Heart to Heart 外伝

      「誠、愛のお料理大作戦」





 古今東西、さまざまな設定のギャルゲーが存在するが、
その主人公の多くが先天的な欠点を持っている。

 すなわち……料理が出来ない。

 浩之なんかがその代名詞だが、ほかにも耕一さんや祐一もそうだ。
 冬弥兄さんもとくに料理が出来るという描写はない。

 由綺姉のドジっぷりを考えると冬弥兄さんが料理を出来ないと、
死活問題になり得ないんだけどな……、

 もちろん。これだけ広い世の中だ。けして全員が全員できないというわけではないだろう。

 しかし……やっぱりどこか邪道的な感じがするのも事実だ。

「でもなぁ〜……」

 毎日の様にさくら達が弁当やら晩飯やらを作ってくれてるあの姿、
そして俺が美味しいと言った時のあの表情。

 ああいうのを見てると、なぜか俺自身も誰かのために飯を作って、
美味しいと言わせて見たいという欲望に駆られてしまう……、

「某社の三角心(爆)の主人公である

『女装させたら業界一!
メインヒロイン(?)と組ませると
見事ほのぼの小学生カップル出来あがり!』
(注1)

 ……で有名なあのキャラみたく、作ってみたい!!」

 だが、問題なのは誰に教わるか……だ。

 さくらにでも教えてもらえば一番手っ取り早いのだが、それでは面白くないってもんだろ?
 どうせならいきなり作って、驚かせてやりたいってもんだ!

「やっぱり、あやめさんかはるかさんにでも教わるか?」

 いやいや……あの二人に教わろうものなら、
「教わる」じゃなくて「襲われる」になりそうだ。(滝汗)

「となると、あかりさんかな?」

 いやいや……本格的に料理を習うつもりじゃないけど、
それでも一朝一夕でできるわけがない。何日かかかるはずだが……、

 そうなると絶対に怪しまれる。
 変に誤解でもされたら……、(滝汗)

「となると……」

「となると、私の出番ですね(はぁと」

「し……」


 しまったぁぁぁぁぁぁぁぁ
ぁぁぁぁぁぁっ!!Σ( ̄□ ̄;)










Heart to Heart 外伝

「誠、愛のお料理大作戦」
改め
「柏木千鶴のお料理、バグ!! バグ!!」







 ギチギチ


「あらあら、どうしたの?
そんな『よりにもよってベタネタかつ、一番最悪なキャラが来やがったぜコンチキショー』
と言いたげな顔は?」


 ギチギチ


「イエ……ナンデモゴザイマセン、チヅルオネエサマ(滝汗)」


 ギチギチ


「そう?なら、もっと嬉しそうな顔してくださいね?(はぁと」


 ギチギチ


「わ、わかりました。わかりましたから……、
その鉛筆の芯がダイヤモンドに変わりそうな握力でつかんでいる私めの頭部から、
早く手を放してください……なんだか頭が割れそうです。
というかもうすでにちょっと割れてます(お)」

「あら? 気付かなかったわ」

 人の頭蓋骨をりんごみたく握りつぶそうとしたくせに、
気付かなかったわの一言だけとは……さすがは鬼の一族だ。

「うぅ……何でこんな所に千鶴さんがいるんですかぁ?」

「仕事の関係で、ですよ。ただ、今日は午後から時間が空いてるんで、
耕一さんと待ち合わせしてたんです。
でも……ちょっと時間が空きすぎちゃったみたいで……」

 どうりで、ビシッとしたスーツ姿じゃなくて、
ラフな普段着(と言っても、俺が着てるような服とは比べ物にならない程お高い服なんだろうけどな)
だったって訳か……、

 しかし、たまたまこの辺をぶらついてて、
たまたま俺に出くわした(ご都合主義)って……何ともついて無い。(涙)

「……誠君……いま『ついてない』とか考えなかったかしら?」

「そ、そんなわけないじゃ無いですか!!
麗しの千鶴オネエ様に出会えた今日という日のこの偶然。
一生忘れはいたしません!!」


 ダカラ、コロサナイデクダサイ。(涙)


「うふふ、そんなに喜んでくれるなんて、とっても嬉しいわ。
お礼にとっておきの料理を教えてあげます」

 それは死刑宣告ですか……、

「その料理を出せば、きっとみんな驚くわよ」

 ええ、驚くでしょうね……いろんな意味で。

「さ、いきましょう」

「へ? どこへですか?」

「どこへって……誠君の家ですよ。それ以外、どこで練習するんですか?」

……あぁ……奇跡って、起きないから奇跡って言うんだなぁ……、





 誠家、台所――





「さて……何を作りましょうか? やっぱりキノコのリゾットかしら?」

「まってください!!」

 だめだ! キノコのリゾットだけはだめだ!
 あのアンチ健康食品には以前(番外編とその後)ひどい目にあって、
もう充ーーーー分に懲りた。(注2)

