うららかな日曜の午後。
俺 ―藤田浩之― が、ひとりで散歩をしていた時のことだった。
「いい加減にして下さい!!」
「ちょっとぉ。どいてよぉ〜!!」
たまには、あてもなくブラブラするのも良いモノだな、なんてことを考えながら歩いていると、そんな声が耳に飛び込んできた。
ん? なんか、随分と聞き覚えのある声だな。
そう思い、声の主のほうへ視線を向けると、そこには思った通りの人物がいた。さくらちゃんとあかねちゃんだ。
なにやら、男たちに囲まれているけど……もしかして、ナンパされてるのか?
まあ、無理もないか。ふたりとも『超』が付く程の美少女だからな。
「なぁ〜。俺たちといっしょに遊ぼうぜぇ〜」
「結構です」
「そんなつれないこと言わないでさぁ〜」
「楽しい思いをさせてやるよ」
「いいからどいて下さい」
「遠慮なんかしなくていいからさぁ」
「遠慮なんかしてないってばぁ」
「またまたぁ〜。心にもないことを言っちゃって」
「可愛いんだから。くっくっく」
「お兄さんたちが、『いーこと』をしてあげるからねぇ」
「へっへっへ……」
…………………………………………。
………………………………はっ!!
ナンパ男たちのあまりのバカさ加減に、思わずあっちの世界に行っちまった。
いかんいかん。呆けてる場合じゃねーって。
さっさと助けてやらねーとな。いつまでも、あのままにしておくのも可哀想だし。
そんじゃ、柄じゃねーけど、ここはナイト役を務めさせてもらうとするか。
俺はひとつ息を吐くと、さくらちゃんとあかねちゃんの方へ近付いていった。
『五十歩百歩』
<<『Heart to Heart』&『藤田家のたさいシリーズ』>>
「よっ!! ごめんごめん、遅くなっちまった」
「「えっ!? ふ、藤田さん!?」」
「わりいな。待ったか?」
「「え? え? え?」」
いきなりの俺の登場にキョトンとするふたり(&ナンパ男ズ)。
しかし、頭の回転の早いさくらちゃんたちは、すぐさま俺の意図を察して調子を合わせてくれた。
「待ったか? じゃないですよ。ホントにもう」
「また遅刻ぅ〜」
「ごめん。反省してるって」
「……ふぅ。……仕方ないですね、今回は許してあげます」
「でも、今度遅刻したらお仕置きだからね」
「……肝に銘じておきます。……それじゃあ、そろそろ行こうか」
「はい」
「うん」
そして、俺たちは3人揃って歩き出した。
こうして俺は、ふたりをナンパ男の魔手から救い出すことに成功したのであった。めでたしめでたし。
「こらっ!! ちょっと待てや!!」
…………って、そんなに甘くはなかったか。
俺たちがその場から離れようとした時、それまで呆気に取られていた男たちが我に返った。
「てめえら、なに勝手に話を進めてやがるんだ!?」
「おい、お前。横からしゃしゃり出てくるんじゃねーよ」
「お呼びじゃねーんだ。消えろ、こら!!」
あー、うるせー。ったく、めんどくせーなー。あのままボケッとしてればよかったのに。
……………………お前らの為にも、な。
「あぁっ!? なにシカトしてんだよ!?」
「調子に乗ってんじゃねーぞ!!」
あのなぁ。調子に乗ってるのはお前らだろうが。…………いいけどね、別に。
まあ、それはともかく…………全部で6人か。
……軽いな。
「なんとか言えよ!!」
俺の余裕の態度が気に障ったらしい。
叫びながら、ナンパ男Aが俺に向かって手を伸ばしてきた。胸ぐらでも掴むつもりなのだろう。
しかし、それは叶わなかった。
俺の体に手が届こうかという瞬間、そいつは地面に崩れ落ち、そして、そのまま動かなくなってしまったのだ。
側頭部への右ハイキック。一発KOってやつだ。
他の5人は何が起こったのか理解できていないようだ。ポカンとした顔で立ちつくしていた。
もちろん、その隙を見逃す俺じゃない。全員を『A』と同じ目に遭わせてやった。
……所要時間20秒。ちょっと遅かったな。反省。
「藤田さん、助けていただいてありがとうございます」
「ありがとうございます」
「気にしなくていいって。別に大したことしてねーし」
そんな風に改まって礼なんか言われたら……て、照れる。
「それにしましても…………藤田さんって……容赦ないですね」
「ぼっこぼこ」
「嫌いなんだよ、数を頼りに女の子を取り囲むような奴は。そんなの相手に、手加減してやるつもりはないよ」
「……それもそうですね」
「なっとく」
「わたしたちも、変に気を遣わなければ良かったですね」
「うん。ぎったぎたにすれば良かったね」
「次からはそうしましょう」
「そうだね」
……………………。
もしかして、俺が助ける必要なんて無かったんじゃ。このふたり、充分すぎるほど強いし。
い、いや、今回は多勢に無勢ということで……。
そ、そうだ。そういうことにしておこう。あ、あはは……。
「それにしても、藤田さんってお強いんですね」
「まあ、それなりに、ね」
毎日のように、綾香や葵ちゃん、セリオといっしょにトレーニングを積んでれば、そりゃー強くなるさ。……イヤでもね。
「あのね、まーくんも強いんだよ」
「へぇ、そうなんだ」
ふ〜ん、あいつがねぇ。でもまあ、このふたりと付き合っていれば強くもなるよな。……自然と。
「やっぱり、まーくんと藤田さんって似てますね」
「そうか〜?」
「うん、似てると思うよ。あたしたちが言うんだから間違いないよ」
「そ、そっか」
俺はふたりの言葉に苦笑いを浮かべることしか出来なかった。
確かに、俺とあいつは似ていると思う。それは認めよう。
だけど……だけど……。
俺は決して『ギャグキャラ』じゃねーぞっ!! その部分だけは絶対に違う!!
