Heart to Heart
第178話 「猫集会」
ある日のこと――
お買い物をする為、さくらちゃんと一緒に、
街を歩いていたあたしは、ちょっと不思議な光景を目の当たりにした。
「ねえねえ、さくらちゃん?」
「はい? どうしました?」
「あそこの路地裏に、猫さんが一杯いるの」
「あ、本当ですね……猫集会でしょうか?」
「――猫集会?」
「はい、猫さん達は、定期的に集って、
井戸端会議みたいなことをするらしい、って聞いた事があります」
「ふ〜ん……じゃあ、どんなお話をしてるのかな?」
「言われてみれば、そうですね……、
一体、何を話しているのか、ちょっと気になりますよね」
「うにゅ〜……」
『あのさ〜、さくら……?』
『んにゅ? な〜に、ブラックローズちゃん』
『アンタのご主人様って、パン屋の和由ちゃんだったよね?』
『そうだけど……それが、どうかしたの?』
『その割りには、ここ最近、あの人のトコに、良く出入りしてない?』
『あの人って、瑞佳さんのこと?
それは、あそこにはイチローさんがいるから……』(ポッ☆)
『そうやないっ!! ウチらにとって、
あの人ってゆーたら、“彼”に決まっとるやろがっ!!』
『にゃあっ!? なんで、レイチェルちゃんまで怒ってるの〜?』
『当然やっ! 和由ちゃんっていう立派な飼い主がおるクセに、
あろうことか“飼い主になってもらいたい人間NO1”の“彼”にまで甘えよってっ!!』
『そのような暴挙は、了承しかねますね』
『というわけで、今後、さくらさんは“彼”の所に行くのは禁止ですっ!』
『う〜、良子ちゃんやなつめちゃんまで、そういうこと言う〜……、
みんな、カイト君の事が好きなのに、どうして、そんなにムキになるの〜?』
『恋猫と飼い主は別よ! アンタにだって、イチローがいるでしょうっ!!』
『だからって、いきなり禁止だなんて横暴だよ〜!
私だって、あの人に撫でてもらいたいもん! 一緒に遊びたいもん!』
『やかましい! どうやら、ちょいと痛い目みんと分からん――』
『――さっきから、ギャアギャアと煩いぞっ!』
『……バルムンク』
『まったく、お前達が、あまりに騒がしいから……、
ほら、見てみろ? “彼”のトコのデカい猫が、ずっとこっちを見ているだろう?』
『あ、ホントだ……って、それにしても、アンタがここに現れるなんて珍しいわね?』
『カイトとアウラからの伝言だ……、
いつもの公園で、“彼”が昼寝を始めたらしいぞ』
『なんですとぉぉぉぉーーーーっ!?』
『よっしゃあ、行くでっ!! 特等席の“彼”の腹の上はウチのモンやっ!!』
『それよりも、どうして、カイトとアウラが一緒にいるのよっ!?』
『お昼寝の前に、それをハッキリとさせる必要がありますね!!』
『みなさん、急ぎましょうっ!!』
『んにゃ〜っ! 待ってよ〜っ!!』
「うみゅ〜……」
「あの、あかねちゃん……、
そんなに難しい顔して、どうしたんですか?」
「うにゅ〜、よく分からないけど……、
猫さん達の世界にも、色々とあるんだな〜、って……」
「――はい?」
<おわり>
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