Heart to Heart 外伝
       To Heart 編

    
  「いけない琴音ちゃん パート2」







「ていっ! やあっ! はあっ! せいゃあっ!!」


 
パンパンパンパンッ!!

 
スパァァァーーーンッ!!


 放課後の裏山――

 今日も今日とて、いつものように、葵ちゃんの発する声とともに、
サンドバックの乾いた音が、周囲に響き渡ります。

 まあ、いつものように、と言っても、私が葵ちゃんの練習に付き合うのって、
実は、割りと珍しいことなんですけどね。

「はあっ! はっ! はっ! はっ! はっ! てやあっ!」


 
パンパンパンパンパンパンッ!!

 
スパァァァァーーンッ!!


 素早いラッシュカラ、葵ちゃんの得意技であるハイキックへの見事なコンビネーションが決まり、
木の枝に吊るされたサンドバックがギシギシと音をたてて揺れます。

 そんな葵ちゃんの一生懸命な練習風景を、木陰に腰を下ろして眺めつつ――

 それにしても……、
 野外に響く葵ちゃんの荒い息遣い、飛び散る汗、パンパンという乾いた音……、

 ……なんか、ちょっとエッチな表現ですよね。(ポッ☆)

 例えば、サンドバックに寄り掛かり、お尻を突き出した葵ちゃんに、
藤田さんが後ろから……、(ポポッ☆)

 もう、葵ちゃんったら、初めてで野外だなんて、大胆過ぎます♪

 それに、藤田さんも、初心な葵ちゃんにそんな事を求めちゃダメですよ。
 そういうプレイがお望みなら、遠慮無く私に言ってもらえれば……、(ポポポッ☆)

 ――なんて事を考えてしまう私は、ちょっと不謹慎でしょうか?

 まあ、それはともかく……、
 そろそろ時間ですから、葵ちゃんを呼び止めないといけませんね。

 と、腕時計で時間を確認しつつ、私は葵ちゃんに休憩に入るように呼び掛けます。
 ですが、それよりも少し早く、葵ちゃんは、練習を中断しました。

 さすがは葵ちゃんですね。
 どうやら、自分の中でも、ちゃんと時間を計って練習をしているようです。

 なんでも、格闘技では、そういう時間感覚も重要だそうですからね。

「……ふう」

 練習を一旦中断した葵ちゃんは、サンドバックに軽く抱き着いて、その揺れを止め、
そのままの体勢で呼吸を整えます。

 そして、約一分間、休憩すると、また――

「はあっ!!」

 ――サンドバックから離れ、練習を再開しました。


 
パンパンッ! パンパンッ! スパーンッ!


 再び、裏山に響き渡る、サンドバックを叩く音……、

「はあ〜……」

 その音を耳にしつつ、葵ちゃんの練習する姿を眺め、
私は彼女のその体力に感嘆の息を吐きます。

 ……ホント、凄いですよね。

 あんなに激しい運動を、長い時間に渡って続けられるなんて、
あの小さな体の何処に、そんな体力があるのでしょう?

 私があんな事したら、一分も経たないうちに息が切れてしまうでしょうね。

 背丈も体格も、そんなに差は無いのに、私と葵ちゃんの体力差は歴然です。
 まあ、胸の大きさは、私に分が有るようですが……、

 やっぱり、私も少し運動でもして、体力をつけた方が良いかもしれません。
 あまり持久力が無いようでは、旺盛な藤田さんのお相手なんて出来ませんからね。(ポッ☆)

 愛があれば体力差なんて、言いたいところですが、さすがに限界があるでしょうし……、

 それに、よく考えてみると、私は超能力を制御出来るようになってから、
ちょっとそれに頼っているところがあります。

 例えば、急いでいる時なんか、走るフリしながら、
実は、念動力を利用しての超低空ホバリング飛行をしたりしてますし……、

 これではいけませんね。
 私も何か運動をして、体力をつけなくては……、

 そうですね……、
 藤田さんとベッドの上での運動なんか、強く希望しちゃうんですけど……、(きゃっ♪)

 ――はい?
 いつの間に、ホバリングなんて器用な真似が出来るようになったのか、ですか?