 もう、あんな面倒は二度とごめんだ。

「キノコのリゾットは以前食べさせてもらったし、ほ、他のにしませんか?」

「え? でも作り方を教えるんじゃ・・・」

「い、いや!あんな美味しいものはそうそう簡単に作れるもんじゃないでしょう。
きっとあの味は千鶴さんにしか無理ですよ!(いろんな意味で)」

「大丈夫よ。一から教えてあげますから♪」

「で、で、でも! ほら! 千鶴さんだって仕事でこっちにきてるんだから、
そんな時間ないでしょう? キノコのリゾットはまたいつか機会があったらにして、
今日のところは簡単なのにしませんか!?」

「う〜ん……それもそうね」

 た……助かった……、
 俺も話術も結構イケてるなぁ。

「そうねぇ……じゃあ、キノコオムレツにしましょう♪」


「なんでやねーーーーん!!」


 おもわず、大阪弁でツッコんでしまったぞ……、

「あら? 誠君……卵駄目なの?」

「いえ、そういうわけじゃないんですけど……」

 むしろ、卵というよりキノコがダメなのだが、そんなこと怖くて口に出来ない。

「う〜ん……じゃあ、キノコスパゲッティーにしましょう♪」


「なんでじゃーーーーー」


「キノコカレー」


「あほかーーーーーー」


「キノコの茶碗蒸」


「つくれんのかーーーーー」


「キノコの姿焼き」


「せめて加工しろよーーーーー」


「……誠君?」


「なんだこの貧にゅ……」


ギンッ!!!


「ヒィィィッ!」(激汗)


「誠君……私に何か言った?」

「イイエ……ナンデモゴザイマセン」

「そう? ならいいけど」

 あぶないあぶない……、
 言葉はちゃんと吟味して口に出さないとな。

「でも、となると何を作ったら良いのかしら?」

「あ、あの千鶴さん」

「なにかしら?」

「なんでそんなにキノコにこだわるんですか?」

「なんでって……キノコを入れないでどうして料理って言えるの?
むしろ、キノコこそが料理よ?

 だぁぁぁぁぁっ!
 さらりと訳わかんないこといわないでください!!!(しかもさも当たり前の様に)

 うぅ……本気で泣きそうになってきた。

「あ、あの千鶴さん……実は俺ちょっと用事を思い出しちゃって……」

「…………」

「あはは……あの……その……今日はもう……」

 あぅぅぅ……背中からオーラがたってるよぉォォ……、(涙)

 だけど、ここで逃げなければ命に関わる。
 もちろん、逃げ切れる可能性は低い。

 けど……俺はけして希望を捨てたりなんかしない!

 それがたとえどれだけ小さな希望だとしても……、
 俺には……俺の帰りを待ってるやつらがいるんだ!!

 あいつらの幸せを、あの笑顔を守るために、俺は最後まで戦うぜ!!

 ……なぁぁんてカッコイイ事を思ってみたりしながらも、
俺の背中は壁にべったりと貼りついていた。

 腰が抜けちゃってるんだよな〜、これが。(涙)

「じゃ……じゃあそういう事で……」

「……誠君」

「は……はい?」





 ビュンッ!!


 
ドスッ!!





「……(滝汗)」

「うふふふふ」

「ち……千鶴さん……」

「なぁに?」

「なんか……ものすごい事が起こってるんですけど……?」

 自分でも頭が混乱しててよくわから無いんだが……とりあえず状況を説明しよう。

 逃げようとした俺に対し、千鶴さんは目にもとまらぬ早さで動いた。
 そして、今、俺の身体の前のは台所に置かれていた椅子……の底部分がある。(注3

 その椅子の4本の足は……、
今、俺の両肩、そして両脇にある……というか、刺さってる。

「……いや、物理的に無理でしょう?」

「気のせいよ♪ それより……これで逃げられませんよ♪」

 確かに、不可能を可能にして突き刺さった椅子の足は、
壁の中に4分の3ほど埋もれ、椅子の底の部分が、
俺の胸をやや窮屈だと感じるほどに押さえ込んでいる。

 その上、力いっぱい押して見るが、ビクともしない。

「うふふ。じゃあお料理を始めましょうか。
メニューは誠君のご希望どおり、簡単なキノコのお味噌汁よ♪」

 死んだな……、

 あかね……さくら……エリア……みんな……、


 先立つ不幸をお許しください。(滝涙)









Heart to Heart 外伝

「柏木千鶴のお料理、バグ!!バグ!!」
あらため
「特報24時! 家政婦は見た! 人々を襲う殺人キノコの衝撃的真実!!」







 ……すでに、タイトルから料理という文字が消えてるし……、(涙)

 もはや不様にも涙するしかない俺をよそに、千鶴さんはかなり楽しげだ。

「さて、メニューも決まった事だし……材料を決めないといけないわね♪」

 そう言うと、千鶴さんはいきなりポケットに手を突っ込んだ。

「え〜っと、あ、あったあった」

 目的のものを見つけたのか?

