ZZZZ……

 ピンポーン……

 ……ん?

「……ちゃ〜ん」

 ……なんだ?

「……きて……きちゃ〜ん……」

 布団の中から手を伸ばし、時計を掴み、見る。

 8:00――

「浩之ちゃ〜ん、起きてよ〜」

 ったく、しょーがねーなー……、

 このまま惰眠を貪りたいが、そうもいかない。

 マッハで着替えて階段を駆け下り、玄関の扉を開けて言い放った。

「うっせーぞ! あか……り?」

「ご、ゴメンね、浩之ちゃん」

 ……なんと言えば良いのだろうか?

 世界中の何処に発表しても恥かしくない位に、今日のあかりは

 くま

 だった……。




相互リンクありがとうございます記念SS

めたもるふぉ〜ぜ あかりちゃん





「あかり……なのか?」

 呆然としたオレの問い掛けにくまは当然のように

「何言ってるの、浩之ちゃん?『藤田浩之研究家』の神岸あかりだよ」

 と答えた。

 ……確かに、姿は変わっているが『コレ』があかりであると言うことはなんとなく分った。

 しか……、

 しかしだッ!!

 本能が納得しても、理性が納得できんのだ!!!

 それにオレは朝っぱらから体長2Mを軽く越えるくまに化ける幼馴染を持った覚えは無い!

「何で毛色が、紅いんだ! 分ってんのか!? あかり!!」

「ひゃん!?」

 思わず叫んでしまったオレの声に驚いたのか、あかり(らしきもの)は、
頭を手で抑えしゃがみこみ、捨てられた仔犬の様に上目遣いでオレを見ている。

 その瞬間、オレは悟った。

 『コレ』はあかりだ……と。

 悲しいかな。伊達に付き合いは長くない。

「……いきなりでかい声出して悪かったな。あ、あかり……」

 ……まだ、『コレ』をあかりと呼ぶことに抵抗があるらしい。

「早く行かないと、遅刻しちまうぞ?」

「あ、待ってよぉ〜、浩之ちゃ〜ん」

 本能を総動員して理性を押さえ込み、無理やり自分自身を納得させながら、
オレはくま……もとい、あかりと登校した。
















 ハンター化したレミィに

「OH! 獲物ネ!」

 といわれて矢を射られたり、

「熊殺しは格闘家の基本です!」

 とか言って葵ちゃんに襲われたり、

「真のヒロインの登場です」

 と謎の言葉を呟きながら暴走する琴音ちゃんに巻き込まれたりと……、

 色々あったが、とりあえず昼休み。

 雅史と学食(せんじょう)に逝こうとするオレをあかりが止めた。

「今日は浩之ちゃんの分もお弁当作ってきたんだよ」

「何ッ!? でかしたぞあかり!誉めて遣わす!」

「えへへ♪」

「何処で喰おうか?」

 あかりを『なでなで』しながら聞いてみる。

「えっと、来栖川先輩は何処で食べてるのかな?」

 意外な名前が出てきたな。

「あ?芹香先輩か? えと……中庭じゃねぇか?」

「じゃあ、中庭に行こうよ。先輩にお礼したいし……」

「お礼?」

「うん。昨日先輩から『くまになれる薬』を貰っちゃったから♪」



 ……あんた原因でしたかお嬢様。
















「あ、来栖川先輩だよ。浩之ちゃん」

 やはりと言うべきか、先輩は中庭のベンチでボーっとしていた。

「よ。芹香せん〜んぱい♪」

 俺に気付いた芹香先輩はぺこりと頭を下げた。

「来栖川先輩、昨日はありがとうございました♪おかげさまで立派なくまになれました」

「……(ビックリ)」

 うを!? 芹香先輩が驚いている!?

 あかりぐまのインパクト、恐るべし!

「…………」

「え? ああ、『コレ』はあかりだよ先輩。昨日くまになる薬をあげたろ?」

「…………」(ふるふる)

「え? 昨日は学校を休みました? 神岸さんには逢ってない?」

「で、でも、確かに来栖川先輩だったよ?」

 その瞬間。

 俺の脳裏に一人の女性が浮かんだ。

 芹香先輩にそっくりの容姿を持った一人の女性。

「綾香! 居るんだろッ!? 出て来いよ!!」

 ガサガサ……

 俺が叫んだ少し後、背後の草叢が鳴り……、

「……えへへ(はぁと)」

 少しばつの悪そうな顔をした綾香が現れた。

「……昨日、芹香先輩に成りすまして、あかりに薬を渡したのは……お前だな?」

「……うん」

「綾香……コレは一体どう言うことだ?」

 オレは綾香にほんの少しだけ怒気を込めた視線をぶつける。

「だって……浩之、最近神岸さんといつも一緒に居て構ってくれないんだもん」

 これって……、

「もしかして……嫉妬か?」

「そうよ。悪い?」

 あっさり認めやがった。

 拗ねたような表情が、なんだか可愛い。

 俺は少し笑うと、

「あッ……」

 ゆっくり抱き締めて、髪を撫でてやる。

「バカだな……」

「どうせ私はバカですよ―だ」

 また拗ねやがった。

「そんなお前に惚れた俺もバカだけどな」

「浩之……恥かしくない?」

「聞くな……」

 恥かしいに決まってんだろうが!

「ったく……これで……」

 少し顔をあげさせて……、

「あッ……」

 互いの唇を寄せあって……、

「機嫌直せよ」

 口付ける。

 綾香のクラクラする様な甘い香りが鼻腔をくすぐる。

 ありったけの愛情を込めて……、

 何度も何度も……、

 口付けた……、








「もしかして私って……だし?」

「…………」(こくこく)

 その日の放課後。

 屋上で黄昏る紅いくまが目撃されたと言う……、








<おわり>


【痕書きもどき】

 なますて〜(はぁと)
 どうも、最狂の破壊神禍音様です♪
 タイトルを見て期待していたアカリストの皆様すみません(笑)
 これが、私のTH初作品になります。
 まだまだ初心者ではありますが、精一杯頑張らせて頂きますので……、
 見捨てないでね、お兄ちゃま(はぁと)


<コメント>

浩之 「さすがはあかりだな……とうとう熊になっちまうとは……」(−−;
あかり 「えへへへ〜♪ 可愛い?」(*^▽^*)
誠 「でもさ〜……毛並が赤い熊って言うと……」(−o−)
さくら 「……アカ〇ブトですね」(^▽^)/
あかね 「『天狼抜刀牙』の餌食にされちゃうよ」(^〇^)
エリア 「いえいえ、とあるボクサーに『熊殺しパンチ』で昏倒させられるかも……」(^〇^)
フラン 「『ヒグマ殺しパートU 熱風サバンナ』が心臓直撃というのも……」(^〇^)
誠 「また、そういうコアなネタを……」(−−;
あかり 「う〜……みんな、ビトイよぉ〜。浩之ちゃ〜〜〜ん……」(;_;)
浩之 「あ〜、よしよしよしよし……」(−−;