陣九朗のバイト IN Heart to Heart

第10弾 (どんどんぱふぱふ!)の、後編



「くっ! まだまだぁ!!」

 しゅかかかかかかかかかかかか!!

 俺の爪は、ターゲットを正確に切り裂いていく。

「津岡さん、がんばってください」

 フラン、君は俺を応援しちゃいけないと思うが。

「陣九朗、もう終わりか?」

 背後で声が聞こえる。
 今、俺が闘っている、奴の声が。

「まだだ、まだ終われない!」

 目の前で炎が踊る。
 俺のとなりでは、アレイさんが一生懸命闘っている。

「残念だったな、陣九朗、これで…」

 なにっ! まさか!

「終わりだ!!(ぱくっ)」

 あれだけの攻撃をこんな短時間で。
 二人がかりでもダメか、これほどとは…、



〜 ある日のおしゃけ 後編 〜



「お前、食うの速過ぎるぞ」

 エプロンを脱いで、今まで戦っていた相手−誠−の方に向き直る。

「そうか? それにしても、お前も物好きだな、早食いと早調理の勝負なんて」

「一回やってみたかったんだよ。
しかし、10皿のハンデがあったのに負けるとは…、
ところで、味のほうは? 手を抜いたつもりはないが」

 誠は何も言わず、親指をぐっと立てた。
 どうやらお気に召したらしい。

「アレイさんもお疲れ様。疲れたろ?」

 一緒に調理をしていたアレイさんは、結構疲れているらしい。
 椅子に座って、ふぅとため息をついている。
 やがて、ゆっくりと顔を上げ、

「陣九朗さん、こんなことしてる場合じゃないような気がするのですが…」

 …せっかく現実逃避してたのに。

「しかたない、誠」

「…おう」

 俺と誠は、目で合図をして、それぞれ宴の中に入って行った。



 CASE 1 たま、イビル

「よぉ、陣九朗(ひっく)」

「うにゃ〜〜〜」

 …ぽんっ(手を打つ音)

 そういえば、たまの為に作っといた物があったな。
 ええ〜〜と(がさごそ)、あったあった。

「たま、ちょっとこっち来い」

「うにゃ?」

 なんだかふらふらした足取りでこっちに来る。
 う〜ん、こいつも酔ってるのだろうか?

「よしよし、動くなよ」

 これを外して……よいしょっと。

「陣九朗、なにしてんだ?」

 う、イビル、結構飲んだな。
 かなりの酒気が出てるぞ。

「ああ、たまの首輪にちょっとした細工をしただけだ。
ほんとなら、新しいのを作ってもいいんだがな」

「? 鈴を交換しただけじゃねーのか?」

 ちっちっちっち。
 ただの鈴じゃないんだな、これが。
 どれ、さっそくためしてみるか。

「たま、買出しのときに見つけて買ってきたんだが…」

 そういいながら、ヒップバッグから『それ』を取り出す。

「にゃ! カツオ節にゃりん、くれくれ!」

「ぶっ!!」

 こら、イビルきたねーな。
 酒をふくんじゃないっての。

「い、いま、しゃべったぞ!?」

「うん、しゃべったな。そういうふうに作ったからな」

 どうやら上手く出来ていたらしい。名づけて『おしゃべ鈴』(うわ、さむぅ)
 ふ、まだまだ腕は落ちちゃいないな。

「そ、そうか。なんか驚いてすっかり酔いが冷めちまったぜ。
また飲み直すか…陣九朗もどうだ?」

 そう言って一升瓶を差し出す。
 …もう三分の一も残ってないな。 
  
「また後でな。みんなの所をまわってくるわ。
お、そうだ、後でたまにこれ、食わしてみ?」

 俺はバッグの中から小さな実を3粒ほど出して、イビルに放り投げた。
 あれ? これはもう一袋あったはずだが…、

「? なんだ、これ?」

 器用に全てを片手でキャッチして、しげしげとそれをみる。

「ま、お楽しみって奴だ」

 俺はそう言って席を立った。



 CASE 2 アレイさん、ルミラさん

 さて、ルミラさんのところにはアレイさんが行って、診てくれてるはずだけど…、

「じんくろうひゃ〜〜ん」

「おわっ! アレイさん!?」

 な、なんでアレイさんまで酔ってるんだ?

「陣九朗君、いらっしゃい」

 ルミラさん?
 …酔ってるようには見えんが。

「ルミラさん、いま、シラフですか?」

「や〜ね〜、お酒を飲んだら酔っ払うに決まってるじゃない。
その証拠に〜〜」

 いきなり服を脱ぎだすルミラさん。

「何やってるんですか!?」

「だって酔っ払ってるんだも〜ん。ほらほら、アレイも脱いで」

「ふわぁ〜い(ぬぎぬぎ)」

 だからっ!

