恥じぬ記録を手に入れるために!
Mドの記録表よ! 俺は帰ってきた!!」

 そう言って……誠は店の中に入っていった。

 それを傍から見ていた浩之が、

「もう人間の食べきれる量じゃねーよ……あれ……」

 と呟いたのは秘密だ。





 あと、言うまでも無い事だが、記録はあっさり塗り替えられた。





(ED曲が流れる)

原作……STEVENさん著”HEART TO HEART”

こんなん書いた張本人……真魚


後書き

魚:…ってなわけで、如何だったでしょうか? 短編ギャグ。
ハープ:なんだかスフィーのとこだけらぶらぶな気がするけど……あそこだけ構成違うし。
魚:まじアンやった事ねーし、あの辺りでほのぼの感が欲しかったのだ。
ハープ:ほのぼのっつーか背中が痒くなるけど……、
魚:じゃかあしゃあ。
ハープ:そういや、今回、葵ちゃんとかノワールとかの後書きぎゃるずじゃないのんね?
魚:うみゅ、たまには本人顔出さんとな。
ハープ:ふっふっふ、そんな事言ってると……、
魚:――!! ちょっと待て! その手に持った棍棒は何だっ!?
ハープ:ふっ……こんな言葉を知らないの?
     ―魚の身を細かくするのに刃はいらない、ただ臼と杵があればいい――BY河豚田さん
魚:がぁーーーーー!! パクるな!! っつーか誰だ、河豚田って!?
  それよか俺すり身決定!?
ハープ:甘いわね、あたしがこれから作るのはかまぼこ♪
魚:ちょっ!! ちょっとまて! アレはねりも……、

 棍棒、威力発現中。

ハープ:さーて、あとは蒸して松葉が茶色になれば完成♪
     でも、毒が強そうなんだよねぇ……原材料真魚だし……、
     誰か騙して食べさせようかな? それとも産廃として棄てようかな?
     ……決めた、誠君が間違って食べないうちに棄てよう。

 ハープ、こそこそと舞台下手へ消えていく。

――幕。


<コメント>

浩之 「そういえばさ……お前って、TVチャン〇オンの大食い選手権には出ないのか?
    お前なら、『皇帝 岸』だろうが、『女王 赤坂』だろうが、『ジャイアント白田』だろうが、
    『ドクター射手屋』だろうが、問答無用で楽勝だろ?」(・_・?
誠 「いや……ずっと昔に、予選に出たことはあるんだよ」(−−)
浩之 「そ、そうなのか? で、結果は?」(・_・?
誠 「当然、予選は通ったぞ……でも、本選には出ていない」(−−;
浩之 「どうしてだ? 本番当日に体でも壊したのか?」(・_・?
誠 「……ディレクターに『勘弁してくれ』って泣きつかれたんだよ」(−−;
浩之 「――はあ?」(−−?
誠 「だから、あのまま俺が本選に出たら番組が潰れるから、出場を辞退してくれ、って……」(−−;
浩之 「……お前は、番組一つすら食い潰すのかよ?!」Σ( ̄□ ̄)
誠 「そういえば……今、思い出してみると……、
   あの時、楓さんやみさきさんらしき人もいたような……」( ̄▽ ̄)
浩之 「……そのメンツなら、楽に潰せるだろうな」(−−;