「すぅ〜……すぅ〜……」

「むむっ? 藤井君ってば……、
居眠りするなんて、ユリカ、ぷんぷ〜んっ!」

「すやすや……」

「コラ〜ッ! 起きなさ〜い!」

「ぐぅ〜……ぐぅ〜……」

「――なかなか、強情だね」

「むにゃむにゃ……」








「あの、ユリカ先生……、
わたし達が、起こしてみましょうか?」

「う〜ん……じゃあ、お願いできるかな」











第211話 「そして、誰もいなくなった」










 
HMX−12 マルチ の場合――


マルチ 「そ、それでは……、
     ま、誠ちゃ〜ん! 朝ですよ〜っ!」

誠 「す〜……す〜……」

葵 「……反応無し、だね」

あかね 「ってゆ〜か、マルチちゃん!
      その『誠ちゃん』っていうのは、何なのっ!?」

マルチ 「す、すみませ〜ん……、
      浩之さんは、いつも、これで、起きてくださるんですぅ〜」

琴音 「いつも、そんな風に……、
    神岸さん……凄く羨ましいです」(ポッ☆)

     ・
     ・
     ・








 
姫川 琴音 の場合――


琴音 「では、次は私が……えいっ!」

葵 「……琴音ちゃん、何してるの?」

琴音 「超能力で……、
    藤井さんの上から、圧力を掛けてるんです」

誠 「ん〜……むにゃむにゃ……」

さくら 「起きてくれませんね……、
     さすがに、ちょっと苦しそうですけど……」

あかね 「重みで、机は歪んじゃってるのに……」(汗)

琴音 「さすがに、頑丈ですね……、
     こうなったら、潰れちゃうまで……っ!」

葵 「つ、潰しちゃダメだよ、琴音ちゃん!!」

     ・
     ・
     ・








 
松原 葵 の場合――


葵 「え〜っと、ちょっと待ってね……」(ごそごそ)

さくら 「あ、葵さん……、
     どうして、ウレタンナックルを装着するんです?」

葵 「だって、王道だし……、
   取り敢えず、崩拳くらいで良いかな?」

あかね 「ダメダメダメ〜!
      こんなことしたら、まーくんが壊れちゃうよ〜!」

琴音 「葵ちゃん、意外に過激……」(汗)

     ・
     ・
     ・








 
園村 さくら の場合――


さくら 「ふふふ……、
    それでは、真打ち登場です♪」

琴音 「園村さん、おはようのキスは反則ですよ」

葵 「いつから、そんなルールが……」(汗)

さくら 「ではでは……、
     おはようございます、朝ですよ……あ・な・た♪」(ポッ☆)

誠 「…………」

琴音 「――無反応ですね」

さくら 「…………」(怒)

あかね 「お、落ち着いて、さくらちゃん!
      気持ちはわかるけど、フライパンはしまって〜っ!!」

     ・
     ・
     ・








 
河合 あかね の場合――


あかね 「うみゃ! あたしの番だね!」(スチャ)

さくら 「あっ、あかねちゃん……、
    久々に、インテリモード発動ですね!」

あかね 「ふふ〜ん……、
      まーくんの弱点なんてお見通しなんだから」

葵 「藤井君の弱点……?」

あかね 「まーくん、ご飯だよ〜!
      早くしないと、無くなっちゃうよ〜っ!」

誠 「うっ、む……ぐぅ〜……」

琴音 「一瞬、反応はありましたが……」

葵 「ご飯と聞いても起きないなんて……、
   よっぽど、良い夢を見てるのかもしれないね」

さくら 「っと言いますか……、
     わたしって、ご飯以下ですか……?」(怒)

あかね 「さくらちゃん……、
      だから、フライパンは……」(汗)

     ・
     ・
     ・
















 ……。

 …………。

 ………………。
















「起きませんね〜」

「起きないね〜」

「ぐぅ〜……ぐぅ〜……」

「……良い夢を見てるんだろうね」

「うにゅ〜……、
どんな夢を見てるのかな?」

「まあ、藤井さんの事ですから……」

「……きっと、ご馳走でも食べてるんだよ」

「むにゃむにゃ……う、うう……」

「――あらっ?」

「まーくん……目が覚めたの?」
















「――も、もう、食べられない」(ボソッ)
















 
――ずざざざざざざざざっ!!!
















「き、聞いたか……?」

「ああ、間違い無い……、
藤井の奴、今、もう食べられない、って……」

「まさか、そんな――」

「藤井君の口から、
そんなセリフが出るなんてっ!」

「……コイツ、一体、どんな夢を見てやがる?」

「世界を……食らい尽くしたか!?」

「ああっ、久々に予知が……、
隆山事件が再来する予知が……!!」

「ええっ! また、ガディムが――っ!!」

「はうう〜〜〜っ!」
大変ですぅ〜、浩之さぁぁぁ〜〜〜んっ!!」

「皆、落ち着いてっ!
クラス委員は、すぐに全員の点呼を!」

「――わ、わかりました、ユリカ先生!」

「ちゃんと、全員いるよね……、
それじゃあ、早急に、校庭に避難します!」

「「「「「――はいっ!!」」」」」

     ・
     ・
     ・
















「う、うう〜ん……、
ジャムは、もう食べられないよ〜」(寝泣)
















 そして――

 教室には、誰もいなくなった。








<おわり>
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