俺は今、ある『強敵』と戦っている。



 毎日の様に戦い・・・そして勝利を収めてきた。



 だが、今日の敵は手強い・・・。



 俺のあらゆる戦術・戦略をはねのけたのである。



 このままでは・・・時間に間に合わない・・・。



 ・・・どうすれば良いのだ?







愉快な水瀬家






「なーゆーきー! 起ーきーろーーー!!」



 耳元で叫びながら、グースカ爆睡している名雪を揺する。



 なお、俺は既に準備OKである。








「うにゅ・・・お腹いっぱいだお〜」








 お約束のセリフを言いながら、名雪は寝返りをうつ。



 ちなみに、今の時刻は100mを8秒台で走れば間に合う時間だ。



 ようするに遅刻確定だが・・・。



 今日の1限は遅刻に厳しい古典なので、その真っ只中に突っ込むのだけは避けたいのである。



(・・・・く、今日はさすがに手強いな・・・・・・・・一体何が原因なのだ?!)



 焦りながら周囲を見まわす。



 その瞬間、珍しく名雪にベッドから蹴落とされているフサフサ蛙・・・けろピーに俺は目を付けた。



「貴様か? 貴様が原因なのかぁ?!」



 目にも止まらない動作で拾い上げ、足を掴んで思いきり壁に向かって投げつける。



 いわゆる・・・八つ当たりだったりしたのだが・・・・。



 そのあまりにも強い激突のショックで、けろピーの首がもげた。








「・・・・・・・・・ぬはぁっ?!」








 思わず妙な叫び声をあげてしまう俺。








「くー・・・」








 しかし、名雪はその叫び声ですら起きない。



起きてない、良かった・・・・・って良くないじゃん!



 自分の発言に突っ込む俺。



 とりあえず、慌てず騒がずに・・・・・脳内会議を始める。








祐一A(名雪が起きない・・・このままでは遅刻確定だぞ!)



祐一B(しかし、ありとあらゆる作戦を試行したのに・・・起きる気配は見えんぞ)



祐一C(・・・・作戦が無いわけではないぞ)



A(本当か?! 祐一C!!)



C(ああ・・・だが、危険過ぎる)



B(何でも良い! 今名雪を起こさなければ遅刻確定なのだ!!)



C(・・・・・『ぢゃむ』だ)



B(『ぢゃむ』と言うと・・・・)



A(『アレ』・・・か?)



C(そうだ・・・回収の際に、かなりの危険が伴ってしまうが・・・・)



A&B((手段を選んでいる余裕は無い・・・・か))



C(・・・・・・・そうだ)








 脳内会議終了。



 俺は死を覚悟して・・・・オレンジ色の悪夢を回収するために、一階へと向かった。

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 水瀬家の朝の一階。



 そこは、秋子さんが作った・・・食欲を誘う匂いで満ちていた。



「おはようございます、祐一さん」



(だが・・・俺の目的は朝食ではない)



「おはようございます・・・すいません秋子さん、甘くないジャム・・・ありますか?」



 俺のその言葉に、たちまち嬉しそうな笑みを浮かべる秋子さん。



「ええ、たくさんありますよ・・・少し待ってくださいね」



 いそいそとキッチンの奥へと消える秋子さん。



 そして、すぐに戻ってくる。



「さあ、遠慮無く食べてくださいね♪」



 気のせいか語尾に♪を付けて、ドン!とオレンジのゲル状物質が入ったビンをテーブルに置く。



「いえ・・・食べるためじゃないんです、名雪を起こすために・・・」



 額に滝の如く汗を流しながら、秋子さんに言う。



 俺には、このオレンジ色の悪夢を食す勇気・・・無謀な精神など持ってはいない。



「これは人を起こすための物じゃありませんよ?」



 いつものスマイル&ポーズで言う秋子さん・・・目が笑ってなくてメチャクチャ怖いです。



「えっと・・・・弁解は後ほどに!」



 『ぢゃむ』の蓋を空けてスプーンですくい、ダッシュで名雪の部屋へと戻る。



(第一作戦成功・・・・・後が怖いけど)

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 無論、名雪はまだ爆睡中だった。



「くっくっく・・・貴様の夢の世界も、コレでお終いよ」



 ゲームなどの悪役が喋りそうなセリフを吐きながら、名雪に接近する。








「・・・・にゅ〜〜〜」








 本能で『ぢゃむ』の存在を感知したのか、名雪は不快そうな顔をしてモゾモゾと寝返りを打つ。



おやすみ・・・そして、おはよう名雪!!



