…風が、吹く。
静かになびいた草が、丘を撫でて、空へと帰ってゆく。
茜色に染まった空は、丘の全てを包み込むように輝く。
静寂の輪唱。
私は、いつもここで風を感じる。
なびく髪をかきあげて。
いつも、そこでそうしていた。
“茜色の風”
you and me.今日も、ここに立つ。
この街を全て見渡せるこの丘に。
風を感じて。
丘の中央に立ちながら。
「…いつも、ここにいるんだな」
「あなたこそ…最近はいつもここですね」
後ろを振り向かず、答える。
私の隣に立ったその人は、制服のポケットに両手を入れながら、私と同じ方を見た。
「…何が、見える?」
「…ヒトの営み。小さいながらも、一生懸命生きる者の輝き…といったところでしょうか」
「…相変わらず、難しいことを言うな」
「…はい。ここから見えるのは同じなんですよ。あの子達と」
視線の先には、灯りの付きはじめる街灯。
そして、山の向こうに見える深い藍色。
また、風が吹く。
「…おいで」
私はしゃがみ、手招きする。
ちりん…
『彼女』の鈴が、鳴る。
「『真琴』…か?」
「はい」
彼もしゃがみ、『彼女』に手招きした。
少しずつ、近づく。
そして、私まで来た所で、抱き上げる。
彼も、私の腕の中の『彼女』の頭を撫でながら、ずっと、そうしていた。
空には、白く輝く月。
茜は、藍に変わっていた。
ふたり。
永遠の盟約を。
永遠の契りを。
彼の顔が近づく。
私は、目を閉じる。
彼の唇を感じる。
彼の呼吸を感じる。
私は。
いつまでも、そうしていた。
また、風が吹く。
Fin.
<あとがきのようなモノ>
詩的な作品にチャレンジしました。
…自分で書いててよく分からん。
私の作品の中では、真琴エンド後は、基本的に真琴は帰ってきません。
なぜなら、私が真琴より美汐のほうが好きだからです(爆)。
この作品中に出てくる『真琴』は、沢渡真琴ではありません。
っていうか短ッ! 散々待たせたのにこれか?! 人様に献上するのにこんなんでいいのか?! 俺?!
なお、この作品への質問は、書いた本人もよく分かっていないため受け付けません(核爆)。
それでわ、駄文失礼しました。 00/11/28 湯興
<コメント>
誠 「よお、あう〜」(^O^)
真琴 「あう〜、何でそんな呼び方するの?」(・_・?
誠 「だって、俺の名前と音が同じだから、何か呼び難くてな」(−−;;
真琴 「だからって、何であたしが『あう〜』なのよう?」( ̄ε ̄)
誠 「だってさ、口癖だし……つーわけで、決定!」(−o−)
あう〜 「(←)ああっ! いつの間にか名前か変えられてるっ!」<(@O@)>
誠 「ふっふっふっ……てなわけで、これからもよろしくな、あう〜」( ̄ー ̄)ニヤリ
あう〜 「……あう〜〜〜〜〜」(T_T)