「うんしょ、っと」


「なにぃぃぃぃぃっ!」


「あら? どうしたの?」

「ち、ち、千鶴さん……それは?」

「これ? これは見ての通りクーラーボックスよ?」

 なんでポケットからクーラーボックスが出てくるんですかぁぁぁぁぁッ!

「この前、仕事でとある北国に行ったんですけど、
そこで偶然出会った女の子がとっても便利なポケットを持ってたんで、
譲ってもらっちゃいました♪ ……ちからずくで

 聞こえない。俺はな〜んにも聞いてないぞ〜。(涙)

「さぁてと、どれを使いましょうか?」

 もうどれでもイイっすよ……、

 トリカブトだろうが、テトロドトキシンだろうが、サリンだろうが、シアン類だろうが、
メチルイソシアネートだろうが、体に入っちゃえば結局みんな同じ毒なんだから……、(涙)

「これは……前に使ったばっかりだし……これはまだだったかしらね……」

 クーラーボックスから取り出した二つのキノコのビン詰めを眺める千鶴さん。

 ……なんか……やっぱり気になるな。

「千鶴さん……それはなんて言うキノコなんですか?」

「え? これですか? これは、セイカクハンテンダケですよ」

 この前のやつかっ!?

「もう一個の奴は?」

「こっちは……セイベツハンテンダケですね」

 う〜ん……ネーミングセンスの無さは相変らずだな。
 たぶん、はた迷惑さも相変らずだろう……、

「他にもあるんですか?」

「ええ。他に……セイカクキョウチョウダケとか……」

 強調? 性格が強調されるのか?
 なんとなく、 あかねにでも飲ませたら結構面白いことになりそうだな。

「これは……ジュウカダケですね」

 ジュウカ……獣化?
 動物に変身するのか? これも面白そうだなぁ。

「……バクショウダケ」

 爆笑?
 笑いダケの一種か……、

「いえ、これを食べると無性に笑店ごっこがしたくなるんです」


 捨ててしまえ、そんなキノコ。


「……ワカガエリダケ」


 自分用ですか?(爆)


「……ムゲンダケ……あ、これは18禁でしたね

 無限? 夢幻?
 いったいどう18禁なんですかぁぁぁ!

「……もけ……あ、ゲフンッ、ゴフンッ!」

 マ、マ○ルさんネタか〜〜〜!Σ( ̄□ ̄;)

 よりにもよって、『ロボチガウ、ロボチガウ』の次にパクって欲しくないところを、
パクッてきたかよ。(涙)

「う〜ん……これだけあると迷いますね?
そうだ! どうせだから、全部入れちゃいましょう♪」


 『もけ』もかーーーーっ!?


「うふふふふ、まずは〜お出汁を取って〜」

 ……とりあえず、作り方は知ってるんだよなぁ。
 変なもの入れなけりゃ、普通に美味しいはずなのに・・・。

「沸騰したら具を入れる♪」


 ボトボトボトッ


「丸ごとかよっ!?」


「もう一度沸騰したら火を落として味噌を入れる。
そして、再度火にかける! この時、煮立たせさせないのがポイントね♪」(注4

 う〜ん……、
 味噌のイイ香りが……、

 是非とも、キノコ以外は飲んでみたい……

「うふふふふ……もうすぐできますからね♪」

 あぁ……地獄の時がもう目の前にきてる。

 あかね……さくら……エリア……ごめんな。
 俺……結局、お前らの思いにちゃんと答えてやれなかったな。

 お前らと、ずっとずっといっしょに居たいって思ってたのに……、
 お前らが自分で去って行くまでそれまでずっといっしょに居たいと思ってたのに……、

 自分勝手な事しちまって……ごめんな。

 でも、頑張ってくれよ。お前らは強い心をもってるから……、
 どんな悲しい思い出でも乗り越えて、きっと幸せになれるよ。

 いつの日か、好きな人が出来て、その好きな人と家庭をつくって……、
 そして、その時にでも思い出してくれよ。

 こんな奴がいて……こんな事があって……、
 そうやって、笑い話にでもしてくれれば俺としても嬉しいぜ。

 ……やべぇ……涙が出そうになってきた。

 なぁ、神様……仏様……ホントに居るのかよ?
 居るんだったら、中途半端で情けないこんなダメ男の最後の願いを聞いてくれ!


