Heart to Heart

 番外編 『それでは良い夢を 〜フラン編〜』







「誠様、誠様」

 リビングで気持ちよく寝ていたところ、俺は呼びかけられ目を覚ました。

 んんっ、俺をこんな呼び方をするのは……、

「フラン、どうし…………た?」

 振り返り見たものに俺は少し考え込んだ。
 何を見たのかって? 俺が見たもの、それは……、

 輝きのある瞳、水分を含んだ柔らかな生髪、感情が見事に表れている優しい笑顔。
 それは誰が見ても人間、いや女の子そのものだった。

 誰だ、この子? 俺の知り合いじゃフランに一番感じが似てる……、

 そういえばこの子、俺の事を確か『誠様』って呼んでよな。
 まさか……、

 その考えは、俺にとんでもないことを連想させた。
 そして、導き出された答えの正違を目の前の女の子に求めた。

「フラン………なのか」

「はい。誠様」

 その答えに、俺はもう一度目をこすり、あらためて目の前の人物、フランを見直した。
 ……が、改めて見直してみても、先ほどのフランと特に変わったとこなどなかった。

 どう見ても、人間の女の子にしか見えないし……、
 まあ、またルミラさんが仕組んだことなんだろうけど、とにかく今のフランは……、
















かわいい!!
















 思い浮かべて欲しい。

 普段、無表情の女の子が、自分の目の前で微笑んでいる姿を。

 これに萌えないヤツがいるだろうか?
 いいや、いない。そんなヤツがいるはずない!

 そう豪語できるくらい、今日のフランはかわいかった。

 なにより、今のこの姿が、フランの望んでいたものなのかもなしれないしな。

「誠様、そんなに見つめられると……恥ずかしいです」(ポポッ)

「あ? ああ、悪い。それでフラン、何か用事があったんじゃないのか?」

 俺は自分の考えを悟られないようにするため、あえて話題をずらすことにした。
 それにこれ以上見つめてると、さくら達に何を言われるか分ったものじゃないし。(汗)

「実は、これから御夕飯の買い出しに行きたいので、今夜の献立をお聞きしようと思いまして。
眠っている誠様を起すのは戸惑われたのですけど……」

 なんだそんなことか。
 てっきり、こんなとこで寝てるから余計な心配をかけたのかと思ったけど。

「ん〜、そうだな……今夜はコロッケが食べたいな。無論、フランの手作りのモノをな」

「はい!」

 そういって笑顔で応えるフラン。
 やっぱり、いつものフランより輝いて見える。

「それでは行ってきますね。……あなた(ポッ)


 ――ん?
 最後になんか聞こえた気がするけど、まいっか!
















 今夜はコロッケ〜♪
 美味しいコロッケ〜♪








 出来立てアツアツ
コロッケ〜〜〜〜♪

















「あ、そうそう忘れるとこでした」

 そう言って、きびすを返し俺に向かって……、

「誠様、あすかちゃんのお世話、お願いしますね」

 そういって奥の部屋へと消えていった。

 …………あすかちゃん? 誰のことだ?

 以前、遊んであげた(遊ばれた)女の子に、そんな名前の子はいなかったし……、
 う〜ん…………思い出せん。

「フラン! あすかちゃんって、誰だっけ?」

 俺はその疑問を、フランに尋ねることにした。

 その発言にフランはものすごい早さで俺の目の前に立つと、
不安と悲しみの面持ちで逆に尋ねてきた。

「誠様、忘れられたのですか!?」

 そして、とどめとばかりに哀願の眼差しを向ける。

「そ、そんなわけないだろ」(汗)

 俺は咄嗟に嘘をついた。

 ここで、本当のことを言ってもよかったが、
フランを、これ以上動揺させないため、あえて言わなかった。

 その言葉に安心したのか、フランは落ち着きを取り戻し安堵の息をする。

「そ、そうですよね。誠様が忘れるわけありませんよね」

「あ、ああ。そうとも」

 俺の返答に安心したのか、フランは笑顔に戻っていく。
 しかし、俺はフランの次の発言に驚愕する。

「誠様が私との子供の名前を忘れるはずありませんものね」
















 いまなんていった。
















 こども………………おれと…………フランの……………………子供……、
















 そんなばかな〜〜〜〜〜〜!!
















 驚きのあまり、思わず思考が停止する俺。
 数秒後、再び動き出す俺の頭脳は必死にこの状況を打破しようとした。


 あ、そうか。これはギャグなんだ。

 浩之で言うとこの『あかりギャグ』なんだ。

 そうだ、そうに違いない。


 でなきゃボケか!

 冬弥兄さんで言うとこの『天然由綺ボケ』なのか。

 そうだ、きっとそうに違いない。


 そうじゃないなら、ドッキリか!?

 母さんか、またはルミラさんが、
実は密かに設置された隠しカメラでこの事を見ているのかもしれない。

 そうだ、そうに違いない。


 そうだ! そうなんだ!!
 そうに違いないんだ。そうあって欲しい。そうあって……、
















 頼むからそうゆうことに
してくれ〜〜〜〜〜〜!!

