「アレイさん、しっかりして! 脱いじゃダメだって!!
ルミラさん、なんちゅうこと言うんですか!!」

「気にしない気にしない。今ここには、陣九朗君と誠くんしか男性はいないんだから」

 そういう問題じゃありませんってば。
 ……………まてよ?

「ルミラさん、血、吸います?」

 俺は服をずらして首筋を見せた。

「え、いいの!? やった、ラッキー!」

 すごいスピードで正面までくると、

「いっただっきま〜〜す☆」

 一気に首筋に噛み付こうとする。

「シラフじゃないですか!!」

 ぱしこーーん!!

 ああ、また出してしまった(スリッパ)。

「痛いじゃない、陣九朗君」

「我慢してください!
思いっきりシラフの反応じゃないですか。
そういう冗談はやめてくださいよ。精神的に疲れますから」

「けち」

 つ、疲れる〜。

「ルミラしゃま〜、また陣九朗しゃんをいじめまひたにぇ〜〜」

 アレイさん、もはや何言ってるのかよくわからないぞ。

「ルミラさん、アレイさんにどんだけ飲ませたんですか?」

 ルミラさんは、少しの間眼を泳がせ…、

「……ほんの湯飲みに5杯ほど」

 飲ませすぎじゃい!!

「ダメでしゅよ〜、陣九朗しゃんは、いつもわたくしたちのことをたしゅけてくれて…」

 アレイさん?
 なんかゆっくりとルミラさんのバックをとってるように見えるんですが。

「とってもとってもおしぇわになってるんでしゅから〜〜」

 ぎゅうううううう(めきめき)

「ぎゅ、ちょ、ちょっとアレイ、落ち着いて!! ブレイク、ブレイク!!!」

 ほほう、チョークスリーパーが見事に決まってますな。

「陣九朗君、みてないで、うぎゅ、助けて〜〜」

 自業自得…と、言いたいところだが、このままだとマジに落ちそうだから止めとこう。
 っていうか、アレイさんが加減せずにやったら、首がもげるぞ。

「アレイさん、落ち着いて、落ち着いて」

「う? じんくろうしゃん」

 よし、俺のことはわかるみたいだな。

「はい、まずはゆっくりと腕を放してみようか」

「は〜い」

 アレイさんは言われたとおりに、ルミラさんから腕を放す。

「よしよし、よくできました」

 アレイさんの頭を、誠があかねちゃん達にするみたいになでてやる。

「えへへ〜〜」

 ……か、かわいい。
 今、誠の気持ちがわかったような気がするぞ。

「よ〜し、じゃあ今度は陣九朗くんに抱きついてみようか〜」

「はぁ〜い!」

 ルミラさん! そういうことを…

 だきっ  すりすりすりすりすり

(う、うお)

 一瞬、俺の中の別の野生が目覚めそうになる。

 すりすり……すり…すーー、すーー、すーー…

「ね、寝たのか?」

「なんだ、つまんないの」

 ルミラさんが本当につまらなさそうに口をとがらせている。

「…ルミラさん、こういうことをするなと」

すちゃっ! すちゃっ!
ぱぱしこーーん!!!!


「言ったでしょうが…」

「に、二刀流…がくっ」

 ふ、またつまらぬ物を出してしまった(泣)。



 CASE 3 エビル、メイフィア

「あら、陣九朗じゃない。どうしたの?」

「なにかあったのか?」

 テラスに来ると、メイフィアさんと一緒にエビルさんもいた。
 部屋にいなかったから、たぶんここだと思ってたのだが。

「いえ、お酒のつまみを持ってきたんですよ」

 俺は、もってきたつまみの載った皿をテーブルに置いた。

「あ、エビルさんには飲み物も。烏龍茶とオレンジジュース、どっちがいいですか?」

「すまない。お茶のほうをもらう」

「えらく気が利くわね、陣九朗」

 そうでもないけどね。
 オレンジジュースのペットボトルをテーブルの上に置く。

「ところで、何の話をしてたんですか?
いや、ここにくる途中、話し声が聞こえたもんで」

「聞いたのか?」

 なぜかエビルさんが向きなおって聞いてきた。

「いえ、ぜんぜん。
話し声が聞こえただけで、なにを話してたのかはまったく」

「…そうか」

 …? なんだろう。
 聞かれちゃまずい話しでもしてたんだろうか?