 もう、随分と前から、そのくらいの事は出来ますよ。

 藤田さんのおかげで、能力を制御出来るようになってからも、
日夜、能力の研究は欠かしていませんからね。

 ちょっと前までは、こんな能力、必要無いなんて思っていましたけど、今は、そうでも無いんです。

 何故なら、この能力があるおかげで、他の人には絶対に不可能な事が出来ますし、
大切な人を助ける事だって出来るんですから。

 極端な例ですけど、以前のガディム事件の時は、
この力があったおかげで、藤田さん達を助ける事が出来たわけですし……、

 『力』を持つ者は、その『力』に対して責任を持たなければいけません。
 そして、その『力』の存在は、何らかの意味があります。

 だから、私がこの能力を持って生まれたのには、きっと理由があるのでしょう。

 その理由が何なのか……、

 それが分かるまで、この力を自在に操れるようにするのが、
力を持った私の義務だと思うんです。

 とまあ、そういうのは、実は建前で……、

 本音は、この能力には、今まで散々苦労させられてきたわけですから、
これからは、せいぜい上手に有効利用させて頂きましょう、ということで……、(笑)

 ちなみに、さっき、超低空飛行って言いましたけど、
だからと言って、自由自在に空を飛べるわけではありませんよ?

 いずれは、そうなれれば良いな、とは思っていますが、
今の私の力では、まだ、あまり重いものは持ち上げられないので……、

 べ、別に私の体が重いわけじゃないですよっ!
 私は、どちらかと言うと痩せている方……、


「せいやあっ!!」


 
スパパァァァーーーンッ!!


「あっ……そろそろ時間ですね」

 葵ちゃんの力強い掛け声と、一際大きな衝撃音に、物思いに耽っていた私は、
慌てて我に返り、腕時計で時間を確認しました。

「葵ちゃん、あと残り30秒です」

「――っ!!」

 私がそう言うと同時に、葵ちゃんはラストスパートに入ります。


 
パンッ! パンッ! パンッ! パンッ!
 
パンッ! パンッ! パンッ! パンッ!


 さっきのとは比べ物にならない程の凄まじいラッシュ。
 とても、私の目ではついていけません。

 こんなに速い連続攻撃ですら、藤田さんや綾香さんは防いでしまう、と言うのですから、
エクストリームって、本当に凄いんですね。

 と、私が感心する間も、葵ちゃんのラッシュは続きます。
 そして……、

「葵ちゃん、フィニッシュッ!」

「はあっ!!!」


 
ズバァァァァーーーンッ!!


 時間終了ギリギリで、葵ちゃんの足が鞭のように撓り……、
 強烈なハイキックが、サンドバックに炸裂しました。

 そのあまりの威力に、サイドバックが大きく揺れ動き、
それ吊るす木の枝が、衝撃に堪えようと、ギシギシと悲鳴を上げます。

 あ、あんなのが当たったら、どんなに屈強な男の人でも、
一発で気絶しちゃいそうですねぇ……、

 さらに、今のキックよりも威力のある『崩拳』っていう必殺技を持っている、って言うんですから……、

 葵ちゃん……、
 人間凶器への道をまっしぐらですね……、(汗)

 と、以前見た時よりも、さらに強力になっている葵ちゃんのキックの威力を見て、
内心で冷や汗を流してしまう私。

 そんな私の心境などに全く気付く事無く、再び、サンドバックに抱き着いて、
それの揺れを止めた葵ちゃんは、私にニッコリと微笑みかけました。

「ゴメンね、琴音ちゃん……練習に付き合せちゃって」

「う、うん……」

 凄まじい威力のキックを放つ先程の葵ちゃん――
 元気一杯の、可愛い笑顔見せる今の葵ちゃん――

 その二つのギャップに、引きつった笑みを浮かべつつ、
私は葵ちゃんに渡そうと、側に掛けておいたタオルに手を伸ばします。

 と、そこへ……、



「琴音ちゃんっ! 危ないっ!!」

「――えっ?」



 いきなり、葵ちゃんが叫び声を上げました。
 その葵ちゃんの言葉の意味を図りかね、キョトンとする私。

 そして、次の瞬間……、


「っっっっっ〜〜〜〜っ!!」


 突然、私の体に……、
 正確には、足の付け根のあたりに鋭い激痛がはしりました。

 な、ななな……、
 何なんですか、この痛みはっ!?

