競作企画
Leaf Quest
〜 導かれし妻達 〜

第七章 剣と鞘と弓と呪われし聖杯





 魔術都市タイプムーン――

 駆け出しの魔術使い『衛宮 士郎』は、
師匠である『遠坂 凛』の元で、魔術の修行をしていた。

 そんなある日、凛が宝石剣を作る魔術実験を始める。

 途中までは、順調であったものの、結局、失敗してしまうのだが……、

 その失敗が……、
 偶然にも、『セイバー』を召喚する事となってしまう。

 グエンディーナの騎士王『セイバー』――

 聞けば、彼女は、第一次ガディム大戦で、
敵の魔術によって、時元の狭間に飛ばされてしまったらしい。

 一瞬とも、永遠とも思える時間をさまようセイバー……、

 と、そこへ、一筋の光を見た――
 セイバーは、自分と現世を繋ぐ糸を手繰り――

 ――現代へとやって来た、というわけだ。

 話を聞き終え、凛は、
セイバーにサーヴァント(使い魔)としての契約を迫る。

 だが、セイバーは、自分のマスターは士郎だと……、
 自分と現世を繋いでくれた士郎だと主張し、彼の騎士となる。

 それから、数ヶ月――
 彼らは、平穏な日々を送る――

 その途中、セイバーは、
リアンと出会い、思わぬ再会を喜んだりもした。

 そして……、
 ある日、事件は起こる。

 突如、イリヤが行方不明となったのだ。

 彼女を探す為、桜に留守を任せ、士郎と凛は、
イリヤが残したメッセージを手掛かりに、情報収集を始める。

 時計塔にて、イリヤに、聖杯の封印を解く、
鍵としての資質がある事を知り、士郎達は、聖杯神殿を探索する旅に出る。

 知識の街『コミパ』にて、和樹達の協力により、神殿の場所を知る士郎達。

 かつて、聖杯が封印されたと云われる神殿――

 セイバーが言うには、聖杯の正体とは、ガディムの力そのもの……、
 即ち『この世全ての悪』たど教えられ……、

 士郎達は、神殿へと向かう足を速める。

 しかし、時すでに遅く……、
 聖杯は、何者かに持ち去られた後であった。

 残されていたのは……、
 もう用は無い、とばかりに、放置されたイリヤと……、

 そして……、
 彼らを待ち受けるギルガメッシュだった。

 繰り出される無数の宝具に、追い詰められる士郎。

 そこへ、赤い外套を纏った戦士が現れ、彼らを助ける。

 彼の名は、アーチャー。
 実は、未来からやって来た士郎である。

 第二次ガディム大戦――
 人類の歴史は、この闘いの敗北によって、幕を閉じる。

 その最大の要因は、聖杯の力を奪われ……、
 ガディムの、完全なる復活を許してしまった為……、

 つまり、この聖杯を巡る闘いで、士郎達が敗北した為……、

 その歴史を変える為、
アーチャーは、現代へと、時間移動してきたのだ。

 アーチャーの導きで、士郎の『固有結界』が目覚め、英雄王を倒す。

 気絶したイリヤ達を連れ、士郎達は、遺跡を後にする。

 その途中、イリヤは目を覚まし……、
 彼らに、驚愕の真実を伝えた。

 アインツベルンは、聖杯を解き放つ鍵――

 ならば、聖杯を受け止める器――
 この世全ての悪という盃を、ガディムに与えるのは――

 ――間桐 桜。

 それを知り、急いで、タイプムーンへと戻る士郎達。

 だが、衛宮邸には、桜の姿は無く……、
 かわりに、街を襲う、魔物の群れが……、

 街の防衛は、時計塔の者達に任せ……、
 士郎、セイバー、凛、アーチャーの四人は、桜を救う為、『聖杯の座』へと向かう。

 聖杯の力を器に注ぐ儀式の場……、
 その巨大な塔の最上階で、相対するは、言峰……、

「さあ、セイバーよ……、
今こそ、己の務めを果たすが良い……」

 彼の、その一言と共に、黒化するセイバー。

 なんと、セイバーは、時空の狭間に飛ばされる際に、
邪悪な意志を植え込まれていたのだ。

 桜を凛とアーチャーに任せ……、
 士郎とセイバーが激突する。

 圧倒的な力の差に、危機に陥る士郎……、

 ――だが、セイバーを想う心が奇跡を呼んだ。 

 『誇り高き騎士王の剣(グラムセイバー)』――
 『悪を砕く正義の剣(ソードブレイカー)』――

 二振りのオリジナル宝具を投影し……、

 ソードブレイカーで、エクスカリバーを砕き、
グラムセイバーで、セイバーに植え込まれた邪悪な意志を断つ。

 しかし、士郎の傷は深い。
 正気を取り戻したセイバーは、言峰を倒すが、傷付いた士郎の姿に涙する。

 だが、見る見るうちに、塞がっていく士郎の傷……、
 それを見て、セイバーは、士郎こそが、自分の鞘だったことを知る。

 回復した士郎とともに、セイバーは聖杯の座へ向かう。

 そして、『破戒すべき全ての符』を用いて、
桜の呪縛を解き、彼女を救い出した。

 しかし、解き放たれた聖杯は、
行き場を失い、暴走を始めてしまう。

 それを食い止めるため、
アーチャーが、凛と桜を逃がし、士郎とセイバーが残る。

 投影したエクスカリバーによるセイバーの攻撃。
 だが、それでも、聖杯を破壊するには到らない。

 そして……、
 士郎は、最後の力を振り絞り……、

 ……己自身を、宝具と変える。

 ――I am the bone of my justice sowrd. (体は正義の剣で出来ている)

 この世全ての悪と対となる剣――
 その名を『この全ての正義(エミヤシロウ)』――

 セイバーによって、剣は振るわれ……、

 そして、見事……、
 正義の剣によて、聖杯は破壊される。

 この瞬間、歴史が変わり、アーチャーは消える。

 最後に、自分の事を頼む、と、凛と桜に言い残して……、

 崩れ去った塔の前……、
 剣となった士郎を抱き、泣き崩れるセイバー。

 そんな彼女に、凛は、剣を渡せと言う。

「嫌です! 私は、ずっとシロウと共にあると誓った!
あなたは、私から、シロウを奪おうと言うのですかっ!?」

 剣を抱いて離さないセイバー。

 だが、士郎を救う方法はある、という凛の言葉に、
彼女は、ゆっくりと立ち上がった。

 そして、思い出す……、
 今は、まだ、自分には使命が残っている事を……、

 その後、セイバーは……、
 愛するモノを手に、ガディム大戦を駆け抜ける。

 彼の者の意志を継ぎ、彼女は、最も多くの人々を救った。

 そして、大戦後――
 士郎は、蒼崎の手によって、人形の体を与えられ――

 聖杯を破壊した功績を称え……、
 士郎は、百の英雄の一人となった。

 そんな彼の隣には……、
 常に、一人の女騎士の姿があったという……、





<END>

 


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