 だが、俺の魂の叫びも虚しいか決定打は放たれた。

「はい、誠様」

 そういって、フランが抱えて来た布に包まれたもの。

 ちいさい手、柔らかそうな紅いほっぺた、可愛らしい耳。

 それはどう見ても……、
















 赤ん坊だった。
















 ハリウッド顔負けの精巧に出来た人形かとも思ったが、
それには間違いなく脈があり血管が透けて見えた。

 正真正銘の赤ん坊である。

 そして、金髪に蒼い瞳という赤ん坊の特徴は、間違いなくフランの子供である証であった。
 なにより……、

「ほ〜ら、あすかちゃん、パパですよ〜♪」

「きゃ〜い♪」

 フランのこの可愛がり方はどうやっても、愛情あふれた母親の姿にしか見えなかった。
 フラン、いつの間にお前はそんな顔をするようになったんだ?(泣)

 やっぱり、あれか、この間のことが原因なのか。

 でも、あの時はああしないとまずかったし……、
 でも、結局こんなことになってるし……、


 あかね、さくら、エリア、すまない。
 こうなったら俺も腹を括って責任を……って……、

 そうだ、そうだよ! あかね達は何処にいるんだよ。

 俺はその場にいないあかね達に、最後の望みを託すことにした。

 あかね達ならきっとこの状況から脱出させてくれるはずだ。

「フラン、あかね達は何処なんだ?」

 だが追い詰められた俺に対する返答は、脱出どころか監獄送りだった。

「誠様、今は三人とも病院じゃないですか」

 まさか………ひょっとして…………、

「もちろん産婦人科ですよ」
















 やっぱり(号泣)
















 この時、俺は本当に最後の祈りを神様に捧げた。

 ああ、神様、たのむから、お願いだから……、(大泣)
















 夢なら覚めてくれ〜〜〜〜!!
















「誠様、誠様」

「う〜、うう〜」

「誠様!」

「わあ!」

「きゃっ」

 勢いよく起き上がり、ぐるりと辺りを見回す誠。
 そこにあるのはPC、机、2つの抱き枕、いつもの布団、そして……、

「ま、誠様」

 いつものフラン。

「誠様、大丈夫ですか」

「ああ、大丈夫だ」

 時計を見ればもうすぐ7時になろうとしていた。

 フランは誠を起しに来て、
 そして、誠がうなされているのを見て駆け寄ったのである。

「酷くうなされてましたが、悪い夢でもご覧になりましたか?」

「夢? そうか、夢か」

 そうだよな、夢だよな。
 フランが人間になって俺との子供を抱きかかえていたとか……、

「……………」

 しかも、あかねやさくら、エリアも身篭っていたとか……、

 こそこそ

 全部夢なんだよな。
 そうだよな、そんなことがありえるわけないもんな。うんうん。

「あれ、フラン何処だ?」








 部屋で誠がフランを探している頃、そのフランはというと……、



「誠様がワタシとの子供の夢をご覧に」(ポッ)



 台所で1人、誠が口走った夢の内容に紅くなっていた。








 それから、フランの愛読本は『ピノキオ』になったとか、ならなかったとか。








<おわり>


後下記

 ど〜も。

 今回、初めてSSというものを書きましたがとても難しいですね。(^^;)
 こんな苦労のもと出来ているものに色々言っていた自分に恥ずかしくなります。

 話の内容は143話の数日後といこと設定になっています。

 誠はこの後、悪夢にうなされたんじゃないのかな?+フランにもお母さんになって欲しいな☆
 ……という想像で書いてしまいました。

(祐一が真琴にしてあげたことが、誠に出来ないはずがないって言うところもありますが(^^;)

 こんな不出来な作品を読んで下さった方がいるのならば、
これについて感想、またはアドバイスなどを下さい。



 それでは最後に『誠君、よい夢を』――


<コメント>

フラン 「ワ、ワタシがもし子供を産んだら、『あすか』という名前になるんですね?」(*・_・*)
誠 「ま、まあ……そういうことになるらしいな……」(^_^;
さくら 「さやか、えりか、あすか……三姉妹として語呂も良いですね」(^▽^)
えりか 「と、ところで……やっぱり、あすかお姉様もブラコンだったりするのですか?」(^_^?
STEVEN 「そりゃあもう……姉妹揃って極度のブラコンだよ」(^〜^)
さやか 「はえ〜……まーくんも大変だね〜」(^_^;
誠 「お前が言うなよ……」(¬_¬)
STEVEN 「まーくんのJrの苦労はそれだけじゃないぞ!
        姉妹に加えて、さらに、もう一人加わるからな!」(^▽^)/
さやか 「……誰なの?」(・_・?
STEVEN 「……藤田 ひかる」(−o−)
誠 「ぶっ!!!」Σ(@○@)
STEVEN 「名前を聞いて分かるとおり、浩之とあかりの娘だな」(^〜^)
誠 「ちょっと待て……ということは、場合によっては……」(−−;
フラン 「藤田と藤井の血が一つになる可能性があるわけですね」(^_^;
誠 「その表現……なんかイヤだ」(;_;)
STEVEN 「おまけを言うと、そのひかるちゃんの貞操を狙うレズ娘も一人」(−o−)
誠 「あー、なんかもう想像が出来たから聞きたくない〜っ!!」<(T△T)>
STEVEN 「その名は、佐藤……」(−o−)
誠 「あーっ!! 聞きたくない聞きたくないっ!!
   俺は何も聞こえないーーーーーっ!!」<(T△T)>
さやか 「な、なんか……設定聞いてるだけでも頭痛くなってくるねー」(^_^;
えりか 「私達の世代も、波乱万丈のようですね」(^_^;