競作企画
Leaf Quest
〜 導かれし妻達 〜

断章 傭兵と魔術師と素敵な仲間達





 魔術都市タイプムーンの魔術師ギルド――
 またの名を『時計塔』とも呼ばれる場所――

 そこに所属する、おちこぼれ魔術師の『栗原 透子』と、
透子の幼馴染で親友の、エリート魔術師の『榊 しのぶ』――

 ある日、二人は、ギルドからの依頼を終えた帰り道、魔物達の襲撃を受けてしまう。

 突然の襲撃に対応が遅れ、追い詰められる二人……、

 幸いにも、ちょうど巡回中であった、
埋葬機関の司祭シエルが助けに入り、その場は辛うじて魔物を撃退する事に成功する。

 そして、彼女の口から、衝撃の事実が語られる。

 魔物が二人を襲った理由……、
 それは、透子の持つ強力なトランスファーメンタルパワーの力が原因だと言う……、

 元々、おちこぼれの自分が、
精神付与だけは人並みに使えた事は分かっていたが……、、

 そこまでの特化された力を、
持っていた事など知らず、驚愕と戸惑いを隠せない透子……、

 その後、シエルと別れた二人は、これからの事について話し合う。

 まず、透子を狙う魔の手が、
消えた訳ではなく、これからも襲撃がある事は確実――

 そして、それを自分達だけで、
そうそう、何度も撃退できる保障も無いのも事実――

 そこで、彼女達は、
優れた傭兵を雇うため、傭兵都市『ナカザキ』へ向かう事を決意する。

 その旅の途中、休息の為に、
知識都市『コミパ』に来た二人は、ケーキ屋『維納夜曲』に立ち寄る。

 状況が状況だけに、表情の冴えない二人――

 そんな二人を見かねて、明日奈が声を掛ける。

 事情を聞いた明日奈は、
「心当たりがあるから、お店が閉まる頃に、もう一度ここに来て」と言い残す。

 そして、再びやってきた二人は、この店でアルバイトをしている、
傭兵兼何でも屋の『木田 時紀』を紹介される。

 依頼内容を聞き、最初は面倒くさいと言う理由で、依頼を渋る時紀だったが、
透子の説得と妹の恵美梨にどつかれ、渋々ながら引き受ける事となった。

 事情を聞き、協力を申し出てくれた、
時紀のバイト仲間で魔法楽士の『須磨寺 雪緒』を加え、一行はタイプムーンへの帰途に着く。

 時紀は「面倒な話だが、雇われた以上は透子達を守る」と決意し、襲ってくる魔物達と戦う。

 そんな折、一行は黒騎士の襲撃を受け、
一瞬の油断をつかれて、しのぶが攫われてしまう。

「この女を助けたければ、栗原 透子を連れて砂漠の遺跡まで来い」

 そう言い残して、黒騎士は消え去る。

 どう考えても、罠である事は明白……、
 だが、それでも、しのぶを助ける為、砂漠の遺跡へと向かう時紀達……、

 そこで一行は、コミパ自警団のメンバーの由宇・すばる・彩と出会う。

 彼女達の話によれば、ここ最近、
砂漠で魔物が大量に現れ、砂漠を行くキャラバンが度々襲撃されているらしい。

 その魔物の発生源が、この遺跡である事を突き止め、根っこを断ちに来たのだと言う。

 由宇達を仲間に加えた一行は、遺跡の中と入り込む。

 そして、一番奥の部屋で、捕われのしのぶと、
遺跡に眠っていた武具『命を紡ぐ堕天使の盾』を持った黒騎士を見つけ出す。

 対峙する時紀達と黒騎士……、

 時紀の剣を――
 透子と彩の魔術を――
 雪緒の呪歌を――
 由宇の渾身の一撃を――
 すばるの奥義の数々を――

 それらの全てを『命を紡ぐ堕天使の盾』で、
防ぐ黒騎士に、なかなか決め手を与えられず、焦る一同……、

 時紀の捨て身の一撃によって、
何とか黒騎士を撃退する事には成功したものの……、

 ……黒騎士の最後の攻撃で、時紀は精神を深く傷つけられてしまう。

 どうにか全員で近くの宿場まで運んだものの、
手持ちの道具では、とても街まで時紀の精神が保ちそうにない……、

「自分の力が使えれば、木田君を助けられるかもしれない……」

 そう考えていた透子であるが、肝心の力の発動方法が分からず、苦悩する……、

 そんな時、透子は以前ギルドの教練で学んだ、
対象と交わる事で発動すると言う性魔術の事を思い出す。

 最早、これしか手段はない――
 これが駄目なら、もう手段はない――

 一縷の望みを賭け、ある夜透子は、
時紀の寝室に忍び込み、破瓜の痛みに耐えて性魔術を試みる。

 結果は……大成功だった。

 ――そう。
 透子の力の発動条件とは、性魔術だったのだ。

 かくして透子の力によって、時紀は助かり、
しのぶも無事に救い出され、魔物の発生源を断つ事にも成功する。

 しかも、黒騎士が退却した際に、
落としていった『命を紡ぐ堕天使の盾』まで手に入れる事が出来た。

 そして、コミパ自警団の面々と、
彼女達の護衛の為に同行する雪緒と別れ、三人は、タイプムーンへと帰ってくる。

 時紀も報酬を貰ったらすぐ帰る予定だったのだが……、

 「もう少し一緒にいてほしい」と言う、
透子の頼みを断りきれず、そのまましばらく、タイプムーンに逗留する事となる。

 そして、英雄の盾を手にした時紀は……、

 この後のガディム大戦を戦い抜き、
幾多もの出来事と出会いを経て成長を遂げ、百の英雄として認められる事になる。

 そんな彼の傍には、文句を言われながらも、
何時もくっついてくる、一人の魔術師の少女の姿があったと言う。





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