陣九朗のバイト IN Heart
to Heart
第五弾
注意:このSSは、HtH お正月の遊びシリーズを読んでからご賞味ください。
電子レンジは使えません。あしからず…、
今日は一月の二日。
元旦は過ぎたとはいえ、まだまだお正月ムードが漂いまくっている。
現在、遅めの晩御飯の時間。
そしてここ、元デュラル邸、現 津岡邸では……、
「お〜い、大丈夫か?」
「陣ちゃん…もう…食べれないよ」
「私も、おなかいっぱいです」
「う〜む、困ったな…」
一つの問題に直面していた。
その問題とは!!
「おせち……作りすぎたな」
大量に余っているおせちの処理についてだった…、
〜 ある日のどきめんつ 〜
「いやぁ、今年は久しぶりなもんだから、調子に乗って作りすぎたな…」
俺は誤魔化すように二人のほうを見た。
「…ちょっと? ……10人分ぐらいはありましたけど?」
「陣ちゃん、加減って知ってる?」
ううううううううう。
二人の視線がひたすら痛い。
何を隠そう、今回おせちを作ったのは俺なのだ。
え? なぜかって?
まぁ、いわゆる『その場のノリ』ってやつだ。
「そんな理由で作ったんですか?」
「チキ…心を読むな」
「声に出てたよ。誰に話してたの?」
……………。
「ま、気にするな。それより問題はこの残り約5人分のおせちをどうするかだ」
作った本人が言うのもなんだが、結構美味く出来ている。
和料亭でのバイトの成果だな。
それもあって、俺が2人分、チキとリーナが2人で約3人分を食べた。
「ねえ、おせちって保存食だよね?
あと2、3日は持つんじゃないの?」
「……今回のおせちは、生物もたくさん使ってるんでな。
いくら冬場でも日がたつにつれて味は損なわれていくし…」
「だったら始めっからこんなに作らなきゃ…」
「さーて、どうしたものか??」
チキの非難を聞こえないふりでやり過ごした俺は、
そのままこの問題の打開策に思考を移した。
「あの、陣九朗さん?」
「ん、なんだチキ?」
向かいの席に座っているチキが、こちらに不思議そうな視線を送っている。
「いえ、いつもでしたら『ルミラさんのところに持っていくか』と、言うと思いまして」
「ああ、それ却下。お正月の間はたまがいないらしい」
何でも、どっかの温泉地の知り合いの家に行ってるとか何とか…、
「でも、ルミラさんたちはいるのでしょう?」
「アレイさんに聞いた話だと、ルミラさんは新年早々予備校のほうへ出勤。
メイフィアさんは神社でバイト。(巫女さんのバイトもやるらしい)
イビルにいたっては屋台の弁償が済むまでただ働き中だそうだ。
つまり、実質、家にいるのはアレイさんだけなんだな。これが」
「そうですか…ところで、いつアレイさんに聞いたんですか?」
「今日の昼に偶然会ってな。お互い暇だったんでご飯でも、ってことに…」
…………………
な、なんかいきなり空気が重くなったような…、
「…陣ちゃん。もう少し考えて行動しようね?」
「??? なんのことだ?」
「はぁ、チキちゃんかわいそ…」
「??????」
E C M
そんなこんなで(どんなんだ?)、結局、
「ここは誠の所に持っていってやろう」
という結論に達した。
決して、手っ取り早く処理する方法を考えてたら思いついた、
なんてことはまったく一向にこれっぽっちのかけらもありませんでございますです。
……たぶん。
そして、思い立ったら即行動。
バイクをとばして走って…、
今、俺は誠のうちの近くまで来ている……と思う。
「陣ちゃ〜ん。何で住所確かめてこなかったの?」
後ろに座ったリーナが非難めいた(というより非難そのものの)視線を送ってくる。
「住所も何も、俺はそんなの知らんぞ?」
「……じゃあ、どうやって誠君のうちへ行くつもりだったの?」
「以前一度行ったことがあるから、近くまで来たら思い出せるんじゃないかと…」
「……はぁ」
うう、リーナにあきれられてしまった。
何とかなると思ったんだがな…、
俺はヘルメットを脱いで軽く頭を振った。
そのままため息とともに夜空を見上げる。
「月がきれいだな〜〜………………なんだありゃ???」
俺は夜空のある一点を見て固まってしまった。
「どしたの、陣ちゃん?」
「……あれ」
「? ……うひゃあ。すごいね」
俺が指差した方向を見上げ、リーナも感嘆の声(違う)をあげる。
そこには、月明かりに照らされたでっかい誠の顔写真が凧のように浮かんでいた。
いや、実際凧なのだろうが……、
「誠くん、勇気あるね〜」
「いや、違うと思うな……、
なんにせよ、あれの出ている先が誠のうちだろう。
行くとするか…」
俺は必死に凧上げを止めようとする誠の姿を思い浮かべながら、
凧糸が出ている方向へと向かった。
エリアさんたちもむごいことを…、
E C M
「えっと、今の時間は〜」
俺は自分の腕時計を覗き込んだ。
この時間なら、少し遅いがまだ寝てはいないだろう。
「さて……」
俺の目の前には表札がある。
藤井と書かれている。誠のうちに間違いなさそうだ。
なんてったって、この家の上空には誠の顔写真が飛んでるわけだし…、
俺はインターホンを押すべく指を伸ばした。
「ちょっとストップ。何か聞こえるよ?」
リーナに言われて手を止め、耳を澄ます。
(な、何を考えてんだ、お前らはっ!!)
