みなさん、こんにちは。姫川琴音です。
 わたしは今、のんびりと公園をお散歩中です。
 ポカポカ陽気が気持ちよくて、気分がよくなって、ついつい歌なんか口ずさんでしまいます。

「にゃんにゃんにゃん♪ わったしはねこっちゃ♪ 純情可憐なおっとめなのぉ〜♪」

 歌うのは甘く切ないバラード、『ばーにんぐねこっちゃ』。わたしの大のお気に入りです。

 それにしても、本当によく晴れた気持ちのいい日ですねぇ。
 こんな日は思わず……、


 藤田さんのお宅へ出向いていって……色っぽく迫って……誘惑して……既成事実を作ったりなんかしたくなっちゃいますよねぇ。


 なーんちゃって。冗談ですよ。そんなことするわけないじゃないですか。


 今はまだ……ね。


 うふっ。




『捨て猫?』
〜ねこっちゃサイド〜




 ――などと、非常に恋する乙女らしいことを考えながらお散歩をしていると……前方に見知った顔を見付けました。
 藤井さんと……………………へ? なに、あれ?
 あの人って、柏木楓さん……ですよね?
 って言うか、猫?
 猫耳に猫尻尾。肉球グローブと肉球ブーツ。さらには鈴付きの首輪。
 それらの『萌え萌えパーツ』を完備した……まごうことなき、猫?

 うむむ。あの方も猫属性だったのですね。
 栄えある『ねこっちゃライバルリスト』に加えておくことにしましょう。

 それにしても……いったい何をしてるのでしょうか?
 もしかして、逢い引き?
 ……ま、まさかね。
 う〜ん。なんにしろ、非常に危うい気がします。危険です。デンジャーです。ドキドキです。近寄ってはいけない、関わってはいけないと防衛本能がシャウトしています。

 それなのに……ああ、それなのに。

 夢見る乙女は好奇心旺盛。
 いけないいけないと思いながらも、二人の方へ向かってしまうのでした。

 物陰に身を隠しながら。それも、気配を完全に消して。

 その甲斐あって、数秒後には、お二人に気付かれることなく、話し声がはっきりと聞こえる距離にまで近付くことが出来ました。

 ふっ。我ながら見事です。まるで本物のスパイみたいです。


 これも、常日頃から藤田さんの後を尾行している成果ですね。


 ……な、なーんちゃって。冗談ですよ、冗談。そ、そんなストーカーみたいなことをするわけないじゃないですか。あ、あは、あはははは。


 ……………………。
 ……こほん。


 まあ、それはさておき。
 せっかく近付いたのですから、お二人の会話を聞いてみましょう。
 決して、誤魔化しているわけでも、話を逸らそうとしているわけではないですよ。ええ、そうですとも。


 それでは……えっと、なになに……、


「なあ、楓さん……何やってんだ?」
「……捨てられちゃいました」
「誰に?」
「……千鶴姉さんに」


 ……どうやら、今の楓さんは、猫は猫でも捨て猫さんらしいです。
 それにしても、よりによって千鶴さんに捨てられただなんて……。
 あの優しくて家族想いの千鶴さんが妹を捨てたりするでしょうか? ちょっと考えられませんね。
 だから、きっとこれは、藤井さんと楓さんとの『捨て猫ごっこ』をする際の『シチュエーション』なのでしょう。
 そうですとも。そうに違いありません(建前)


 (千鶴さんに捨てられたですって? 千鶴さんならやりかねないですね。あの人だったら、妹だってポイッと捨てられるでしょうから(本音))


「何で?」
「……抜け駆けしたお仕置き、だそうです」
「あんたら姉妹、何気に仲悪いのか?」
「……そんなことありません」
「じゃあ、一体何やったんだよ? お仕置きなんぞで、こんなトコに置き去りにされるなんて」
「……昨日、耕一さんが帰って来たんです」
「ほ、ほほう……。で、どうしたんだ?」
「……はい。それで、私、昨夜、耕一さんのお布団の中に潜り込んだんです。で、そのまま朝まで……」
「そんなの怒るに決まってるじゃねーか」


 ……うん。やっぱりシチュエーションですね。絶対に。決定。
 だって、本当にそんなことをしたら、楓さんが今この瞬間に息をしているわけがないですもの。

 しっかし、『捨て猫プレイ』とは藤井さんも『良い趣味』してますねぇ。
 なかなかに倒錯チックで素敵です。
 だけど、藤井さんってば、あかねちゃんを差し置いて楓さんと『にゃんにゃんプレイ』に興じるとは、どうした風の吹き回しでしょう。
 あかねちゃんには飽きてしまったのでしょうか?
 それとも、あかねちゃん一人では満足出来ないのでしょうか?
 もしかして、藤井さんって『あっち』の方でも大食漢?
 藤井さんってば…………意外と『ワイルド』なのかも。ちょっとドキドキです。


「……というわけで、拾っていってください」
「…………は?」
「……私、今、捨て猫ですから、誰かに拾ってもらわないとここを動けません」


 楓さんは捨て猫。
 その楓さんを拾ったら、藤井さんは楓さんの飼い主。
 飼い主とは、つまりはご主人様。
 そして、楓さんは藤井さんに拾ってほしいと言っている。
 ――ということは……、

 楓さんは、藤井さんにご主人様になって欲しいのですね!!
 間違いありません! そうに決まってます!
 わたしの見事な論法が証明済みです!!

