競作企画
Leaf Quest
〜 導かれし妻達 〜

第三章 えいえんの剣士





 ワン共和国――

 その中央に位置する街『ナカザキ』に、一人の冒険者が帰ってきた。

 彼の名は『折原 浩平』――
 幼い頃、姿を消した妹を探し、旅をする剣士である。

 たった一人の家族だった妹の『みさお』……、

 彼女は、あまりに、唐突に……、
 そして、何の前触れも無く、自分の前から消えてしまった。

 妹を探す為の手掛かりを求めて、彼は旅を続けてきた。

 そして、先日……、
 タイプムーンで、空間系の魔術の存在を知り……、

 みさおは、その魔術の才能を有しており、
それが暴走した為に、別の空間に飛ばされてしまったのでは、という仮設を得る。

 その裏付けをする為、浩平は、生まれ故郷へと帰ってきたのだ。

 帰ってきた浩平を、七瀬・茜・みさき――

 そして――
 子供の連続失踪事件を追う、カノン王国の近衛騎士――

 ――『運命を拓く奇跡の剣』の所持者『相沢 祐一』が出迎える。

 随分と、大袈裟な出迎えに、驚く浩平。
 そんな彼に、彼女達から、驚愕の事態が告げられる。

 なんと、澪と繭が……、
 さらには、栞と真琴までもが、誘拐されてしまったのだ。

 しかも……、
 浩平の恋人である『長森 瑞佳』の手によって……、

 魔術の才能を見抜く能力を持つ、
みさきの話では、瑞佳には、空間系の魔術の才能があったという。

 七瀬達から、詳しい話を聞き、
浩平は、みさおが消えた時と同じ事が起こったのだ、と理解する。

 それは、つまり……、
 みさおを奪ったのも、瑞佳だという事に……、

 それを必死に否定しつつ、
浩平と祐一は、出掛かりを求め、再び、タイプムーンへ――

 ルヴィアゼリッタの協力で、
閉鎖空間『えいえんの世界』への干渉に成功するも、その扉は一方通行。

 『えいえん』へと至れば、二度と、自力では戻れない。

 方法は、ただ一つ――
 「えいえん」を操る瑞佳の力を使う事――

 覚悟を決め、「えいえんの世界」へと飛び込む、浩平と祐一。

 そして……、
 二人の前に姿を現したのは……、

 幼き頃の姿をした『みずか』と――
 その背後に立つ、邪悪な意志(ラルヴァ)――

 彼らは語る……、
 みさおが消えた事件の真相を……、

 それは、幼き瑞佳の、みさおに対する嫉妬が原因であった。

 自分よりも、浩平の身近にいるみさお……、
 そんな彼女への負の感情が、瑞佳の力を発現させてしまう。

 ――みさおちゃんなんて、いなくなっちゃえば良いのに。

 そんな無自覚な想いが、みさおを「えいえんの世界」へと閉じ込めてしまう。

 ――そう。
 全ての原因は、瑞佳にあったのだ。

 瑞佳の才能に目をつけたラルヴァは、瑞佳に、その事実を伝える。

 罪の意識に、心を閉ざす瑞佳……、
 そんな瑞佳を利用し、ラルヴァは、澪達を攫ったのだ。

 その命を、ガディムに奉げさせる為に……、

 ラルヴァが、浩平問う――
 真実を知って、尚、お前は、瑞佳を救うのか、と――

 妹を奪った者を愛せるのか、と――

 その問いに、浩平は……、
 ラルヴァに向かって、剣を振ることで答えた。

 浩平は気付いていたのだ。
 目の前にいるみずかの心が泣いている事に……、

 瑞佳が、自分を責めて……、
 何度も浩平に、みさおに謝りながら、泣いている事に……、

 ならば、教えてやらなければならない。
 瑞佳をラルヴァから解放し、言ってやらなければならない。

 お前は、悪くない――
 誰に責められようと、俺が、お前を許してやる――

 何があっても、お前を愛している、と――

 カノンブレードの力で、
ラルヴァを倒し、瑞佳や澪達を救い出す浩平達。

 だが、元の世界へ扉は閉ざされ、瑞佳も意識を取り戻す気配はない。

 しかも、ラルヴァの、断末魔の力を振り絞り、
この閉鎖空間を圧縮し、浩平達を空間ごと、握り潰そうとする。

 逃げ場は無い……、
 対抗する手段も無い……、

 絶対絶命の危機に、浩平の耳に、妹の声が届く。

「えいえんは、あるよ……」

「――みさお?」

「でも、お兄ちゃん達の永遠は、ここじゃない……、
だから、みさおが、連れて行ってあげる。
お兄ちゃん達の世界へ……」

 その声と共に、浩平の手に剣が握られる――

 みさおの意志と力が宿る剣――
 その名を『永遠を流れる時空の剣(エターナルソード)』――

 空間をも斬り裂く、その剣の力で、浩平達は、元の世界に戻る事に成功する。

 だが、しかし……、
 そんな彼らを待っていたのは……、

 墜落したヨークと――
 それを懸命に守るタイプムーンの人々――

 そして――

 その光景を――
 ワイバーンの背から見下ろす黒騎士――

「――っ!! 久瀬ぇぇぇぇーーーーっ!!」

 その姿を見た瞬間、祐一が叫び、剣を抜く。

 そして……、
 久瀬と祐一の、一騎打ちが始まった。





<END>

 


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