心の中で絶叫する浩之であった。
―――同時刻―――
「誠くん、助けてくれてありがとうね」
「ありがとうございますぅ」
「理緒さん、マルチ、そんなの気にしなくていいって。別に大したことしたわけじゃねーし」
たださ、嫌いなんだよ。数を頼りに女の子を取り囲むような奴は。見ていて我慢出来なくなるんだ。
だから、奴らをぶっ飛ばしたのは自分の為でもあるんだよ。
それなのに、そんなに礼なんか言われたら照れちまう……って言うか、恐縮しちまうぜ。
「それにしても、誠くんって強いんだね。ビックリしちゃった」
「そうかな?」
「そうですよぉ。まるで、浩之さんみたいですぅ」
「へ? 浩之?」
「はいです。浩之さんも、とってもとってもお強いんですよぉ」
「へぇ、そうなんだ」
まあ、あの家族の中で揉まれればなぁ。強くもなるよな、そりゃ。
「うふふ。やっぱり、藤田くんと誠くんって似てるよね」
「そうか〜?」
「はい。似てると思いますよ。わたしたちが言うんだから間違いありませんよ」
「そ、そっか」
俺はふたりの言葉に苦笑いを浮かべることしか出来なかった。
確かに、俺とあいつは似ていると思う。それは認めよう。
だけど……だけど……。
俺は決して『性欲魔人』じゃねーぞっ!! その部分だけは絶対に違う!!
心の中で絶叫する誠であった。
……………………五十歩百歩。
毎度!! アーンド 初めまして!!
Hiroです(^ ^ゞ
今回は浩之に主役を張って頂きました。
その分、誠くんの出番が減っちゃいましたけど(^
^;
誠くんファンの皆様、本当にごめんなさいm(_
_)m(反省)
次の作品では、もっと活躍させてあげたいですね。
次…………何時になることやら(−−;
閑話休題
誤解されている方も多いようですが、『Heart to Heart』と『藤田家のたさいシリーズ』は、全くの別作品です。
クロスオーバーは、あくまでもパラレルワールド(別世界)なんですよ。
ややこしいかもしれませんが、そういうことでお願いします(^
^;
ではでは、またお会いしましょう\(>w<)/
<感想>
Hiroさん、クロスオーバーSSの投稿ありがとうございましたっ!!
ああっ!! 感涙っ!!
\(T▽T)/
しかし、さくらとあかねをナンパしようとは……愚かな。(笑)
ナンパ男登場を呼んだ時、ボクの中でカウントダウンが始まりましたよ。
で、ゼロになる直前に浩之が割って入ってくれました。
もし、浩之が来なかったら……阿鼻叫喚の地獄絵図となっていたでしょうね。
ああ……考えるだけで恐ろしい。
それにしても、浩之と誠、ホントにそっくりですな。
でも……、
>俺は決して『ギャグキャラ』じゃねーぞっ!!
ホントにそう言い切れるのか、浩之?
>俺は決して『性欲魔人』じゃねーぞっ!!
その代わり、お前は『食欲魔人』だがな、誠。
と、何となくツッコんでみたり。(笑)
うーん……次回はどんな内容なのかなー。
つーか、ボクも書かなきゃね(笑)
では、最後にもう一度……、
Hiroさん、カッコイイ浩之と誠を書いていただきありがとうございました!
でわでわー。