 意味不明な事を口走りながら、名雪の口の中にスプーンを押し込む。



「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・?!」



 瞬間、クワァっと目を見開き・・・・。








 
ドタ ドタ ドタ ドタ ドタ バタ!








 俺を押し退けてダッシュで部屋を出て行く名雪。



 ドアは開けっ放しだ。








 
ドタ ドタ ドタ ドタ ドタ ドタ ドタ ドタ ドタ・・・・バタン!








 多分、口をゆすいでいるのだろう。








 ・・・
バタン!・・・・ドタ ドタ ドタ ドタ ドタ ドタ ドタ ドタ!!








「ゆーうーいーちーーーー?!?!」








 そして、憤怒の形相を浮かべた名雪がドアの所に仁王立ちする。



「まぁ待て、ゆっくりと話し合おうじゃないか・・・」



 名雪から立ち昇る、ただ事じゃない雰囲気に気圧されてしまう俺。









「・・・・・・・・・・・・・『ぢゃむ』」








 名雪が、恐ろしい事をボソリと言う。



「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・は?」



「祐一のコレからの一週間の御飯全部『ぢゃむ』!
朝も昼も夜も全部『ぢゃむ』!!」



(・・・・・・・・・・げ)



「名雪さん・・・ソレだけはご勘弁を」



 俺は土下座して、名雪に許しを乞う。



「絶対に許さないよ!」



 珍しく、本気で怒っている名雪。



(・・・・そんなにあの『ぢゃむ』が嫌いなのか・・・)



「そこを勘弁してくれ・・・ほら、けろピーもこのつぶらな瞳で・・・・
げはぁっ?!



 横に転がっていたので、盾のように名雪に突き出したけろピーは・・・首から上が無かった。



(そ、そう言えば・・・・八つ当たりで・・・・)



 顔面蒼白になる俺。








「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・祐一のコレからの1ヶ月の御飯全部『ぢゃむ』!!!!」








 この後、祐一達が派手に遅刻し・・・一限どころか、三限の真っ只中に乱入したのは・・・。



 微笑ましいエピソードの一つに過ぎなかったりする。



「おい! 俺のこれから1ヶ月の食生活は?!」



 では、皆さん・・・ごきげんよ〜♪



おい!オイってば!!・・・って、ギャーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!」









完!



後書き



 え〜・・・・・・・オチ、どこでしょうかね?(爆)

 ネタが重複してそうだ…。



健康胞子


<コメント>

あかね 「まーく〜〜〜ん♪」(*^^*)
さくら 「朝ですよ〜♪」(*^^*)
エリア 「さあさあ♪ もう起きないと……」(*^^*)
フラン 「ち、遅刻してしまいますよ……(ポッ☆)」(*・・*)

さくら・あかね・エリア・フラン 「「「「――ちゅっ☆」」」」

誠 「――ん? ふぁ〜……おはよう、みんな」\(−o−)/

さくら 「うふふ♪ 祐一さんも毎日大変ですよね〜」(^〜^)
あかね 「でも、こんなに簡単な方法があるのに、何で使わないんだろうね?」(・_・?
エリア 「きっと照れているんですよ」(^〜^)/
フラン 「…………はて?」(−−?
誠 「ん? どうした、フラン?」(・_・?
フラン 「そういえば……ちょっと耳にした事なのですが、何処ぞのお屋敷に、
     いくら呼んでもなかなか目覚めてくれない方がいるとかいないとか……」(−−;
誠 「へー……って、お前、そんな話を何処で仕入れて来たんだ?」(・_・?
フラン 「メイドにはメイド独自の情報網があるのです」( ̄ー ̄)
誠 「そ、そうなんだ……」(^_^ゞ


 一方、某屋敷の某男性の寝室にて――


??? 「お願いですから、いい加減起きてください〜」(T_T)
??? 「あらら〜♪ これはもう、フランソワーズさんに教わった、
      あの方法を試すしかありませんね〜♪」(^▽^)
??? 「となれば、当然、それはこの私の役目ですよね♪」(^ー^)
??? 「そ、そんなっ! 横暴です! ここはやはり、専属のメイドであるわたしがっ!」(*・・*)
??? 「いえいえ、こういう事は、お姉さんに任せてくださいね」(*^〜^*)
??? 「ふっふっふ〜♪ ここはやっぱり、正ヒロインのわたしが……」(^〜^)
??? 「待ちなさいっ! 誰が正ヒロインですかっ!?」(−−メ
??? 「あーもう、うるさいなーっ! カレー娘はインドに行っちゃいなさいよっ!」(−−メ
??? 「なんですってーっ!!」( ̄□ ̄メ

??? 「ぐーぐー……」( ̄▽ ̄ZZZ