「あの、メイフィアさん……」
「――ん? な〜に、エリア?」
「あの、実は、お訊ねしたいことが……」
「もしかして、胸を大きくする方法?
それなら、誠君に、いっ〜ぱい、揉んで貰えば良いじゃない?」
「な、何を――っ!?」
「でも、誠君の趣味を考えるなら、
アンタは、別に、そのままで良いと思うんだけど」
「そんな話をしてるんじゃありません!」
「じゃあ、何なの……?」
「……若さを保つ秘訣です」
「――はあ?」
第200話 「若さを保つ秘訣」
ある日の午後――
お散歩のついでに、商店街へと、
買い物に出掛けた私は、偶然、メイフィアさんと出会いました。
「――あら? エリアじゃない」
「……今日は大勝ちしたようですね」
「ん〜、まあね〜♪ あっ、これは、お裾分けね」
どうやら、パチンコからの帰りだったようで、
その両手には、戦利品の詰まった紙袋が抱えられています。
私が、それを指摘すると、
メイフィアさんは得意気に微笑みます。
そして、紙袋の中からビスケットを一箱取り出し、私に手渡しました。
「…………」
それを頂いてしまって良いのかどうか、私は一瞬、躊躇します。
でも、いくら、デュラル家が赤貧だとはいえ、
ビスケット一箱くらいで、どうこうなるとも思えませんし……、
せっかくですから、今夜、誠さんと一緒に、食後のお茶でも飲みながら頂くことにしましょう。
「……ありがとうございます」
「今の間が、そこはかとなく虚しく感じたのは、私の気のせいかしら?」
「き、気のせいですよ……」
「まあ、良いけどさ……、
我が家が、赤貧なのは事実なんだし……」
私の考えている事など、お見通しなのでしょう……、
メイフィアさんは、軽く肩を竦め、
紙袋を持ち直すと、スタスタと歩き始めます。
「…………」
何となく、このまま別れる気にもなれず……、
私は、頂いたビスケットを、
買い物袋に入れ、無言のまま、メイフィアさんの隣に並びました。
と、言っても……、
お互い、特に用があるわけでもなく……、
「エリア……火、つけてくれない?」
「私は、タバコなんて……、
ライターなんか、持ち歩いてませんよ」
「そうじゃなくて……あたし、火系の魔法は苦手なのよ」
「あっ、そういう事ですか……(ポムッ)……はい、どうぞ」
「――ありがと」
そんな、他愛も無い話をしつつ、
私とメイフィアさんは、のんびりと商店街を歩きます。
と、その途中――
「あ……」
「おやおや……」
『ある光景』を目にし……、
と言うか、すぐ目の前を、
凄いスピードで、横切って行ったのを確認し……、
私とメイフィアさんは、思わず、顔を見合わせました。
そして……、
やれやれ、と肩を竦め……、
同時に、大きな溜息をつくと、私達は、『それ』を見送ります。
まったくもう……、
毎日毎日、飽きもせず……、
お馴染みの『その光景』に、私は、すっかり呆れ顔です。
初めて、この事実を知った時は、腹も立ちましたが……、
もう、慣れた、と言うか――
いい加減、諦めた、と言うか――
――もちろん、後で、しっかりと『お仕置き』はしますけどね。
ふふふふ……、
今日は、何をして貰っちゃいましょうか♪
せっかく、誠さんは、幼くなっているのですから……、
ここは、やっぱり……、
一緒にお風呂に入っちゃったりなんか……、(ポッ☆)
まあ、それはともかく――
それにしても……、
本当に、あの人達はパワフルです。
いやもう、並外れたバイタリティーです。
もしかして……、
昔から、あんな調子だったのでしょうか?
昔から、あんなに若々しい――
「そういえばー―」
と、そこまで考え……、
ふと、ある事を思い付いた私は……、
・
・
・
「メイフィアさんって……、
いつまでも、若いですよね……」
「まあ、魔族だし……」
「若さを保つ秘訣って、あるんですか?」
「だから、そんなの無いってば……、
元人間とはいえ、魔族なんだから、規格外よ」
「じゃあ、元人間として、答えて貰えますか?
「――良いわよ」
「では、若さを保つ秘訣って、何だと思いますか?」
「そりゃ、やっぱり――」
「……やっぱり?」
「まっことく〜〜〜〜んっ♪」
「Heart to Heart
200話突破を
記念いたしまして〜っ♪」
「今日は、キス200回だよ〜♪」
「にゃんで、いつも
こうにゃるんだぁぁぁぁぁぁっ!!」
……。
…………。
………………。
「はぁ〜……誠君、素敵だったわよ♪」(艶々)
「また、明日も、いっぱいしてくださいね♪」(つやつや)
「んふふ〜♪ ご馳走様、まこりん♪」(ツヤツヤ)
「あううう〜……」(ぐったり)
……。
…………。
………………。
「――アレ、なんじゃない?」(汗)
「あれ、ですか……」(大汗)
<おわり>
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