 あまりに唐突に襲ってきた、刺すようなその痛みに混乱しつつ、
私はスカートの中に手を入れて、痛む箇所に手を当てます。

 すると……、


 
――ぬるっ


 あ……、
 なんか、凄くいや〜な感触が……、(冷汗)

 『それ』を触った瞬間、私の背筋にぞわぞわ〜っと悪寒がはしりました。

 手から伝わってくる、あの独特の感触――
 ヌメヌメしてて、ウネウネしてて、ニョロニョロしてて――

 これって……、
 まさか……まさか……、








「いやぁぁぁぁぁーーーーっ!!」








 その感触の正体を知った私は、大声で悲鳴を上げつつ、咄嗟に念動力を発動させ、
『その物体』をスカートの中から外に出し、空中に浮かび上がらせました。

 念動力によって宙に浮かばされ、私の目の前に、ウネウネと蠢く物体が姿を現します。

 ――そう。
 その物体の正体は、なんと蛇だったのですっ!

 おそらく、私が練習する葵ちゃんの姿に見入っている隙に、
私のスカートの中に潜り込んだのでしょう。

 そして、見事に侵入を果たした蛇は、その鋭い牙を、私の柔肌に……、

 なんてことをしてくれやがったんでしょうっ!!!(怒)
 私のこの体は、いつか藤田さんに捧げられるものなんですよっ!

 それなのに、たかが爬虫類の分際で、私の大事な体を……、
 しかも、足の付け根なんて微妙なところを噛むなんて……、

 まあ、痛みの具合から察するに、大した傷ではないみたいですけど……、

 ……まったく、傷跡でも残ったらどうしてくれるんですか?

「――滅殺です」

 私はそう呟くと、目の前で宙に浮いている蛇に向かって、もう一度、念動力を発動させ、
ぴゅ〜っと、遥か遠くへ飛ばしました。

 飛ばされた蛇は、そのまま木の幹にペシッと当たり、地面に落ちます。
 そして、何事も無かったかのように、体を蠢かせて、藪の中へと消えて行きました。

 滅殺、と言ったわりには、大したお仕置きではありませんが、所詮は、蛇のした事です。
 そんなのに、イチイチ本気で怒ってたらキリが無いですからね。。

 だいたい、蛇は古来から神聖な生き物とされていますから、
ヘタな事をしたらバチが当たってしまうかもしれませんし……、

 あっ、でも、その神聖な蛇に噛まれたのですから、もしかしたら、何かご利益があるかも……、
 なにせ、ここは、一応、神社ですし……、

 ……とにかく、いくら乙女の柔肌を傷つけられたとは言え、無益な殺生をするつもりはありません。

 もっとも、これが藤田さん以外の男の方だったら、容赦しませんよ。
 それこそ、本気で『滅殺』しちゃいますからね。(クスッ)

「琴音ちゃんっ! 大丈夫っ!?」

 私が蛇に噛まれた事を知り、葵ちゃんが慌ててこちらに駆け寄って来ました。

「うん……ちょっと痛かったけど、大丈夫です」

 私の前で膝を付き、心配そうに私の顔を覗き込んでくる葵ちゃん。
 その葵ちゃんを安心させるように、私は笑みを返しました。

 本当は、まだズキズキと痛むんですけど、
この程度のことで、葵ちゃんに気を遣わせる事も無いですからね。

 でも、葵ちゃんは、それでは納得してくれなかったようです。

「蛇に噛まれたんだから、そんな油断しちゃダメだよっ!
毒でも持ってたらどうするのっ!!」

 そう叫ぶと、葵ちゃんは、私の両足を掴み……、
 そして……、


 
――ガバッ!!


「きゃあっ!?」





 ――私の両足は、大きく開かれてしまいました。





「あ、ああ、葵ちゃんっ!? な、何をっ!?」

 葵ちゃんの、あまりに唐突な行為に、一瞬、面を食らってしまう私。

 そして、下着が丸見えになっている事に気付いた私は、
慌ててそれを隠そうと、両手を伸ばします。

 しかし、それよりも早く……、

「ちょっとジッとしててっ!」

 相変わらず真剣な表情の葵ちゃんの手によって、私の両手は振り払われてしまいました。
 さらに、葵ちゃんは、あられもなく晒された私の股間に顔を近付けていく。

 そして、あれよあれよと言う間に……、








 
――ちゅっ☆


「はぅんっ☆」








 ……お、思わず声が出てしまいました。(ポッ☆)

 だ、だって、仕方ないじゃないですかっ!!

