Heart to Heart SP
第X話 「ジンクス」
今日は、水族館へ三人でお出かけです。
待ち合わせは、水族館の入り口。午後2時。
いつもなら、まーくんの家で一度みんな集まるのですが、
今日はあかねちゃんもまーくんも午前中にやることがあるとのことで、
珍しく外での待ち合わせになりました。
「少し早く着きすぎてしまいましたね……」
私の腕時計の時間は午後1時45分――
入り口の柱に軽くもたれて、まーくん達が来るのを待ちます。
ここの水族館は海に面した所にあるので、潮の香りが、凄い……。
「夏になったら、海水浴もいいですね」
と、いうことで、あかねちゃんと水着を買いにいかなきゃ……。
あかねちゃんこの頃また少し背が伸びたようですし、
子供用の水着もそろそろ駄目みたいですから、
今度は少し大人っぽいのを薦めてみようかしら。
せっかくですから、おそろいの柄って言うのもいいですね。
「さくらちゃん。おはよー」
あかねちゃん、到着。
「おはよう。あかねちゃん。もう用事はすんだの?」
「うん。おつかい終了。もう後は遊ぶだけ!」
にこにこにこにこにこっ!!
あかねちゃんの眩しいくらいの笑顔。
きっとまーくんが好きになったのはこの笑顔ですね。
本当に、見ているだけで私も幸せになれるような、そんな、笑顔。
こういうのを天使の微笑みっていうのかしら?
「さくらちゃんさくらちゃん、ここってペンギンいるんだよね?」
「ええ、この間、赤ちゃんが生まれたはすですから、
うまくいけば赤ちゃんペンギンも見られるはずですよ」
「赤ちゃんペンギン……かわいいだろうね」
「きっとかわいいですよ」
「そりゃ、かわいいだろうな」
――はたっ
「「まーくん」」
……あいかわらず、まーくんかっこいいです♪
チェックのシャツに洗いざらしのジーンズで、とてもナチュラルな感じ。
「あぁ、まだ2時前じゃねーか。二人とも早いな」
「「そうかなぁ?」」
だって家でじっとなんてしていれません。早くまーくんに会いたかったんですもの。
「まぁいいや。集まったからにはもう入っちまおう」
「はい」
「わーい♪」
水族館の中はかなり広くつくられていました。
一階から三階までの吹き抜けに自然光が入り込むように作られた天井。
白い壁と白い柱。
一面に広がる水槽。
中を悠々と泳ぐ色とりどりの魚達。
「美味そう……さしみ、たたき……」
まーくんが鰹を見ながらつぶやきます。
あぁ、そんなにガラスにくっついて……。
そんなに食べたいなら、今夜は鰹のたたきを買って帰りましょうか……。(笑)
「さくらちゃ〜ん、まーくん、ペンギンだよ〜。」
向こうのほうからあかねちゃんの声。
ペ・ン・ギ・ン♪
ぽ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ☆
かわいい! かわいい! かわいすぎます!
つぶらな瞳も、短い足も、ぺたぺた歩く様子も、首を傾ける仕種も、
水に飛び込んだときに出る空気の泡さえも、きらきらと、きれいです。
「さくら……顔、ガラスから少し放せ……」
――はたっ
いつのまにかへばりついていたようです。いけない、いけない。
でも、かわいいです。
ぽ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ☆
「さ、さくら……おいおい、あかねまで」
後ろでまーくんのやれやれっていうため息がきこえます。
ぽ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ☆
ぽ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ☆
ぽむっ♪ ぽむっ♪
……何か降ってきました。
わぁ……ペンギンのヌイグルミです♪
「「かわいい〜♪ まーくん、これ、どうしたの?」」
「やる」
あ、ちょっと恥ずかしげにあさっての方を見ています。
まーくん、かわいいです。(ヌイグルミもですが……)
「これ、おまけ、な」
――ころん
私達の手の上にひとつずつ銀色の指輪。
――ドルフィンリング。
――ぽっ☆
――ぽっ☆
もらった瞬間にま〜くんを見てしまいます。
まーくんは、照れてしまって視線を合わせてくれません。
「「ふふっふふっ♪」」
初めに笑ってしまったのはどっちかしら?
私達、幸せですね。
ねぇ、あかねちゃん。
だって、ドルフィンリングって
二十歳までにもらえると幸せになれるってジンクスがあるんですもの。
<終わり>
<あとがき>
さくらサイドからかかせていただきました。
初めて……なんで
長いだけでまとまりがない・・・。
読みにくいと思ったらごめんなさい。
<感想>
石川 流衣さん、投稿ありがとうございます!!\(^0^)/
今回は、ボクの誕生日記念SSだということで。
それにしても……、
>「美味そう……さしみ、たたき……」
誠はここまで食欲魔人じゃないですよぉ。
ちゃんとそれなりの分別はありますって。
……まあ、ボクは水族館に行くとよく思ったりしますけどね。
>ペンギン
うんうん……かわいいですよねぇ♪
さくらのペンギン好きっていう設定を上手に使っていただき、
ありがとうございます。
>ドルフィンリング
あの、ウロボロスみたいな指輪ですね。(笑)
イルカが自分の尻尾くわえてるやつ。
いやー、あんなのにンなジンクスがあるとは知りませんでしたよ。
でわでわー。