[前書き]

 この作品は、「Leaf Another Story」とのクロスオーバー作品です。
 「Leaf Another Story」については、ここを参照。







「今日集まってもらったのは……他でもない」

 俺は、さくらとあかねを集め、
一人、司令官のように、任務を言い渡す。

「何だか今日のまーくん、変に乗ってます……」

「うみゃ〜、嫌な予感がするよ……」

「そこ、無駄口を挟まない!」

 俺は愚痴を言う二人に、一喝を入れる。

「そ、それで……まーくん、今日はどんな用ですか?」

 さくらが、おずおずと、用件を尋ねてくる。

「うむ、それは――」

 俺は重々しく口を開く。

 さすがに、さくら達も、
状況を察してか、表情が真剣なものになる。





「――本宮さんの、髪型の事だ」






Heart to Heart
×
Leaf Another Story

2nd Impression 「秘密」







「…………」

「…………」

「…………」

 途端に白ける場。

 そんな反応されると、
こっちまで困るじゃないか……、

「さ〜て、お夕飯の支度支度……」

「うみゃあ〜、本の整理本の整理……」

「帰るなぁぁぁぁぁっ!!」

 教室の入り口に向かって、
歩き出すさくら達を、俺は必死に引き止める。

 しかし、彼女達は目を合わせようとはしない。

 仕方ない……、
 こうなったら奥の手を使うか……。



「実は、俺……その事が気になって、
昨日の夕食は、ご飯、普通盛り二杯しか入らなかったんだ」



 俺のその言葉に、
さくら達は血相変えて、俺に駆け寄ってくる。

「大丈夫ですか、まーくん? しっかりしてください!」

「まーくん、死んじゃやだ! やだぁぁぁ!!」

「お、おいおい二人とも……」

 些細な事で、俺を、ここまで、
心配してくれる二人に、かなり罪悪感が沸いてしまう。

 ちなみに、「晩飯が普通盛り二杯しか入らなかった」というのは言葉のあやで……
 正しくは「家計的に厳しかったので、二杯しか食べられなかった」である。

 おかげで昨日は、空腹で目が冴えまくってたからな……、

「ご、ごめん……晩飯二杯しか、
食べなかったのは本当だけど、俺は平気だから……」

 必死な二人を目の前にして、俺は謝罪の言葉を述べる。

 何だか自分の発言が、軽率過ぎたような気がして……、

「まーくん、本当に大丈夫なんですか……?」

「うみゃ……まーくん、死なないの?」

「お……おう、大丈夫だぞ、ほ〜ら」

 自分が、大丈夫だとアピールするために、
さくら達の目の前で、ピョンピョン跳ねる。

「まーく〜〜〜〜んっ!!」

「うみゃあああぁぁぁ!!」

「おぉうっ!?」

 二人の少女の、大胆なボディーアタックを前に、俺は少したじろぐ。

 しかし、それも、俺を想っての事だ。
 甘んじて受け入れてやるっ!

     ・
     ・
     ・





「さて……それじゃあまーくん、行きましょうか」

「えっ? 行くって、何処に……?」

 俺の言葉を聞くと、
さくらは、やれやれと溜息をついて……、

「もう……本宮さんの事、
調べるって言ったの、まーくんじゃないですか」

「まーくん、早く行こうよ!」

 さくら……あかね……、

 すまないな……、
 俺の我侭に付き合わせちまって……、

「その代わり……、
ちゃんと後で、報酬は頂きますからね」(はぁと)

「……甘んじて、受け入れさせていただきます」








「さて、二年の教室にやって来た訳だが……、
肝心の本宮さんは……」

「あっ、いたいた! あそこだよ!」

 あかねの指差す先……、
 そこには本宮さんが、机に座っていた。

 しかし、改めて見てみても……、

「アレ……だな」

「アレ……ですね」

「アレ……だよ〜」



〜特別図解〜

画・本宮 利幸 (作者)



「今回の任務は、アレの正体を調べることだ……、
どう見たって、寝癖の類じゃないだろう」

「そういえば……」

 さくらが顎に指を当て、何か考え込む仕草をする。

「私帰りに見かけた事があるんですけど……、
本宮さんって、通学路では、帽子を被っているんですよね」

「なに? って事は、帽子を被った上で、あの髪型って事か?」

「はい……」

 う〜ん……理緒さんの親戚じゃないってあたり、更に怪しいぜ。

(あっ! まーくん、本宮さんがこっちに来るよ!)