「いいじゃない、別に。
ところで、こっちからも質問していいかしら。
陣九朗って、恋、したことあるの?」

「……はぁ!? な、なんなんすか、いきなり」

 いきなりの質問に、俺は少なからず動揺した。

「いいからいいから。たまにはおねーさんの質問にも答えなさい」

 ……逃げても無駄なんだろうな〜。
 ま、いいか、この二人になら。
 間違っても、誠やルミラさんには聞かせられないしな。

「恋ですか…一応、ありますよ。
遠い昔に、一度だけ。
気付いたときには、もう遅かったですけどね。
その相手はもうこの世にいませんが、今でも俺は…たまに、思い出します。
吹っ切るのには時間がかかりそうですよ」

 自嘲気味に俺は笑った。

「吹っ切る必要なんて、あるの?」

「? メイフィアさん?」

 メイフィアさんは、お猪口の中の酒を、くっ、っと飲み干し、

「ふぅ…いいんじゃない、引きずってても。
そのうち、全部まとめて、受け入れてくれる人が見つかるまでは」

 何もかも、見通したかのような目をしている。
 …………この人は…、

「そう…そうかもしれませんね。答えはまだ出ませんけど、いつかそのうち」

「それでいいんじゃない? そう遠いことでもなさそうだし」

「?? どういうことですか?」

「それぐらい自分で考えなさい。それだけの頭は持ってるんだから」

 …よくわからん。

 いいか、そろそろ部屋に戻ろう。

「それじゃ、俺は戻ります。二人とも、風邪ひかないようにしてくださいね」

「じゃあね」

「うむ。また後で会おう」

 二人の声を背に、俺は部屋へと戻った。



「メイフィア、先ほどの質問はどういうことだ?」

「ん〜〜、特に考えてなかったんだけどそういうのも聞いてみたくてね」

「…そうか、そういうことにしておこう」

「そうそう、そういうことにしといてね。
それにしてもこの卵焼き、お酒のつまみにはもったいない味ね〜」

「そうか、私も頂こう。(はむ)む、これはなかなか…」



 CASE 4 誠家(笑) ここは、誠の主観で行きます。

「うにゃ〜〜(ごろごろ)」

 おお! あかねのやつ、すっかり猫さんモードに入ってるみたいだな。
 つまり、かなり酔ってるってことか?

「まことさ〜ん(すりすり) いっしょにのみましょう」

 エリアも…見た目にかなり酔ってるな。
 セリフも全部ひらがなだし(何のことだ?)

「はふぅ…まーくん……」

 う! さくらは妙に艶っぽいため息なんかついてるし。
 そんな潤んだ目で、しかも上目遣いに見ないでくれ! 辛抱が我慢なわけで!

「…? なんでしょうか?」

 フランが首を傾げて俺のほうを見る。
 …俺はなにを期待してるんだ?

「まぁ、なんだ。思ったよりもすごいことには、なっていないみたいだな」

「はい。しかし…あかね様はお酒を召しあがっていないはずなのですが…」

 なに? じゃあ、いまのあかねの状態は…

「うにゃあ! (ぺろぺろぺろ)」

 『いつものように』俺の顔を舐めにくるあかね。
 どうやら、ただの猫さんモードらしい。

「なあフラン、あかね、何かインテリモードになるようなことしたっけか?」

「さあ? ワタシが来たときには、すでにこの状態でしたので」

 フランは俺たちと一緒に買出しに行ってたから、状況を知らないわけか。

「となると…お〜い、エリア、なんであかねが猫さんモードになってるんだ〜?」

 完全に酔っ払った状態のエリアの肩を持ち、こちらを向かせる。

「………まことさ〜ん(すりすりすり)」

 …だめかな、こりゃ。

「お〜い、さくら〜…」

 胸にエリアが抱きついたままの状態で、今度はさくらのほうを向く。

「まーくん……あの、私……」

 なんだかモジモジし始めた。
 さくらは元が美少女なだけに、こういった行為がそりゃあもう可愛いわけで…、

「初めてなので、優しく…」

 そういいながら
服を脱ぎ始める。

「待たんかい! さくら、脱ぐんじゃない!
俺としては非常にうれしいけど、早く着なさい!!」

「でも…まーくん、私のこと嫌いなんですかぁ〜〜」

「ああ! 違う、嫌いなわけないだろう。 でも、そういったことは…」

「あ〜、わたしもまことさんとシます〜〜(ぬぎぬぎ)」

 こ、こら、エリアまで!

