「す〜、す〜……」
「…………」(汗)
「すやすや……」
「…………」(大汗)
「あらあら〜……」
「…………」(滝汗)
「……ぎゅ〜♪」
「――逃げられにゃい」(泣)
第201話 「添い寝 パート2」
ある日の深夜――
目を覚ますと、目の前にはるかさんの寝顔があった。
「……にゃんで、こんにゃ事ににゃってるんだ?」
俺の、すぐ隣で……、
スヤスヤと、気持ち良さそうに寝ているはるかさん……、
そんな彼女の無防備な姿に、ちょっとドキドキしつつ……、
その動悸を、懸命に抑えつつ、
俺は、落ち着いて、現状の把握に努める事にする。
そうだな……、
まずは、問題点を、一つずつ挙げていくとしよう。
え〜っと――
1.俺は、はるかさんと同じベッドで寝ている。
2.はるかさんは、俺を抱きしめている。
3.俺の顔は、完全に、はるかさんの胸に埋まっている。
4.どう頑張っても、逃げられそうに無い。
――とまあ、そんなところか。
はっはっはっはっ!
いや〜……、
これは、困った困った。
……。
…………。
………………。
――どうしよう?(涙)
俺は、はるかさんの胸の谷間に、
顔を埋めたまま、現状の打開策を模索する。
何せ、この状態は、色んな意味で危険なのだ。
添い寝してるだけならともかく……、
両頬に伝わってくる、
この甘美な感触は、あまにも、破滅的過ぎる。
主に、俺の理性に対して……、(爆)
ってゆ〜か……、
俺は、なんで、はるかさんと……
「っと、そういえば――」
現状に至った経緯を思い出し、
俺は、自分の軽率さに呆れ、溜息をつく。
こういうのも、自業自得って言うのかな……、
言うんだろうな〜……、
なにせ、焼肉との交換条件だったんだから……、
でも、弁解させて貰うなら、
食べ終わった後に、条件を言うのは、ちょっと反則だと思うぞ。
おかげで、さくらが、拗ねちゃって……、
さくらの、ご機嫌を取る為に、
またしても、一緒にお風呂に入る羽目になるし……、
最近、ふと、思うのだが……、
俺が幼児になってるせいで、
皆、ちょっと理性のリミッターが緩くなってないか?
何度も言うが……、
俺は、体は子供、頭脳は大人なのに……、
まあ、最近、かな〜り、猫の本能が強くなってきてるような気もするが……、
っと、それはともかく――
「むっ、むむむ……」
取り敢えず、彼女から離れようと、身を捩ってみる。
しかし、俺の小さな体は、はるかさんの両手で、
ガッチリとホールドされている為、どんなにもがいても逃れられない。
いや、それどころか……、
ぱふっ、ぱふっ――
「――ぐあっ」
俺が動けば動くほど……、
その柔らかな感触は、強調されるわけで……、
ああ、そうか――
これが、あの有名なパフ○フってやつか――
子供の頃、ドラ○エをプレイしてて、
その意味が分からず、母さんに訊いた事があったっけ……、
そしたら、母さんは、頬を膨らませて、
『どうせ、みーちゃんには出来ないもん!』とか言って、拗ねてたよな〜……、
うんうん……、
いや〜、懐かしい思い出だ〜……、
……。
…………。
………………。
――現実逃避して、どうするよ?
「うううっ……やばい、やばいぞ」
改めて、この状況から、
抜け出せない事を知り、俺は戦慄する。
ってゆ〜か、ヘタな抵抗は、状況を、さらに悪化させたようだ。
身を捩る俺を押さえつけようと、はるかさんの腕に、力が込もる。
さらには、まるで、赤子を、
あやすように、よしよしと、俺の頭が撫でられて……、
「ふふふ……」
「あ……う……」
幸せそうな寝顔で、
はるかさんは、俺の髪を梳く。
そして、俺は、そんな彼女に、されるがまま……、
「す〜、す〜……」(なでなで)
「…………」
トクン、トクン――
柔らかな胸の感触の奥から……、
伝わってくる、はるかさんの鼓動……、
そのリズムに耳を澄ましているうちに、何だか、とても心地良い気分になってくる。
なんだろう……?
さっきまでの動揺は何処へいったのか……、
……こうしてると、凄く落ち着く。
いや、まあ……、
確かに、はるかさんは、
俺の母親同然だから、それも当然なのかもしれないけど……、
まったく、ガキじゃあるまいし……、
いくらなんでも、高校生にもなって、
母親に抱きしめられて、心地良いと感じるのは、色々とマズイと思う。
しかし、どうにも、この居心地には、抗い難く……、
「いかん、いかん……気をしっかり持て」
このまま、彼女に身を任せ、
眠ってしまえ、という誘惑を振り払い、俺は、必死に脱出を試みる。
はるかさんの腕の中から、
抜け出すのは、不可能だという事は分かった。
ならば、最早、手段は一つ……、
多少、強引にでも、はるかさんの体を押し退けるしかない。
「よ、よいしょ……」
ゴメンなさい……、
決して、疚しい気持ちはありませんから……、
と、心の中で謝罪しつつ、俺は、
はるかさんの胸に手を当てて、力一杯、彼女を押し退ける。
もちろん、手から伝わる、
柔らかく、甘美な感触は、完全に無視だ。
もし、一瞬でも、意識してしまえば……、
俺は、墜ちる……、
間違いなく、撃墜される。
それだけは、何としても避けねば――っ!
「むむむ……もう、ちょっと……」
少しだけ、胸の谷間から解放され、俺は、軽く息をついた。
そして、このまま、一気に脱出しようと、
はるかさんの体を押す腕に、より一層、力を込める。
だが、俺は忘れていた――
「う〜ん……」
「――へっ?」
先程も言ったが――
こういう時――
ヘタに抵抗したりすると――
余計に、状況は悪化する、という事を――
「あらあら〜、誠さんったら、
もしかして、お腹が空いちゃったんですか?」
「は、はるか……さん?」
「仕方ありませんね〜……♪」
「ええっ!? ちょっと待った!
何故に、パジャマのボタンを外しますか、あにゃたはっ!?」
「ホント、誠さんは、食いしん坊さんですね〜」
「そ、そんな……まさか、寝惚けてる?!」
「さあ♪ はるかママのおっぱいですよ〜♪」
「いや、だから、待て!
見えてます! 見えちゃってま――っ!?」
「――はい♪ いっぱい飲んで、
大きく、元気な子になってくださいね〜♪」
「んむむむむむ〜〜〜っ!?」
すみません、はるかさん……、
このままだと、一部だけ、
大きく、元気になっちゃいそうです。(核爆)
<おわり>
<戻る>
「……吸われちゃいました」(涙)
「あう……」(汗)
「……舐められちゃいました」(涙)
「いや、そこまでは……」(大汗)
「……噛まれちゃいました」(涙)
「だから、そこまではしてにゃい――」(滝汗)
「はるかは、誠さんに、えっな事されちゃいました〜!」(泣)
「あああっ! 俺だけの責任じゃにゃいんだけど、
とにかく、ゴメンにゃさいっ! 誰にも言わにゃいで、プリ〜ズ!!」(土下座)
「――な〜んて、嘘ですよ♪」
「へっ……?」
「ホントは、昔を思い出して、
何だか、胸が温かくなっちゃいました♪」
「そ、そうですか……」
「誠さんは、みことさんだけじゃなくて、
はるかや、あやめさんの母乳も飲んで育ったんですよ〜」
「マ、マジですか……?」
「――はい、マジです♪
ですから、また、お願いしますね♪」
「……勘弁してください」(大泣)