今日は7月6日……。

 明日はいよいよ、年に一度の七夕です。

 でも、今日は生憎の曇り空……。

 思わず溜息も出ちゃいます……。

「はぁ……明日……晴れるかなぁ……?」

「大丈夫、明日は晴れるわ」

 突然後ろからかかった声に、わたしはビックリしちゃいました。

「楓お姉ちゃぁん……ビックリさせないでよぉ〜」

 自分でもちょっぴり情けない声。

 だって、ビックリしたんだもん。

 楓お姉ちゃんは「ゴメンね」と謝ってくれたけど、絶対わざとやってる。

 だって、目が笑ってたもん。

「それはそうと、短冊……書いた?」

「うん。もう書いたよ」

「なんて書いたの?」

「えへへ……秘密だよ♪」

 わたしのお願いなんて決ってるよ、楓お姉ちゃん。

 わたしがいつも……ずっと心に想ってること……。



『耕一お兄ちゃんが早く帰ってきますように』


四十万ヒットおめでとうございます&七夕記念SS

お願いかなえて♪ 天の川


 7月7日……。

「うにゅ〜……」

 わたしはベッドの中で眼を覚ましました。

 えへへ……今日は目覚ましに大差をつけて大勝利♪

 カーテンを引き、窓を開けて外を見ます。

 雲一つ無い、まさに日本晴れ♪

 もうすっかり夏の空だぁ♪

 わたしは嬉しくなってパジャマを脱いで制服に着替え、洗面所に向かいます。

 しっかり歯磨き。

 続いて洗顔。

 ふと、目の前の鏡に向かって笑います。

 いつもと同じわたしの顔。

 耕一お兄ちゃん曰く『天使の微笑』らしいけど……、

 よくわかんないや。

 でも歯並びはいつも誉められるんだよ?

「……初音……いつまで鏡の前でニヤニヤしてるの?」

  ピシッ!

 瞬間わたしの時間が止まりました。

 ギギギギ……と油の切れた機械みたいな音をさせながら、
首だけを後ろ見向けると呆れ顔の楓お姉ちゃんが立っていました。

「か……楓お姉ちゃん……見てた?」

「…………」(コク)

「……どこから?」

「最初から」




沈 黙



 イヤァァァァァァァァァッ!!







「梓お姉ちゃん……おはよう……」

「お、初音。今朝は早い……って如何したんだ?顔が赤いぞ?」

 調理の手を止めて、梓お姉ちゃんが聞いてきました。

 はぅぅ……まだ恥かしいよぉ……。

「な、なんでもないよ。それよりわたしも何か手伝う。何すればいい?」

「ん〜と……じゃあ、そっちのお鍋お願い」

「はぁ〜い」



   グツグツ……

 お鍋から美味しそう匂いがします。

 もう、頃合かな?

 ちょっとお味見……。

 うん美味しい♪

「梓お姉ちゃん、コッチ終わったよ?」

「おし、そんじゃ、食器並べて」

「うん」

 食器を並べつつ梓お姉ちゃんを観察します。

 短いけど、サラサラの髪……。

 引き締まった体……。

 大きな胸……。

 耕一お兄ちゃんは『男っぽい』って言うけど、料理の腕はプロ裸足……。

 ある意味理想の女性像を凝縮すると、梓お姉ちゃんになるんじゃないかな?