「エリアも脱ぐんじゃない。だぁー! さくら、ちゃんと服を着なさい!!」

 いかん、このままでは…、

「失礼します」

「うっ…す〜〜、す〜〜〜」
「! す〜〜、す〜〜」

 フランがハンカチをさくらとエリアの口に当てると、二人は眠ってしまった。

「フラン、そのハンカチは?」

「津岡さんが、こんなこともあるだろうからと持たせてくれました」

 陣九朗、お前なんでこんなもん持ってるんだよ。
 なんにせよ、助かった。

「うにゃあ」

 そうだ、まだあかね猫がいたんだっけ。
 ま、いつもどおりだから気にすることはないけど。
 さて、いつもどおり、思う存分なでなでするとしよう。

「飲んでるか? 誠」

 あかね猫をなでなでしてると、突然うしろから声をかけられた。

「イビルさんか、どうしたんだ?」

「いや、陣九朗のやつ知らねーか?
さっきもらったこれ、何なのか聞きたくてな」

 イビルさんの手には、何かの木の実のような物が載っている。

「うにゃ? ………(ぱく)」

 あ! あかね、こんなの食べちゃダメだって!

「…まあ、酒のつまみにもらったもんだから、喰っても死にはしないと思うが」

「なんだ、食えるのか。よかった」

「それじゃーな。陣九朗が来たら、あたいの所に来るように言っといてくれ」

 それだけ言い残し、イビルは戻って行った。

「うにゃ〜、ひっく」

 ……?
 なんだかあかね猫の様子がおかしい。

「…………うみゅぅ」

 あかね猫は、俺の顔をジィ〜ッと見つめている。
 それに、何だか頬も赤くなっているし、瞳も潤んでる。
 ……ん? なんだか、前にこれと似たようなことが…、

「……にゃあ」

 な、何か……猛烈に嫌な予感が。

「うみゃあ〜〜〜」

 あの時と同じように、あかね猫は、にへら〜と笑うと……、

「うみゃう(ぬぎぬぎ)」

 
やっぱりかい!!

 俺は、いつかの発情期事件を思い出しつつ、手で目を覆い、しかし隙間からしっかり見つつ、

「フラン、頼む!」

「あかね様、失礼します」

「うみゃ! …す〜〜、す〜〜…」

 みんな、すまん。
 俺だって、こんな状況じゃなくて、自宅で俺たちだけの状態でなら!!!

 まあ、それはそれで、後々面倒なことになりそうなんだが。

「フラン、ありがとうな」

 今回は、本当に世話になったからな。

「いえ、そんな…」

 あくまでも控えめなフラン。
 そんなフランが、とても可愛く思えて、

 なでなでなでなで

「ま、誠さま(ぽっ☆)」

「がんばったフランにご褒美だ」

「そ、そんな、でもうれしいです(ぽぽっ☆)」

 それからしばらくは、フランをなでなですることを肴に、酒を飲む俺だった。
 ま、これも平和かな?



 CASE 5 チキ、リーナ、  陣九朗主観に戻ります。

 ふう、なんか今日はやたらと疲れるような気がするな。

 そういえば、チキとリーナはどうしてるんだ?

「みゃははははははははははははははははははははははははははははははは」

 ………………。
 この声は、間違いなくリーナだな。
 あいつ、笑い上戸だったのか?

「あ…陣九朗様。こちらへどうぞ」

 チキに言われるまま、俺は二人と向かい合うようにして腰をおろした。

「みゃはははは…あ、陣ちゃん。ようこそここへ」

 なに言ってんだ? リーナ?

「気にしない気にしない!!
あ、そうそう、なんだかチキちゃんも酔っ払っちゃってるみたいだよお〜〜ん」

 …また頭が…って、チキが酔っ払ってる?

「チキ、お前も酒、飲んだのか?」

「…いえ…私は飲んでいません」

 微妙に反応が遅いところを見ると、やはり酔ってるんだろう。
 なんでだ? 酒を飲んでいないなら…、

「なんかね〜〜、その袋のおつまみ食べたあたりからだよぉ〜〜、みゃはははははは」 

 リーナ、言動がおかしい割には、しっかり物を見てるな。
 袋のつまみ……これは、さっきなくしたと思ってた
『マタタビ漬け』!!

 まさか、マタタビでよっぱらってるのか?

「陣九朗様…」

 そっとチキが俺の胸に寄り添ってくる。
 さっきから、なんか違和感を感じるんだが…、

「陣九朗様は、私の事…お嫌いですか?」

 きゅっと俺のシャツを握り、瞳を潤ませて聞いてくる。

「そんなわけないだろう、チキのことは…その…好きだぞ」

 まぁ、あくまで家族の一員として、だが。(まだ…な)

「でも…最近、私達の相手をしてくださいませんし…」

 そういえば、このごろバイトが殺人的なスケジュールで入ってたからな…

「私は…陣九朗様のことをお慕い申しております。陣九朗様のためなら…」

 違和感の正体に気付いた。
 陣九朗『様』?