「あいつらが……、
決して、不幸になりませんように……」









 強い思いが連なり、紡がれる……それは……、

 ――奇跡――









 ブゥゥゥゥッ、ブゥゥゥゥッ


「あ……私の携帯です」

 なんだ……千鶴さんの携帯の着信かよ。

 字だけで音を表現すると屁の音と区別がつかねぇ。(爆)

「はい。あ、耕一さん!? え……今、誠君の家ですけど。
え、ええ。えぇっ! あ……もうこんな時間!?」

 電話の相手は耕一さんかぁ……、
 内容はどうやらデートの待ち合わせ時間がもう過ぎてるって事みたいだ。

「あ、はい。すぐ行きます。いえ、そりゃーもう、新幹線よりも早く!」

 ……千鶴さんが言うと、なんか本当っぽい。

「はい。すぐに行きますから!」


 ――ピッ


「誠君、そういうことだから! 私お暇しますね。それじゃー」

「…………」


 
ドタバタ!(荷物をまとめる音)

 
ドタバタ!(廊下を走る音)

 
ドムッ!(扉を殴った音)

 
バキッ!(扉を蹴破った音)


 ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダッ(走り去って行く音)


「……た……助かった?」

 助かった……助かったんだっ!!

「俺は……俺は、生還したんだぁぁぁぁぁ!!!」(号泣

 あぁ……生きてるって、なんて素晴らしいんだろう?

 普段見なれたこの家も♪
 汚い汚いと言われるこの空気も♪
 何が入ってるかは思い出したくも無いが、とりあえずこの味噌汁の匂いも♪

 全てが清々しいぞ!!

 あぁ、なんだか無性にさくら達に会いたくなってきたな♪
 今なら、普段の4割増し(当社比)優しくなれる自信があるぞ!!

 『なでなで』も『だきだき』も『さわさわ』も!!
 全部4割増し(当社比)だぁぁぁっ!


「うおおおおおーーーーっ!!」 
















「……お、お、お、お……お?」
















 ……なぁんか、忘れてた気がしてたんだよなぁ。
























「…………抜けない(涙)」









後書き

 はじめまして。雨音です。

 初HtHのSSがこんな濃いぃので……かなり反応が怖いです(滝汗
 僕の書くギャグはどうでしたでしょう? 笑ってもらえれば幸いですが……、

 まぁ、おそらく、千鶴さんファンの方々からは非難轟々でしょうね。
 壊しまくった挙句、ぜんぜん千鶴さんらしく書けて無い。(涙)
 ホント、申し訳ございません。
 さらに……オチが弱いし……、(涙)
 深夜にやってる吉本新人の漫才でももうちょっとまともなオチがあるというのに!!
 うぅ……日々鍛錬……がんばります。

 さて、このSSには恐れ多くも勝手にいろいろ裏設定があったり、
本文において説明すると不自然な部分があります。

 その部分の説明を……、

注1:多分……有名なゲームです。ちなみに、雨音は血を吸う彼女が一番スキです。
注2:番外編とその後……番外編とは痕編その五のことです。
   そしてその後というのは、番外編で最後にさくらが、
   キノコをもって帰るという描写があったので、
   そこから何らかの騒動があったと想像しました。
注3:台所に置かれた椅子……背の低い人なら分かるはずですが、
   台所の上のほうにある棚から物を下ろすのは一苦労です。
   というわけで、必ずどこの家庭にも手の届く範囲に椅子、または台座があるはず。
   もちろん、藤井家にも。誠家の間取りがわからんので、少々無理矢理ですが……、(汗)
注4:味噌汁の正しい作り方について……雨音は良く知らないのでかなり適当です。
   間違っててもご勘弁を。

 ……ホントは後書きでこういう説明をするのって良くないんでしょうね。
 うぅ、長々と最後まで読んでいただきありがとうございました〜。

01/03/16   write by AMANE


<コメント>

ユリカ 「ア・キ・ト〜♪ お料理してみたの〜♪
     ユリカの手料理食べてみて〜♪」(*^▽^*)
メグミ 「アキトさ〜ん♪ スタミナ栄養ドリンクメグちゃんスペシャルで〜す♪」(*^▽^*)
リョーコ 「テ、テンカワ……メシ、作ってみたんだけど……食べてみてくれねーか?」(*・・*)
千鶴 「耕一さん♪ た〜っぷり食べてくださいね♪」(*^▽^*)


耕一・アキト 「ぎゃあああああああーーーーーーっ!!」Σ(@〇@)Σ(@〇@)


ホウメイ 「ま、言うなれば『恋の劇薬』ってやつかねぇ?」(−−ゞ
誠 「……『劇薬』というか『毒薬』って気がしますけど」(^_^;
ルリ 「毒薬どころか……」(−o−)
ラピス 「……『産業廃棄物』」(−o−)