Heart to Heart
第10話 「ねえ、似合う?」
「ここはちのはてながされて〜お・れ♪
きょおもさすらいなみだも〜かれる♪」
あたしはいつものようにお歌を唄いながら、
まーくんのお部屋をお掃除していた。
まーくんとさくらちゃんは一緒にお夕飯のお買い物。
その間に、あたしはまーくんのお部屋をお掃除することにしたの。
もおー、随分散らかってるなぁー。
まーくんってば、ちゃんと整理整頓しなきゃダメだよー。
「ぶる〜げいるなみだはらって♪ ぶる〜げいるきらめくち・か・ら♪」
そういえば、まーくんのお部屋に入るのって久しぶり。
小さい頃はよくお邪魔したけど、最近はサッパリだね。
何故か分かんないけど、まーくん、あんまりあたし達を中に入れたがらないの。
どうしてかな?
そんなことを考えながら、あたしはお掃除を続ける。
まずは、ちょと整頓してからにしよっと。
えーっと……パソコン関係は変にいじったら危なそうだから、
ここはまーくんに任せていいよね。
「うみを〜め〜ざ〜し〜て〜つばさ〜を〜ひら〜く〜♪
はがねの〜き〜た〜い〜やしん〜を〜のせ〜て〜♪」
マンガ本とかは、こっちの方に積み重ねて置いてっと……。
さ、あとは掃除機をかけちゃおう。
「かぜかあらしか〜♪ あおいせんこお〜…………お?」
ベッドの下に掃除機の先を突っ込んでいたあたしは、
急に掃除機がガーガーと変な音をたて始めたのにビックリして、
歌を止めてしまった。
あう〜……せっかく気持ち良く唄ってたのに〜。
ちょうどサビの部分だったのに〜。
……と、そんなことより、なんだろう?
何か大きな物でも吸い込んだのかな?
あたしはベッドの下から掃除機の先を出した。
「う……わあ……」
『それ』を見て、あたしは目を見開いた。
掃除機に吸い付いていたのは一冊の本。
それも、女の人の裸が一杯載ってるの。(ポッ☆)
こ、これって……男の子の『極秘書類』っていうんだよね。
「やっぱり……まーくんも、こういうの見るんだ」
あたしは、何となく内容が気になって、えっちな本を開いてみた。
「うわ……すご〜い」
本の中身を見て、思わず声を上げちゃった。
何がすごいのかって?
だって、みんなキレイな人ばっかりなんだよ。
そんな人が、みんな裸になってるんだよ。
それに……胸おっきい人がいっぱい……。
あたしは、自分の胸に手を当てた。
まーくんも……胸、おっきい方がいいのかなぁ〜?
あたしもさくらちゃんも、あんまり胸おっきくないの。
特に、あたしなんてペッタンコだもんなぁ〜。
「ふぅ……」
あたしはタメ息をついた。
なんだか、不安になってきちゃった。
あたし、これからも、ずっとまーくんと一緒にいられるのかな?
胸のおっきな女の人に、まーくんを取られちゃったりしないかな?
……やだよぉ〜。
そんなのやだよぉ〜。
まーくんを取られちゃうなんてやだよぉ〜。
まーくんは、あたしとさくらちゃんだけのまーくんだもんっ!
がんばんなきゃっ!!
胸ペッタンコでも、まーくん好みの女の子でいられるようにがんばんなきゃっ!
「……その為にも、研究研究っと」
あたしは、もう一度、えっちな本に目を向けた。
あたしは、まーくんのベッドに寝転がって、えっちな本を読む。
ふ〜ん……裸にエプロンか〜。
男の人って、こういうのが好きなんだぁ〜。
えっ? メイド服?
あたし、そんなの持ってないよぉ〜。
あ、この人、猫耳つけてる〜。変なの〜。
でも、ちょっと可愛いかも。
あたしが付けたら似合うかな?
あれ? この人、なんか耳が変?
何つけてるの?
あ、コレって、マルチちゃんがつけてるのと同じだ。
そういえば、まーくん、マルチちゃんのこと可愛がってたっけ。
……あたしも、付けてみようかな?
えええっ!? こ、こんなことするの!?
は、はずかしいよぉ〜。
……で、でも…………まーくんなら……(ポッ☆)
顔を真っ赤にしてキャーキャー言いながら、あたしは本を読み進める。
その途中、あたしはある事に気が付いた。
……ページの端っこが折ってあるところがある。
何だろ……コレ?
どうみても、わざと折ってあるよね。
あたしは、端の折ってあるページだけを順番に見ていった。
何度も何度も見直す。
そして、共通点に気が付いた。
「……みんな、胸ちっちゃい人ばっかり」
これって……どういうこと?
もしかして……そうなのかな?
そう思っちゃってもいいのかな?
「えへへ♪」
そっかー。そうなんだ。
まーくんの好みの女の子って……。
よぉーしっ!!
だったら、もっとまーくん好みの女の子になれるように、
研究の成果を見せなくっちゃね!
「ただいまー」
「ただいまー、あかねちゃん」
あっ! まーくん達が帰ってきた。
早速、まーくんに研究の成果を見てもらわなくっちゃ♪
「まーくん、さくらちゃん、おかえりなさーい!」
トタトタと玄関に駆け込むあたし。
「おう、ただいま……って、あかねっ!? 何だ、その恰好は!?」
「……裸に、エプロンだなんて……あかねちゃん、大胆……」
「しかも、猫耳猫尻尾……(ゴクッ)」
「えへへ〜♪ まーくん、似合う?」
「い、いや……似合うとか似合わないとか、そういう問題じゃ……」
「……変かな?」
「だから……変とか変じゃないとか、そんなんじゃなくて……」
「こういう恰好したら、まーくん喜んでくれると思ったんだけどなぁ」
「た、確かに嬉しくはあるけど……
もうちっと時と場合を考えて…………はっ!!」
「……まーくん」
ゴゴゴゴゴゴ……
「ああぁぁぁぁ……
なんかすっげー身の危険を感じる効果音が聞こえる……(冷汗)」
ゴゴゴゴゴゴ……
「……どういうことですか?」
「ど、どうもこうも、俺にもサッパリ……って、さくら!
ニコニコ微笑みながら後ろに黒い炎を背負うのは止めてくれっ!!」
「……あかねちゃんに
何を吹き込んだんですか?」
「ちょっと待て! 話を聞け! 俺は何も言ってない! 俺は無実だ!
だから、そのフライパンをしまってくれっ!!」
「問答無用ですっ!!」
ずぱきぃぃぃぃぃんっ!!
「あ〜れえええええええええ……」
……。
…………。
………………きらーん☆
あ……まーくん、お星様になっちゃった。
「……あかねちゃん」
「な〜に?」
「そういうことは、嫁入り前の女の子がすることじゃないんですよ」
「そーなの?」
「そうです。だから、将来、まーくんのお嫁さんになったら、
二人で一緒にしましょうね♪」
「はーい♪」
な〜んだ。そうだったんだ。
だから、まーくん戸惑ってたんだね。
じゃあ、まーくんのお嫁さんになった時に、またしてあげるね。
今度は、さくらちゃんも一緒に、ね♪
だから、それまで待っててね、まーくん☆
<おわり>
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