「陣九朗様のためなら、何でも出来ます。陣九朗様…」

 だんだんと体を密着させてくるチキ。
 なんだか様子がおかしい。

「わたしを…陣九朗様の物にしてください…」

 ぐはあぁあぁ!! か、かなり強烈な…

「陣九朗様…たとえ、奴隷でもかまいません。おそばにおいていただけるのなら…」

 ぐふぁ!! ぐ、ぐはあぁぁっぁぁぁぁ!!!!!!
 い、いかん、このままでは堕ちてしまう。 

 
チキも! そんなすりすりとかしない!!
 
首筋をぺろぺろもダメ!!!!
 
あまつさえ、服を脱ごうとするんじゃない!!!!!

「…お取り込み中のようですね」

 だ、誰…フランか。
 そうだ!

「フラン、さっき貸した『あれ』で、チキを眠らせてくれ!!」

「? よくわかりませんが、かしこまりました。
チキさん、失礼します」

「うっ… すぅ〜〜、す〜〜〜〜」

「た、助かった…」

 いいところにフランが来てくれたもんだ。

「誠様が、津岡さんのところも面倒なことになってるかもしれないから見て来い、とおっしゃったもので」

 そうか、誠のおかげか。
 うう、メチャメチャ感謝するぞ、誠。

 しかし、酒…もとい、マタタビに酔っただけで、チキがあんな行動に出るとは思えんが。

 …?
 よく見ると、つまみの袋のすぐそばに、買った覚えのない紙包みが置いてあった。
 開いて中を見てみると…、

『がんばれ! By 父』

 ………、

「くそ親父がぁああああ!!!!!!!」

 ぐしゃっ ひゅん!!

 思わず包みを握りつぶして放り投げる。

 そういえば、手紙だけ処分して肝心の薬のほうを処理してなかったな。
 するとさっきのチキの行動は…はぁ、悪いことをしたな。

「どうかなさいましたか?」

「いや、なんでもないよ、フラン。さっきはありがとうな」

「いえ、これはお返ししておきます」

 そう言ってハンカチを差し出す。

「ああ、誠のほうは問題なかったか?」

「はい、おかげさまで、無事に対処いたしました」

 対処、ね。

「まあ、なんにせよ助かった。誠にも礼をいっといてくれ」

「かしこまりました。それでは、失礼します」

 丁寧にお辞儀をして、誠のところに戻っていく。





 ふう、疲れた…、

 俺はもう、裏でつまみでも作ってることにしよ。

 宴は、まだまだ続きそうだ……、





おしまい























おまけ(超短)

「うー、まーくん、頭が痛いよ〜〜」

「陣九朗さん、私も少し頭がガンガンします…」

「うにゃ〜……にゃんか頭が痛いニャロメ」


「…二日酔い??」



おまけ、その2(超短2)

「そういえば、陣パパが送ってくれた薬。
陣ちゃんは、『開いて』確認したんだよね〜〜」

「そうだが? それがどうかしたか?」

「う〜ん、べつにぃ〜〜。(本当のところは、どっちなのかな、チキちゃん?)」



おわりだってば



後書き(これから、普通に行きます)

 にゃんだカンダといって、やたらと長くなってしまいました。
 やっぱり、前中後編にしとけば、もうちょっと書き込めたかな?
 しかし…なんか壊れてるなぁ。ちょっと反省。
 今ひとつ、落ちがつかないまま…、

(了)


<コメント>

はるか 「あらあらあら、誠さんの食べるスピードについていけないなんて……」(^ー^)
あやめ 「またまだよね〜」(^ー^)
ひかり 「そうねぇ〜。某大食いカルテットに対抗できるくらいじゃなきゃ……」(^ー^)
秋子 「一人前とは言えませんね」(^ー^)
ルリ 「……私もアキトさんの妻として、
    いつかその領域に達する事ができるのでしょうか?」(−−?
エリア 「まったくです」(−−?
あやめ 「大丈夫よん♪ なんといっても、このHPでは……」(^o^)
はるか 「人妻は最強ですからね♪」(^o^)
ひかり 「でも、ルリちゃんとエリアちゃんは、まだまだ人妻予備軍だし……」(^o^)
秋子 「精進しましょうね♪」(^o^)
エリア・ルリ 「「はーい」」\(^〇^)/\(^〇^)/