『ある日のコンビニ』
陣九朗のバイト&HtHちょこっとクロスオーバーSS







「ひまだな」
「ひまですね」

 コンビニは昼が稼ぎ時だというのに、一人もお客さんがいない店内を見渡しつぶやく。

「ま、もうすぐ坂の上にある高校が終わるはずだし。そしたら混みはじめるだろ」
「そーすね」
「と、いうわけでだ、陣九朗君」

 こちらを見てニヤッと笑う店長。
 う、いやな予感。

「にくまんあんまんカレーまんピザまんかるびまん紅茶まんプリンまんコーヒーまん、ならびに
おでんだねの補充を! あ、私はたばこ吸ってくるからあとよろしく」

 言うがはやいか(つーか言いながら)店長は店の外へと消えていった。

「……へい」

 誰もいない入り口に向かい一応返事をする。
 逃げられた。まったくあの人は自分が店長だって自覚してるのか?
 しかも、ここに来てまだ一週間もたってない俺に店を任せていくし。

「はあ、しゃーない。やるか」

 一人つぶやき、保冷庫から補充用のおでんだねを取り出す。


E   C   M


   ぺこぺこ〜〜ん

 おでんのぎゅうすじの油抜き(これをしないと食えたもんじゃないのだ)をしていると、
来客を知らせるチャイムが鳴った。
 入り口のほうを見ると、高校の制服姿が何人か入ってくるところだった。
どうやら学校が終わったらしい。

「いらっせ〜」(いらっしゃいませを短く言うとこうなる。つーかちゃんといえよ、俺)

「まーくん、コンビニで何か買うんですか?」
「あ、お弁当とかはだめだよ。今日はエリアさんがご飯作って待ってるんだから」
「違うって。乾電池を買いに来たんだよ。買い置きがなくなったからな。それに俺がエリア
の作った飯を差し置いてコンビニ弁当を食べると思うか?」
「あ、それもそうだよね〜〜にゃははは」
「それと、ちょっと立ち読みもしたいし」

 なんか、やたらと仲のいいグループだな。
 男が一人に女の子が二人(しかも男の両サイドに‘ぎゅっ’て擬音が聞こえてくるほどくっついてるし。)
 ……いいなぁ  じゃなくて、おでん足さないと。

「じゃあ、あかねちゃん、私たちもエリアさんのお手伝いに…」
「そうだね、まーくんのためにもいっぱい作らないと」
「じゃあまーくん、私たちは先に帰りますけど・・・」
「ん、わかった。なるべく早く帰る」

 うむ。だしの具合は完璧だな。あとは煮込むだけっと。

「あの、すいません」
「あ、はいはい。なんでしょう」

 いかん、ぼーっとしていたらしい。
 みれば先ほど「まーくん」と呼ばれていた男が怪訝そうにこちらを見ていた。

「えっと、電池ってどこっすか?」
「乾電池はこの正面の手前の棚です。文房具が置いてある棚の横です」

 俺は軽く指差しながら説明した。

「あ、どうも」
「いえ」

 ふむ。ちゃんと礼が言えるとはなかなか礼儀正しいお子じゃ。
 思わず老人口調。なにがおもわずなんだか。
 いかん、こんなことやってないで中華まんの補充しよ。


E  C  M


「うう〜む、どうしたもんか」

 今俺の目の前に中華まんが並んでいる。
 売り切れていたいくつかの種類はもう補充を済ませたが、問題は残っていた分だ。
 正確には売れ残っていた分。
 まだ食えそうだが、表面がふやけてしなっとなっている。こういうのをお金を出して買って
もらうのは気が引けるんだよな。
 かといって捨てるのももったいない。しかも今回はやたら売れ残りの数が多い。
 午前中に客が来なかったせいだ。

「これ、全部捨てるわけにはいかへんしなあ。比較的に悪いやつだけ捨てるか。」

 ごみ箱を引っ張ってきて、にくまんをトングではさむ。そしてごみ箱へ…

 じいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ

 ………なんか視線をかんじる。
 振り返ると先ほどの「まーくん」がこちらを見ていた。というより凝視していた。

「な、なんか用ですか?」

 俺はその視線に戸惑いつつ聞いてみた。

「え、いや別に。って言うか、それ捨てるんすか?」

 やや驚きながらも俺の持っているにくまんを指差しながら聞いてくる。

「ああ、ちょっとこれじゃあお客さんに申し訳ないからな。まだ十分食える範囲なんだが」

 そういって持っていた肉まんを見せる。表面の皮の部分が見事にふやけている。

「もったいないですね」
「あ、やっぱり? もったいないけど、売れないんじゃ、しゃーないからな」
「……買いましょうか?」
「へ、これをか?」
「はい、もったいないっすし、家に帰るまでのおやつ代わりに」
「でもさっき連れの女の子がなんか言ってただろ。ご飯がどうとか」
「大丈夫です。ちょっと多いぐらいじゃないと」
「そうか」

