競作企画
Leaf Quest
〜 導かれし妻達 〜

第五章 五月雨堂の健太郎





 商業都市マジアン――

 その街に住む『宮田 健太郎』は、
骨董品屋『五月雨堂』の店主であり、トレジャーハンターでもあった。

 ある日のこと……、
 店にお得意様の『高倉 みどり』がやって来た。

 訊けば、古代遺跡の調査の依頼らしい。

 マジアンの傍にある小さな遺跡……、
 すでに発掘され尽くし、死んだ遺跡となった場所……、

 何故、そんな場所に今更、と健太郎は訊ねる。

 一冊の予言書を取り出すみどり。
 どうやら、事の原因は、彼女が自宅の倉庫で見つけた、この本にあるようだ。

 その内容とは……、

 ガディムの復活――
 勇者の降臨――

 そして、聖剣の出現――

 予言書によれば、その聖剣が、
今、件の遺跡に出現するのだ、という。

 あまりにも荒唐無稽な内容である。
 だが、みどりは、妙な胸騒ぎがする、とのこと……、

 そんな彼女の願いを、無下に断るわけにもいかず、遺跡へと向かう健太郎。

 死んだ遺跡であるが故……、
 軽い気持ちで、健太郎は探索を始める。

 その油断が、彼らしからぬミスを呼んだ。

 突然、床が崩れ、
健太郎は、地下へと落ちてしまったのだ。

 だが、これも運が良いと言うべきか……、

 彼が落ちた先は、
今まで、発見される事のなかった場所であった。

 目の前には、二柱の女神像。

 健太郎が、それに触れると、突然、女神像が光り始める。
 そして、気が付けば、健太郎は、全く違う場所に立っていた。

 唐突な出来事に、呆然としつつ、建物の外にでる健太郎。

 その瞬間……、
 彼は自分の目を疑った。

「空中都市……本当にあったのか」

 雲の中に、その身を隠し……、
 巨大な木『仙命樹』と共に、天を漂う空中大陸……、

 古代魔法王国『グエンディーナ』――
 その城と、城下街――

 あらゆる書物で、グエンディーナは、空に浮かぶ大陸にあると記されていた。
 そして、今もなお、空中都市は、空を巡っているとも……、

 だが、空中都市は、誰にも発見されず……、
 いつしか、空中都市は、ただの御伽噺となっていた。

 その場所に……、
 今、健太郎は立っているのだ。

 降って沸いた大発見に、興奮する健太郎。
 その興奮を押さえつつ、彼は慎重に探索を再開する。

 いつの間に住みついたのか……、
 遺跡内をうろつく魔物を倒し、時にはやり過ごし……、

 また、数多くの恐ろしい罠を突破しながら、戦利品を集めていく。

 そして、城の隠し部屋にて……、
 健太郎は、結界に守られた女性を発見した。

 グエンディーナの第一王女――
 スフィー=リム=アトワリア=クリエール――

 歴史書では、王女達は『時を止める結界』の中で眠りについた、とある……、

 今、目の前で眠る彼女こそが、
眠り姫なのだと、健太郎は確信した。

 なんとか、彼女を目覚めさせられないかと、調査を始める健太郎。

 スフィーの祖父が使っていた剣が、結界の要になっていると、
見当をつけた健太郎は、迷わず、その剣を引き抜いた。

 すると、次の瞬間……、
 剣に込められたスフィーの祖父からのメッセージが伝えられる。

『この剣を抜く事が出来たのなら、そなたは心正しき者なのだろう。
どうか、我が愛孫達を守ってやってほしい。
そして、世界を担う勇者に聖剣を……』

 メッセージが終わると同時に、結界が消滅する。
 (この瞬間、地上のとある遺跡で、連動していたリアンの結界も解ける)

 そして……、
 スフィーは、ゆっくりと目を開け……、

「――うしろっ!!」

 彼女の声に、慌てて飛び退く健太郎。

 見れば、そこには、見たことも無い巨大な魔物が……、

 スフィーの祖父の剣――
 『失われし魔道の剣』を振るい――

 ――健太郎は、スフィーと協力して、魔物を撃退する。

 しかし、魔物は断末魔の力でスフィーを攻撃。
 それを庇って、健太郎は心臓を貫かれてしまう。

 スフィーは己の魂と、死にゆく健太郎の魂を魔力的に繋げることで、彼を救う。
 その魔法のため、スフィーは幼い少女の姿に……、

 一命を取り留めた健太郎は、
城のスフィーの部屋で目覚め、事情を聞く健太郎。

 その後、彼女とともに、探索を再開し……、

 城の最深部で……、
 彼らは、鞘に収められた聖剣を発見する。

 世界が危機に瀕した時、聖剣は出現し……、
 それの担い手である『勇者』もまた、覚醒する。

 その伝承をスフィーから聞き、健太郎は決意した。

 聖剣を抜く事が出来る……、
 世界の担い手である勇者を探す旅に出よう、と……、

 それから、数週間後――

 場所は変わって……、
 大陸の片隅にあるリーフ島……、

 その島に住む剣士『藤田 浩之』と、
相棒の魔法剣士『藤井 誠』は、魔物退治の依頼を果たし、家路についていた。

 その途中……、
 黒騎士に襲われている健太郎達を発見。

 二人は助けに入るが、四人掛かりでも、黒騎士との実力さは歴然だった。

 浩之の剣技も……、
 スフィーも魔法も……、
 誠の魔法剣も……、
 健太郎の虎の子の魔道具も……、

 ……あらゆる攻撃が通用しない。

 そして、浩之のミスリルソードが折れ、弾き飛ばされる。

 健太郎の荷物が載せられた馬車に激突する浩之。
 すぐさま身を起こすが、剣は折れてしまっている。

 浩之は、何か武器は無いかと、手元を探る。

 すると……、
 そこには、一振りの剣が……、

「おいっ! この剣、借りるぞっ!!」

「なっ!? 待て、その剣は――」

 健太郎の制止の声も聞かず、剣の柄を握る浩之。

 そして――
 勇者にしか抜けないはずの剣が――

 ――抜き放たれた!

「キサマが……この世界の勇者だというのかっ!?」

 浩之の聖剣による一太刀。
 その威力に、黒騎士は退却する。

 今、ここに――
 世界の担い手となる勇者が誕生した。





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