競作企画
Leaf Quest
〜 導かれし妻達 〜
アクアプラス大陸の最北端―― 年中雪に覆われた、白銀の王国『カノン』―― この国には、世界最強とも云われる騎士団が存在していた。 その名を『エアー騎士団』―― 騎士達は、一人一人が、動物を使役しており、 その動物との見事な連携で、どんな敵をも打ち破るのだ。 そんな彼らに、一つの任務が下された。 その内容は、最近、連続して起こっている、 子供の行方不明事件の真相を突き止めろ、との事……、 王からの命令が下ると、 騎士達は、すぐさま、調査の為に駆け出していく。 そんな中―― ポツンと、その場に取り残された三人組―― 飛べないカラスを使役する槍兵『神尾 観鈴』―― 小さな犬(?)であるポテトを使役する剣士『霧島 佳乃』―― 騎士のクセに、何故か動物を使役しようとしない弓兵『遠野 美凪』―― 彼女達は、エアー騎士団の中での落ちこぼれ……、 通称『へっぽこ三人娘』であった。 いきなり、調査をしろと言われても、 何をして良いのやら分からず、ボ〜ッとしている三人。 行方不明となった子供達の中には、美凪の妹の『みちる』もいるのだ。 一刻も早く、助けたいが……、 その為に、まずは、どうしたら良いのか、見当がつかない。 取り敢えず、城の人達に相談しようと、 三人は、近衛騎士団長の晴子や、医者の聖と話をする。 そして、カノン城の姫である佐祐里の助言に従い、 まずは、城下街で、聞き込みを始める事にした。 子供が行方不明になているのならば、 子供達に話を聞けば、何か手がかりが掴めるかも、と、三人は子供達に話し掛ける。 すると、彼らが遊び場にしている、 街の近くの森で、目つきの悪い、黒ずくめの男が現れるという。 それは怪しい、と、三人は、その森へと向かう。 すると、そこには……、 行き倒れになっている、黒ずくめの男が……、 取り敢えず、三人は、 彼を城へと運び、食事を与えて、話を聞くことに……、 彼の名は『国崎 往人』―― 翼を持つ少女を探し、旅をしている人形使い―― 助けて貰った礼を言い、立ち去ろうとする往人。 そんな彼を、晴子と聖が呼び止めた。 往人を、それなりと使い手と見た過保護な二人は、 助けた見返りとして、三人組と行動をともにする事を要求した。 エアー騎士団で、唯一、鳥を使役する観鈴―― そんな彼女が気になったのか……、 往人は、その依頼を受け、彼女達の仲間となる。 行方不明となった子供達の手掛りを求め、旅に出る一行。 目的地は、往人の師匠達が住むという、極東の国『ウタワレ』―― 往人の提案で、法術に長けた裏葉に、 子供達の行方を占って貰おう、というのだ。 そもそも、往人が旅に出たのも、彼女の占いが理由だったのだ。 翼を持った少女を探しなさい―― それが、貴方の運命―― 彼女とともに、貴方は、勇者を守る翼となるのです―― 裏葉の言葉を思い出しつつ、往人は三人娘とともに、ウタワレへと到着する。 裏葉の占いで、判明する子供達の行方―― 柳也による、奥義の伝授―― そして―― 神奈と観鈴の共鳴―― 翼人の血を受け継ぐ神奈―― 翼人の意志を受け継ぐ観鈴―― 二人の出会いが、お互いの力を呼び覚ます。 観鈴は「そら」に乗り、天空を駆ける力を……、 そして、神奈の力は、不可視の剣として具現化し……、 『天を斬り裂く疾風の剣』を手に、 往人達は、子供達を救う為、現地へと赴く。 向かうは皇都『トゥスクル』―― なんと、子供達を攫っていたのは、 聖の精霊王『ハクオロ(ウィツァルネミテア)』と闇の精霊王『カミュ(ムツミ)』だったのだ。 いや……、 正確には、攫ったのではなく……、 ガディム復活を、察知したハクオロは、 誘拐されるような素養を持つ子供達を保護していたのだ。 時間が無かった為、少々、手段が強引になってしまったが……、 騒ぎを起こした事を、深く謝罪するハクオロ。 事の真相を伝える為、証人として、 みちるを伴い、往人達は、カノン王国へと戻る為、準備を始める。 と、そこへ……、 ガディム軍がカノン王国へ侵攻を始めた事を、裏葉が予見する。 往人を残し、観鈴達三人は、そらに乗って、国へと戻る。 すると、彼女らを待っていたのは、 ワイバーンに乗った黒騎士が率いる、夥しい魔物の群れであった。 圧倒的な戦力差に、戦意を失う騎士団……、 特に、空を飛ぶ黒騎士に対抗できる者など……、 ……そこへ、観鈴が名乗りを上げる。 空を飛べるのは自分だけ……、 ならば、自分が黒騎士と闘おう、と……、 おちこぼれ騎士である観鈴の勇気に……、 そして、王女自らも闘うと言う、佐祐里の覚悟に……、 騎士団の心は奮い立つ―― そして……、 ガディム軍とエアー騎士団の……、 ……壮絶な闘いが始まった。 まるで、押し寄せる波の如く、侵攻してくる魔物の群れ―― 善戦するものの、徐々に、劣勢に立たされていく騎士団。 と、そこへ―― トゥスクルとクンネカムン軍が応援に駆け付けた。 そして―― 丘の上に立つ、一人の青年の姿―― 「……さあ、楽しい人形劇の始まりだ!」 少数ながらも、一騎当千のハクオロ達と……、 往人の法術による、無数の戦闘用小型自動人形が……、 ……魔物の大群を迎え撃つ。 その戦場の頭上でも……、 観鈴と黒騎士との、一騎打ちが展開されていた。 彼女の手には、往人より託された天空剣―― その渾身の一撃で……、 なんとか黒騎士を退却させる。 ガディム大戦の前哨戦とも言える……、 カノン王国での闘いは、終わりを告げた。 そして……、 英雄の剣を持つ往人もまた……、 百の英雄の一人として、ヨークに乗り込む……、 <END> |