Heart to Heart
パロディー編
「おとぎばなし かぐや姫」
<キャスト>
かぐや姫……矢島
竹取の翁……藤井 誠
帝……エリア・ノース
求婚者A……園村 さくら
求婚者B……河合 あかね
求婚者C……フランソワーズ
昔々あるところに――
とある野山のふもとに、お爺さんが住んでいました。
お爺さんは、野山に生える竹を使って様々な道具を作り、
それを売ったお金で細々と暮らしておりました。
そして、今日も今日とて、道具作りの材料となる竹を求めて、
野山を歩いていました。
と、その時……、
「むむっ!!」
お爺さんは『ある物』を見つけて、立ち止まりました。
その瞬間、『それ』に駆け寄ります。
「おおっ! こんなに立派なタケノコがっ!
今夜はタケノコご飯で決まりだなっ!」
と、発見したタケノコを地面から掘り出し、それを背負っていたカゴに入れると、
竹を取りに来たことなどすっかり忘れて、ホクホク顔で下山し始めました。
しかし、このままお爺さんが帰ってしまっては、物語が始まりません。
というわけで、話の展開上、お爺さんは、
光り輝く竹を、強引に発見させられてしまいました。
「何だ? あの妖しく光る竹は?」
それを見つけたお爺さんは、警戒心バリバリで近付いていきます。
「妖しい……妖しすぎる……」
銘を『フィルスソード』という愛用のナタを用心深く構え、
光る竹を観察するお爺さん。
「どうする? 何も見なかったことにして立ち去るか?
でも、仕事場にこんな物があるなんて嫌過ぎるし……」
しばし考えるお爺さん。
そして、決断を下しました。
「……取り敢えず、切っておくか」
一方、光る竹の中では――
『ふっふっふっふっ……、
なんか、妙に展開がおかしかったが、竹を切ってもらえればこっちのモンだ。
この中から出られれば、俺がこの物語の主人公っ!
そして、話の展開から、帝と三人の求婚者が俺のところにやってくるはずっ!
まあ、神岸さんがいないのが不満と言えば不満だが……贅沢は言うまい。
何せ、四人とも掛け値無しの美少女だからなっ!
もちろんっ! 結婚の条件に無理難題なんか出さねーぞっ!
全員、俺の嫁さんにしてやるぜぇぇぇぇーーーーーっ!!』
と、ツンツン頭のかぐや姫が、
よだれを袖で拭いつつ、竹が切られるのを、今か今かと待っていました。
「それじゃあ……いくぜっ!!」
光る竹を切ることを決断したお爺さんが、高々とナタを振り上げます。
それと同時に、お爺さんの頭の中に、選択肢が浮かび上がりました。
1.竹を横に切る。
2.竹を縦に切る。
お爺さんは、迷わず『2.竹を縦に切る』を選択しました。
『お、おいっ!! ちょっと待っ――』
ザシュッ!!!!
その後――
お爺さんが竹を切る度に、竹の中から小判が出てくるようになり、
お爺さんの暮らしはとても裕福なものになりました。
そして、何故か、偶然にも家の近くを通り掛った、
帝と三人の求婚者達に一目惚れをされてしまい……、
で、結局――
お爺さんは彼女達と結婚し、末永く、幸せに暮らしましたとさ。
めでたしめでたし♪
<おわり>
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