[前書き]
この作品は、「Leaf Another Story」とのクロスオーバー作品です。
「Leaf Another Story」については、ここを参照。
それは、天気も良く、
日差しも暖かい、ある日の事……、
俺が、さくらやあかねと一緒に、
屋上で昼食を取っていた、何気ない昼休みの事だった。
「はいっ、まーくん。あ〜ん」
「あ〜ん」
「お、おいおい……二人一緒には食べられないぞ」
俺が苦笑しながら口を開けた、その時だった。
「何だ、誠……相変わらずだな」
「――浩之っ?」
Heart to
Heart
×
Leaf Another Story
1st Contact 「出会い」
「おっと、俺は、お邪魔虫だったかな。退散退散」
「そんな事はないよ」
「……そうだな、お前達って、
割と人の目を気にしないからな」
「あ、あのなぁ……」
反論しようとして、俺は口篭もった。
何故って?
思い当たる節がありすぎたから……、
「でも、それって、浩之にも言えないか?」
「……ぐっ」
俺が反論の代わりに、
質問した言葉には、流石に、浩之にも反論できないようだ。
まさに、してやったり、といった感じだ。
――その時だった。
「ようっ! 浩之、と……誰?」
一人の男が、浩之の名を呼びながら屋上に入ってきた。
浩之と同じくらいか、
あるいはそれよりも高い背丈。
つり上がった目元は、浩之のような、
悪さを感じさせず(失礼だな:浩之)、寧ろ凛々しい。
この陽気の所為だろうか……、
学ランのボタンを留めず、前を全開にしている。
しかし、一番先に目に留まったのは……その髪型。
寝癖……で片付けるには、あまりにもおかしい。
まるで、触覚のように、
二本の髪の毛が、ぴんと立っていた。
まぁ、浩之の友達だから……悪い人じゃないと思うんだけど……、
でも、あの髪型……、
何処かで見たことあるような……?
「浩之さんの、お友達ですか?」
さくらが小声で浩之に尋ねる。
……さくら、そこで小声になる必要は別にないと思うぞ。
「あぁ……こいつは俺のダチだ。誠達には紹介してなかったかな」
「本宮 利幸だ、よろしく」
本宮さんは、こちらを向き、少しだけ頭を下げる。
「藤井 誠だ」
「園村 さくらです」
「河合 あかねだよ」
俺やさくら達も、
それに続き、彼に挨拶をする。
「……あ、そう。君達がそうなのか」
本宮さんの口調は、
いかにも、俺達を知っているような素振りだ。
「な……何ですか」
「いや……君達の事は色々と聞いているよ。
入学した当初から、色々と話題になってるみたいでさ」
「あ、あははははは……」
最早、俺からは、乾いた笑いしか出ない。
まぁ、四六時中さくらとあかねが隣にくっついているんだ。
噂の一つも出ない方がおかしいだろう。
「……ん?」
その時、俺には、
一つの疑問符が浮かび上がった。
浩之の知り合いといえば、
何かしら必ず話題が浮かび上がるはずだ。
あかりさんとか、マルチとか……、
浩之と関係のあった女の子は、何かしら話題になっている。
それが、例え、雅史だったり、矢島だったりしてもだ。
なのに、彼……、
本宮さんに関する事は、一つも聞いた事がない。
浩之は気付いていないだけなのか……、
はたまた、彼は学園生活では平穏を装っているだけなのか……、
いずれにしても、本宮さんからは、
他の人とは違った「オーラ」をびんびんと感じられる。
それは、浩之にも良く似た……、
……って、ちょっと待て。
「浩之に似てる」って事は、「俺にも似てる」って事なのか?
「まーくん、一人で、
何を、うんうん言ってるの……?」
顔を上げれば、あかねが、
心配そうな瞳で、こちらを見つめている。
少し視線を横に向ければ……、
さくらも、言葉こそかけていないものの、
あかねと同じ瞳で、こちらを見つめているではないか。
「別に何でもないよ」
「―――あっ」
「―――うみゃ」
心配させまいと、俺は二人の頭を優しく撫でる。
そうだよな……、
元々、さくらとあかねには、心配かけっ放しなのに……、
これ以上、俺が心労を増やしてどうするんだ。
「……なるほどな。
どうやら、噂に違わぬ男のようだな」
「――はっ!」
本宮さんの言葉に、現実に引き戻される。
ついつい、悦に入ってしまっていたようだ。
「――でも、俺は嫌いじゃないな。そういう男も」
「え……?」
そうか……、
本宮さんから、同じようなオーラを感じ取ったのは……、
彼も女の子を惹きつける……、
「チカラ」を持っているのか……、
でも、もしそうだとしたら、
どうして、彼の事は話題にならないんだろう?
