競作企画
Leaf Quest
〜 導かれし妻達 〜

第四章 へっぽこ騎士団の冒険





 アクアプラス大陸の最北端――
 年中雪に覆われた、白銀の王国『カノン』――

 この国には、世界最強とも云われる騎士団が存在していた。

 その名を『エアー騎士団』――

 騎士達は、一人一人が、動物を使役しており、
その動物との見事な連携で、どんな敵をも打ち破るのだ。

 そんな彼らに、一つの任務が下された。

 その内容は、最近、連続して起こっている、
子供の行方不明事件の真相を突き止めろ、との事……、

 王からの命令が下ると、
騎士達は、すぐさま、調査の為に駆け出していく。

 そんな中――
 ポツンと、その場に取り残された三人組――

 飛べないカラスを使役する槍兵『神尾 観鈴』――
 小さな犬(?)であるポテトを使役する剣士『霧島 佳乃』――
 騎士のクセに、何故か動物を使役しようとしない弓兵『遠野 美凪』――

 彼女達は、エアー騎士団の中での落ちこぼれ……、
 通称『へっぽこ三人娘』であった。

 いきなり、調査をしろと言われても、
何をして良いのやら分からず、ボ〜ッとしている三人。

 行方不明となった子供達の中には、美凪の妹の『みちる』もいるのだ。

 一刻も早く、助けたいが……、
 その為に、まずは、どうしたら良いのか、見当がつかない。

 取り敢えず、城の人達に相談しようと、
三人は、近衛騎士団長の晴子や、医者の聖と話をする。

 そして、カノン城の姫である佐祐里の助言に従い、
まずは、城下街で、聞き込みを始める事にした。

 子供が行方不明になているのならば、
子供達に話を聞けば、何か手がかりが掴めるかも、と、三人は子供達に話し掛ける。

 すると、彼らが遊び場にしている、
街の近くの森で、目つきの悪い、黒ずくめの男が現れるという。

 それは怪しい、と、三人は、その森へと向かう。

 すると、そこには……、
 行き倒れになっている、黒ずくめの男が……、

 取り敢えず、三人は、
彼を城へと運び、食事を与えて、話を聞くことに……、

 彼の名は『国崎 往人』――
 翼を持つ少女を探し、旅をしている人形使い――

 助けて貰った礼を言い、立ち去ろうとする往人。
 そんな彼を、晴子と聖が呼び止めた。

 往人を、それなりと使い手と見た過保護な二人は、
助けた見返りとして、三人組と行動をともにする事を要求した。

 エアー騎士団で、唯一、鳥を使役する観鈴――

 そんな彼女が気になったのか……、
 往人は、その依頼を受け、彼女達の仲間となる。

 行方不明となった子供達の手掛りを求め、旅に出る一行。

 目的地は、往人の師匠達が住むという、極東の国『ウタワレ』――

 往人の提案で、法術に長けた裏葉に、
子供達の行方を占って貰おう、というのだ。

 そもそも、往人が旅に出たのも、彼女の占いが理由だったのだ。

 翼を持った少女を探しなさい――

 それが、貴方の運命――
 彼女とともに、貴方は、勇者を守る翼となるのです――

 裏葉の言葉を思い出しつつ、往人は三人娘とともに、ウタワレへと到着する。

 裏葉の占いで、判明する子供達の行方――
 柳也による、奥義の伝授――

 そして――
 神奈と観鈴の共鳴――

 翼人の血を受け継ぐ神奈――
 翼人の意志を受け継ぐ観鈴――

 二人の出会いが、お互いの力を呼び覚ます。

 観鈴は「そら」に乗り、天空を駆ける力を……、
 そして、神奈の力は、不可視の剣として具現化し……、

 『天を斬り裂く疾風の剣』を手に、
往人達は、子供達を救う為、現地へと赴く。

 向かうは皇都『トゥスクル』――

 なんと、子供達を攫っていたのは、
聖の精霊王『ハクオロ(ウィツァルネミテア)』と闇の精霊王『カミュ(ムツミ)』だったのだ。

 いや……、
 正確には、攫ったのではなく……、

 ガディム復活を、察知したハクオロは、
誘拐されるような素養を持つ子供達を保護していたのだ。

 時間が無かった為、少々、手段が強引になってしまったが……、

 騒ぎを起こした事を、深く謝罪するハクオロ。

 事の真相を伝える為、証人として、
みちるを伴い、往人達は、カノン王国へと戻る為、準備を始める。

 と、そこへ……、
 ガディム軍がカノン王国へ侵攻を始めた事を、裏葉が予見する。

 往人を残し、観鈴達三人は、そらに乗って、国へと戻る。

 すると、彼女らを待っていたのは、
ワイバーンに乗った黒騎士が率いる、夥しい魔物の群れであった。

 圧倒的な戦力差に、戦意を失う騎士団……、
 特に、空を飛ぶ黒騎士に対抗できる者など……、

 ……そこへ、観鈴が名乗りを上げる。

 空を飛べるのは自分だけ……、
 ならば、自分が黒騎士と闘おう、と……、

 おちこぼれ騎士である観鈴の勇気に……、
 そして、王女自らも闘うと言う、佐祐里の覚悟に……、

 騎士団の心は奮い立つ――

 そして……、
 ガディム軍とエアー騎士団の……、

 ……壮絶な闘いが始まった。

 まるで、押し寄せる波の如く、侵攻してくる魔物の群れ――

 善戦するものの、徐々に、劣勢に立たされていく騎士団。

 と、そこへ――
 トゥスクルとクンネカムン軍が応援に駆け付けた。

 そして――
 丘の上に立つ、一人の青年の姿――

「……さあ、楽しい人形劇の始まりだ!」

 少数ながらも、一騎当千のハクオロ達と……、
 往人の法術による、無数の戦闘用小型自動人形が……、

 ……魔物の大群を迎え撃つ。

 その戦場の頭上でも……、
 観鈴と黒騎士との、一騎打ちが展開されていた。

 彼女の手には、往人より託された天空剣――

 その渾身の一撃で……、
 なんとか黒騎士を退却させる。

 ガディム大戦の前哨戦とも言える……、
 カノン王国での闘いは、終わりを告げた。

 そして……、
 英雄の剣を持つ往人もまた……、

 百の英雄の一人として、ヨークに乗り込む……、





<END>

 


<戻る>