「今のは誠の声だな」
「そうみたいだね。なにしてんだろ?」
俺たちはいけないと思いつつも聞き耳をたててしまう。
といっても、壁越し、窓越しの声はそんなにはっきりとは聞き取れないが。
(ゴメン………悪かった。俺の……、色々と……たんだよな)
「あんまりよく聞き取れないね…」
「……ホントはいけないとはわかっていても…」
(と、言われる……しっかりとワタシの帯を掴んで……)
「帯をつかんで、だって」
「ああ、誠のやつ何やってんだ?」
そこからしばらく沈黙が続いた。
俺もリーナも一層聞き耳を立てる。
そして、次に聞こえてきた言葉は…、
(……じゃあ、やるか)
「やる!? な、なにをやるつもりだ?」
「陣ちゃん! し〜っ、しずかに」
(……始め…良いの…すが……)
「今のはフランの声だな。そういやさっきの声も…」
「フランちゃんも来てるんだ」
(それが……、その…姫始め…な…のですか?)
「………リーナ、今なんて聞こえた?」
「えと…『それが、その姫始めなのですか』かな……」
ええと……、
帯に手をやって始めるものは姫始めなわけで……、
………………………
「リーナ、今日は帰ろうか?」
「そ、そうだね〜。お邪魔しちゃ悪いし」
人の恋路を邪魔するやつは、馬に蹴られてなんとやら。
俺たちは早々に引き上げることにした。
でも、念のため確認。(力発動 聴覚アップ!)
(きゃ〜〜〜〜っ♪)
(うにゅ〜〜〜♪ 目が回るよ〜〜〜♪)
(ああ〜〜〜ん♪ そんなぁ〜〜〜♪)
(誠様〜〜〜♪ お戯れを〜〜〜♪)
ま、まさか5○!?
ちがう! 誠はそんなやつじゃないんだ〜〜〜っ!!
俺は自らの邪念を振り払うべく、バイクに飛び乗ると家までの道を爆走した。
誠、俺は信じてるからなあああああ!!!! 一応。
おひまい。
おまけ、その1
「さて、始めよっか!?」
「リーナ? 何をだ?」
「陣九朗さん♪ うふ、うふふふふ」
「チキまで…って言うか、なんか怖いぞ?
で、何を始めるんだ?」
「も・ち・ろ・ん〜姫始めだよ♪」
「…………リーナ、そう言う冗談はよしこさん」
「ぶぅ、陣ちゃん、古いよ」
「……(冗談…ですか)」
「ん? チキ、どうかしたか?」
「いえ、なんでも(ぷぅ)」
「はぁ、二人とも問題ありだよね〜〜」
「???????」
おまけ、その2
陣九朗が大いなる勘違いとともに暴走しまくっているころ…、
「(ぱくっ☆)あ〜、おミカンが美味しいですぅ♪」
アレイはコタツでミカンを食べていた……っておい、その格好は!?
「はあ…陣九朗さん、今ごろ何してるのでしょうか…」
はう、そんな格好で身悶えたりなんかしたら…(流血)
お見せできないのがとても残念です。(くすくすくす)
ここからは後書きらしいです。
お正月の遊びシリーズを読んだ後、勢いだけで書きました。
今回、タイトルには何の意味もありません。思いつかなかったもんで…
え? おまけ2のアレイの格好ですか?
…………ひみつです。くすくすくす……
(了)
<コメント>
誠 「言っておくがっ!! 俺はあの夜は何もしてねーぞっ!!」(−−;
陣九郎 「でも『コマ回し』はやったんだろ?」(¬¬)
誠 「うっ……まあ、それは……」(−−ゞ
浩之 「で、その後……ヤッちゃった、と」(´ー`)
誠 「ヤッてねえっ!!」(−−メ
浩之 「ったく、しょうがねーなー」(´ー`)
誠 「人の話を聞けいっ!!」(−−メ
浩之 「しかも、四人同時に『コマ回し』だなんて……俺でも二人までだったのに……」(´ー`)
誠・陣九郎 「「――何?」」(−−?(−−?
――しばらくお待ち下さい。
浩之 「ま、まあ、それはともかく……気になるのは最後のアレイの恰好だな」(^_^ゞ
陣九郎 「そうだな……一体、どんな淫らな恰好を……」(* ̄▽ ̄*)
誠 「でも、アレイさんって、育ちの良い箱入り娘だったって話だから、
そんなはしたない恰好をしてるとは思えんが……」(・_・?
浩之 「じゃあ、例えば……お風呂上りのバスタオルのまま、とか」(* ̄▽ ̄*)
陣九郎 「普通にパジャマ姿でも充分……」(* ̄▽ ̄*)
誠 「もしかしたら…………陣九郎の事を想ってあ〜んな感じで……」(−o−)
陣九郎 「ん? 何か言ったか?」(・_・?
誠 「いや……何も……」♪〜( ̄ε ̄)