Heart to Heart
第93話 「それは禁断の……」
放課後の誰もいない屋上――
「はぁ〜……(ポッ☆)」
「ふにゃあ〜……(ポッ☆)」
「はふぅ〜……(ポッ☆)」
「はぁ〜……(ポッ☆)」
「ふにゃあ〜……(ポッ☆)」
「はふぅ〜……(ポッ☆)」
「はぁ〜……(ポッ☆)」
「ふにゃあ〜……(ポッ☆)」
「はふぅ〜……(ポッ☆)」
「あ、あの……さくらちゃんもあかねちゃんも、それに葵ちゃんまで……、
三人とも何してるの?」
「うにゅう……まーくん♪」
「……素敵です♪」
「あ、あはは……藤井さんの写真を見てるんですね。(汗)」
じゃあ、葵ちゃんは何を見てるんです?」
「はぁ……藤田先輩(ポッ☆)」
「――っ!!」
――ひょい
「あっ!!!」
「ああ……藤田さん……素敵です(ポッ♪)」
「琴音ちゃん! その写真は私のっ!!」
「…………」
――スッ
「ああああーーーーーーっ!!
何事も無かったようにブラの内側にしまってるしぃぃぃーーーッ!!」
「うふふふふふ……藤田さんの写真、ゲットです(はぁと)」
「そーれーはーわーたーしーのぉぉぉぉーーーーっ!!」
がばっ!!
「きゃあっ!! 葵ちゃん、何をするんですかっ!?」
「その写真は私のっ! 返してぇぇぇぇーーーーっ!!」
ごそごそごそ……
ふにふにふに……
「やっ! ちょっとっ! 葵ちゃん、服の中に手を入れないでっ!
わ、わたし……そんな趣味は……あぅん♪」
「その写真は私のっ! 琴音ちゃん、返してっ!!」
ごそごそごそ……
ふにふにふに……
「やっ……わたしも、藤田さんの写真……欲し……あん♪
あ、葵ちゃん……そんなとこ……ふぁっ♪」
「そんなこと言うんだったら、力尽くで取り戻しますっ!」
ごそごそごそ……
ふにふにふに……
「あ、そんな……やだ……藤田さんじゃ、なきゃ……わたし……あふぅ♪」
「むう〜……琴音ちゃん、何処に隠したの?」
ごそごそごそ……
ふにふにふに……
「はぁ……あっ、んあっ……ああ……葵ちゃん……♪」
「藤田先輩の写真、藤田先輩の写真……あ〜ん、何処いっちゃったの〜っ!」
ごそごそごそ……
ふにふにふに……
ごそごそごそ……
ふにふにふに……
ごそごそごそ……
ふにふにふに……
「…………」(大汗)
――バタンッ
偶然にも、屋上にやって来た俺は、
目の前で繰り広げられるヤバイ光景を目の当たりにし、
気付かれないように、静かに屋上出入り口の扉を閉めた。
「何やってんだ……あの二人は……」
と、頭の後ろをトントンと叩いて、鼻血が出そうになるのを堪えつつ、
俺は大きくタメ息をつく。
まったく、居合せたのが俺だったから良かったものの、
もし志保とかだったら、シャレにならない事になってたかもな。
向こうにさくらとあかねの姿も見えたけど、
まあ、あいつらは写真眺めるのに夢中で気付いてないだろう。
それに、仮に気付いていたとしても、
あの二人なら口外することは絶対無いし、な。
やれやれ……不幸中の幸いってのは、まさにこの事だ。
……でも、このまま放っておくわけにもいなねぇよな?
だからと言って、俺がツッコミ入れに行くわけにもいかねぇし……、
「……ったく、しょうがねーなー」
と、俺は呟き、閉めた扉にもたれて、その場に座り込む。
結局、状況が落ち着くまで、しばらく、放っておくしかない、という結論に達する。
となれば、俺に出来る事は、誰も来ないように見張っておくことだけだ。
「はあ……やれやれ……」
扉の向こうから聞こえてくる琴音ちゃんの甘い声から、必死に耳を逸らしつつ、
俺は再び深く深くタメ息をつくのだった。
それにしても……、
あの二人、これがきっかけで妙な世界に足突っ込んだりしねぇだろうな?
まあ、二人とも浩之にらぶらぶだから、問題無いと思うけど……、
……いや、だからこそ危険か?
浩之にはあかりさんがいるから、二人の想いが成就することはない。
そんなお互いの寂しさを慰め合うかのようにズルズルと……、
……ぐはっ!!(核爆)
<おわり>
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