 そんな事を考える事もあります……。

「……ね……はつね……初音!」

「は、はい!?」

「あんた……食器何処まで積み上げる気?」

 梓お姉ちゃんの呆れた声で我に帰ったわたしが最初に見たものは、
食器棚の食器全てを使って積み上げられた塔でした。

 えへへ……初音失敗しちゃった♪







 うぅぅ……眠いぃぃぃ……。

 今朝は早く起きちゃったから……。

 あぁぁ……先生の声が……遠くなる……。

 寝ちゃダメだよ……寝ちゃ……ダ……メ……。



















『初音、短冊にはなんて書いたの?』

『あのね、初音ね、お兄ちゃんが欲しいの!』

『そう……初音が良い子にしていたら、きっと天の川がお願いを聞いてくれるわ』

『本当!?』

『ええ、本当よ……だから、良い子でいようね』

『うん!』

 お母さんとわたしだぁ……。

 ああ……コレは、夢……。

 お母さんが生きてた頃の懐かしい記憶……。





『ただいまぁ!』

 夏休み……。

 私がプールから帰ってくると、見慣れない男物の靴。

 そして、男の子の靴が玄関にありました。

 リビングには見慣れないおじちゃんと、男の子が座っていました。

『あら、初音。お帰りなさい………………』

 お母さんが何か言ってるのは判ったけど、その時のわたしには聞こえていませんでした。

 もしかしたらっていう希望が膨らんでいたから……。

 わたしの視線に気付いたのか、男の子はわたしの方を見ると、ニッコリと笑ってくれました。

 その瞬間わたしの中のもしかしたらという思いは確信に変わりました。

『初音。この耕一ちゃんはね、貴女の…………』

『お兄ちゃんなんでしょ?お兄ちゃんが初音のお兄ちゃんなんでしょ?』

 わたしが男の子に駆け寄ってそう言うと、男の子は一寸ビックリした様な顔をしてから、ニッコリ笑って、

『ああ、そうだよ。僕が耕一お兄ちゃんだよ』

 って言って、頭を撫でてくれました。

 わたしは嬉しくなって、

『耕一お兄ちゃんッ!!』

 て言って男の子……ううん、耕一お兄ちゃんに抱きつきました。


 コレは……耕一お兄ちゃんとの初めての出会いだ……。





『グルルルル…………』

 耕一お兄ちゃんがわたし達を睨みつけます。

 縦に裂けた瞳孔を持った紅い瞳で……。

 怖い筈なのにとても懐かしい……。

『耕一ィ! 如何しちまったんだよぉッ!』

『耕一さん』……

『耕一お兄ちゃん! わたしだよ! 初音だよ! 分らないの!?』

 ダメ……。

 今の耕一お兄ちゃんにはわたし達の声は届かない……。

 だって今のお兄ちゃんの眼は……、

 獲物を狙う、獣の眼……。

 でも楓お姉ちゃんは……、

耕一さん(ジローエモン)……』

 今、楓お姉ちゃんと耕一お兄ちゃんが誰かとダブって見えた・・・。

 とても懐かしい……、
 そして、酷く悲しい記憶に繋がる幻影(まぼろし)……。

『グッ……ガアァッァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッッ!!!!』

 気付かないうちに、わたしの頬を熱いものが流れていた・・・・。


 水門での出来事……。

 耕一お兄ちゃんの覚醒……。





『私達の従兄の耕一さん……覚えてるわね? 来週いらっしゃるわ』

『耕一って……あの耕一かよ!?』

 ……耕一お兄ちゃんが……来る?

『それで、出迎えなんだけど……』

『わたし! わたしに行かせて!お願い、千鶴お姉ちゃん!』

『……わかったわ。お願いね?初音』

『うん!』

 
コレは……耕一お兄ちゃんが帰ってくる前日……。





耕一お兄ちゃん……わたしの事わかるかな?

