「す〜、す〜……」
「…………」(汗)
「むにゃむにゃ……」
「…………」(大汗)
「すやすや〜……」
「…………」(滝汗)
「……うふふふ〜♪」
「――また、このパターンかよ」(泣)
第205話 「添い寝 パート3」
ある日の深夜――
目を覚ますと、目の前にあやめさんの寝顔があった。
――以下略。
なに……?
手抜をきするな、って?
――別に良いだろう?
こうして、添い寝する羽目になった原因と同様に……、
相手が、あやめさんになってるだけで、
その他の状況は、前回と、ほとんど同じなんだし……、
俺は、あやめさんと一緒に寝ていて――
彼女の両腕で、俺の体は拘束されていて――
あやめさんは、下着以外、何も身につけていなくて――
・
・
・
――ほらな?
何処から見ても、状況は、
以前、はるかさんと添い寝した時と、全く同じ状態じゃ……、
……。
…………。
………………。
……。
…………。
………………。
――同じじゃねぇっ!!
それどころか、より危険な状態!
ってゆ〜か、既にレッドゾーン!
「ううう、あやめさん……、
何で、こんにゃ恰好で寝てるんですか?」(泣)
露になった、あやめさんの胸――
その柔らかな膨らみに、
顔を埋めた態勢のまま、俺は涙する。
なにせ、現状は、あまりにもヤバイ状態だ。
もし、この姿を誰かに……、
ぶっちゃけ、あかねにでも見られようものなら、お仕置き確定である。
あやめさんにも、恰好の悪戯ネタを与える事になるし……、
ってゆ〜か……、
何で、この人は服を脱いでるんだ?
確か、ちゃんとパジャマを着て寝たはずなのに……、
寝ている間に服を脱ぐ、なんて、
何処ぞの漫画にあるような癖はなかったし……、
……まさか、俺が寝静まった隙に、自分で、パジャマの脱いだと言うのか?
という事は……、
確信犯かよ、この人は……、
「……勘弁してくれ」(大泣)
眠るあやめさんの腕の中……、
その甘美なぬくもりに抱かれたまま、俺は途方に暮れる。
――なに?
そんなにヤバイのなら、サッサと抜け出せ?
……それが出来れば苦労は無い。
いやもう、悲しい男の性と言うか……、
ちょっと動くだけで、俺の理性を、
突き崩す感触が、両頬に伝わってくるわけで……、
――断言しよう。
もし、これ以上……、
少しでも、意識してしまったら、俺は壊れる。
後先考えず、若気の至りフルスロットルで、禁断の一線を越えるだろう。
その先にあるのは、天国への扉――
そして――
同時に、地獄への扉でもある。
「堪えろ、堪えろ、堪えろ、堪えろ――」
その扉を開けてしまわぬよう……、
今の俺に出来る事は、
ただ、ジッと、ひたすらに堪え続ける事のみ……、
大丈夫……、
俺は、大丈夫だ……、
今までだって、ずっと理性を保ってこられたのだ。
だから、今回も、きっと、最後まで堪え切れる筈だ。
夜が明けるまでで良い……、
あやめさんが目覚めるまで、頑張れば、それで終わりだ。
まあ、スキンシップの百や二百は、
要求されるだろうが、それで済むなら安いもの。
だから、堪えろっ!
命懸けで、堪え続けろっ!!
俺の理性は、こんなモンじゃない筈だ――!!
「うっ、うううう……」
あやめさんに抱きしめられたまま、
俺は、持てる理性を総動員して、禁断の誘惑に抗い続ける。
「ふう……ふう……」
ギュッと目を閉じて、俺は、何度も、深呼吸を繰り返す。
危うい均衡ではあるが……、
徐々に、徐々に、俺は冷静さを取り戻しつつあった。
だが、しかし……、
「――あら?」
「はへ……?」
その均衡は――
いともアッサリと、危険な方へと傾く――
「もう、誠君ったら……、
ま〜た、お漏らししちゃったのね〜」(もぞもぞ)
「あ、あやめさん……?」(汗)
「ちょっと待っててね♪ 今、オムツを変えてあげるから♪」(ごそごそ)
「ま、まさか……、
例によって、寝惚けてやがる?!」(驚)
「は〜い♪ 脱ぎ脱ぎしましょうね〜♪」(ズリズリ)
「ちょっと、止め……っ!!
あやめさんっ! 目を覚ましてくださいっ!」(大汗)
「ほらほら、暴れないの!
あやめさんに、全部、任せちゃって良いから♪」(グイグイ)
「あっ、ダメ……それだけは……ああああっ!?」(滝汗)
・
・
・
「いや〜ん♪
ちっちゃくてかわい〜♪」
「うわぁぁぁ〜〜〜んっ!!
あんた、ホントに
寝惚けてるのか〜っ!?」(大泣)
……。
…………。
………………。
その後ーー
敢えて、ズボンとパンツを捨て去ることで……、
俺は、あやめさんの魔の手から、
逃げ延びる事に成功し、一応、事無きを得たのだが……、
結局、下半身丸裸の状態で、
朝まで過ごす羽目になってしまったわけで……、
・
・
・
「ま、まーくん……、
どうして、そんな恰好してるの?」(ポッ☆)
「訊くにゃ、何も訊かにゃいでくれ……」(涙)
「分かってあげなさい……、
男の子にもね、色々とあったりするのよ」(にこにこ)
「しくしくしくしく……」(泣)
・
・
・
うううっ……、
なんて、無様な……、(大泣)
<おわり>
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