Heart to Heart

      
第61話 「水着で誘惑?」







 
青い空っ!!


 
白い雲っ!!


 
今は、まさに夏っ!!


 
夏といえば、プールっ!!


 
そして、プールといえば……、


「やっぱ水着だよなぁ……」

 四人分の荷物をコインロッカーに入れつつ、、
期待に胸を膨らませる俺。

 今日は待ちに待った日曜日――

 いろいろあったが、当初の約束通り、俺達はプールに来ていた。
 もちろん、エリアも一緒だ。

 あれ以来、エリアもすっかり俺達に打ち解けて、今じゃ立派な友達だ。
 さくらやあかねとも仲良くなったみたいだし、言うこと無しだな。

 まあ、時々、俺のことをジ〜ッと見つめてくるのが
気にならないこともないが……ま、そんな些細なことはどうでも良い。

 ともかく、今は水着だ。

 買いに行った時は、当日まで秘密にされちまったからな。
 今日まで俺の想像力は膨らみっぱなしだったぜ。

 だが、今日は堂々と拝むことができるっ!

 というわけで、海パンとTシャツ姿の俺は、
さくら達が更衣室から出てくるのを今か今かと待っているのだった。

 どんな水着かなぁ。
 きわどいやつだったらどうしようかなぁ。

 と、緩みそうになる頬を必死で引き締めつつ、
三人を待っていると……、

「まーくん、お待たせー!」

「お待たせしました」

 ようやく、三人が俺の前に現れた。

「おう、意外と早かっ……っ!!」

 さくら達に目を向け、俺は一瞬言葉を失う。

「あの……まーくん、似合いますか?」

 と、頬を赤く染めるさくらは、髪の色に合わせた桜色のワンピースと
腰に長めのバレオを巻き付けたという姿。

 ……うむ、非常にさくららしくて良い。

「えへへ〜♪ グッとくるでしょ〜♪」

 と、わざわざセクシーポーズまでとってくれるあかねの水着は、
これまたあかねらしいフリルのついたワンピース。

 う〜む……グッとくるっつーか、何だか微笑ましいぞ。

「おう、二人とも良く似合ってるぞ」

 と、俺は二人の頭を撫でてやる。

「……あ(ポッ☆)」

「ふにゃあ〜♪(ポポッ☆)」

 俺に誉められ、嬉しそうに微笑むさくらとあかね。

 うんうん。この程度でこんなに喜んでもらえると、
こっちまで嬉しくなってくるぜ。

 さてさて、では、今回のゲストであるエリアは……っと。

「あん?」

 そのエリアの姿に、俺は間の抜けた声を上げてしまった。

 何故なら、エリアはプールに来る時にも着ていたパーカーを
しっかりと羽織っていたからだ。
 多分、その下に水着を着ているんだろうけど……、

「エリアさん……何度言っても、それを脱ごうとしないんですよ」

「すっごく可愛いのに」

「で、ですが……これ……やっぱり恥ずかしいです」

 と、パーカーの前の合わせ目をギュッと握るエリア。

「別に恥ずかしがることないだろ? みんな同じような恰好してるんだし。
だいたい、脱がなきゃ泳げねーぞ」

 俺の言葉に、さくらとあかねもニコニコと楽しそうに頷く。

「そうですよ。大丈夫ですよ。とっても似合ってますから」

「うん、そうだよ。まーくんなんか、一発で悩殺されちゃうよ♪」

「おいおい……ンなこと言っていいのか?
お前らからエリアに乗り換えちまうぞ」

「あ〜ん! それはダメェーっ!」

「まーくんは、わたし達のです!」

 と、俺の冗談に、さくらとあかねは俺に抱きついてくる。

「はいはい。冗談だよ、冗談」

 俺がお前らから他の誰かに乗り換えるわけねーだろが。

 と、俺が再び二人の頭を撫でてやっていると……、

「…………ん?」

 ふと、俺をジッと見つめるエリアの視線に気付いた。

 ……まただ。

 さっきも言ったが、最近、エリアは俺を見つめてくることが多い。
 しかも、俺に気付かれないようにこそこそと。

 で、俺がその視線に気付いた素振りを見せると、
恥ずかしそうに慌ててあさっての方を向いてしまうのだ。

 ったく、一体何なんだか。

 最初のうちこそ気にはなったが、
多分、まだ俺のことを信用しきれてないんだろうな、と、自分を納得させ、
今はもう特に気にしていない。

 で、今回も、いつものように視線を逸らしてしまうだろうと思ったのだが……、

……誠さんを誘惑?

 ん? 何かボソボソ言っていたような?

「………うんっ」

 まあ、それはともかく、エリアは、何やら意を決したように力強く頷くと、
俺の前でパーカーを脱ぎ出した。


 
ゴクッ……


 エリアの行為に思わず生唾を飲み込む俺。
 そして……、


 
――ぱさっ


 
うおっ!!


 パーカーが床に落ち、エリアの水着姿が目の前に晒され、
俺は思わず目を見開いた。

 何故なら、エリアが着ていたのは……ビキニだったのだっ!!

 ハッキリ言って、予想外だった。
 エリアの性格からして、さくら達のと同じようなワンピースだとおもってたのに、
まさか、ビキニとはな。

 でも、そのフリルが縁取りについたビキニ姿には、
まるで何処ぞのお嬢様かの様な、すっきりとした清楚な雰囲気が感じられる。

「ま、誠さん……どうですか?(ポッ☆)」

 口元に手を当ててはにかむ表情が、もうグッドッ!!

 はあ、こんなに可愛い女の子達の水着姿を堪能できるなんて、
もう幸せいっぱい、胸いっぱいだぜ。

「あ、あの……誠さん?」

 呆然としている俺を見て、不安に思ったのだろう。
 おずおずとエリアが俺に訊ねてくる。

 いかんっ!
 せっかくエリアが恥ずかしいのを我慢して水着姿を見せてくれたのに、
何をボケ〜ッとしとるんだ、俺はっ!

 褒め称えてやらねばっ!!

「あ、ああ……可愛いよ……凄く」

 と、俺がそう言うと……、


 
かぁぁぁぁぁぁ……っ


 エリアは真っ赤な顔をして頬に両手を当てると、
そのまま近くの水の中にザブンッと飛び込んでしまった。

「あはは♪ エリアさん、可愛い♪」

「ふふふ……そうですねぇ」

「ははははっ」

 そんなエリアの初々しい姿に、
俺達は顔を見合わせ微笑み合うのであった。








<おわり>
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