 いくら相手が女の子だからって、葵ちゃんだからって、
足の付け根なんかにキスされたら、くすぐったいのは当たり前ですっ!

 ――はい?
 今のは絶対に感じてた?

 そんなこと言う人、嫌いですっ!!
 じゃなくて、そんなこと言う人は滅殺ですっ!!

 とになかく、私は決して感じてなんかいませんっ!
 これは、単にくすぐったいだけなんですっ!!

 だいたい、葵ちゃんに、そんなつもりは全然無いんです。
 葵ちゃんは、ただ、蛇に噛まれた私の傷口を吸っているだけなんです。

 なにせ、噛まれた相手は蛇ですからね。
 さっき葵ちゃんも言っていましたが、万が一、毒を持っていたりしたら、大変な事になってしまいます。

 だから、葵ちゃんは、必死になって、私の傷口から、毒を吸い出してくれているんです。

 そんな葵ちゃんの献身的な行為に対して、性的な快感を覚えてしまうなんて……、
 私に限って、そんな事があるわけありませんっ!

 何度も言いますが、これはくすぐったいだけなんですっ!
 そうに決まっていますっ!

 まあ、これが、相手が藤田さんだったりしたら……、
 それはもう、思い切り感じちゃうかもしれませんけど……、(ポッ☆)

 いえ、それどころか、腰を微妙に動かして、私のいけないところに、
藤田さんの唇を誘導したりなんかして……、(ポポッ☆)

 と、それはともかく……、

「あ、葵ちゃん……そんなこと、やめ……あうぅ……」

 私の傷口を吸っては、唾液と一緒に血を吐く、という行為を、懸命に続ける葵ちゃん。

 そんな葵ちゃんを押し退けようと、私は羞恥に体を打ち震わせながら、
葵ちゃんの頭をグイグイと押します。

 しかし、今の私の状態では、ロクに力が入るわけもなく――

「ダメだよ、琴音ちゃん……念の為、しっかりと吸い出しておかなくちゃ」

「は、はうぅ〜……」

 ――葵ちゃんの行為を止めさせる事が出来ません。

 だいたい、力任せに押し退けようにも、私と葵ちゃんでは、
最初から力の差は歴然としているのですから、効果があるわけがありません。

 超能力を使えば、それも可能なのでしょうが、こんな状態で念動力なんか使おうとしたら、
力が暴走してしまうかもしれませんし……、

 し、仕方ありません……、
 ここは、葵ちゃんが納得するまで、身を委ねるしかないですね。

 なんとなく、諦める為の口実として論理武装しているような気がしないでもないですが……、

 とにかく、抵抗するのを断念した私は、グッと瞳を閉じ、唇を噛み締めて、
なんとか声が出てしまわないように堪える事にしました。

 まあ、蛇の毒(?)を吸い出すのなんて、すぐに終わるでしょうからね。
 ほんの数分、我慢するだけで良い筈です。

 だから、そのくらいなら、なんとか……、








 
ちゅうちゅう……

 
ちう〜〜〜〜〜……


「んっ……はぁ……」








 なんとか……、








 
ちゅうちゅう……

 
ちう〜〜〜〜〜……


「んくぅっ……ふぁ……ううっ……」








 …………、(汗)








 
ちゅうちゅう……

 
ちう〜〜〜〜〜……


「あぅんっ……ああ……♪」








 
……ダ、ダメですっ!!
 
我慢しきれないかもしれませんっ!!


 何故だか、良く分かりませんが……、
 葵ちゃん、なんかもう上手すぎですっ!!(何が?)

 しかも、足の付け根という微妙な位置が、
なんとも歯痒いと言いますか、じれったいと言いますか……、

 と、とにかく……、
 これでは、すぐに我慢の限界に達してしまいますっ!

「ああ……はぅ……あ、葵ちゃぁん☆」

 声が出ないように指を噛んで、私は必死で理性を奮い立たせます。

 しかし、どんなに我慢しようとしても……、
 体の奥底から湧き上ってくる感覚に、私の理性は、急速に失われていく……、

 葵ちゃんに、そんなつもりは無い、と知りながら……、
 その抗いようの無い快楽に墜ちていく……、

 はふぅ〜……、
 やっぱり、自分でするよりもずっと良いです♪

 ああ、葵ちゃん……、
 いつまでも同じところばかりじゃなくて、もっと別のところも……♪

 ……って、そうじゃなくてっ!!
 私ったら、何を、葵ちゃん相手にその気になっているんですかっ!