その時――
「本宮く〜ん、忘れ物……あっ! 藤田君っ!?」
黒い髪を黄色いリボンで纏めた、
一人の女の子が、屋上に入ってきた。
あれは……この間会った、理緒さんだ。
「あぁ……そうか」
――これで合点が行った。
浩之と同じ感覚がするから、
浩之が、本宮さんの噂を肩代わりしている……ってところだろう。
それに何処かで見た事のある髪形だと思ってたけど……、
あれは、理緒さんのだったのか……ん?
「あの……本宮さん」
さくらが、おずおずと口を開く。
「――ん?」
「質問なんですけど……」
「なんだ?」
「……本宮さんって、
雛山さんの血族なんですか?」
「血族言うなぁ〜!」
その後は、六人で、
本宮さんの事について話に花を咲かせた。
本宮さんが温泉で有名な隆山からやって来た事や……、
本宮さんが漫画を描いている事や……、
更には「今更、隠すこともないだろう」と、
雛山家に居候している事も話してくれた。
「しかし……」
俺は感慨深げに腕組みをしながら、本宮さんの方を見た。
「年頃の女の子と一緒にいて、保護者もいないってのに……、
よくそんなに、理性を保っていられるね?」
俺だったら……、
いや、大して今と変わらないか。
「そうだな……確かに年頃の女の子と一緒にいたら、
俺も理性が持たない事もあるかもしれない」
「も、本宮くんっ!?」
本宮さんの言葉に、
理緒さんが、心底、驚いた声をあげる。
「でも、俺にも責任ってものがある。
理緒ちゃんの力になりたいって言った責任ってものがな。
今の雛山家には、理緒ちゃんだけじゃない。
良太もいる。ひよこもいる。入院してる理緒ちゃんのお母さんだっている。
今の俺には、重過ぎる責任だけど、それでもこうして背負っている。
それを考えたら、本能なんて二の次だよ」
「本宮くん……」
何て言えば良いのか……よく分からない。
『今の俺には重過ぎる責任だけど、それでも背負っていく……』
俺には到底、真似できない言葉だろう。
ましてや、俺の背負うべき責任は……、
さくらにあかね……本宮さんの二倍だ。
俺は、そんな責任を背負っていけるのだろうか……?
今じゃなくても……俺も大学に行って、社会人になる。
本当に責任を、
背負わなければならなくなった時……、
俺は、今までの俺でいられるだろうか?
自信は……ない。
でも……、
「――まーくん」
「――うみゃ」
この二人の笑顔を、
失わない為なら、俺は、何だって、できそうな気がする。
例え、それが、どんな手段であり……どんな結果になろうとも……!
「……それに俺は、人の恋路を、
邪魔するほど野暮な奴じゃないからな」
「――っ!!」
本宮さんの、唐突に出された言葉に、理緒さんは真っ赤になる。
肝心の浩之は……、
何の事か分からない、といった感じの呆けた顔だ。
「ねぇ、まーくん……」
さっきの話題が気になってか、さくらが俺に擦り寄ってくる。
いや……、
さくらだけじゃない。あかねもだ。
そして、続けざまに……、
さくら 「責任……」
あかね 「取ってくれる?」
誠 「略すなああぁぁぁ〜〜〜〜〜!!!」
1st Contact…END
[後書きのコーナー]
はい、(作者の)本宮です。
この度は私の小説に、
目を通していただきありがとうございます。
この小説を書くに当たって、実は色々と下準備がありました。
というのも、ILLUSIONISTSオリジナルである、
Leaf Another Storyの本宮利幸を出すに当たって……、
STEVEN氏と色々交渉していたのであります。
まぁ、交渉が成立したからこそ、
こうして誠君と本宮の小説を描いているんですがね……、
STEVEN氏の寛大な返答に、感謝感謝。
さて、この「Heart to Heart × Leaf Another Story」シリーズ……、
大体、約10話程度を一区切りにしようと思っています。
「え〜、10話もあるのかよ!」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが……、
この小説を読んで頂いたのも、何かの縁です。
末永く、お付き合いください。
<コメント>
誠 「というわけで……、
新しい友人になった本宮さんだ」(^○^)
利幸 「――よろしく」(^ー^)b
誠 「それにしても……、
何なんです、その触覚……?」(^_^?
利幸 「触覚って言うなっ!
だいたい、そんな珍しいモンでも無いだろう?」(−−メ
誠 「まあ、確かに、珍しくはないけどさ」(−−ゞ
利幸 「――って、即答かよ」Σ( ̄□ ̄)
誠 「いや、だってさ……ほら……」(¬¬)
初音 「えっ? なに、誠君?」(ぴこぴこ)(・_・?
理緒 「そんなに、ジ〜ッて見られると、ちょっと恥ずかしいよ」(ぴこぴこ)(*・・*)
スフィー 「ねえねえ、ホットケーキ、おかわりしても良い?」(ぴこぴこ)(^0^)
セイバー 「……もぐもぐ」(ぴこぴこ)(−−)
誠 「……な?」ヽ( ´ー`)ノ
利幸 「なるほど……」(^_^;