(なっ……取り敢えず隠れるぞ)

 あかねのアイコンタクトにより、
俺達は、素早く、隣の教室に隠れる。

 本宮さんは俺達に気付くことなく、教室を出ていった。

「まーくん……これからどうします?」

「と、取り敢えず……後をつけよう」





 二階の廊下で――

「や、先輩じゃないか……、
え? 新しい召喚術の手伝いをしてほしい?
悪いな、今日は先約が入ってるんだ。また今度にしてくれないかな」

「…………」(しゅん)

「そんな顔しても、今日は無理だって……、
俺にも予定はあるんだからさ。
そうだな……明日は空いてるから、明日で良いか?」

「…………」(こくこく)

「すまないな……それじゃあ先輩、また明日」





 一階の中庭前で――

「おや、琴音ちゃん? 俺に用?」

「はい……本宮さんって漫画描いてますよね?
実は、絵のことで、少し相談があって……」

「う〜ん、困ったな……、
今日は、今から約束が入ってるし……、
明日の昼休み、もう一度良いかな?」

「う〜ん……そういう事なら仕方がありませんね」

「すまないな……それじゃあ琴音ちゃん、また明日」





 校門前で――

「あ……葵ちゃん、これから部活?」

「あ、本宮先輩! 先輩も一緒にどうですか?」

「い、いや……今日はちょっと予定があって」

「そうなんですか……」

「明日の夕方からなら、
空いてるかと思うけど……それでも良いかい?」

「はいっ! もちろんです!」

「それなら、そういう事で。すまないな、葵ちゃん。また明日」





 そして――
 帰り道の途中の公園で――

「は〜い、利幸☆」

「利幸さん、こんにちは」

「や……綾香にセリオじゃないか」

「利幸、これから帰りでしょ? 私達に付き合わない?」

「あ、綾香様……そんな簡単に付き合うだなんて」(ぽっ☆)

「ははは……申し出は嬉しいけど、
俺はこれから用事があるんだ」

「う〜ん、それじゃしょうがないわねぇ……」

「すまないな、二人とも。それじゃ」





「凄いスケジュール把握能力ですね……」

「しかも誘いをうまい具合に断ってるしな……、
俺には、絶対、真似できない芸当だ」

 というか、俺にもあんな能力ほしいぞ。





「さてと……」

(…………!)

 本宮さんは、帰り道の途中で、唐突に立ち止まる。

 そして――



「藤井誠……そんな所で一体、何をやってんだ?」



 これ以上、隠れて歩く訳にもいかないので、
俺達は、本宮さんと、面と向かって対峙した。

「い、いつから気付いていたんですか……」

「気付くも何も、俺は、藤井誠が、
教室の入り口から覗いていた所から知ってたぞ」

「ぐはぁ……」

 本宮さんには、全部、お見通しって訳か……、

「それにしても……、
園村さんに河合さん、三人揃ってご苦労な事だな」

 ……あれ?

「本宮さん、さくらとあかねの事、今……」

「ん? 園村さんと河合さんがどうしたって?」

「それじゃあ、俺の事は……」

「――藤井誠」

「何で俺だけフルネームなんだ!?」

「いや……藤井誠って、まーくんとか誠さんとか誠君とか、
色々呼ばれてるみたいだから差別化を図る意味でさ」

「ワケわかんないんですけど……」

     ・
     ・
     ・





「それよりも本宮さん!
あなたの髪型について聞きたいんですよ!」

 このままだと、本宮さんに、
話をはぐらかされそうだったので、俺は強引に話を切り出した。

 ちなみに、本宮さんには、
逃げられないように、俺の家に来てもらっている。

 まぁ……本宮さんいわく『通り道』らしいし。

「俺の……髪型?」

 その言葉を聞くと、
本宮さんの表情は急に真剣なものになる。

「三人とも……俺の言う事を信じる信じないは勝手だが、
一応、俺の言う事はみんな真実だ。
そして、それを気安く口外してはいけない。
以上の条件は守れるか?」

 その真剣さに、少したじろいでしまう俺達。

 でも、せっかく、秘密を、
本宮さんが話してくれるっていうんだ……、

 ……これに乗らない手はないだろう!