 ううん……それよりも、わたしはわかるかな……。

 絶対わかるという気持ち八割。

 もしかして……と言う気持ち二割……。

 久しぶりに耕一お兄ちゃんに会えるという大きな喜び……。

 そして、小さな不安……。

 と、誰かがわたしの前に立ちました。

『……初音ちゃん……だよね?』

 それは背の高い男の人……。

 でも、わたしは一瞬でわかった。

『うん! お久しぶり、耕一お兄ちゃん♪』

『……大きくなったね、初音ちゃん……』

 耕一お兄ちゃんはそう言うと、わたしの頭を撫でてくれました。

 わたしの記憶よりも大きな手……。

『えへへ……♪』

 耕一お兄ちゃんとの再会……。

 耕一お兄ちゃんのいる生活……。

 神経衰弱……。

 花火……。

 洞窟探検……。

 エルクゥの亡霊……。

 おじちゃんのお守り……。

 ヨーク……。

 ダリエリ……。

 リネットの記憶……。

 そして……。

 初体験……。

 ……決して、年頃の娘が憧れる様なロマンティックな状況とは言えなかったけど……。

 初めて結ばれた心と身体……。

 色んな夢が、記憶が……わたしの中を通り過ぎて言った……。




















「じゃあね、柏木さん」

「初音ちゃん、バイバ〜イ」

「うん、また明日ぁ〜」

 友達と別れてわたしは一人家に帰ります。

 ……ちょっぴり一人ぼっち……。

 カチャカチャ……

 鍵を開けて家に入ります。

 と……、

 プルルルルルル……

「あ、電話……」

 丁度電話の前を通った時、タイミングよく電話が鳴りました。

「はい、柏木です」

『あ、初音ちゃんかい?』

 どんなに離れていても、

 どれだけ会っていなくても……。

 決して忘れない優しい声……。

 わたしの……、

 最愛の人の声……。

「耕一お兄ちゃん!?」



『うん。それじゃあ、また来週にそっちに行くからね』

「うん! 楽しみに待ってるよ耕一お兄ちゃん!」

 カチャ……

 えへへ……今年のお願いもかないそうです♪

 でも……、

 折角だから、書き足しちゃいます♪

 いいよね?今日くらいワガママでも……。

 年に一度の七夕なんだから♪



『耕一お兄ちゃんが早くわたしのもとに帰って来ますように♪』




<おわり>


【痕書きもどき】

 はいどうも〜
 毎度お馴染み(?)の禍音様ですよ〜
 今回のお話、如何だったでしょうか〜?
 あ、千鶴さん出し忘れてた……。(汗)
『ウラァ!』
 き、君は……初音ちゃん!?
『初っ端からナニ書いてやがる!!』
 は、反転してる!?
『チッ! まあ良い……偽善者や乳牛、根暗がメインじゃなかった事は誉めてやるぜ』
 偽善者って……(汗)
『あんなボケ姉どものこたぁ、気にすんな!』
 は、はぁ……。
『つーかよぉ、おめえのSS……つまんねぇ』
 はぅわッ!
『第一展開がベタ過ぎなんだよ!』
 いや、でも……、
『うるせぇ!この●●の■□が◆◇◆のくせに▽▲●……ッ!』(自主規制)
 う……、
 うわぁ〜ん! 知佳ぁ〜初音ちゃんがいぢめるぅぅぅぅぅ!
『ア! 待てや固羅ァ!!』
『チッ……すまねぇ、バカが逃げちまいやがったので、此処でお開きだ』
『最後にコレを読んでくれた皆に……この言葉を送るぜ!』
『愛してるゼ!ベイベー♪』


<コメント>

誠 「早しものだなぁ〜……もう七夕なんだ」( ̄▽ ̄)
エリア 「そうですね〜……私がこちらの世界に住むようになってから、もう一年なんですね」( ̄▽ ̄)
さくら 「まーくん、エリアさん……願い事はもう書きましたか?」(^_^)
誠 「ああ……あとは竹に飾るだけだな」(^〇^)
あかね 「ねえねえ、まーくんはどんなお願い事にしたの?」(^_^?
誠 「俺か? 俺は去年と同じだよ」(^ー^)
さくら 「――え?」(*・・*)
あかね 「うにゃ〜ん♪」(*・・*)
エリア 「そ、そんな……」(*・・*)
フラン 「誠様……」(*・・*)
誠 「――? で、そういうお前等はどんな願い事にしたんだ?」(−−;
さくら 「それは、秘密です♪」(*^_^*)
あかね 「でも……」(*^_^*)
エリア 「ちゃんと叶えてくださいね♪」(*^_^*)
フラン 「…………ぽっ☆」(*^_^*)
誠 「ん〜?」(・_・?