 い、いけませんっ!
 このままでは危険ですっ! デンジャラスですっ!

 これ以上、吸われ続けたら火がついちゃいますっ!!
 いけないスイッチが入っちゃいます〜〜〜〜っ!!

 限界など無いのか、と思える程に、私を襲う快感はドンドン高まっていく。
 その快感に、本気で危機感を覚えた私は、力の暴走を覚悟で、念動力の集中を始めました。

 と、その時……、
















「な、何やってんだ……二人とも?」


「――えっ?」
















 いきなり、すぐ近くで聞き覚えのある声がして、私はパッと目を開きました。

 すると、すぐ目の前に、私と葵ちゃんのクラスメートであり、
藤田さんの次くらいに親しい間柄でもある一人の男性の姿が……、

「ふ、藤井さん……?」

「…………」(大汗)

 ――そう。
 そこにいたのは、藤井 誠さんでした。

 一体、いつの間に、ここにやって来ていたのでしょう?
 と、言いますか、どうして、こんなところに……?

 葵ちゃんの絶妙なテクニックに、ついつい夢中になって……、
 恥ずかしさを我慢するのに必死だった所為で、藤井さんの接近に全然気が付きませんでした。

 み、見られちゃいました……、
 こんな決定的な瞬間を……、

 さっきまで、あんなに高ぶっていたのが、まるで嘘だったかのように、
私の全身から一気に血の気が引いて、興奮が冷めていくのが分かります。

「あ、あの……これは……」

「…………」(大汗)

 何を言ったら良いものか分からず、思い切り混乱しつつも、
私は誤解を受ける前に、ちゃんと事情を説明しようと試みます。

 大きく足を広げて、地面に座る私――
 その私のスカートの中に、顔を埋めている葵ちゃん――

 この状況から、どんな誤解が生じるのかは、想像に難くありませんからね。

 ……しかし、私の言葉は、藤井さんには届いていないようでした。

「…………」(大汗)

 藤井さんは、まるで見てはいけないものを見てしまったかのような表情で、
私と葵ちゃんを見下ろし、完全に固まってしまっています。

 そして、フッと硬直が解けたかと思うと……、
 申し訳なさそうに、私と葵ちゃんから目を逸らし……、
















「……邪魔してゴメン」


「違うのぉぉぉぉぉ〜〜〜〜っ!!」(泣)
















 その後――

 葵ちゃんと一緒に、事情を説明して、
なんとか変な誤解をされるのは免れましたが……、

 はあ〜……、
 目撃者が話の分かる藤井さんで、本当に助かりましたね。

 これが、万が一、藤田さんだったり、歩く東スポと呼ばれている誰かさんだったりしたら、
一体、どんな惨状になっていたことか、考えるだけで恐ろしいです。

 ……まさに、不幸中の幸い、と言ったところですね。

 それにしても、以前の保健室での事といい、今回といい……、

 どうして、私と葵ちゃんって、
そういう誤解を受けそうなシーンを、目撃される事が多いのでしょう?

 何やら、作為的なものを感じますが……、
 まあ、今後は、もっと注意を払うことにしましょう。

 私と葵ちゃんが好きなのは、飽く迄も、藤田 浩之さんなんですから……、
















 でも、もし、藤井さんに目撃されずに、あのままの状況が続いたら、
一体、どうなってしまっていたのでしょう?

 それを想像すると、ちょっとだけドキドキしちゃいますね☆
 あのまま、イクところまでイッても悪くは無かったかな〜、って……、


 ……。

 …………。

 ………………。


 ……な〜んて、冗談ですよ、ジョーダン♪

 そんなことあるわけ無いじゃないですか。
 私と葵ちゃんが……(きゃっ☆)……だなんて、ねえ?

 もう一度、言いますけど……、
 私が好きなのは、藤田さんなんです。

 だから、私が葵ちゃんを相手に、そんなことを考えるわけが……、








 うふ……うふふ……、

 うふふふふふふふふふ……♪








<おわり>
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