「分かりました……俺結構口堅い方ですから」

「まーくんが言うのでしたら、私も」

「私達四人の秘密だね」

 俺が賛成したのを皮切りに、さくらとあかねも賛成してくれる。

「じゃあ、良いか。話すぞ」

 その言葉と同時に、
本宮さんの表情が一層真剣なものになって……、








「こいつはな……電波アンテナなんだ」








「…………は?」

 唐突に、本宮さんから、
突き付けられた現実に、俺はただ唖然とするばかりだった。

「だから言っただろう? 信じるも信じないも勝手だって」

「そんな事急に言われても、証明できるものは……」

「そうだな……」

 本宮さんは少し考え込むと……、

「――河合さん、今、眠いかい?」

 唐突に、そんな事を聞いてきた。

「うみゃ? 私、全然眠くないけど……」

「そうか、それなら試し甲斐があるな」

 そう言うと本宮さんは、
突然、あかねの前に片手を翳して……、

「――眠れ」

 一言だけ、そう言った。

「本宮さん……そんな事で眠る訳が」

「う、うみゃあ……? 何だか眠くなってきちゃったよ〜」

「!!?」

 驚いて、あかねの方を見ると、
あかねは、既に眠そうに、目をゴシゴシとこすっている。

 やがて、あかねは、俺にもたれかかると、
すうすうと、安らかな寝息を立て始めた。

「こ、これは……」

 唐突過ぎる出来事に、俺は驚きを隠せない。

「あ、あかねちゃん……」

 さすがに、さくらも驚きを隠せないか……、

「ズルいじゃないですかっ!
私もまーくんの背中で、安らかに眠りたいですっ!」


「そっちかいっ!!」

 流石に状況を察してか、
本宮さんは、あかねに、もう一度手を翳し……、

「さぁ、起きようか」

 そう呟いたのと当時だった。


「う、うみゃぁ……?
私なんで眠っちゃってたんだろう……?」

「あかね……もう眠くないのか?」

「うん、全然眠くないよ」

「とまぁ、相手を意のままに操る能力……これが電波能力だ。
他にも状況を察知する能力、相手の心を読む能力などがあるが……、
俺の髪型は、それをより効率良く実行するために自然にできた髪形なんだ。
まぁ、理緒ちゃんのは、血縁関係にある訳じゃないから知らないけどな」

 そ、そんな特殊な力が、本宮さんにはあったのか……、

「そうだな……こんな事もできるぞ」

 本宮さんが、少し意地悪く笑ったのと、ほぼ同時だった。

「まーくん……」

「うみゃぁ……」

 さくらとあかねの俺を見る表情が、唐突に豹変した。

「お、おいおい……一体どうしたって言うんだ?」

「ちょっと二人の、想いのリミッターを外してみた。
ちょうどいい機会だし、このまま行く所まで行ってみたらどうだ?」

「なんですとぉぉぉーーーっ!!?」




「まーくん……私、まーくんになら何をされても……」(ぽっ☆)

「まーくん、私達初めてだから……優しく、ね?」(ぽっ☆)

 明らかに理性のリミッターが、
外れた二人が、こちらににじり寄って来る。

「も、本宮さん! 俺はこんな事でさくら達を……」

 しかし、時既に遅く。



「いねぇぇぇぇーーーっ!!?」



「ちなみにその電波、三分で切れるように設定しておいたから。
その気がないんなら、三分間だけ我慢すれば良いさ。
それじゃ俺は理緒ちゃんとの約束があるから、これで失礼するよ」



 玄関から本宮さんの声がする。

 何と言うか……、

「は・め・ら・れ・た」


「まーくん、何を呟いてるの……?」

「まーくん……早くお願いしますぅ」(ぽぽっ☆)



「だぁぁぁぁーーーーっ!!
お前ら、落ち着けぇぇぇぇー!!」









 電波は三分で切れたかもしれないが……、

 俺の逃避行が、三分以上、
続いたのは、言うまでもないかな?






2nd Impression…END


[後書きのコーナー]

 はい、(作者の)本宮です。
 「Heart to Heart × Leaf Another Story Vol.2」、いかがでしたでしょうか?

 「学園の図書室」投稿規定に「文章へのCG貼り付けはOK」と書いてあったので、
今回、久々に絵を描いてみました……、

 さて、このネタはVol.1のコメントで誠君が
本宮の髪型について不思議に思っていた事で生まれた作品です。

 まぁ、本宮の髪型の成り立ちについては、
「Leaf Another Story」本編を読めば分かるんですけどね。

 それでは、次回をお楽しみに〜。


<コメント>

祐介 「ふ〜ん、本宮君って、凄いんだね〜」(^_^;
沙織 「えっ、どうして?
     祐クンだって、電波が使えるんでしょ?」(・_・?
祐介 「だからこそ、だよ……、
    園村さんと対面しても、正気でいられるなんて……」(^_^;
沙織 「……どういうこと?」(・_・?
祐介 「僕も瑠璃子さんも、園村さんと初めて会った時、
     いきなり卒倒しちゃったから……」(;_;)
沙織 「理由、訊いてみたいけど……、
     なんか、ものすご〜く、聞くのが怖いよ」(T_T)
祐介 「多分、想像した通りの理由だよ」(−−;