 『ごっこ遊び』とはいえ、そんなことまで要求してしまうなんて……楓さんって大胆。
 思わず見直してしまいました。

 さてさて、それに対して藤井さんは何と答えるでしょうか。


「はいはい……じゃあ、拾わせていただきますよ。んじゃ、サッサと行こうぜ。エリ…………」


 きゃーきゃー♪
 拾っちゃうんですか!? 拾っちゃうんですね!?
 それって、つまりは、楓さんのご主人様になるのを承諾するってことなんですね!!
 さくらちゃんにあかねちゃん、エリアちゃんにフランちゃんに加えて、楓ちゃんにまで手を出そうというのですね♪

 はっ!? ち、ちょっと待って下さい。
 そもそも、こんな『子猫ちゃんとご主人様プレイ』をするような間柄なのですから、お二人はとっくに深〜い仲になってるのでは!?
 わたしが知らなかっただけで、もう既に、平気で『野外調教』をしてしまうような凄い関係なのでは!?
 そうよ! そうに違いないわ!!

 藤井さんって、きっと家では、5人の女の子に囲まれた『愛欲にまみれた淫靡な日々』を送っているのね。
 『あ〜んなこと』や『こ〜んなこと』もしてるに違いないわ。  そして……そして……あまつさえ……。


 や〜〜〜ん。藤井さんってばエッチなんですからぁ〜〜〜☆


 ……………………あ、あれ?

 気が付くと、藤井さんも楓さんもいなくなっていました。
 ほんのちょっぴり、考えに耽ってしまっていたみたいです。

 ううっ。それはともかく、結果として、もの凄い特ダネを掴んでしまった気がします。
 まさか、藤井さんが楓さんまで毒牙に掛けていたなんて。
 でも、このことは、わたしの胸の中だけにとどめておきますね。
 わたしには、長岡先輩のように、他人のプライバシーを公開する趣味はありませんから。
 だから、安心して、5人の女性との『肉欲の日々』を満喫して下さいね。

 わたしは、心の中で、藤井さん達に熱いエールを送るのでした。


 それにしても……『フル装備屋外猫にゃんプレイ』……ですか。

 …………今度…………うふふ♪





 ――― 数日後 ―――

「にゃ〜」
「……」
「にゃ〜にゃ〜」
「…………」
「にゃ〜にゃ〜にゃ〜」
「………………」
「にゃ〜にゃ〜にゃ〜にゃ〜」
「……あのさぁ。なにやってるの、琴音ちゃん?」
「にゃん。わたし、捨て猫さんなんです」
「…………………………………………は?」
「ですから、早く拾って下さいね。ふ・じ・た・さ・ん☆」



 このあと、わたしたちがどうなったかは……秘密です。



 くすっ♪





< おわり >



 ☆ あとがき ☆

 こちらには久しぶりの投稿となります、駄文書きのHiroです(^ ^ゞ

 えっと……とにかく……

 STEVENさん、『HtH』のファンの皆様、誠君のファンの皆様、楓ちゃんのファンの皆様……

 そして、なによりも、琴音ちゃんのファンの皆様

 ごめんなさいm(_ _)m

 まーた、おバカな話を書いてしまいました。笑って許してやってくれると有り難いです(;^_^A

 それでは、また何処かでお会いしましょう\(>w<)/


<コメント>

誠 「ど〜すんだよ〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!」<(T△T)>
楓 「……何が?」(・_・?
誠 「楓さんのせいで、琴音ちゃんに妙な誤解を受けちまったじゃねーかっ!」(T_T)
楓 「……何のこと?」(−−?
誠 「何って……もう、いい。幸い志保じゃなくて琴音ちゃんだったから、
   大した被害はなかったし……」(−−;
楓 「……そう」
誠 「しかし……あの後、浩之はどうしたんだろうな〜?」


あかり 「ぶーぶー! 浩之ちゃんの浮気者ーっ!」(−−メ
マルチ 「不倫はいけませんよー」(−−メ
浩之 「だ、だってよ……置き去りにするわけにもいかねーだろ?」(−−ゞ
琴音 「にゃーにゃー♪」(*^▽^*)