HEART TO HEART

   
番外編 「モーニングボイス」







 
―土曜日―

あの、誠さん」

 
のんびりと本を読んでた俺にエリアが遠慮がちに話し掛けてきた。

 ちなみに、今日は、あかねとさくらは用事があるらしくいない。
 
エリアもさっき買い物から帰ってきたばかりだ。

 
暇だから、一緒に行くっていったら、

「い、いえ。一人で大丈夫ですから!!」

 
って、なんか必死になって断ってたんだよな。

「……あの、誠さん?」

 
いかんいかん、エリアの事忘れてたぜ。

どうした、エリア」

あ、あのですね。さっき私、目覚し時計を買ったんですよ」

「へぇー。でも、エリアって目覚ましっているのか?」

 
俺の家にいる時、エリアは、大抵一番に起きて朝飯を作っててくれるから、
目覚ましなんか必要ない気がするんだよな。


「はい、必要なんです」


 ……そんな力一杯、頷かなくても。

「……で、どんなの買ったんだ?」

「これです」

 そう言ってエリアが見せてくれたのは、『あの目覚まし』だった。

 ……なんか、嫌な予感が。

「あの、それで誠さんにお願いがあるんですけど」

 ……何となく分かってきた。

この目覚し、声が録音できるんです。それで誠さんの声を入れて欲しいのですが」

 ……やっぱりな。

 
あの目覚ましは、ベルの代わりに録音した声が流れるやつで、
前にさくらやあかねに頼まれて吹き込んだ事がある。

 
俺が今使ってる目覚ましもその時にさくら達から渡されたんだ
 もちろん、あいつらの声入りで。

 多分、
エリアはそれを聞いたんだろう。
 俺の
部屋の掃除とかやってくれてるからな。
 それで、
自分も欲しくなったんだろう。

「あの、駄目ですか?」

いや、全然大丈夫だ」

 俺は
直ぐに答えた。断る理由もないからな。
 俺
やさくら、あかねだけが持ってるてのも不公平だからな

録音って、おはようっていれりゃいいよな」

いえ、あの、その」

「ん?」

録音して欲しい言葉があるんですけど」

ああ、別にいいけど」

それじゃ、あの、誠さんが風の神殿で私に言ってくれた言葉を録音してください」

 ……
風の神殿で言った言葉っていうと、



『エリア、お前に言わなきゃいけないことがある』

『……はい、私もまことさんに伝えたいことがあります』

『エリア……好きだよ』

『私も……好きです』




 
って、めちゃくちゃ恥ずかしいぞ!!


 ……
別にいった言葉は嘘じゃないが、
俺ん家で目覚しにむかって言うとなると、遠慮したいんだが……、

「……あの、駄目ですか?」

 ……
瞳を潤ませて上目遣いで俺を見てるエリアに断れる訳が無く……、

 
結局、エリアに部屋から少し出てもらい、その間に録音を済ませて渡したんだ。

 その時、エリアからも、

私も録音したので、これ使ってください」

 ……って、目覚ましを渡されたんだ。








 
―翌朝―


 
カチッ


『おはようございます、まーくん』


『おはよう、まーくん』


『誠さん、大好きです』


 ……目覚ましのおかげで顔を真っ赤にした俺がキッチンに行くと、そこには、


「おはようございます。あ、な、た♪」


 朝からご機嫌のエリアの姿があった。
















 ―数日後の朝―


『まーくん、大好きです』


『まーくん、大好きだよ』


『誠さん、大好きです』


 俺は、
エリアからの目覚しと新しい内容に変わった2つの目覚しで目を覚ました。

 
そして、やっぱり、顔を真っ赤にして俺がキッチンに行くと……、


「おはようございます。まーくん」


「おはよう、まーくん」


「おはようございます。誠さん」


 朝からご機嫌の三人の姿があった。

「……朝から元気だな」

「はい、最近朝が来るのがたのしみですから」

「これのおかげだよね」

 そう言ったあかねの
手には例の目覚しが……、

 ……まさか、


 
カチッ


『あかね、好きだよ』


 ……グハァッ!!

 結局、エリアの目覚ましのことが
ばれて、
さくらやあかねの目覚しにも新しく録音したんだが……、

 ……改めて聞くと、めちゃくちゃ恥ずかしいぞ、これ。

 精神的ダメージを受けている俺に、さくらの追い討ちが……、


 
カチッ


『さくら、好きだよ』


 ……うぐぅ。
 い、いかん。このままだと……、

 精神的大ダメージを受けて、現実逃避しかける俺に、
予想通り、最後のトドメが……、

「私達の宝物ですね。この目覚ましは」


 
カチッ


『エリア、好きだよ』


 ……もう、勘弁してくれ。








 なんか、今、
ものすごく祐一さんの気持ちがよく分かった。








<おわり>


 どうも、初めまして。SUUと申します。
 最近、SSを書き始めた未熟者です。
 
そんな私ですが、身の程知らずにも投稿させていただきました
 STEVEN様、
よろしければ貰ってやってください。

 HtHも第4部に入り、これからがメチャクチャ楽しみです。

 それでは。


<コメント>

祐一 「……よく分かっただろう? 俺の気持ちが」(−−;;
誠 「ああ、よっっっっく分かった……」(−−;;
祐一 「おお、同志よっ!」\(T▽T)/ガシッ
誠 「一緒に闘おうなっ!」\(T▽T)/ガシッ

あかり 「……いいなぁ」
初音 「わたし達も……」
沙織 「欲しいなぁ……」
瑞希 「……録音してもらおうか?」
スフィー 「さんせーっ♪」
瑞佳 「じゃあ、早速……」
観鈴 「にはは、みんなで買いにいこーっ♪」

浩之・耕一・祐介・和樹・健太郎・浩平・往人「勘弁してくれーーーーーーっ!!」


STEVEN 「SUUさん、楽しくてらぶらぶなSSをありがとうございましたっ!!」