奇跡の願い
ボクが子供のころだった。
お母さんがいなくなった。
お母さんはいつもくるしそうだった。
いつもびょういんのベットでねていた。
お母さんといっしょにあそびたかった。
お母さんといっしょに出かけたかった。・・・ほんとうは。
でも言わなかった。
言ったらお母さんがかなしむから。
「ごめんね・・・ごめんね・・・」ってなきながらボクに言うから。
だから言わなかった。
お父さんはえらい子、っていってくれた。
うん・・・ボク、えらい子・・・
まいにちいのっていた。
いのればきっと、かみさまがねがいをかなえてくれると思ってた。
まいにちまいにちいのった。
そうすれば、きっとお母さんは元気になってくれる。
元気になったら、お父さんとお母さんとボクの3人で、出かけるんだ。
どこがいいだろう?
きっとお母さんが楽しいところを教えてくれる。
だからお母さん、はやく元気になって・・・。
お母さんのようすは、変わらなかった。
・・・ちがう。
前よりもっとつらそうだ。
元気になってほしい、元気になってほしい・・・
ボクはそれだけをかんがえてた。
たいいんしていいってお医者さんが言った。
だけどお母さんはくるしそうなままだ。
このお医者さんのうでがわるいんだ。
きっと、べつなびょういんにいけばいいはずだ。
お母さんがいっしょにあそびにいこうって言った。
ほんとはいきたかった。
でもお母さんがくるしそうだからやめようって言った。
でもお父さんもいこうって言った。
だからいくことにした。
たのしみだな♪
お父さんと、お母さんと、ボクの3人で出かけた。
たのしくなかった。
お母さんはずっとつらそうだった。
ずっとくるしそうだった。
とちゅうでお母さんがたおれた。
しょうがないから、その日はうちにもどった。
お母さんはなんでびょういんにいかないのだろう?
お父さんはなんでびょういんにお母さんをつれてかないんだろう?
おもいきってきいてみた。
ふたりともこたえてくれなかった。
ずっといのってるのにちっともお母さんはよくならない。
どうして?
ボクがいのってるだけじゃたりないのかな?
そうかもしれない。
もっともっといのろう。お母さんがよくなるために・・・
ふしぎなちからがつかえるようになった。
きっとこれがお母さんをすくうために、かみさまがあたえてくれたちからだ。
たいせつにしなきゃ。
つぎの日、お母さんといっしょにでかけた。
お父さんはいそがしくてこれないって言ってた。
お母さんがいるからぜいたく言わない。
でも、こんどは3人ででかけたいな・・・
お母さんがもどってこない。
「すぐもどってくるからまってて」って言ったのに。
なんで・・・?
もう、ゆうやけだった。
ボクはどうしていいかわからなかった。
お母さんはもどってこなかった。
「うぐぅ・・・」
かなしくなってきた。
とぼとぼとあるいていると、ボクはつまずいて、なにかにたおれこんだ。
うけとめてくれたのは、しらないおとこのこのせなか。
ボクはそのままなきだしてしまった。
それが祐一君との出合いだった。
さいごの日。
祐一君とあそべるさいごの日。
祐一君がかえったらさみしい。
お母さんはけっきょくかえってこなかったし、お父さんはしごとでいそがしい。
お母さんはどこにいったの?ってお父さんに聞いたら、遠いところだって言ってた。もうあえないって・・・。
祐一君・・・かえってほしくない・・・
からだがじぶんのものじゃなくなってるきがした。
ちからをいれても、うごかない。
ちがいっぱいでてるのに、いたくない。
祐一君は、ボクの手をにぎってくれてた。
そして指きり。
ボクは約束をまもりたかった。
ぜったいにまもりたかった。
ボクのなかで、『なにか』がこたえた。
たぶん・・・ボクの『ちから』が・・・
7年。
7年が経った。
ボクは祐一君と再会した。
うれしかった。
それでもボクは、探し物をやめなかった。
探し物が見つかった。
壊れたビンに入った、天使の人形。
もうボロボロになっていた人形。
それを見た時、ボクは全てを思い出した。
ボクが、力で生まれた仮初めの存在だって。
本当のボクは、7年前のあの日からずっと病院で寝てるんだって。
どうして、ボクの日常はこんなにあやふやなのか、
なんで、まるで夢の中にいるみたいなのか、
やっと・・・やっとわかった・・・
祐一君と、最後に一回会った。
祐一君は、何も覚えていない。
それでいい。
悲しい思い出をよみがえらせる必要なんてない。
こんな思いは・・・ボクだけでいい・・・
天使の人形に向かって言う。
3つ目の願い。
最後の願い。
祐一君・・・。
ボク、この力があってよかったよ・・・。
最後に、この力を祐一君のために使うね・・・。
『ボクの、願いは・・・』
気がついた時、ボクは病院のベッドにいた。
本当のボクに戻った。
それは嬉しくもあり、悲しくもあった。
タッタッタッタ・・・・・
廊下を駆けてくる足音。
ちょっとうるさい。
ガラ・・・
病室のドアが開く。
「あゆ!!!」
そこに・・・祐一君がいた・・・。
みんなが幸せ。
みんなが幸せだ。
俺の周りには笑顔があふれている。
みんなみんな、つらい試練を乗り越え、幸せにたどり着いた。
奇跡は起きた。
だけど、なぜか俺にはその奇跡が必然に起こったように思える。
なんでかな・・・?
