「人差し指、くち〜あてて〜♪
あ〜なた〜の、背中〜、近付く〜♪」

「驚いた顔で〜頭〜、撫でてくれました〜♪

「右腕〜は、私だよ〜♪」

「じゃあ、ボクは〜左腕〜♪」

「独り占め〜、したいけど〜♪」








「「――認めてあげるよ〜♪」」

「やれやれ……、
二人とも、今日はご機嫌だな」











第224話 「ハイド&シーク」










「――『かくれんぼ』しようっ!」








 ある休日の午後――

 買い物帰りに、フラリと、
公園に寄り道した俺は、双子姉妹に出会った。

 多分、いるだろう、とは思っていたが……、

 期待通り、と言うか……、
 俺の姿を見て、駆け寄って来た二人に、俺は苦笑を洩らす。

 で、いつものように――
 二人にねだられ、一緒に遊ぶ事となり――

「かくれんぼ、ねぇ……」

 ――冒頭の、くるみちゃんの発言に繋がる。

「んに〜、かくれんぼ、嫌いなの?」

「いや、嫌いだ、とか……、
そういうわけじゃないんだけど……」

 くるみちゃんの提案に、俺は難色を示した。

 まあ、ママゴトよりは、マシかもしれんが……、

 流石に、高校生にもなって、
かくれんぼ、というのは、ちょっと抵抗がある。

「……ダメなの?」

「う、う〜ん……まあ、いいか」

 とはいえ……、
 一緒に遊ぶ、と約束した以上……、

 ……二人のお願いを、断るわけにはいかない。

 ここは、例によって、
童心に帰るのも悪くない、ということで……、

 と、自分を納得させつつ、俺は、心良く頷いて見せた。

「それじゃあ、鬼を決めるよ!」

 早速、始めようと、くるみちゃんは、
ジャンケンの予備動作のつもりか、腕をグルグルと回す。

 それに合わせて、
俺となるみちゃんも、拳を構え……、

 そして……、
















「最初は、グー!!」

「「ジャ〜ンケ〜ン――」」」
















「……この辺で良いかな?」

 ジャンケンの結果――

 くるみちゃんが負け……、
 即ち、かくれかぼの鬼の役となった。

 隠れるのは、俺となるみちゃん……、

 鬼である、くるみちゃんが、
30数える間に、何処かに身を潜めなければならない。

 一生懸命、隠れ場所を探す、
なるみゃんの姿を、目の端で追いつつ……、

 俺も、また……、
 手頃な隠れ場所を探す。

 ここで、注意しなければいけないのは、俺が年長者であることだ。

 ただ、隠れるだけではダメ……、

 年長者として、常に、
二人の位置を把握出来る場所でなければ……、

 というわけで――

 その条件を満たした場所を、
発見した俺は、そこに身を潜める事にした。

 公衆便所の屋根の上――

 ここなら、隠れ場所としても手頃だし、
視点が高いから、双子姉妹の様子も見ていられる。

 砂埃とかで、ちょっと汚いのが難点だが……、

 そのへんは、さっき拾った、
木の枝で、適当に、汚れを払えば良い。

「さて、と……」

 鬼に見つからないように、
屋根の上で寝転がり、俺は、二人の様子を眺める。

 どうやら、既に、30数え終わってるようだ。

 くるみちゃんは、俺達を探して、
公園の中を、元気一杯に走り回っている。

「楽しそうだな〜」

 そんな無邪気な姿に、俺は、目を細めつつ……、

 今度は、俺と同様に、
何処かに隠れている、なるみちゃんの姿を探した。

「え〜っと……いたいた」

 彼女の姿を見つけ、
俺は、思わず、苦笑してしまう。

 多分、一人で隠れているのは、寂しいのだろう。

 なるみちゃんは、公園の端の、
木の影に隠れ、チラチラと、くるみちゃんの様子を伺っている。

 あんな場所では、すぐに見つかってしまうのに……、

 何と言うか……、
 くるみちゃんの性格が、良く出てる。

「あ〜っ! なるみ、見っけ〜♪」

「んみぃ〜……、
もう、見つかっちゃったよ〜」

 とか言ってるうちに、見つかってしまったようだ。

 くるみちゃんに指差され、
なるみちゃんは、残念そうに姿を見せる。

 でも、その表情は、何処か嬉しそうだったり……、

「これで、残るは俺だけ、か……」

 鬼に見つかってしまうと、
その者も鬼になる、というルールらしい。

 手分けして、俺を探し始める双子姉妹……、

 なんとなく、アッサリ見つかるのも、
癪なので、俺は、覗かせていた頭を引っ込める。

 そして、耳に入ってくる、彼女達の声から、様子を探る事にした。

「何処かな、何処かな〜?」

「お兄ちゃん……隠れるの上手」

 懸命に、俺を探して……、
 公園の中を、駆け回っているのだろう。

 ……賑やかな、双子の声が聞こえてくる。

     ・
     ・
     ・
















「ねえ、なるみ……見つけた?」

「ううん……、
お兄ちゃん、見つからないの」








 ふっふっふっ……、

 探してる、探してる……、








「あれ〜、ここにいもいない」

「んみぃ〜……、
もう、何処にも、探す所が無いよ」








 惜しいな〜……、
 すぐ傍にいるんだけど……、

 もっと、良く探さないとダメだぞ〜……、








「……もう一回、探してみようよ

「う、うん……そうだね」








 そうそう……、

 今度は、もっと隅々まで探すんだぞ。








「…………」

「…………」








 ――あれ?

 何か、妙に静かになったな。








「いないね……」

「……うん」








 いやいや……、

 ちゃんと、ここにいるんだけど……、








「…………」

「…………」








 …………。(汗)








「ううっ……」(涙)

「……グスッ」(涙)








 あっ、ヤバ――
















「んにぃぃぃ〜〜っ!
まこ兄ぃぃぃぃ〜〜〜っ!!」(泣)


「何処行っちゃったのぉ〜っ!」(泣)

「うわぁぁぁ〜〜〜っ!!
ここにいる、ここにいるから〜っ!!」

















 ……。

 …………。

 ………………。
















 その後――

 泣きじゃくる二人を、
宥めるのに、かなり苦労する羽目になった。

 どうやら……、
 ちょっと調子に乗りすぎたらしい。

 祐一さんの件もあり……、

 二人とも……、
 凄く寂しがり屋だから……、








 ……反省。








<おわり>
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