 うむ、いいやつだ。最近のやつは見た目を気にしてさっさと捨てよるからな。
 俺なんか賞味期限が過ぎてようと関係ないし。っとか言ってるとチキにどやされそうだな。

 閑話休題。

「それじゃあレジに行ってくれ…じゃない、レジのほうへどうぞ」
「いいっすよ、丁寧語使わなくても」
「そうか? 助かるわ」

 俺は廃棄になりそうな中華まんを6,7個包んでレジに向かった。

「じゃ、これお願いします」

 出された乾電池をレジに通し、シールを貼る。

「はい、乾電池一個と…294円です。そんでもってこれはおまけ」

 そういって中華まんの詰まった紙袋を渡す。

「あれ、肉まんのお金は?」
「だから、おまけやゆーてるやろ。おまけに金はいらん」
「いや、でも」
「気にすんな、どうせ廃棄になる分やし。でも他のやつにゆーたらあかんで。ばれたら困るから」

 そういって俺はからからと笑った。

「ありがとうございます。津岡さん」
「あれ、何で俺の…ていうか名札に書いとるもんな、名前。
でも下の陣九朗の方で呼ばれたほうがしっくりくるねんけどな。言うとくけど、さんも君もつけるのなしやで」
「わかった、陣九朗…でいいっすか?」
「別に気ぃ使わんでもええで。そんなに歳もかわらんやろうし(外見はな)」
「? 最後のほうでなんか言いました?」
「いいや。なんにも。で、君の名前は?」
「誠です。藤井誠です」


E  C  M


「ただいま〜〜」

 うう、つかれた。
 店長、結局晩になるまで帰ってこなかったし、あれからやたらお客さんはくるし。

「お帰りみゃさい、ご飯食べみゃすか?」
「ただいま、チキ。晩飯は要らないから風呂の用意してくれ」

 俺は出迎えてくれた女の子の頭をくしゃくしゃとなでながらそういった。
 と、言ってもこの子は本当は人間ではない。

 かくいう俺も実は…

「お風呂だったらリーナさんが今入ってみゃすよ。もうすぐあがると思いみゃすけど」
「そっか。んじゃ部屋で待っとるわ。あがったら呼んでくれ」

 しかし、俺は風呂に入ることはできなかった。だって寝てしまったから。
 疲れているときの布団の感触は、兵器にもなるのではないだろうか?
 どうでもいいや。おやすみ。



 了?






「誠さん。買い食いしてきましたね」
「まーくん。私たちのご飯より」
「コンビニの中華まんをえらんだの〜」
「い、いや。ただのおやつとしてだな」
「誠さん、ひどい」
「「まーくん、ひどい」」
「ああ〜もう。飯は残さず食うってば。それに今日はずっとなでなでしてやるから。」

「「「 ニヤリ 」」」


終われ


あとがきらしきもの。

 構想時間20分。作業80分ってとこですか。
 はっきり言って駄作ですね。はんせいしてます。オチないし。

 津岡陣九朗君は、私が出しているSS同人誌「陣九朗のバイト」の主人公くんです。
 最後のほうにちょこっと出てきたチキと名前だけ出てきたリーナも同SSのキャラです。
 そのうち本編のほうも投稿させてもら(ツー、ツー、ツー)
 なんせ、勢いだけだから。陣九朗君の正体は…苦を知りません。
 ちなみに私の同人誌を持っている奇特な方がいたら…燃やしてください。
 それと、本文の途中にあるECMの表記。
 某アニメで画面が変わるとき使われてましたよね。
 わかる人はわかるんです。えくすきゅうずみ〜〜

 それでは、失礼します。  津岡帝音でした。


<コメント>

あかね「あいってまっす、あなたのろ〜〇ん♪」\(^〇^)
誠 「……どうした? いきなり唄い出して?」(−−;
あかね「え? だって、コンビニって言ったら、この歌でしょ?」
誠 「でも、最近、それ聞かないぞ」
あかね「じゃあ……こっこっで、わっくわっく、こ〇すとっあ♪」
誠 「やめんかっ!」
あかね「え〜? これもダメなの〜? じゃあ……、
     ぱっぱっしゅ〜る、ばっばっばしゅ〜る、ぱっぱり〜るぱっぱっぱっり〜る、お〜〜♪」
誠 「ホント……お前、なんでンな古い歌知ってるんだ?」(−−;;;
STEVEN 「お前もな……」(¬_¬)