「祐一君」
「んっどうした?あゆ」
「祐一君、今幸せ?」
「何言ってんだ、当たり前だろ」
「うん、よかった」
「一体何なんだよ・・・。いつも変だけど、今日は一段と変だな」
「うぐぅ、ひどいよ。祐一君」
あゆをからかっていると、みんなからのお呼びがかかる。
「祐一。早くして」
「一体いつまで待たせんのよ」
「祐一さん。遅いです」
「祐一ぃ〜。はやくしなさいよ〜」
「あはは〜。あんまりのんびりしてると日が暮れますよ〜」
「・・・早く動物園行きたい」
「無駄な時間を使うほど余裕はありませんよ」
どうやら、はやく行かないとマズイらしい。
「よし!行くぞ!」
「うん!」
俺は今、最高に幸せだ。
・・・願いは成就された・・・
了
あとがき
どうも。DILMです。
今回はKanonです。コンセプトはあゆの謎解き!!
・・・ONEだと氷上の謎解きやってるし、ほかになのか?僕は。(一応作品内での理論で説明できるようにと心がけています)
まあ、ともかく、今回の作品についてです。
コンセプトと、あゆが力を持っている、というのは前から考えていました。(部活の先輩が、「あゆの正体って何なんだ?」といってたので・・・)
それを元に、急遽書き上げたのですが、なぜ急遽書き上げたかはとても簡単。
今日は、僕の誕生日なのです。00/06/11 (日)
そう言う訳で、何か残しておきたかったという感じだったのです。
それにしても、とても読みづらいですね(^^;;あゆは、本編ではちゃんと漢字使ってしゃべっているんですが・・・僕の勝手でこうしてしまいました。すみません。
しかし、最初から最後まで一気に書き上げて、疲れました。女の子の一人称って難しいですね。(ちゃんと出来てないと思います)誤字脱字、矛盾点などもあるかと思いますので、指摘するなり寛大な心で許すなりしてください。(何しろ未熟なもので・・・)あと、よろしければ感想をお願いします。
それでは。
補足
結局あゆが願いをかなえているみたいに見えますが、僕の中ではそうはなっていません。
祐一が奇跡を望み、信じたからこそ得られた結果だと思うからです。ですから、ある意味祐一がかなえたと言えなくもないと思います。って、だめですかねえ(^^;
<コメント>
さくら 「……大切な人とお別れするのって、つらいですよね」
誠 「そうだな……」
あかね 「でも、最後にはみんな幸せになれて良かったよね」
誠 「……幸せになりたいと努力する奴は、必ず幸せになれるんだよ。
そういった人の想いや行動によって起こる事象……それを『奇跡』って言うんだ」
さくら 「……奇跡は、ただ待っているだけじゃ起こりませんよね」
あかね 「自分で起こすものなんだよね」
誠 「そういうこった。祐一さん達は、みんなで『奇跡』を願った。
そして、その『奇跡』を起こす為に努力した。
『奇跡』ってのは、起こるべくして起こるんだよ。だから、それは『必然』なんだ」
あかね 「今日のまーくん……なんだか真面目だね」
誠 「俺はいつだって真面目だ!」
さくら 「ふふふふ♪」
S 「表現として平仮名を故意に多く使った文章は確かに読んでて疲れますけどね。
でも、この作品みたいに、改行を頻繁に使えば、問題無いと思いますよ。
実際、読んでて全然苦になりませんでしたから」
誠 「何、偉そうなこと言ってんだよ。お前だって駆け出しSS書きのクセに」
S 「やかましいっ!」
S 「それでは、最後に……DILMさん、ありがとうございました!
それと、誕生日おめでとうございます!\(^○^)/」
誠・さくら・あかね 「おめでとうございますっ!!\(^○^)/\(^○^)/\(^○^)/」