Heart to Heart

   
 第16話 「ある意味ビョーキ」







「ねえ、さくらちゃん。今日は何のお話する?」

 お布団の中に潜り込んだあかねちゃんは、
いつもの様に『まーくん抱き枕』を抱きしめながら、わたしに訊いてきました。

「そうですねぇ……どうしましょうか?」

 わたしも自分用の『まーくん抱き枕』を抱いて、あかねちゃんの隣に入りつつ、
そう訊き返しました。

 ホントは、こんなこと訊く必要ないんです。
 だって、答えは最初から一つと決まっているんですから。

「……やっぱり、まーくんのこと?」

 あかねちゃんの言葉に、わたしは微笑みながら頷きました。

「……はい☆ そうしましょう」








 まーくんのお家に泊まるようになってから……、
いいえ、ずっと小さな頃から、あかねちゃんと二人で一緒に寝る時は、
いつもまーくんのことをお話するんです。



 かわいいまーくん――
 ぶっきらぼうなまーくん――
 強いまーくん――
 弱いまーくん――
 ドジなまーくん――
 照れ屋さんなまーくん――
 カッコイイまーくん――
 ちょっとカッコ悪いまーくん――
 寂しがりやなまーくん――
 泣き虫なまーくん――
 真面目なまーくん――
 えっちなまーくん――
 あったかいまーくん――

 そして……、

 優しいまーくん……。





 いっぱい、いっぱいお話するんです。
 大好きなまーくんのことを……。

 そうやって、わたし達はどんどんまーくんを好きになっていくんです。





 …………ああ、まーくん。(ポッ☆)





 端正な顔立ち――





 純粋で真っ直ぐな眼差し――





 そして、優しい微笑み――





 ああ……まーくん。





 どうして、あなたはそんなにステキなんですか?

 こうして、あなたのことを考えているだけで、
どんどんどんどんあなたが好きになっていくのがわかります。





 かわいいまーくんが好き!(はぁと)

 
ぶっきらぼうなまーくんが好き!(はぁと)

 
強いまーくんが好き!(はぁと)

 
弱いまーくんが好き!(はぁと)

 
ドジなまーくんが好き!(はぁと)

 
照れ屋さんなまーくんが好き!(はぁと)

 
カッコイイまーくんが好き!(はぁと)

 
ちょっとカッコ悪いまーくんが好き!(はぁと)

 
寂しがりやなまーくんが好き!(はぁと)

 
泣き虫なまーくんが好き!(はぁと)

 
真面目なまーくんが好き!(はぁと)

 
えっちなまーくんが好き!(はぁと)

 
あったかいまーくんが好き!(はぁと)

 
優しいまーくんが好き!(はぁと)

 
まーくん激ラブ☆です!(はぁと)








































 
…………はっ!


 いけません。
 わたしったら、ついつい取り乱してしまいました。
 ……ちょっと恥ずかしいです。(ポポッ☆)

 もう……これもみんなまーくんが悪いんですよ。
 あんまりまーくんがステキだから……。





 と、とにかく……わたし達は毎晩のように、
こうやってまーくんに思いを馳せているんです

 それは、わたし達にとって、とてもとても楽しくて幸せな時間なんです。





 ……でも、こうしてまーくんを思っていると、
ちょっと困ったことになるんです。





「まーくん……」

「まーく〜ん……」

 わたし達の、抱き枕を抱く腕に力が込もりました。

 いつも、こうなんです。
 夜、お布団の中でまーくんの事をお話ししていると、
どうしようもないくらい、まーくんが恋しくなっちゃうんです。

 まーくんのことを考えるだけで、胸が熱くなって……。
 まーくんのことを思うだけで、心が切なくなって……。

 自分がまーくんを求めているのが分かるんです。

 この手で……、
 この体で……、
 この心で……、

 まーくんの優しさを感じたい。
 まーくんのぬくもりを感じたい。
 まーくんの全てを感じたい。








 そして、わたし達は眠りにつくんです。
 夢の中で、まーくんに会うんです。

 夢の中のまーくんも、やっぱり優しくて……、
 夢の中のまーくんも、やっぱりあたたかくて……、








 ねえ、まーくん……。
 あなたは知っていますか?
 わたし達の思い出の中は、いつも三人一緒なんですよ。

 ねえ、まーくん……。
 あなたは知っていますか?
 わたし達の思い出の中には、必ずあなたがいるんですよ。

 ねえ、まーくん……。
 あなたは知っていますか?
 わたし達は、夢の中でも、あなたと一緒なんですよ。








 そして……、

 まーくん、あなたは知っていますか?
 わたし達は、あなたをこんなにも、こんなにも愛しているんですよ。








 フフ……もちろん。知っていますよね。








 だって、わたし達は知っていますから……。








 あなたが、わたし達を愛してくれていることを……。








 あ……もう、こんな時間です。
 まーくんのことを思っていると、時間が経つのが早いですね。

 じゃあ、そろそろ寝ますね。
 今夜も、夢の中で会いましょうね。








 おやすみなさい、まーくん☆








<おわり>
<戻る>